宇宙インフラとは
宇宙インフラとは、地上を離れて宇宙という空間を使用した経済や社会を支える基盤となるサービスのことをいいます。
宇宙空間より得られた情報を使用するもの、宇宙空間より情報を生成するもの、宇宙空間を中継して使用するものがあります。
多くの人が日常的に使用しているものを上げるのであれば、天気予報。
地上遥か3万6000kmの宇宙空間に整備されている宇宙機である静止気象衛星(ひまわり)より得られた情報を利用しています。
気象衛星による日本の気象観測は1970年代後半より始まり40年以上続けられています。
自身の現在位置を知ることができる、GPS(Global Positioning System)。
地上より2万kmの宇宙空間を周回している24機以上の衛星による測位システムを利用しています。
GPS自体は米国による衛星によるものですが、現在では日本の準天頂衛星や世界各国の地球測位システムにより成立しています。
宇宙インフラはいつから
宇宙インフラという言葉とは古くからあります。
2010年代以前は、宇宙への輸送システムであるロケット、人間が宇宙空間で活動できるか宇宙を利用した実証を続けている宇宙ステーション、軍事的な側面が強かったGPS、地球外の大地での活動を目的とした月面基地、現在ではspaceX社のstarlinkが実用化まできている宇宙を介したインターネット通信、宇宙上での太陽光発電システムを構築し地上へ電力をおくる宇宙発電システムを指していました。
この10年近くで、さらに範囲が拡大し、被災状況の把握や地球環境の観測、並びにそれらの情報を迅速に展開するネットワーク、米国に頼らない独自の測位システムが注目されるようになってきました。
世界の潮流としても、国が主導してきた宇宙開発も民間企業に移ってきており、国の政策では出てこないような宇宙空間より得られたデータを利用するアイディアがでています。
いわゆる宇宙ビジネスと呼ばれる分野です。
ちょうど日本にスマホの「iPhone」が広がり始めた2007年~2008年頃に、スマホの登場とともに広がったアプリの登場に近いものがあります。
スマホのカメラ機能やGPS機能を利用した単なる遊びのいくつかのアプリのサービス。
過去から存在していたQRコードと連携したサービスも数多く生まれ、現在では通常機能として受け入れられています。
現在の宇宙ビジネスもちょうど近い時期に来ています。
宇宙インフラが通常のインフラと区別されなくなるか
宇宙インフラとして天気予報を上げる人は少ないのではないでしょうか。
言われてみて、天気予報も宇宙インフラとなりますが、すぐには浮かばず、GPSを先に上げる人が多い気がします。
天気予報はすでに社会・経済インフラに溶け込んでいるからではないでしょうか。
宇宙ビジネスで生まれたサービスもいずれ溶け込み一般的にインフラとなることが、一つの目標としてあります。
インフラとなるには、安定的に利用できることが一つの条件です。
天気予報は、打上げ当時は3時間ごとのデータ取得でしたが、現在では2.5分程度まで縮まっており、リアルタイムに近い情報を得ることができています。
GPSは日本を含めた世界各国の測位システムを利用し、現在でも1分から2分程度まで縮まっています。
SpaceX社のstarlinkも、4000機程度の人工衛星を常時宇宙空間上に周回させておくことにより安定したデータ通信を可能にしています。
このようにリアルタイムで安定的に利用することでできるようになったことでサービスとして安定し、インフラの地位として確立していっています。
また日本では、大規模な地震や台風などで被災状況や防災のための観測衛星が注目されますが、海外では山火事に対する監視として観測衛星が広く活用されています。
現在の宇宙インフラが整備されるには、10年単位での時間が掛かっています。
宇宙機の製造能力とロケットの製造と打ち上げ能力にかかっています。
その制限の中で、国の施策という条件が加わることで、宇宙開発自体が進まないという事情がありました。
現在は、民間企業であるspaceX社のstarlink衛星のような製造・打上げ速度であれば一気に短縮できることを目のあたりにしています。
世界全体として、流れは来ているのですが、過去のスマホアプリのように上手くいかない理由として、お金がとてもかかることがネックになっています。
資金不足からすでに多くの民間企業・ベンチャー企業による計画が頓挫しています。
spaceX社も一時は資金不足で危険な状況まで陥ったと言います。
短期的な資金を得るための施策と、長期的な計画を組むという、会社立ち上げ時のよくある状況がどこの宇宙ベンチャー企業でも陥っているのが現状です。
宇宙業界は国からの施策で動いていたため、今まで宇宙関連企業に居た人材が宇宙ベンチャー企業に移った時にあまり体験したことのない資金不足による操業に立ち会っているのかもしてません。
まだまだ宇宙インフラの整備は続くでしょう。
参考
宇宙基本計画
https://www8.cao.go.jp/space/plan/keikaku.html
日本の静止気象衛星のあゆみ