人工衛星を開発しちゃうかい?
2020年現在、人工衛星を開発して、自分の人工衛星として宇宙に送ることは可能か?
このような質問を投げかけると、様々な方面からの可能性のコメントをいただくかと思います。
どのような方面からのコメントをもらうかまとめます。
結論の7項目
- 宇宙軌道上でやりたいことを考える
- 人工衛星システムの開発
- 人工衛星で電波を発信するために総務省・ITUと調整
- 打上げるロケットを決める
- 人工衛星の打ち上げに対して、内閣府の審査
- 人工衛星への電波を発信するために地上局の開局のために総務省・ITUと調整
- 電波を発信するために、電波関連資格を取得
自分で作れる人工衛星の開発キットの購入
現在は超小型衛星(キューブサット)と呼ばれる10cm~30cm程度の人工衛星のキットを購入することができます。
個人で購入できない場合は、大学や企業を全面にして商社を利用するのも一案です。
人工衛星の開発キットでは、バスシステムと言われる基本機能を備えたもので、ミッションと言われる「やりたいこと」を自由に搭載することが可能です。
- 姿勢決定及び姿勢制御システム(ADCS)
- 電力システム(EPS)
- 制御システム(ECL)
- 通信システム
- 構造システム
- 熱システム
キューブサットでなくとも、標準化されたコンポーネントも多数あるため、個別に購入が可能です。
「やりたいこと」は、画像や動画を取得したり、地上と宇宙で通信するなどがあげられます。
画像や動画は地球の地表面であったり宇宙側の月や星座を取得することができます。
通信は、アマチュア無線帯であったり、遠距離の通信を可能とします。
もちろん、1機や2機ではインターネットにより巷に広まっている情報よりも有用な情報を見つけることは低いかもしれません。
しかし、自分で人工衛星を構築することで、人工衛星システムが動く仕組み、自由に自分のタイミングで取得できる画像や動画は、産業に生かしたり芸術に生かして、新しい文化を生むことができます。
一部の人しか持っていなかったカメラが一般に広まることで生み出されたいくつかの文化。
ゲームセンターでしか遊べなかったゲーム機が、家庭用や携帯用に広まることで生み出された文化。
むしろ、宇宙業界は新しい文化が作れる新しいステージとなることを待っているのではないでしょうか。
人工衛星に必要な許可
技術的な作業以外にもいくつかの事務処理を行う必要があります。
だいたい1年から数年の期間で許可を得る必要があるのです。
国際電気通信連合(ITU) で、宇宙軌道上で使用できる電波帯域の利用許可を得ます。
ちなみに、日本国内ではITUとは総務省を窓口としてやり取りを行います。
2016年より日本国内では宇宙二法(宇宙活動法と衛星リモートセンシング法)が施行され、人工衛星を打上げるには内閣府の許可を得る必要があります。
打上げるロケットや打ち上げ後の管理を申請時点で示します。
申請するだけではなく審査も必要で、人工衛星の設計はもちろんですが地表面への再突入の解析(軌道デブリ評価)の結果を提示することになります。
また、使用されるロケットは、日本である必要はありませんが、開発国が日本であればおそらく申請が必要です。
また、アメリカで打上げたり、機器を購入する場合には国際武器取引規則(ITAR)により、防衛関連の情報や機器の輸出を管理されている点に気を付けましょう。
個人で通信を行うためには地上局を開局することになります。
アマチュア無線帯以外は総務省に電波利用の申請をする必要があります。
ただ、電波を発信するにはアマチュア無線でも資格が必要です。
参考文献
Can I build a satellite and send it to space as my own satellite?
https://www.quora.com/Can-I-build-a-satellite-and-send-it-to-space-as-my-own-satellite
宇宙活動法に関する申請受付について
https://www8.cao.go.jp/space/application/space_activity/application.html
「衛星リモートセンシング装置使用許可」及び「衛星リモートセンシング記録取扱認定」に関する申請受付について
https://www8.cao.go.jp/space/application/rs/application.html
3分でわかる宇宙活動法アウトライン【リーマン・ハイ】