往時宇宙飛翔物体 システム機械設計屋の彼是

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人工衛星の設計・製造・管理をしていた人が人工衛星の機械システムや横道に反れたことを覚え書き程度に残していくブログ

人工衛星の振動試験で清浄度超過対策【宇宙機と清浄度、地上環境】

忘れていませんか? 振動試験機が動くとチリやホコリが舞いますよ?

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 振動試験をすると、試験機が揺れます。

それはそうなのですが、試験機が揺れるとホコリが舞うので清浄度が悪くなります。

 

清浄度管理がされていない振動試験の場合は 考える必要はないので、他の業種ではほとんど考えられていません。

 

清浄度管理が、宇宙機において通常の試験施設と違うところであり、悩ましい所です。

 

 

人工衛星試験の清浄度管理方法にはいくつかあります。 

 

設備に対しては、

  • 清浄度管理の可能な振動試験設備を使用する
  • 人工衛星全体を包む簡易クリーンルームを作成する
  • 装置を操作する人間と振動試験設備を別々にする

人工衛星に対しては、

  • 人工衛星全体を包む試験用保護カバーを取り付ける
  • 清浄度管理が厳しい対象のみ試験用保護カバーを取り付ける

管理方法に対しては、

  • 試験時の清浄度管理の規定を緩める
  • 清浄度管理が厳しい対象はダミーウェイトを使用して厳しい対象のみ清浄度管理された試験設備で試験する
  • 振動試験をしない

 

だいたいこれらの手段が取られるのではないでしょうか。

 

人工衛星の振動試験と清浄度管理

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設備に対しては、清浄度管理の可能な振動試験設備を使用するというのがオーソドックスな手段ではないでしょうか。

 

いわゆる、クリーンルームの中に振動試験設備があるというパターンです。

 

振動試験によって清浄度が上がるため、試験中の清浄度の許容を限定的に下げるなどして対処を行います。

 

 

クリーンルームがある振動試験設備というのは、組織内管理の施設であることが多いです。

一般に振動試験とすると、自組織内に設備がなければ、各県の産業技術総合センターや工業技術総合センター、試験センターを利用することになります。

 

しかし、それらの施設はクリーンルームではありません。

クリーンルームでの公共施設があるとすればJAXAの試験センターになります。

 

 

その一つの手段として、試験設備内にHEPAフィルターを備え付けた簡易クリーンルームを作成するという手段です。

可搬型(移動式)の簡易クリーンルームが存在するか不明ですが、1から作り出す場合には1週間以上かかるのではないでしょうか。

その間、施設を借用することになります。

 

簡易クリーンルームが作れない場合は、試験用保護カバーを取り付けるという手があります。

 

簡易クリーンルームでなくとも、設備操作エリアと試験設備を別にすることで、最大の汚染物質となる人間と人工衛星を分けていれば、清浄度悪化はある程度避けられます。

試験設備に人間と人工衛星があった場合でも、基本は必要以上に人間が動かないこと、それが大事になりますけどね。

 

試験用保護カバーとしていますが、振動試験治具人工衛星を囲み、密封状態にして振動試験するという手段です。

 

振動試験を実施する際に、試験機と固定するための治具がほぼ必須となります。

必須の治具であるため、振動試験治具の設計時に密封することを考慮していれば、余計なコストもかからることはありません。

 

もちろん密封時にはクリーンルームなどの清浄度が管理された部屋で実施することが望まれます。

 

振動試験治具を密封するという手段は、人工衛星が小型なもの限定となります。

これらがベースの手段となります。

 

残りは、人工衛星すべてに対してではなく、清浄度管理が厳しい光学機器などのミッション機器にのみ保護カバーを取り付けるという方法です。

 

前提として、人工衛星に保護カバーが取りつく構造であることが必要となります。

 

ただしこの方法を取ると、人工衛星本体が汚染されてしまいます。

人工衛星が汚染される場合に気を付けなければならない点は、打上げの際に、ライドシェア(相乗り)を行い時に他の人工衛星も汚染されてしまうということです。

 

振動試験後にベーキングや洗浄を行い、汚染物質を脱離させておく必要性も考えておいた方がいいかもしれません。もちろん、プロジェクト判断によるものだと思いますが。

 

 

このように施設や人工衛星の構造上、対策できない場合はどうすればよいでしょうか。

 

 簡単です。

 

試験時の清浄度管理の規定を緩めるのです。

 

宇宙機において、清浄度を管理する一番の理由は、ミッションへの影響や打ち上げロケットへの影響を低減させるものです。

 

もちろん、宇宙船を利用して、人や動物が乗り込む場合は、有害物質が混ざることは大きなリスクを伴うため、清浄度管理は必須です。

最近は惑星探査において。探査機に付着した地球由来の物質が混ざってしまい、分析が難しくなるため、清浄度管理は必須なのです。

 

ロケットやライドシェア衛星への影響を無視しつつ、ミッションへの成功率を下げても良ければ、清浄度の管理の規定を緩めることは可能なのです。

 

ミッションへの影響は、光学観測機器が汚れることにより十分な観測、十分な性能が出ないこと。

汚染物質により、有機材料であるケーブルやMLI(熱制御材)、接着剤といったものが劣化し、人工衛星の軌道上での活動期間を短くさせます。

 

もっと致命的なことを忘れている気がしますが、こんな感じです。

 

それらのリスクを考慮しつつ、清浄度管理を下げるのです。

 

例えば、振動試験という限定的な時間帯であることを加味しつつ、振動試験後に清浄度が向上できる対策である人工衛星自体のベーキングや真空による物質の脱離、重要部品の洗浄を実施するというのも一つの手段です。

 

あとは、すべての機器が一律で高い清浄度を求められているわけではないので、一部の試験においてはダミーウェイトを使用するのありだと思います。

別途、機器は振動試験する必要もありますが、機器単位であれば、保護対策の手段が増えます。

 

ここで問題となるのは、組み合わせた状態で振動試験を実施しないことで、ワークマンチップの確認ができなくなるということです。

 

ここでいうワークマンシップとは、人間の手で作られた製造物であるため、ヒューマンエラーが発生する可能性があるため、試験することでヒューマンエラーがないこと(炙り出すこと)を確認するというものです。

正確には人工衛星の仕上がりを意味するところですが、使用される場面ではヒューマンエラーがないことが多いです。

環境試験の多くはワークマンシップの確認の積み重ねでもあるのですから。

 

一方で、全てをオートメーションで製造する場合は、ヒューマンエラーはなくなりますが、オートメーションの機械による製造差から発生する不具合も考慮していく必要があります。まあ、それはともかく。

 

簡単に言うと、失敗確率を下げる振動試験を実施するということです。

 

振動試験をしないことはワークマンシップとのせめぎあいになります。

製造組織のルールにより、どの程度苛烈になるか分かりませんが、人工衛星全体の失敗か、ミッション単体の汚染か、というコストや信頼をパラメータとした天秤になるのではないでしょうか。

さらには打上げスケジュールなどにも関係していきます。

 

ただ、ワークマンシップに対しては、二重・三重の製造管理をすることで対策するというのも組織にとっては有りです。

 

環境試験や電気試験の短縮化は、ワークマンシップを減らすことになるため、別の手段で担保していくのも有りです。

 

まあ、ロケットの打上げタイミングが多ければ、短いサイクルで人工衛星を製造し、トライ&エラーを繰り返し、信頼性・技術の向上を高くするのもありですが、現状では厳しいです。

 

 

最後話がずれましたが、清浄度超過対策を話しました。

 

もちろん、清浄度管理に時間制限を付けて、X分以上超えないように管理するというのも有りです。

その場合は、汚染物質の塊である人間が作業場から脱出する必要がありますけどね。

宇宙企業のオーナーになって宇宙と関わってみる【宇宙業界と銘柄】

宇宙業界に関わる最も早い方法

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宇宙に関わる手段としては、宇宙関連の企業に勤め、宇宙部門に配属されるということが最も分かりやすい関わり方だと思います。

 

宇宙関連の企業ではなくとも、宇宙航空研究開発機構(JAXA)に職員として所属したり、宇宙を仕事にすることがすぐに思いつくのではないでしょうか。

 

主に浮かぶところが開発メーカーとなるのですが、ロケットや人工衛星を製造していなくても、部品を生産している部品メーカーも数多くあります。

 

すぐに思いつく宇宙業界といわれる企業群だと思います。

 

人工衛星の開発や運用に使用するソフトウェアの開発や解析業務画像データの提供や画像データ解析・分析を実施する会社もあります。

 

ロケットや人工衛星に隠れがちですが、地上局に関わるアンテナ製造やシステムを製造している会社もあります。

 

さらには、機械業界や電機業界、メーカー関係ではおなじみのメーカー同士を繋ぐ商社も忘れてはいけません。

 

 これらの企業に勤める以外にも、ニュースサイトやブログに情報を発信するという関わり方もあります。

 

 

しかし、宇宙機器を作るだけの技術もなければ、勤めている企業では宇宙業界に関わっていない。記事を書くだけの時間やアイディアがでてこない。

情報を収集してもまとめて発信するだけの労力を掛けたくない、そんな方にまだまだ手段はあります。

 

1つは、クラウドファンディングという手段で支援するという手もあります。

 

もう1つは、古典的ではありますが日本ではまだなじみの少ない株主という手段で、宇宙関連企業のオーナーとなり、宇宙業界に関わってみるという手段です。

 

今回は、株主(オーナー)という手段で宇宙業界に関わる際に、世界でどのような宇宙関連企業がうごめいているのか上げていきたいと思います。

 

株式市場から見る宇宙関連事業の主要銘柄

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思いついた上場の企業を上げていくのもいいのですが、株式銘柄を集めた投資信託(ファンド)がありますので、2020年6月時点での情報を引き出していきます。

 

ファンドの紹介順は順不同です。

 

宇宙関連ファンド

ニッセイ宇宙関連グローバル株式ファンド【愛称:スペース革命】

https://www.nam.co.jp/fundinfo/nukgkf2_a/main.html

  • コンステレーション・ソフトウェア:流体解析ソフトウェアとサービスを提供する国際的なソフトウェア・プロバイダー。
  • マイクロソフト:世界最大のソフトウェアメーカー。将来的な衛星サービスの提供。
  • サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック:総合科学サービス企業。
  • SBAコミュニケーションズ:不動産投資・管理会社。
  • アメリカン・タワー:不動産投資・管理会社。
  • IHSマークイット:情報のリーディングプロバイダー。
  • ハネウェル・インターナショナル:テクノロジーおよび製造分野の複合企業。
  • エアープロダクツ・アンド・ケミカルズ:世界有数の工業用ガス企業。
  • モトローラ・ソリューションズ:通信機器メーカー。
  • アイデックス:世界中のニッチ市場にサービスを提供するアプリケーションソリューションプロバイダー。
  • サフラン:航空宇宙に関する複合企業体。
  • トランスダイム・グループ:航空機のアフターサービス用の幅広い製品を供給するメーカー。
SMT MIRAIndex 宇宙

https://www.smtam.jp/fund/detail/_id_510175/

  • ロッキード・マーチン:防衛会社。
  • L3ハリス・テクノロジーズ:技術会社。
  • アメテック:グローバルな電気計器・電子機械装置メーカー。
  • レイドス・ホールディングス:科学、エンジニアリング、システム統合、技術分野のサービスとソリューション。
  • ノースロップ・グラマン:防衛会社。
  • TEコネクティビティ:電子部品メーカー。
  • レダイン・テクノロジーズ:電子・通信機器メーカー。
  • ハネウェルインターナショナル:テクノロジー会社。
  • BAEシステムズ:軍需企業。
  • トランスダイム・グループ:航空部品メーカーの持株会社
  • ガーミン:電子機器メーカー。
eMAXIS Neo 宇宙開発

https://emaxis.jp/fund/253299.html

  • マクサ・テクノロジーズ:情報提供会社。
  • ムーグ:精密動作制御部品およびシステムを製造。
  • ハイコ:航空部品・電子機器メーカー。
  • デュコマン:航空部品メーカー。
  • ボーイング:航空機メーカー。
  • レダイン・テクノロジーズ:電子・通信機器メーカー。
  • レイセオン・テクノロジーズ:テクノロジー会社。
  • ハネウェルインターナショナル:テクノロジー会社。
  • ノースロップ・グラマン:航空機メーカー。
  • CACIインターナショナル:シミュレーション技術企業。
  • ロッキード・マーティン:航空機メーカー。
  • エアロジェット・ロケットダイン・ホールディングス:航空宇宙・防衛製品とシステムのメーカー
  • マーキュリー・システムズ:コンピュータ・システムメーカー。
  • ボール:容器メーカー。
  • ユナイテッド・テクノロジーズ:航空機関連機器メーカー。
グローバル・スペース株式ファンド

https://www.nikkoam.com/products/detail/644404/

東京海上・宇宙関連株式ファンド

https://www.tokiomarineam.co.jp/fund/635082.html

  • ヴァージン・ギャラクティック・ホールディングス:宇宙旅行ベンチャー
  • L3ハリス・テクノロジーズ:技術会社。
  • キーサイト・テクノロジーズ:電気・電子計測機器メーカー
  • レダイン・テクノロジーズ:電子・通信機器メーカー。
  • スプリント・コミュニケーションズ:通信サービス。
  • ジェイコブズ・エンジニアリング・グループ:国際的な技術専門サービスおよびコンサルティング会社
  • プランク:機械データの収集・分析を行うソフトウェア製造メーカー。
  • アメリカン・タワー:不動産投資・管理会社。
  • レイドス・ホールディングス:科学、エンジニアリング、システム統合、技術分野のサービスとソリューション。
  • イリジウム・コミュニケーションズ:衛星通信会社。
共通する銘柄

共通する銘柄を上げてみましたが、個別でどのように宇宙業界に関わっているのか、調べてブログで紹介していくのもいいかもしれません。

 

ただ、2020年6月時点で、上位にロッキード・マーチンボーイングが複数のファンドで挙げられていないのには驚きですね。

 

衛星システムメーカーよりも、各部品や電子機器、ユーザーへの情報提供分析、ソフトウェアといった部門の方が伸びると予想されているのですね。

 

小型衛星の出現により衛星システムメーカーが複数増えたことで、部品や開発、インテリジェンス側が盛り上がると予想されているのかもしれません。

 

日本の会社がなく、海外の会社が多い

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調べていてなんですが、日本の会社の銘柄が上がってこないのですよね。

今回は公開されているレポートから比率の高い10社前後を上げています。

 

日本株において、少なくともTOP10位の比率になれる銘柄がないということですね。

 

宇宙業界の需要が高まっているのですが、日本で上場している企業の中では業界の盛り上がりを実感できる銘柄は難しそうです。

日本の場合は、宇宙以外の他の事業の方が割合が大きいことが多いため、株価の影響を受けることが少ないのかもしれません。

 

ただ、市場規模の大きさが一番大きいのかもしれませんけど。

 

上記に上げたWEBサイトを確認するだけでも、アナリストから見た宇宙業界の分析を知ることができますので、興味がある方は一読してみてください。

 

最後に、結局、株式の購入の有無は自己責任ですので、ご注意ください。

SpaceX社の放つ衛星コンステレーションの人工衛星構造について考える【宇宙機と構造】

60機同時打ち上げた人工衛星の構造を考える

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SpaceX社はロケットの製造能力を持ちながら、人工衛星の製造能力も持つ、世界的にも数少ない企業です。

 

通常は、60機も人工衛星を同時に放出することが困難と考えるところ、その考えをうち破りました。

 

今回は同時60機の打上げに耐えているSartlink衛星の構造について考えてみました。  

人工衛星デザインについて考える

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まずはスターリンク衛星のWebサイトの情報からまとめてみましょう。

  • flat-panel design(フラットパネルデザイン)
  • 重量約260㎏
  • 地上局や連隊する人工衛星と通信する4つのフェーズドアレイアンテナとパラボラアンテナ
  • 電力を発生させる太陽電池アレイ
  • 軌道制御を可能とするクリプトンを搭載したイオンホイールスラスタ
  • 人工衛星自体の位置を観測するスタートラッカー
  • スペースデブリ人工衛星等への自立衝突回避機能
  • ナイフエッジを可能として大気内での飛行を可能とする"shark-fin."と呼ぶ姿勢制御機能
  • 地球を90分で周回
  • 白色のアンテナを天文学的な理由で保護する展開可能なサンバイザー

 

日本人からすると屏風を想像させる構造かもしれませんが、軌道上では太陽電池アレイがまっすぐに伸びるため、少しイメージが違います。

 

人工衛星STARLINK(スターリンク)という総称で呼ばれていますが、天文学的な理由で反射率を減らすために、2020年上半期に試作したDARKSATやVISORSATとも呼ばれています。

 

いくつかの情報からスターリンク計画に使用する電波は、Kuバンド(12GHs-18GHz)およびKaバンド(26.6GHz-40GHz)、Vバンド(40GHz-76GHz)と言われています。

 

Kuバンドは衛星通信に使用されており、衛星放送やスペースシャトルISSでも使用されています。

Kaバンドも衛星通信に使用されており、軍用航空機や宇宙望遠鏡のデータ通信の他に携帯電話の5Gの周波数帯と一部重複しています。どうも車両速度検出にも使われているようです。

 Vバンドは、試験的に衛星通信が可能とされていますが、主要な用途は短距離の通信で使用されているようです。UHF周波数帯(バンドⅤ:バンド5)とは違うようですね。

 

KaバンドアンテナもKuバンドアンテナもCubeSat人工衛星では実現しているため小型化は問題ないかと思います。

 

さて、ある程度の情報が整ったので、サイズと構造を見てみましょう。

 

STARLINK(スターリンク)のサイズを考えてみる 

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Credits: SpaceX(元画像)

 RIDESHARE PAYLOAD USER’S GUIDEの2020年6月版が出ていたので、推測してみます。

 

説明の簡易化のために、座標軸は次に合わせます。

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Credits: SpaceX(元画像)

PLX軸方向が、ロケット進行方向ですね。PLZ軸方向は配置方向によりプラスとマイナス方向が逆転しますが仮にこの位置としてみます。

 

PLY軸方向のサイズですが、ペイロードから4.6m程度と考えると想像より大きいですよね。PLZ軸方向は、ペイロードから2.3m程度と考えられます。

 

畳のサイズとすると8畳より大きいサイズになります。

フラットパネルデザインと言いながら、結構大きいですよね。

 

PLX軸方向は単純計算で、6.7m÷30機=約22mmというサイズですね。単純にCubeSat2機分となります。

 

  • サイズ(推定):About4.6m × About2.3m × About0.22m

 

体積は2.33m3程度となり、立方体で考えると1.3m角より大きいレベルで、JAXAの革新的衛星技術実証1号(約1.1m角)より機器の搭載体積が大きいですね。

 

ここで、分離の瞬間を改めて確認してみましょう。

www.youtube.com

分離の瞬間を見ると、光の加減ですが、アイソグリッド構造をしています。

これはSpaceX社のサイトからも確認できます。

 

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Credits: SpaceX(元画像)

このレベルのアイソグリッド構造を加工するの大変そうですね。

 

製造時の加工精度にもよるのですが、金属の反りを考えると、それほど早く加工できない気がします。切削加工ですし。大きいですし。

適当ですが、2,3か月以上はかかるのではないでしょうか。

 

そこから、アルミニウム合金だとして表面処理も、処理のマスキングや乾燥をするのに2週間以上かかります。

 

時間短縮として、板を貫通したアイソグリッド構造とパネルの一枚板を両方から挟むサンドイッチ構造も考えられるのですが、Webサイトのつなぎ目から微妙なところですね。

 

案外、板を貫通しないくり抜いたアイソグリッド構造を構成し、鏡像でもう一枚製造して、2枚のくり抜いた10mm程度の板を重ねているだけかもしれませんね。インターフェースが少ない方が製造としては楽なので。

 

もしかすると、デブリ回避機能も付いているので反対側のパネルはないかもしれません。

 

1枚となると問題となるのはロケットの打上げ振動、電力分配機器や通信機間のノイズ対策をどうしているのか気になりますね。

 

この辺りはいつか追加情報が出るのでしょうかね。

 

ただ、これだけのサイズを1枚の合金を加工するとなると、主構造体を製造することが一番リードタイムが長くなりそうですね。

通信機の調整も時間がかかりそうですけど。

 

製造時間を考えると、振動環境試験は一気に加振できるのですが、熱試験もすべての衛星で実施しているのか少し悩んでしまいますね。

 

なかなか大きいサイズなので、ヒューマンエラーや初期故障だけ見ている可能性がありますね。

まあ、これだけシリーズで打上げているので、熱シミュレーションのコリレーション情報は不要なのかもしれません。

 

長くなったのでこんなもので。

 

 参考資料

www.spacex.com

www.starlink.com

APRIL 28, 2020 STARLINK DISCUSSION NATIONAL ACADEMY OF SCIENCES

https://www.spacex.com/updates/starlink-update-04-28-2020/

RIDESHARE PAYLOAD USER’S GUIDE June 2020

https://www.spacex.com/media/falcon_users_guide_042020.pdf

MicroSat 2a、2b(Tintin A、B)

https://space.skyrocket.de/doc_sdat/microsat-2.htm

Starlink Block v0.9

https://space.skyrocket.de/doc_sdat/starlink-v0-9.htm

Starlink Block v1.0

https://space.skyrocket.de/doc_sdat/starlink-v1-0.htm

SpaceX Appear to be Preparing to Deorbit Tintin Starlink Satellites

https://rocketrundown.com/spacex-appear-to-be-preparing-to-deorbit-tintin-starlink-satellites/

RIKO

https://directory.eoportal.org/web/eoportal/satellite-missions/r/raiko

http://www.astro.mech.tohoku.ac.jp/RAIKO/Paper_ISTS_2013-f-13_RAIKO.pdf

KEPLER KIPP

https://www.keplercommunications.com/network

Nanosats Database

https://www.nanosats.eu/

SpaceX modifies Starlink network design as another 60 satellites gear up for launch

https://spaceflightnow.com/2020/04/21/spacex-modifies-starlink-network-design-as-another-60-satellites-gear-up-for-launch/

Starlink Satellite Constellation of SpaceX

https://directory.eoportal.org/web/eoportal/satellite-missions/s/starlink

Starlink - Wikipedia

CarboNIX separation systems deploy Planet SkySats into orbit on Falcon 9

https://www.spacenewsfeed.com/index.php/news/4821-carbonix-separation-systems-deploy-planet-skysats-into-orbit-on-falcon-9 

SpaceX, OneWeb, or Kepler Communications: Who Really Launched the First Ku-band Satellite?

https://spectrum.ieee.org/tech-talk/aerospace/satellites/spacex-oneweb-or-kepler-communications-who-really-launched-the-first-kuband-satellite

Evaluating SpaceX’s Starlink Push

https://www.nasaspaceflight.com/2020/06/evaluating-spacexs-starlink-push/

1957年、オーストラリアの旅ー国立国会図書館で調べる人工衛星ー【人工衛星と文学とオーストラリア】

無料で利用できる国立国会図書館デジタルコレクション

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国立国会図書館デジタルコレクションを知っているでしょうか?

 

日本の最大図書館がインターネット上で閲覧できるのです。

 

今回は「人工衛星」と検索して、インターネット上から無料で閲覧可能な現状最古の情報を調べてみたいと思います。

 

dl.ndl.go.jp

 

国立国会図書館でのネットで閲覧可能な最古の書籍は岡山畜産便りである

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人工衛星と名がつくものは、人工衛星が打ち上がる前から言葉としてあったのですが、ネット上で閲覧が可能な対象と絞ると昭和32年(1957年)の岡山畜産便りです。

 

早速抜粋しました。

 

オーストラリアの旅(15) 花 尾 省 治

 オーストラリアの旅日記もここらで一応しめくくりにしたい。今一度旅の行路をふりかえって見ると東南アジア諸国のうちマニラ(フイリッピン)とボルネオのタラカンインドネシア)に寄港しオーストラリア(シドニーメルボルンアデレード,ポートリンカーン)を歴航した。
 今や世をあげて宇宙時代といった感があり,水爆実験,原子力発電,人工衛星,月世界へと飛んでいっている。しかし同じ地球でもまだ文明から切り離され未開発の資源にうずもれている後進国が日本の身近にある。それは豊な雨と日光に恵まれ緑の木々に包まれている東南亜の国で長い間の植民地でまだ独立後日もなお浅く若い国である。
 これ等の国は今後日本と経済提携の緊密化を図らなければならない。特に農業においては原始的略奪農法を行っているので,その生産を高めるため日本の技術を導入し科学のメスを入れ後進熱帯農法の改善を営んでいる。
 東南亜の島伝いに南下し島のつくるところにオーストラリアがある。南十字星の下で大きい国で,しかも新しい国である。気候は一概にはいえないが東海岸から南にかけて特に恵まれた地帯であり政治,経済,文化,産業の発達と,実にすばらしく豊かな文明国をつくりあげた。即ち1788年シドニーに上陸した最初の移民から200年を出ずして農業国として羊毛は世界一の座につき,小麦は4大輸出国の1つとなり,又牛肉,バターの輸出国として大きい地歩を占めている。ただ人口が尐なく面積が広いため従って農業は機械力にたよった農法を行っている。道路もすばらしくよく田舎道に到るまで鋪装され自動車の多いことも特徴の一つといえる。

岡山畜産便り. 昭和32年 (11・12月合併)

岡山畜産便り. 昭和32年 (11・12月合併) - 国立国会図書館デジタルコレクション

 

著者の花尾省治さんは、岡山県酪農連会長や参事を務めた方で、書籍当時の役職は不明です。

 

時世の一文として人工衛星を取り入れています。

1957年といえば、ソビエト連邦にて初の人工衛星の軌道投入やライカ(犬)の地球周回があげられ、文章の通り宇宙時代と呼ばれ、世界の大国同士の戦争から技術開発へと移った時代でもあることが分かります。

まあ、アメリカとソ連の戦争は回避されていましたが、他の地域での戦争は止まりはしなかったのですけどね。

 

畜産便りから、各国への研修・訪問であったことがうかがえます。

東南アジアの農業は、まだまだ日本の技術に遠く及ばない、支援が必要であること述べていると同時に、オーストラリアの文化レベルは高いことを述べています。

 

今でもオーストラリアは農業大国で、有機栽培を行っている面積は世界最大とも言われています。牛肉も、牛丼チェーン店である吉野家がオーストラリア産牛肉を使用していることを聞いたことがある人もいるかもしれません。

 

ちなみに、岡山畜産便りは一般社団法人岡山県畜産協会で発行されており、ネット上には復刻版が掲載されています。

okayama.lin.gr.jp

 

http://okayama.lin.gr.jp/tikusandayori/s5001/197501.pdf

 

オーストラリアは2018年にオーストラリア宇宙庁を創設

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文章にあったオーストラリアと、現在の宇宙の関係についてまとめてみましょう。

 

そもそも日本ではオーストラリアがニュースに出てくるのは、牛肉などの食料の輸入という話と森林火災があげられるのではないでしょうか。

 

オーストラリアの森林火災は気候変動に伴う乾燥によるものらしいです。

 

 

 

気象シミュレーションとしては気候変動により予測が難しくなる中で、現状を把握する最良の手段としては人工衛星からの画像取得が有効な手であるといえます。

 

実際、オーストラリア連邦政府の期間により、「Sentinel Hotspots」(あるいはDEA Hotspots)というプラットフォームが2003年に開発されており、火災の熱源を人工衛星の赤外センサーから取得し、ほぼリアルタイムに近い発熱状況を提供しています。

 

 

オーストラリアの宇宙部門は、オーストラリア連邦科学産業機構(Commonwealth Scientific and Industrial Research Organisation :CSIRO)と呼ばれるオーストラリア最大の総合研究機関の一部門で、宇宙部門の研究がされています。

「Sentinel Hotspots」も研究開発の成果の一つです。

 

また、オーストラリアの広大な土地を使用した国立の望遠鏡施設であるAustralia Telescope National Facility:ATNFを保有し、世界最大級の電波望遠鏡を持っています。

 

天文以外でも、深宇宙探査衛星と通信するためのNASAの追跡ステーションであるキャンベラ宇宙センターも存在しています。

 

そのほかに、宇宙との歴史とすれば、オーストラリアは1967年にWeapons Research Establishment Satellite(WRESAT)という人工衛星を打上げています。

 

オーストラリアは自国でのロケット製造はしていないのですが、ウーメラ試験場(Royal Australian Air Force Woomera Test Range: RAAF WTR)と呼ばれる場所を保有しており、非軍事の試験計画に使用されているようです。

日本に関係でいうと小惑星探査機「はやぶさ」の再突入カプセル着陸地点にも使われました。

 

2020年時点での近年のオーストラリアの動向としては、宇宙産業に参入し始めています。

 

CSIROの一部門であった宇宙部門ですが、独自の国際宇宙機関として、2018年12月11日にオーストラリア宇宙庁(Australian Space Agency:ASA)を南オーストラリア州アデレードに創設しています。2019年には、オーストリア連邦政府アメリカの「月から火星へ」(Moon to Mars)探査計画に参画を表明しています。

 

 

もういくつか国立国会図書館の書籍から抜粋しようと思ったのですが、まとまりが悪いので、別の記事にまとめます。

 

参考資料

www.itmedia.co.jp

 

オーストラリア連邦科学産業機構

https://www.csiro.au/en

オーストラリア連邦科学産業研究機構 - Wikipedia

 

Australian Space Agency - Wikipedia

 

Australian Space Agency

https://www.industry.gov.au/strategies-for-the-future/australian-space-agency

 

https://twitter.com/ausspaceagency

 

ウーメラ試験場 - Wikipedia

 

Digital Earth Australia Hotspots

 

https://hotspots.dea.ga.gov.au/#/

 

オーストラリアの森林火災は、もはや人間やコンピューターが予測可能な範囲を超えていた

https://wired.jp/2020/02/26/australias-bushfires/

 

Open Data Cube

https://www.opendatacube.org/

 

Canberra Deep Space Communication Complex

https://www.csiro.au/en/Research/Facilities/CDSCC?ref=/CSIRO/Website/Research/Astronomy/Spacecraft-tracking/CDSCC

 

南オーストラリア州アデレードに宇宙庁(ASA)を創設

https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/01/6090c3179f495da1.html

 

オーストラリア政府がNASAの月探査計画に参加

https://crds.jst.go.jp/dw/20191107/2019110721630/

 

オーストラリア発見 2.第一産業

http://australia.or.jp/_old/discover/chapter02/002.html

 

オーストラリアの文化や習慣の特徴14選!これがオージースタイル!

https://world-note.com/australian-culture-customs/

 

Starlink deployment ーSpaceX社の放つ衛星コンステレーションの放出機構ー【宇宙機と構造】

60機同時打ち上げから色々考える

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SpaceX社はロケットの製造能力を持ちながら、人工衛星の製造能力も持つ、世界的にも数少ない企業です。

 

通常は、60機も人工衛星を同時に放出することが困難と考えるところ、その考えをうち破りました。

 

今回は同時60機の打上げた人工衛星の分離機構を想像してみました。 

 

 

衛星放出の瞬間から機構を想像してみる

今までのSpaceX社の提供する映像では、通信のタイミングなのかわかりませんが、人工衛星が放出機構から放出される瞬間が映っていませんでした。

 

今回初めて見られたので、ほんの少しだけ見てみます。

www.youtube.com

 

Phase0

Point1:Falcon-9のカメラ視野を確認

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Credits: SpaceX(元画像)

分離を確認する前に、Falcon-9のカメラとその視野を確認してみました。

 

軌道上の画像を見ると、人工衛星を固定している台座のボルトが見えています。

視野の位置から図にある位置の物体がカメラの可能性が高いのではないかと。

 

Point2:分離前に見えた光

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Credits: SpaceX(元画像)

人工衛星の放出を待つ間に光が通り過ぎました。放出機構の分析の前に、この光はどうでしょうか。

 

この光の正体は想像すると、以下のいずれかと

  • Falcon-9が回転して放出されているため、星が見えた
  • 他の人工衛星が見えた
  • 左図にある切り離される固定ロッドが見えた

3つ目は、固定ロッドはおそらく四方にあるため、別々のタイミングで外れているのではないか。

 

Phase1:ロッドの分離

Point3:ロケット先端方向のロッド分離

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Credits: SpaceX(元画像)

映像を見ると、ロッドのロケット先端側が先に外れました。

 

全体像を見ると先端部分に、フックのようなものがあり、おそらく分離のタイミングで稼働するようになっていたのでしょう。

 

人工衛星を固定しているロットとは別のPoint3-Aのロッドから外れることで、人工衛星の固定している拘束が外れる仕組みと見ています。

 

このことからPoint3-Aのロッドがどこに固定されているかですが、別の人工衛星が最上階で打上げられることから、 プレート(固定ステージ)についているのではないかと。

 

また、最上階部分が重いと、ロケットの打上げ振動時に大きく揺れる可能性があるため、アイソグリッド構造パネルなのだと。

 

別の人工衛星が最上階で打ち上げられるということは、最上階近くの人工衛星に別の人工衛星の分離衝撃を受けることになります。

 

フラットパネル構造であるスターリンク衛星に衝撃が加わると太陽電池パネルが割れる可能性があるから、プレートが有力ではないかと。

 

Point4:ロケット先端方向のロッドの放出

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Credits: SpaceX(元画像)

ロッドが離れた瞬間を見てみると、人工衛星を固定していたロッドがたわんでいました。

ロケットの姿勢制御で放出されるには、大きな力が加えられていると想像されます。

 

ロッドが人工衛星やロケットにぶつからないように、離れられるようにスプリングの機構のようなものが搭載されていると想像されます

 

このロッドは、おそらくアルミニウム合金かチタン金属のような気がします。たわみの振れ具合をみれば、固有値がある程度推測できるかもしれませんね。

 

たわみを考慮すると、CFRPといった素材では折れる可能性があるため、リスクが高い気がしますね。

 

チタン金属だった場合、懸念事項として、再突入で溶融されるのかあやしい所です。

 

Point5:ロケットの根本側のケーブル分離

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Credits: SpaceX(元画像)

 ケーブルがあっさり抜けたのが確認できます。

 

このケーブルはロケット先端方向の固定ロッドの機構を動かしている信号、電力ケーブルと思われます。

 

ただ、ライドシェアとしてロケット先端部分側に別の人工衛星もあることから、別の人工衛星の放出機構の信号、電力ケーブルが 含まれている可能性はあります。

 

カメラ側のケーブルでは見られませんが、固定ロッドは人工衛星の塊の四方から構想されていると思われるため、四方のいずれかに別の人工衛星分離用ケーブルがあると思います。

 

Point6:ロケットの根本側のロッド分離

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Credits: SpaceX(元画像)

映像を見ると、鳥のくちばしのようなものが見られます。

 

これもロケット先端側のロッドの機構と同様の機構があると思われます。人工衛星を放出するときに、鳥のくちばしが解放される機構なのではないでしょうか。

 

くちばし部の先端を確認すると、平たい部分が見られます。

これは放出時に目的の進行方向へ放出されるためのガイドだと思われます。

人工衛星に当たらなくともロケットにぶつからないようにしている機構な可能性もあります。

 

また、くちばしは、ロケット先端部分が解放される際に、スプリングにより人工衛星へぶつからない様に放出されると仮定すると、スプリングの衝撃に耐えられるような補強具材を兼ねているようにも見えます。

 

図に描いていますが、クエスチョンマークは想像で描いています。

鳥のくちばしのガイドをスライドさせる機構がないとぶつかるんじゃないかな、という想像です。

 

Phase2:人工衛星の分離

Point7:ロケット本体から分離

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Credits: SpaceX(元画像)

映像で見える最後は、人工衛星の分離です。

 

案外あっという間なので、この分離部分しか記憶にない方もいるかもしれません。

今までの映像では一気にこのシーンまで飛んでいるためあまり解析の必要はないかもしれません。

 

この分離のシーン、分離の初めの方ですが、よく見ると束ねられた人工衛星が力が加わって分かれているようにも見られます。

可能性としては次の二つです。

  • 分離時に左右に分かれるようにスプリングなどの機構で力を加えている
  • ロケットの姿勢で分離する方向を制御している

 

いくつかのシミュレーションや解説動画を見ると、ロケットが回転している可能性を示しています。Point2でもロケットの回転の可能性に触れています。

 

ただ、映像を見ると人工衛星の束が接触しない様にそれぞれ逆方向へ向かっているようにも見えます。オレンジ色の線の部分です。

シミュレーションをコマ送りすれば推測できるかもしれませんが、時間がかかるのここではしません。

 

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Phase3:固定ステージの分離?

映像には映りませんが、ロケットの振動時に人工衛星を抑えていたプレート(Point3参照)とされる固定ステージが分離、あるいは再突入されて放出機構のミッションとしては終了と想像しています

 

調べてみたら、ユーザーガイドにアイソグリッド構造のプレートがありました。

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Credits: SpaceX(元画像)

 

疑問点

まとめていて疑問として思ったのは、ロケットの振動にどのように耐えているかという点です。

 

今回のような分離機構の映像がない時は、人工衛星を固定する強固なロッド(主柱)が、人工衛星の束の中心にあり、1つずつ人工衛星を固定していたのではないかと。

 

ロケットの振動は、ロケットの進行方向の他に、ロケットと垂直方向にも揺れます。

空圧や推進力か何かだけでは、人工衛星は固定できず、ロケットの中でバラバラになります。

 

Point4にあるロッドで固定されているといわれるかもしれませんが、分離時の衝撃でたわむロッド4本で、60台の人工衛星すべてを固定するのは構造上怪しいです。

 

考えられるのは人工衛星の構造に、人工衛星の束にしたときに振動への対策がされている可能性があります。

 

高弾性のゴム(エラストマー)の可能性もありますが、リスクがあります。

ゴム(架橋)構造ではない、高分子材料を挟んでいる可能性もあります。

 

構造に凸凹をつけて、人工衛星を重ねた時にハマるようにしてロケットの振動を低減させたりしている気もします。

 

SpaceX社ではこれ以上人工衛星の構造を提示することはなさそうなので、迷宮入りしそうですね。

 

ロケット振動の人工衛星設計へのフィードバックが人工衛星の構造の最適化のポイント

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ロケットに搭載できるペイロードの少なさは、近年のライドシェアによるロケットペイロードに搭載可能な人工衛星数の増加に伴い、解決しました。

 

ロケットと人工衛星人工衛星分離部(Payload Attach Fitting;PAF)と呼ばれる装置で結合されていることが多いです。

 

CubeSatをはじめ、小型衛星の打上げ機会が増えたことにより、限られたペイロードで多くの人工衛星を結合放出する装置の技術が知られ、広まったからでしょう。

 

SpaceX社はStarlink計画の小型衛星以外に、ロケットによる多くの小型衛星の打上げ機会を提供していました。

 

そのため、自社の製造するロケットが人工衛星にどのように影響を与えるのか、ロケット側からの知見はもとより、人工衛星も試作・製造していたため、直接、ロケットと人工衛星の両方の設計に反映することができたというメリットがあります。

 

人工衛星の振動は、ロケットに搭載されているPAFを通して伝わります。

ロケットは規定以上の衝撃を与えない様に、PAF近傍に加速度センサーや温度センサーなどの観測センサーを搭載しています。

 

観測センサーはデータによるフィードバックを受けて、内部環境で空調調整を行ったり、必要に応じてヒーターを作動するときもあります。ライドシェアではほとんどノータッチかもしれません。

 

フィードバックは地上へテレメトリとして送られ、情報が蓄積されていきます。

多くの衛星に打上げ機会を提供しつつ、かなりの量の情報を蓄積できたのでしょう。

PAFを最適化することも、他のメーカーよりは試験サイクルが早く、データが蓄積できたのでしょう。

 

ロケットは分かりませんが、人工衛星の構造のポイントは、打ち上げ振動に保つことが一番大きいです。

 

次に、観測機器のアライメント管理や熱バランス管理などもありますが、やはりロケット振動に耐えうることが一番なのです。

 

そして、打上げるロケットも保持していることから、小型衛星への打上げ振動の影響もコントロールすることが可能なのです。

 

フラットパネルデザインと言われるスターリンク衛星ですが、最適化された結果、あそこまで構造を削ぎ落すことができたのだと想像できます。

 

日本においては、ロケットの製造能力を持ちながら、人工衛星に挑戦し始めた企業が現われています。

 

H-IIA/H-IIBロケットを製造している川崎重工業は2025年にゴミ除去用の人工衛星の開発を進めているといいます。

 

イプシロンロケットを製造しているIHIエアロスペースは、2017年に人工衛星を打上げたキヤノン電子と協業していたり、過去に超小型衛星であるCubeSatを2012年に打上げている明星電気と業務提携をしており、人工衛星を製造する能力があります。

 

 これらのメーカーで最適化された人工衛星がどのような構造になるのか興味はあります。

 

 参考資料

www.spacex.com

FALCON USER’S GUIDE APRIL 2020

https://www.spacex.com/media/falcon_users_guide_042020.pdf

Starlink Satellite Constellation of SpaceX

https://directory.eoportal.org/web/eoportal/satellite-missions/s/starlink

youtu.be

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SpaceX社の放つ衛星コンステレーションのスターリンクについて考えてみる【宇宙機と実証】

実証衛星が打上げられたのは2018年でした

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Credits: NASA

https://images.nasa.gov/details-KSC-20200429-PH-SPX01_0002

 

SpaceX社が衛星コンステレーションの実験衛星を打上げたのは2018年2月22日です。

 

もともとは2016年にMicroSat 1a、1bという人工衛星の打上げを予定していましたが、打上げを中止しました。

 

サイズとしては1.1m×0.7m×0.7mでボックス型でした。

太陽電池パネルが2つあり、ぞれぞれ2m×8mの大きさで約400㎏で、サイズとしては小型衛星の部類の入るのですが、重さとしては中型衛星と言ってもいいほどの大きさでした。

通信衛星である実証機であるため、通信機としてはKuバンドを搭載し、人工衛星の名称は、MicroSat 2a, 2b (Tintin A, B)でした。

 

その時の放出の様子は次の通り。

 

右先の方でキラキラと白く回転した物体がありますが、多分打上げ時に人工衛星を保護する機能も持つフェアリングですね。

 

実験衛星を打上げたのは、SpaceX社製造しているFalcon-9で、コスト削減のためにフェアリングも再利用することを念頭にロケットが設計されているようで

今までのロケットではフェアリングは使い捨てであったことを考えると、柔軟な発想の集団であることがうかがえますね。

 

その後人工衛星は、Elon MuskのTwitterから、実験が成功していることがつぶやかれています。

 

この実証機ですが、2020年現在も運用されているかは不明です。

 

ただ、2020年4月に軌道が落ちており、当初の高度500kmから490km未満に落ちてきているようです。

 

実証衛星のTintin A, Bは推進系のコンポーネントを搭載しており、軌道制御も可能とみられ、もっと長い期間滞在していても良いと思いますが、おそらく想像ですが廃棄の選択肢を取ったのでしょう。

 

廃棄の理由としてはいくつか考えられます。

  • 十分なデータを取得できたとも考えられますが、運用コストの削減
  • 2019年より打上げられ続けた人工衛星と物理的か電波的に干渉している
  • 2019年に打上げられた人工衛星の中には通信不能になっている人工衛星もあり軌道が落ちてきており、先んじて落下時のデータを取得しようとしている

 

その後、4~6機ほどの実証衛星を打上げる予定だったような記事もあるのですが、わずか1年半後の2019年5月にStarlink Block v0.9を60機、打上げています。

 

 

60機の同時放出衝撃

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60機を打上げると聞いて、複数の期間で打上げると思っていたのですが、同時に60台搭載されていたことは驚きでした。

 

実証機もそうなのですが、SpaceX社はそれまで人工衛星の形状を一切表に出さなかったために、打上げた後にSpaceX社のHPに行って感心したのを覚えています。

 

製造期間が1~2年であることも挙げられますが、プラットパネルデザインと呼ばれる、そのコンパクトな形状も衝撃を受けていました。

 

ただ、このStarlink Block v0.9には、人工衛星間のリンクやKaバンドが搭載されていないため、実質、第二の実証衛星だったとも言えます。

 

コンスレテーションと呼ばれる小型衛星の連隊、連携と取るにあたり、地上で試験するよりも軌道上で試験した方がよいと判断したのでしょう。

 

過去に数機の人工衛星コンステレーションは実施されていました。

 

そう、数機程度です。

 

なぜ数機程度であったのかというと、主に次の理由です。

  • 1機の人工衛星の製造に時間も労力もお金もかかっている。
  • ロケットに搭載できるペイロードが少ない。

 

SpaceX社は、お金の問題はともかく、人工衛星を短期間で製造しつつ、自社で製造した人工衛星に最適なロケット環境を構築することができたから、打ち上げまで漕ぎ着けたのでしょう。

 

 

参考資料

MicroSat 2a、2b(Tintin A、B)

https://space.skyrocket.de/doc_sdat/microsat-2.htm

SpaceX Appear to be Preparing to Deorbit Tintin Starlink Satellites

https://rocketrundown.com/spacex-appear-to-be-preparing-to-deorbit-tintin-starlink-satellites/

Nanosats Database

https://www.nanosats.eu/

SpaceX modifies Starlink network design as another 60 satellites gear up for launch

https://spaceflightnow.com/2020/04/21/spacex-modifies-starlink-network-design-as-another-60-satellites-gear-up-for-launch/

Starlink Satellite Constellation of SpaceX

https://directory.eoportal.org/web/eoportal/satellite-missions/s/starlink

Starlink - Wikipedia

 SpaceX, OneWeb, or Kepler Communications: Who Really Launched the First Ku-band Satellite?

https://spectrum.ieee.org/tech-talk/aerospace/satellites/spacex-oneweb-or-kepler-communications-who-really-launched-the-first-kuband-satellite

原子力電池の歴史【宇宙機と電池】

原子力電池の歴史

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電子力電池そのものは1954年にアメリカのマウンド研究所でJohn BirdenとKen Jordanによって発明されました。

 

ちなみにマウンド研究所は、アメリカとロシアの冷戦中にほぼすべての核兵器関連のコンポーネントが設計、構築、評価されていました。同様に非軍事核アプリケーションも開発していました。

 

最初に原子力電池が搭載された人工衛星は、アメリカの製造したトランシット4A(Transit 4A)及びトランシット4Bと呼ばれる人工衛星で、1961年に打上げられています。航海、航行のナビゲーションシステムの確立のために打上げられた衛星です。

ただ、原子力電池のプロト飛行であったためか、太陽電池とニッケルカドニウム蓄電池も同時に接続されていました。

 

この電池はSystems Nuclear Auxiliary POWER(SNAP)-3計画のもとにアメリカのエネルギー省で製造されていました。2.7Wという電力出力ではありますが、地上において15年もの間機能し続けていたといわれています。

 

もちろん、放射性物質を搭載していることから、地球への再突入に対しての安全性を示すために頑丈に作られたようです。

 

人工衛星以外にもSNAP-7の計画で、1960年代半ばに灯台やナビゲーションブイの光などの海洋用途向けに電池が製造されました。

 

この計画ではストロンチウム90をもとにした化合物SrTiO3が使用され、電池ユニットとしては850~2720kgという重量物であったそうです。

 

灯台についてはまだ、どこかで使用されているかもしれませんね。

灯台という宇宙に比べて身近な場所に使われていた理由として、長期的に使用できること、そして、チェルノブイリといった原発事故(1986年)が発生していなかった歴史的な背景もあるのかもしれませんね。

 

同じ時期に進められていたSNAP-9は、SNAP-3と同じく人工衛星のトランシットシリーズに搭載されていました。

 

そもそもトランシット4A/Bの電子力電池に搭載されていた放射性物質ポロニウム210で半減期が138.4日ともいわれています。一部の情報では搭載していた放射性物質プルトニウム238とも言われています。

 

そして、後続機であるトランシット5-BN-1(1963年9月28日打上)がプルトニウム238を最初に搭載した原子力電池による人工衛星と言われています。

 

問題は、1964年4月に打上げられたSNAP-9Aが搭載された人工衛星トランシット5-BN-3が、軌道到達できずに落下してしまったのです。

 

それなりの高度で焼失してしまったため、地上への落下は1966年頃に南半球のメルボルン、北半球のニューヨークにて確認され、東京でも1967年ごろからプルトニウム238の量が増加しているという結果になっています。

 

一部の報告では、1970年での世界的な土壌サンプリングにより、すべての大陸及び緯度においてSNAP-9Aの破片が存在する言われています。

一部のサイトによれば、北緯側で25%、75%が南半球に放出されたといいます。

 

この後も原子力電池は使用され続けられましたが、SNAP-9の事故がきっかけで太陽光発電技術をより進めることとなったそうです。

 

原子炉も飛んでいる事実

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原子力電池だけではなく、原子炉も搭載して打上げてられてもいます。

 

原子炉であるSNAP-10Aを搭載した人工衛星のSNAPSHOTは、1965年4月に打上げられ、軌道上にて43日で停止しています。落下までには4000年程かかるため、地球上へ落下する前に放射線が減衰していくことでしょう。

燃料としてはウラン235を使用していたとか。

 

この原子力電池アメリカだけでなく、ロシア(旧ソビエト)でも使用されています。

 

1965年9月にポロニウム210を使用した原子力電池を搭載しているコスモス84がロシアで最初に打上げられています。その後、コスモス90が打上げられています。

 

それ以後、ロシアの人工衛星では原子力電池の搭載はなく、原子炉が搭載されています。

 

原子炉を搭載した人工衛星をロシアが最初に打上げたのはコスモス198で、1967年12月に打上げられました。続いて1968年3月に打上げられたコスモス209にも搭載されています。

 

その後、複数のコスモスシリーズやアポロ12号から17号でも使用されています。

 

過去の記事に紹介していた無人探査機としてパイオニア計画、バイキング計画、ボイジャーガリレオで使用されています。

現在でも土星を周回している人工衛星カッシーニ冥王星へ航行している人工衛星ニューホライゾンにも使用されています。

 

宇宙の原子力ミッションの事故

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原子力を搭載した電力システムとしての故障は発生していなかったのですが、人工衛星の地球の再投入による放射性物質の落下は何件か発生していました。

 

1977年9月に打上げられたロシアの人工衛星コスモス954は、1978年1月に地球に再突入してカナダ西部に放射性物質(放射性デブリ)が拡散されました。

 

宇宙の 原子力ミッションで最も知られ、最も深刻な事故の一つとなりました。

 

さらに、1975年8月に打上げられていたコスモス1402ですが、1983年1月に分解し、搭載されていたウラン238が、原子炉の筐体がインド大西洋上で燃焼し、原子炉のコアが南大西洋上で燃焼したといわれています。

 

 

それ以後、しばらく事故はなかったのですが、1996年11月に打上げられたロシアのマルス96が打上げに失敗し、太平洋上へ落下しています。

 

資料によっては燃焼したとも、燃え残ったとも言われています。

 

現在、軌道上から再投入する人工物において、燃焼の計算を求められるのはデブリの落下による人的負傷もあるかもしれませんが、放射線汚染を防ぐ意味合いの方が強い気がします。

 

ただ、日本では安全性はもちろんですが、社会的にも原子力電池を搭載することには衝撃があるように思えます。

 

参考資料

 

Radioisotope thermoelectric generator - Wikipedia

 

50 Years of Nuclear-Powered Spacecraft: It All Started with Satellite Transit 4A

https://www.space.com/12118-space-nuclear-power-50-years-transit-4a.html?utm_source=feedburner&utm_medium=feed&utm_campaign=Feed%3A+spaceheadlines+%28SPACE.com+Headline+Feed%29&utm_content=My+Yahoo

 

Systems for Nuclear Auxiliary Power - Wikipedia

 

Nukes In Space in Wake of Columbia Tragedy

https://www.21stcenturyradio.com/articles/03/0224176.html

 

第11回放射能調査研究成果発表会 昭和44年11月20~21日

http://www.kankyo-hoshano.go.jp/08/ers_lib/ers_abs11.pdf

 

気象研究報告第26巻第1号 Plutonium Fallout in Tokyo

https://www.jstage.jst.go.jp/article/mripapers1950/26/1/26_1/_pdf

 

Nuclear Powered Space Missions - Past and Future by Regina Hagen

http://www.space4peace.org/ianus/npsmindex.htm

http://www.space4peace.org/ianus/npsm3.htm

 

Transit 4A, 4B

https://space.skyrocket.de/doc_sdat/transit-4.htm

 

マルス96 - Wikipedia

宇宙開発における原子力電池の事情【宇宙機と電池】

アメリカの原子力電池の原材料事情

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Credits: NASA

https://images.nasa.gov/details-KSC-2011-6743

原子力電池は、1960年以降宇宙船に使用され、電力を供給し続けています。

 

アメリカでは過去、独自にプルトニウム238の供給していました。

プルトニウム238よりも質量の重いプルトニウム239が核兵器に使用されてはいたのですが、アメリカとロシアの冷戦が終結したことにより、1988年より生産を停止していました。

 

アメリカでは原材料を入手できないため、ロシアから入手していました。

ただ、ロシアでも生産を停止し、貴重な資源となりしばらくの間、原子力電池を使用した人工衛星が製造されなくなりました。

 

近年で情勢が変わり、2015年からNASAの資金提供によりアメリカのオークリッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory)でプルトニウム238の生産が再開されています。

 

人工衛星の電池として、オークリッジ国立研究所プルトニウム238と筐体を作成し、ロスアラモス国立研究所でプロとニウム238を精製し、カプセル化まで行います。

最後に、アイダホ国立研究所で組立て、試験、検証を行う流れで電池を製造しています。

 

2020年の現在、NASAではプルトニウム238は約35㎏しかありません。

多くはマーズ2020の火星探査ローバーで使用することになっているようです。

2026年に木星の衛星を探査する宇宙船にも使用されることが計画されています。

  

50年以上、不具合知らずの原子力電池の電力システム

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原子力電池は長持ちでき、頑丈で比較的コンパクトな設計であるため、何十年も使用されています。

 

原子力電池が使用することで、太陽電池パドル(太陽電池セルを貼り付ける展開パネル)を搭載する必要性が減り、宇宙船の形状をよりシンプルにすることができます。

 

太陽電池パドルは構造面から考えると、非常に脆い構造をしています。

 

打上げ時の振動で破損するリスクと、軌道上へ放出された直後にパドル展開をする必要もあります。

パドルが展開できなければ、必要量の電力を確保できず、人工衛星の製造ンに関してかなりクリティカルな装置でもあるます。

 

軌道上でも、重量もあり慣性能率にも悪影響を及ぼすために、必要性がなければ搭載したくはない代物となっています。

 

地上で交信することで、微調整をする必要のない設計がされており、1977年に打上げられた探査衛星であるボイジャー1号、2号は現在でも運用されています。

その後、アポロ計画や火星へのバイキング、土星へのカッシーニ計画など多く使用されています。

 

太陽に遠ざかる人工衛星に使用される原子力電池はもちろんなのですが、地球の衛星である月は、昼と夜が2週間ごとになるため、通常の二次電池の使用が困難になります。

ただ、通常の二次電池も並列して補助電源として使用されることもあります。

 

現在のところ原子力電池が宇宙船の事故の原因となったことはありません。

原子力電池を搭載しつつ失敗した3つの人工衛星の計画では、電力システムが十分な機能を発揮していたことが確認されています。

 

ただ、直接の失敗ではないのですが、原子力電池の放熱に偏りにより、減速しているしていることが明らかになりました。

それまでは減速が最初に観測された惑星探査機パイオニア10号と11号にちなんで、「パイオニアアノマリー」と呼ばれていました。

熱放射の方向から推進力が発生し、人工衛星の軌道に影響されていたことは驚きですね。

 

 

 

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参考資料 

 

原子力電池 - Wikipedia

What is a Radioisotope Power System?

https://www.energy.gov/ne/articles/what-radioisotope-power-system

Ideas for new NASA mission can now include spacecraft powered by plutonium

https://www.theverge.com/2018/3/19/17138924/nasa-discovery-program-radioisotope-thermoelectric-generators-plutonium-238

Power Systems

https://rps.nasa.gov/power-and-thermal-systems/power-systems/current/

Radioisotope Thermoelectric Generators (RTGs)

https://solarsystem.nasa.gov/missions/cassini/radioisotope-thermoelectric-generator/

NASA Radioisotope Power Systems Program Next-Generation RTG Study: Summary 2017

https://rps.nasa.gov/resources/75/nasa-radioisotope-power-systems-program-next-generation-rtg-study-summary-2017/?category=fact_sheets

 

From a Source of Heat Comes the Power to Explore

https://rps.nasa.gov/technology/

 原子力電池

http://spacenuclear.jp/nuclear/rtg0.html

 

熱電対とは

https://www.hakko.co.jp/qa/qa_0_04.htm

熱電対の基礎

熱電対の基礎 | 温度計測 | 計測器ラボ | キーエンス

 

プルトニウム238 - Wikipedia

パイオニア10号 - Wikipedia

イオニアアノマリーの原因が解明される

https://science.srad.jp/story/12/04/21/0827223/

パイオニア・アノマリー - Wikipedia

人工衛星に使われる原子力電池【宇宙機と電池】

原子力電池という電池が存在している

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Credits: NASA

人工衛星が宇宙のどこまでいくのか、現在進行中でミッションが進んでいます。

その人工衛星は、ボイジャーと言われる、無人惑星探査機です。

 

宇宙のどこまでいけるかの要素の一つに燃料にかかっています。

燃料といえば電池です。

 

人工衛星の電池と言えば、最近ではリチウムイオン畜電池が有名です。リチウムイオン蓄電池はISSでも、使われているのですが、それでも人工衛星の歴史からすればまだ短いのです。

 

長期間保つ電池といえば、人工衛星では原子力電池が使われています。

一時期、燃料の生産量が減少したこともあり、使用されなくなったこともあるのですが、最近では火星の計画にも使用されることが分かっています。

 

原子力と聞くだけで拒否反応を示すことが多いため、日本では調べた中では原子力電池人工衛星が製造されたという話は見つけられませんでした。

 

さて、原子力電池(Atomic Battery、Nuclear Battery)は、放射線のエネルギーを電気エネルギーに変える仕組みの電池だそうです。別名がいろいろとあり、放射線電池、RI電池、ラジオアイソトープ電池、アイソトープ電池、またはラジオアイソトープ発電器、RI発電器などと呼ばれています。

 

太陽から離れると太陽電池が使えない

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Credits: NASA

初めにも書きましたが、原子力電池は長期間電力を発生させることができます。

電力を発生させるといえば、太陽電池なのですが、太陽電池が太陽から離れるとその恩恵を得ることができません。

 

なんだかんだといって、人工衛星の燃料不足は大きな問題となります。

燃料が潤沢にあるということは、ミッションの幅が広がり、ミスやエラーをカバーすることができます。

 

地球観測において燃料が少なければ、姿勢制御に使用する動力を発生する機器を動かすこともできません。

 

地球探査において燃料が少なければ、地球との交信ができなかったり、目的の惑星に近づいても目的の軌道に投入できなかったり、ミッション機器が動かせなくなります。

 

基本は電力を蓄積しているバッテリーを使用しています。バッテリの電力は有限であるため、長期間宇宙船を動かすことは難しくなります。

 

ほとんどの宇宙船が太陽からの光をたえず収集して電気エネルギーに変換する太陽電池を備えています。

ただ、太陽光は深宇宙に進むにつれて弱くなっていきます。そのため、多くの深宇宙探査用の宇宙船は原子力電池を搭載しています。

 

現在、原子力電池が搭載されている宇宙機は、冥王星に向かっているニューホライゾンズ、太陽系を超えるボイジャーカッシーニガリレオなど、24機を超えています。

 

原子力電池に使用される放射性物質プルトニウム238

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Credits: NASA

原子力原子力といってきましたが、どのような放射性物質が使われているのかというと、プルトニウム238が使われています。

ちなみに、原子力爆弾に使用されたのはプルトニウム239です。放射性物質であるプルトニウムは、ウランの同位体が核変換により引き起こされるため、原子炉によって生成されます。

製造方法は他のサイトに譲りますが、原子炉の中で生成されることが多いようです。

 

プルトニウム238は、放射線の漏洩を防ぐための鉛の障壁は、2.5mm以下であり、適切に管理すれば、他の放射性物質よりも安定して取扱うことが可能なようです。

 

半減期も87.7年程で崩壊していき、長期間の運用が可能になります。

もちろん、放射線が放出され続けるというとは崩壊も進むため、時間が経過することで放出するエネルギー(崩壊熱)も減少していきます。

 

原子力電池の原理としては、熱電対を介して熱エネルギーを電気エネルギーに変換しています。温度差によって電圧を発生させ、電流を流すゼーベック効果を利用しているため、崩壊熱が減少すると温度差も少なくなり、電力の供給も止まってしまいます。

 

とはいえ、惑星探査機ボイジャー1号を例に出すと、太陽系(太陽圏)を脱出するのに1977年の打上げから2012年と、35年もかかっています。宇宙探査機ボイジャー2号は1977年に打上げられ、2018年に太陽系を脱出していることからも、長期間の運用に向いている電池ではあります。

 

 

 

www.youtube.com

 

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原子力電池 - Wikipedia

What is a Radioisotope Power System?

https://www.energy.gov/ne/articles/what-radioisotope-power-system

Ideas for new NASA mission can now include spacecraft powered by plutonium

https://www.theverge.com/2018/3/19/17138924/nasa-discovery-program-radioisotope-thermoelectric-generators-plutonium-238

Power Systems

https://rps.nasa.gov/power-and-thermal-systems/power-systems/current/

Radioisotope Thermoelectric Generators (RTGs)

https://solarsystem.nasa.gov/missions/cassini/radioisotope-thermoelectric-generator/

NASA Radioisotope Power Systems Program Next-Generation RTG Study: Summary 2017

https://rps.nasa.gov/resources/75/nasa-radioisotope-power-systems-program-next-generation-rtg-study-summary-2017/?category=fact_sheets

 

From a Source of Heat Comes the Power to Explore

https://rps.nasa.gov/technology/

 

 

熱電対とは

https://www.hakko.co.jp/qa/qa_0_04.htm

熱電対の基礎

熱電対の基礎 | 温度計測 | 計測器ラボ | キーエンス

 

プルトニウム238 - Wikipedia

パイオニア10号 - Wikipedia

イオニアアノマリーの原因が解明される

https://science.srad.jp/story/12/04/21/0827223/

パイオニア・アノマリー - Wikipedia

人工衛星の観測画像で見えるものと指標について【衛星の画像分析】

人工衛星の製品仕様分解能/解像度について

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アメリカの偵察衛星を管理しているのはNational Reconnaisance Office(NRO)という組織で、Keyhole(KH)と呼ばれているようです。

 

さらにはプロジェクト名/コードネームで呼ばれることがありCorona(コロナ)という名称だったそうです。

 

最新の偵察衛星はKH-12で、Ikon(?)やImproved Crystal)というコードネームで呼ばれているそうです。

直径4.04mのミラーで解像度も10cm程度と言われています。

 

この解像度10cm程度とはどのくらいなのでしょうか。

 

人工衛星では分解能/解像度という性能がいわれます。

何cmや何mといった形で示され、画像に映る鮮明さを示しており、分解能/解像度の値がそのまま、何cmや何m見えると表現されることも少なくありません。

 

解像度は何cmを識別できる境界を検出できるというものです。

 

ただ、検出=見えるとは違うのです。

 

見えるとは認識できるということ、考えられるということです。

認識という考えまでいくと美術品に近いものと考えることができるかもしれません。

 

単に映すぐらいであれば美術品と変わりありません。

 

偵察衛星に使われている画像はそこで止まりません。

画像データの分析が必要となります。

 

観測画像で見えるものとは、画像データで分析した結果で何が見えるのかということです。衛星画像であろうとも、視覚トリックに騙されることもあります。

 

結局のところ、映した画像を見なければ、解像度では何が見えるか分からない、各画像の結果でしか分からないというオチです。

 

マジか?

 

マジです。

 

 

そんな中で定量的な指標も一応存在しています。

 

 National Imagery Interpretability Rating Scale (NIIRS)というもので、航空撮影で使用されていた指標です。

 

現在も様々な組織や個人により画像が分析されており、指標が研究されています。

そのうちに規格化されることを願いますが、それまでは当分NIIRSが使用されることでしょう。

 

まあ、日本ではほとんど見たことないですけど。

広まる前に別の指標になりそうですね。

 

 

NIIRSによると、解像度10cmは次のような区分になります。

 

NIIRS 8 [10-20 cm GRD]:アンテナやウィンチケーブルの検出、戦闘機のリベットや溶接部位、車両のワイパーを認識します。

NIIRS 9 [10 cm GRD未満]:トラックの車両登録番号(ナンバープレート)、ミサイルのネジとボルト、ロープの編み方(直径3~8cm)を認識します。

 

 

本当か? というレベルですが、指標ではこのレベルになります。

 

 

 

ここで出てきているNational Imagery Interpretability Rating Scale(NIIRS)は、航空画像に対しての画像の解釈可能な評価指標として一部で使用されています。

今回は、人工衛星の光学画像に対する指標がないため、今回は航空画像の指標を流用しました。

 

 

ちなみに飛行機/小型機を使用した航空写真・航空画像は、解像度30cmぐらいの性能だそうです。

 

小型機の場合は撮影の時にエンジンやヘリコプターの羽の振動等でブレたりします。

 

人工衛星の画像の場合は大気の影響で歪んだりするかもしれません。合成開口レーダの場合はその影響も少ない、かもしれません。

 

KHでは望遠鏡レベルのレンズを地上に向けているため、10cmとかいうレベルの性能を出しているのだと思います。

 

よくカメラで使用される望遠レンズがついているイメージですね。

 

日本で作れるのかといわれると、作れる可能性はあります。

ただし、KH-11に近いといわれるハッブル宇宙望遠鏡の高さは13.1m、重さは11,000kgに及びます。

外国産のロケットで打ち上げるわけにはいかないので、HⅡBロケットで打ち上げることになると思いますが。

中低軌道の800~900km程度を狙うとしても、、、いけるのか、厳しいのか微妙なラインですね。

 

参考資料

National Reconnaissance Office – Wikipedia

EO Sensor Planning for UAV Engineering Reconnaissance Based on NIIRS and GIQE

https://www.hindawi.com/journals/mpe/2018/6837014/

National Geospatial-Intelligence Agency (NGA) General Image Quality Equation (GIQE)

https://gwg.nga.mil/ntb/baseline/docs/GIQE-5_for_Public_Release.pdf

 

NIIRS - Wikipedia

IMINT 101 Introduction to Imagery Intelligence

https://www.globalsecurity.org/intell/library/imint/imint_101.htm

解像度(物を見分ける能力)

 

https://www.eorc.jaxa.jp/rs_knowledge/mecha_resolution.html

人工衛星の防災活用について

http://www.bousai.go.jp/kaigirep/saigaijyouhouhub/dai5kai/pdf/shiryo5.pdf

人工衛星画像解析による現地調査

https://www.town.chikujo.fukuoka.jp/s021/020/040/010/chosa.pdf

衛星データのキホン~分かること、種類、頻度、解像度、活用事例~

https://sorabatake.jp/279/#04

人工衛星による地球画像の解析について | Vol.2 | バックナンバー | アキューム

人工衛星が同一地点を見続けられる時間の計算

https://www.wingfield.gr.jp/archives/9140

人工衛星から人は見える?~衛星別、地上分解能・地方時まとめ~ 

https://sorabatake.jp/441/

情報収集衛星の打ち上げ成功 約30センチの高解像度、北朝鮮の監視強化へ (1/2ページ) - SankeiBiz(サンケイビズ)

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