往時宇宙飛翔物体 システム機械設計屋の彼是

往時宇宙飛翔物体 システム機械設計屋の彼是 宇宙blog

人工衛星の設計・製造・管理をしていた宇宙のシステム・機械設計者が人工衛星の機械システムや宇宙ブログ的なこと、そして、横道に反れたことを覚え書き程度に残していく設計技術者や管理者、営業向けブログ

対象:機械設計者

モーダルサーベイと呼ばれる共振周波数/共振点探査/振動応答検査のための試験と分析の基礎

モーダルサーベイ試験 モーダルサーベイ試験は、試験する物体に対して低レベルでの加速度を振動試験機で負荷させ、得られ加速度応答データから物体の固有値周波数(振動数)や物体の振動による変形(振動モード)を得る試験のことをいいます。全機振動試験/…

フル3Dプリントによる人工衛星はすでに打ち上げられている

宇宙業界では3Dプリントが注目されています。 注目されているといっても、2022年はややニュース記事としては少なくなっている印象です。 宇宙開発には試験や検証で時間が掛かります。 特に初号機の場合は、小型衛星の場合でも2年以上の期間で開発されます。 …

【エンジニア、技術面における】トレードオフについて

設計におけるトレードオフの考え方はいくつか存在しています。 今回は比較的に宇宙業界で使用されているトレードオフと称している手法は、いくつか書籍やネットの情報と差異があったので紹介します。 [目次] トレードオフとは トレードオフの検討項目例 最近…

システムズエンジニアリングが失敗していると思った時にチラ見する記事

システムズエンジニアリングを導入してみたがどうも失敗している。 なぜか上手くいかない。 一部の人に負担が偏って効果が見えない。 そんな声とともにやがて過度に増える負担と効果から部分的に効果を見せていても、社内に広まることは無くシステムズエンジ…

熱伝達率を求めるためのニュートン冷却の法則【熱設計者向け】

熱解析での入力要素値:熱伝達率 目次 熱解析での入力要素値:熱伝達率 目次 ニュートン冷却の法則から熱伝達率を求める 試験のコンフィギュレーションを考えてみる データ取得後に、ニュートン冷却保存の法則を利用して算出する 参照サイト 式だけ知りたい…

地球軌道上の熱環境 | Lessons Learned

地球軌道上の熱環境 地球軌道上の熱環境というのは、人工衛星の熱解析やデブリ落下解析で使用されます。 宇宙機を製造するにあたり、どんな熱環境を意識する必要があるのかといったことは他に譲るとして、今回は熱解析で利用されるパラメータについてまとま…

振動低減に利用するワイヤーロープアイソレーターの特性:解析モデルでの減衰と剛性の使用 | Lessons Learned

ワイヤーロープアイソレーターの特性:解析モデルでの減衰と剛性の使用 Lessons Learnedとは、組織(に関わらないですが)において業務を遂行した上で得られた教訓(学んだ教訓)のことを指しています。 今回はワイヤーロープアイソレータについてです。 ワイヤ…

システムズエンジニアリングを活用する前にチラ見する記事

システムズエンジニアリングはNASAの宇宙開発で活用されてきました。 ゆえに、システムズエンジニアリングとは宇宙開発に対して実施するものであるという誤解をしている人がいるかもしれないがそうではありません。 一方でMBSE(Model-based systems enginee…

初心者から一歩先へ!宇宙機の振動音響試験の考え方 | Lessons Learned【機械設計者向け】

宇宙開発は難しいことをしていると思っていませんか? 一見難しいように思えますが、理由を知れば、開発者が必要なことをシンプル化して試験をしています。 Lessons Learnedでは宇宙業界という技術力の高いエンジニアである人たちでも盲点となり起きてしまっ…

民生品を宇宙機に利用した際に寸法が許容できずに発覚した不具合事例 | Lessons Learned、失敗学、事故事例【機械設計向け】

民生品を推奨して、人工衛星の価格を下げるというのが小型衛星開発の設計の流れがあります。 しかし、民生品を利用するということはいくつかのリスクを含んでいます。 少し時間がたっている事例ではありますが、民生品を使用した際に発生しうるリスクを簡単…

静電放電(ESD)による人工衛星破壊を最小限にするための設計手法 | Lessons Learned【電気・機械設計者向け】

静電気でパソコンが壊れるという話を聞くことはありますが、あまり人工衛星で壊れるという話は聞いたことがないかもしれません。 人工衛星も電子機器であることから静電気で壊れます。 人工衛星は軌道上に上がると故障の原因を調査することがかなり難しいで…

あっさり解ける!転倒角の計算方法【機械設計者向け】

転倒角を計算しよう 最初に言います。転倒角には総重量は関係ありません。 転倒角は地面や床に置いたときに何度傾ければ倒れるかを計算したものです。 床と固定していれば転倒角の計算は必要なく、固定している素材(ネジや接着剤)の強度に依存していきます…

金属3Dプリンタで使える部品とロケット【機械設計者向け】

今回は金属3Dプリンタにより製造する部品を使用するうえでの考え方をまとめました。 目次 金属3Dプリンタで許容できないもの それでも金属3Dプリンタ自体の製造公差が発生します。 ロケットと金属3Dプリンタ 3Dプリンタで推進薬タンクを製造する 参考文献 金…

宇宙業界用語「JAXA認定品」とは

JAXA認定品とは、人工衛星、宇宙ステーション、ロケットなどの宇宙機に使用可能な品質レベルを満たしていること部品に対して、製造する設備も含めて認定した対象の電気電子機器及び部品のことをいいます。 また、JAXAでは電気電子機器及び部品のことを認定品…

中世に生まれた機械工学アストロラーベ、時計、マスドライバー【基礎から知りたい】

中世の機械工学と宇宙につながるもの 中世の機械工学で生まれた技術という記事を見つけたので、宇宙に絡めて紹介しようと思います。 www.engineersjournal.ie 記事によると、中世は機械工学において、大きな技術革命が発生した時期ではないと多くの人にとっ…

火星の未知の環境でNASAが直面した着陸時の衝突回避方法 | Lessons Learned【機械設計者向け】

宇宙開発は数年掛かりで開発します。 しかも、打上げロケットや打上げ軌道が決まっている場合は、スケジュールをずらすことが難しいのが現状です。 数年掛かりといえど、かなりタイトなスケジュールを強いることが多いんですね。 そのスケジュールの中で、機…

ものづくりにおけるリバースエンジニアリングについて【基礎から知りたい】

リバースエンジニアリングは、パーツ、既存のモデル、およびアセンブリを使用することで、3Dデータを生成できるプロセスの一つです。 簡単に言うと、スキャンしたデータを元に製品を再現することができます。 リバースエンジニアリングは、既存の形状から正…

【設備管理者向け】小型振動試験設備の長期間使用のためのクリティカルなパーツ

各種環境試験(振動試験、熱試験用真空チャンバー、電波試験、電磁適合性試験)の保守 試験装置の保守メンテナンスは、装置そのものを長期間使用させることと同時に、新たに設備投資をすることなく、一定の成果を出すためにコスト面でも非常に重要な要素となり…

【機械設計者向け】サーファーの技術がロケットの問題を解決した海外では有名な事例

サーファーの技術が宇宙開発を救った #TIL that engineers had issues with the honeycomb insulation on the #SaturnV second stage, so they ended up hiring local surfers from #SealBeach CA, who had experience in working with the material, to app…

【試験作業者向け】試験装置の配線も確認せずに供試体が破壊された後の今後の対策 | Lessons Learned、失敗学、事故事例

試験前に試験機器の機能を確認しておく 試験前の事前確認は重要です。 例えば地上支援装置(GSE)を外注し、外注の検査結果をもって試験に挑んだとしても、データが取れなかったなんて言うことはよくある話です。 出荷時点で問題なかったとしても、試験コン…