往時宇宙飛翔物体 システム機械設計屋の彼是

往時宇宙飛翔物体 システム機械設計屋の彼是 宇宙blog

人工衛星の設計・製造・管理をしていた宇宙のシステム・機械設計者が人工衛星の機械システムや宇宙ブログ的なこと、そして、横道に反れたことを覚え書き程度に残していく設計技術者や管理者、営業向けブログ

2020-01-01から1年間の記事一覧

精度の高い結合に接着剤を使用するか?ボルトを使用するか? | Lessons Learned、失敗学、事故事例

機械的結合に接着剤を使用するか?ボルトを使用するか? 宇宙業界では放射線や急な温度サイクルによって劣化する可能性がある接着剤(高分子材料)を使用することは多くはありません。 それでも接着剤を使用するメリットがあるため、いくつか使用されます。 ボ…

設計と解析で絞る!ステンレス、チタン、黄銅のボルト選定時の機械的特性と熱的特性と光学的特性

ステンレス、チタン、黄銅のボルト強度と特性をまとめた 人工衛星にはオーステナイト系のステンレス鋼のネジが比較的使われています。 チタンのネジを使う場合もありますが、単純に値段が高いのです。 人工衛星に限らないかもしれませんが、ボルトの選定に使…

マイルズの式について(Miles' Equation) | ランダム振動の実効加速度への変換式【宇宙機と構造】

マイルズの式について(Miles' Equation) マイルズの式は、人工衛星をロケットに搭載した際に、人工衛星に加わるロケット打上げ時に発生する音圧の加速度を算出(近似)することができる方程式です。 人工衛星で使用する場合は、概念検討~詳細設計までの構造解…

宇宙の知られざる古参メーカーSony!? Sonyの宇宙関連製品を振り返ろう!

SONYの宇宙関連製品 www.sony.co.jp SONYが宇宙関連事業に向けて動き始めたので、SONYに関わる宇宙に関わった製品を振り返ってみます。 SONY製品は、 ネットに広まっている情報から次の製品が宇宙で使用されています。 製品のまとめはこちら TC-50(テープレ…

なぜ!? 年に数百と打上げられている人工衛星が衝突しないのか?

人工衛星が衝突しない United Nations Office for Outer Space Affairs (UNOOSA)のサイトページによると2020年前半まで打ち上げられている人工衛星は、9,400機を越えています。 打上げられている人工衛星は、一部は地球に落下して燃焼されており、それでも軌…

人工衛星をハッキングしたい!? どうすればできるの?

人工衛星のハッキングとは そもそも人工衛星のハッキングは何を意味するのでしょうか? 人工衛星から送られるデータを得ることでしょうか? 人工衛星を制御して自分の人工衛星にすることができることでしょうか? 人工衛星のハッキングは、主に述べた2つに絞…

構造と観測機器の関係-温度変形編-【宇宙機と構造】

光学観測機器の構造系の重要性 Credits: NASA 人工衛星の構造系において、構造系自体の性能を上げるという問題はなかなか起きません。 人工衛星の構造系の山場の一つは、ロケット打ち上げによる振動環境にあります。 ロケットの振動から、人工衛星内部機器を…

ステルス航空機は宇宙上空のレーダー衛星で検出できるか?

ステルスを検出するとは レーダ衛星でステルス航空機を検出することは可能です。 ステルス航空機は、レーダで検出しにくい航空機のことを言います。 レーダに検出しにくいかを示す値としてレーダー反射断面積(Rader Cross Section、RCS) が使われます。 この…

自分の人工衛星を開発して、宇宙に送りたいあなたへ

人工衛星を開発しちゃうかい? 2020年現在、人工衛星を開発して、自分の人工衛星として宇宙に送ることは可能か? このような質問を投げかけると、様々な方面からの可能性のコメントをいただくかと思います。 どのような方面からのコメントをもらうかまとめま…

面倒な人工衛星のハーネス設計とルーティング(配線)について

宇宙機電子部品実装の中にハーネス設計はある Credits: NASA 宇宙機電子部品実装というくくりで、ハーネス設計が行われます。 宇宙機の電子機器の実装について振り返ってみましょう。 絶縁繊維樹脂材の板に、薄くて細い銅のラインを引き、似たような板を数枚…

電気機器の基板実装の外観検査で見るべきポイント

宇宙機電子部品実装の流れ Credits: NASA 宇宙業界に関わらず電子機器にははんだを含んだ部品実装がついて回ります。 外観検査では、そのはんだの確認をしたりしますが、まずは、電子機器の部品実装の流れについて振り返ってみます。 絶縁繊維樹脂材の板に、…

宇宙機でも注目される!マイクロソルダリング技術とウィスカ対策

宇宙機電子部品実装にマイクロソルダリング技術とウィスカ対策は切り離せない マイクロソルダリング技術とウィスカ対策の前に、軽く電子機器の部品実装について確認してみましょう。 絶縁繊維樹脂材の板に、薄くて細い銅のラインを引き、似たような板を数枚…

宇宙機にも使用される「リジット基板とフレキシブル基板」と「FR-4」とは?

宇宙機電子部品実装には「リジット基板とフレキシブル基板」と「FR-4」が離れない Credits: NASA Neutron-1の内部コンポーネントとハーネス 宇宙業界に関わらず電子機器にははんだを含んだ部品実装がついて回ります。 今回は「リジット基板とフレキシブル基…

なぞの宇宙業界用語「ワークマンシップ」を簡単に説明します。

宇宙業界用語「ワークマンシップ」とは workmanship(ワークマンシップ)とは、直訳すると、 技量や手際、できばえ、仕上がり workmanshipの意味・使い方・読み方 | Weblio英和辞書 といった意味を示します。 宇宙業界では、技量や仕上がりという意味が適切か…

注意が必要?人工衛星データビジネスに閉塞感・端境期を感じてしまう3つの理由【宇宙ビジネス】

衛星データを取り扱うビジネスが生まれているが伸び悩んているの? 人工衛星データを取り扱うビジネスでの閉塞感があるように感じます。 理由①無償データの拡大 理由②取得頻度の急増がない 理由③使用ユーザー不足 現在、多くの人工衛星の無償データがネット…

デブリを人工衛星のレーザーで除去しよう!デブリ除去のレーザー技術を通常のレーザー加工技術と比較した

人工衛星のレーザー技術とレーザー加工 レーザー兵器と言われて、スターウォーズを思い浮かぶ人もいるかもしれません。 ただ、スターウォーズのシリーズが終わってしまったため、どこの世代まで伝わるか怪しくなってきています。 レーザーが使用される例とし…

なるべく簡単に説明!宇宙通信で使用される量子通信の6つの特徴

量子通信についてまとめてきたので、6つのポイントを羅列していきます mechanical-systems-sharing-ph.hatenablog.com mechanical-systems-sharing-ph.hatenablog.com 大量のデータを送信できます。 電波(電磁波)よりも光は高周波数です。 高周波数というこ…

宇宙通信で量子通信と量子暗号化技術がつぶやかれ始めた理由

宇宙通信では暗号化技術が必要である 人工衛星による通信に限らずスマホの電波の送信の際に、暗号化を行っています。 暗号化を行わなければ、第三者に電波を拾われ、盗聴されてしまいます。 人工衛星の場合は、波長帯によっても異なりますが、地上において広…

宇宙も光の時代が訪れている!宇宙通信で量子通信とか光通信が出る理由

量子通信とは 量子通信とは、光を細かくした最小単位である光子に情報を載せて通信する技術です。 そもそも量子とは、物質の最小単位の総称で、光子以外になんとか素粒子といったものも量子に含まれます。 通常の電波電通信との違いは、スマホを始め、テレビ…

1961年、気象・水象災害の特異性及び災害対策を人工衛星に託した夢-国立国会図書館で調べる人工衛星ー【人工衛星と文学】

無料で利用できる国立国会図書館デジタルコレクション 国立国会図書館デジタルコレクションを知っているでしょうか? 日本の最大図書館がインターネット上で閲覧できるのです。 今回は「人工衛星」と検索して、インターネット上から無料で閲覧可能な現状最古…

困る前に知っておこう!人工衛星の振動試験で清浄度が越えないようにするには?【宇宙機と清浄度、地上環境】

忘れていませんか? 振動試験機が動くとチリやホコリが舞いますよ? 振動試験をすると、試験機が揺れます。 それはそうなのですが、試験機が揺れるとホコリが舞うので清浄度が悪くなります。 清浄度管理がされていない振動試験の場合は 考える必要はないので…

宇宙企業のオーナーになって宇宙と関わってみたいあなたへ【宇宙業界と銘柄】

宇宙業界に関わる最も早い方法 宇宙に関わる手段としては、宇宙関連の企業に勤め、宇宙部門に配属されるということが最も分かりやすい関わり方だと思います。 宇宙関連の企業ではなくとも、宇宙航空研究開発機構(JAXA)に職員として所属したり、宇宙を仕事に…

SpaceX社が放出し続けるスターリンク衛星の機械的構造を考察【宇宙機と構造】

60機同時打ち上げた人工衛星の構造を考える SpaceX社はロケットの製造能力を持ちながら、人工衛星の製造能力も持つ、世界的にも数少ない企業です。 通常は、60機も人工衛星を同時に放出することが困難と考えるところ、その考えをうち破りました。 今回は同時…

1957年、オーストラリアの旅ー国立国会図書館で調べる人工衛星ー【人工衛星と文学とオーストラリア】

無料で利用できる国立国会図書館デジタルコレクション 国立国会図書館デジタルコレクションを知っているでしょうか? 日本の最大図書館がインターネット上で閲覧できるのです。 今回は「人工衛星」と検索して、インターネット上から無料で閲覧可能な現状最古…

Starlink deployment ーSpaceX社が放出し続けるスターリンク衛星の放出機構の機械的構造を考察ー【宇宙機と構造】

60機同時打ち上げから色々考える SpaceX社はロケットの製造能力を持ちながら、人工衛星の製造能力も持つ、世界的にも数少ない企業です。 通常は、60機も人工衛星を同時に放出することが困難と考えるところ、その考えをうち破りました。 今回は同時60機の打上…

SpaceX社が放出し続けるスターリンク衛星の衝撃【宇宙機と実証】

実証衛星が打上げられたのは2018年でした Credits: NASA https://images.nasa.gov/details-KSC-20200429-PH-SPX01_0002 SpaceX社が衛星コンステレーションの実験衛星を打上げたのは2018年2月22日です。 もともとは2016年にMicroSat 1a、1bという人工衛星の打…

原子力電池の歴史【宇宙機と電池】

原子力電池の歴史 電子力電池そのものは1954年にアメリカのマウンド研究所でJohn BirdenとKen Jordanによって発明されました。 ちなみにマウンド研究所は、アメリカとロシアの冷戦中にほぼすべての核兵器関連のコンポーネントが設計、構築、評価されていまし…

宇宙開発で原子力電池が使われなくなったのは放射線問題のせいじゃない【宇宙機と電池】

アメリカの原子力電池の原材料事情 Credits: NASA https://images.nasa.gov/details-KSC-2011-6743 原子力電池は、1960年以降宇宙船に使用され、電力を供給し続けています。 アメリカでは過去、独自にプルトニウム238の供給していました。 プルトニウム238よ…

概要を知る!人工衛星に使われる原子力電池をまとめた【宇宙機と電池】

原子力電池という電池が存在している Credits: NASA 人工衛星が宇宙のどこまでいくのか、現在進行中でミッションが進んでいます。 その人工衛星は、ボイジャーと言われる、無人惑星探査機です。 宇宙のどこまでいけるかの要素の一つに燃料にかかっています。…

人工衛星の衛星画像では何が見えるのか?どんな指標で良し悪しを判断しているのか?【衛星の画像分析】

人工衛星の製品仕様分解能/解像度について アメリカの偵察衛星を管理しているのはNational Reconnaisance Office(NRO)という組織で、Keyhole(KH)と呼ばれているようです。 さらにはプロジェクト名/コードネームで呼ばれることがありCorona(コロナ)という名称…