ステルス航空機は宇宙上空のレーダー衛星で検出できるか?
ステルスを検出するとは
レーダ衛星でステルス航空機を検出することは可能です。
ステルス航空機は、レーダで検出しにくい航空機のことを言います。
レーダに検出しにくいかを示す値としてレーダー反射断面積(Rader Cross Section、RCS) が使われます。
この値が小さければ、レーダーに検出される距離が短くなる(低RCS) 、すなわちレーダーに気づかれず近づける、検出しにくい航空機と言えます。
RCSは次の要素で決定されます。
- 航空機側の形状と外観
- 航空機側に使用される材料(電波吸収材)
- 監視側のレーダーの方向
- 監視側のレーダーの周波数
監視側のレーダーの検出
ここでは監視側となるレーダーの要素を見てみます。
レーダーで検出する場合、対象物である航空機に対してレーダーを発信し、返ってくるリターン周波数を検出して、対象の構造を読み取ります。
航空機が移動、特にレーダーの正面側ではなく平行移動し、相対運動が小さくなると、検出が難しくなります。
逆に、レーダー正面に向かって移動する場合は、ドップラーシフトにより、リターン周波数が高くなって返ってくることになり、より詳細な情報を知ることができ、簡単に検出できます。
レーダー正面から離れて移動する場合は、リターン周波数が低くなり、対象を検出することができにくくなります。
地上のレーダーの場合を考えてみましたが、対象の真上を移動しているレーダ衛星を考えてみます。
レーダ衛星は不利な点が4つあります。
一つ目は、レーダ衛星の動きがレーダーの方向と平行に飛行していることが多いため、対象を検出することが難しくなります。
二つ目の不利な点は、軌道上であるため大気の影響を受け、レーダーが散乱してしまうところです。
三つ目は、物理的距離が長い点です。レーダーのアンテナは、距離が長ければ、それだけレーダー出力を上げる必要があり、連続使用制限があるということです。人工衛星の電力とレーダーの冷却期間により、長期間の使用ができない点です。
ちなみに、地上の気象レーダーや航空管制レーダーは、数10kW~1MWほどの出力を出すようです。
四つ目は、データの即時取得が難しい点です。周回衛星であれば、地上局で取得できるデータのタイミングは1日に数回になります。
三つ目と四つ目はそれぞれ、人工衛星の冷却機能向上や大容量バッテリ化と低軌道静止衛星や衛星コンステレーションにより、対応可能のように思えますが、どうなのでしょうか。
陸上レーダーシステムでさえ、電力が一つの要因で距離の制限があります。
人工衛星での電力は、太陽電池セルパネルによる確保か原子力電池を使用したものになりますが、現実的であるかは難しいと頃です。
技術的にはステルス航空機を検出できるが、実用性に足りていない可能性があります。
航空機検出の実情
人工衛星の航空機の検出は、レーダ衛星に限らず光学衛星でも空港での検出が主な手段となっています。
空港で検出し、配備状況を確認するという手段がよく言われています。
レーダ衛星に戻りますが、画像評価指標(NIIRS)を見ると、だいたい20cm~40cmで小型航空機を検出できるようです。
ある程度の訓練した解析者であれば、10m未満の解像度から大型以下の航空機を検出・識別することができるそうです。
これが機械化学習でどこまで識別が可能となるのか、陸上では多くのノイズとなる建物や森林、土壌と分けられるのか。
もしかすると、現在も多くのデータを分析できるように、蓄積している期間かもしれません。
参照文献
Radar Cross-Section - Radartutorial
https://www.radartutorial.eu/01.basics/Radar%20Cross%20Section.en.html
If radars can't detect stealth jets, can military satellites detect them?
https://www.quora.com/If-radars-cant-detect-stealth-jets-can-military-satellites-detect-them
Could space-based radars detect stealth aircraft?
https://www.quora.com/Could-space-based-radars-detect-stealth-aircraft
National Imagery Interpretability Rating Scale (NIIRS)