往時宇宙飛翔物体 システム機械設計屋の彼是

往時宇宙飛翔物体 システム機械設計屋の彼是 宇宙blog

人工衛星の設計・製造・管理をしていた宇宙のシステム・機械設計者が人工衛星の機械システムや宇宙ブログ的なこと、そして、横道に反れたことを覚え書き程度に残していく設計技術者や管理者、営業向けブログ

2020-01-01から1年間の記事一覧

宇宙広告の時代!?ペプシコーラの広告が空に映し出される時が来た【宇宙機と飲料水】

宇宙の看板 2019年1月より夜空に巨大なディスプレイを作り、世界中から見える画面で広告を打ち出そうという計画が公開されました。 実行するのはロシアのスタートアップ企業である「StartRocket」です。 2019年4月には2大コーラ会社の一つであるペプシコ(Pep…

単純が難しい!人工衛星の白と黒の配色から見る熱バランスの考え方【宇宙機とデータベース】

黒と白の役割 Credits: NASA https://images.nasa.gov/details-KSC-08pd2979 人工衛星が白かったり黒かったりする理由がちゃんと存在します。 白は明るかったり、綺麗そうに見えるから。 黒は重く見え、高級そうに見えるから。 決してそのようなイメージ戦略…

ハニカム構造はあらゆるところに使われている【設計と構造】

ハニカム構造の使用実例をまとめてみました 以前、ハニカム構造の歴史をまとめました。 mechanical-systems-sharing-ph.hatenablog.com まとめたのですが、まとめるのに時間がかかり息切れしたので、今回は使用されているところをまとめました。 [目次] ハニ…

赤外光学観測機器を冷やして性能を上げろ!!【検出器と温度、熱雑音】

カメラを冷やしたことはあるでしょうか? 宇宙に使用される観測機器の中には冷却機が含まれていることがあります。 宇宙の温度はマイナス270度と言われています。 これはマイクロ波による宇宙電波雑音の観測によって明らかになったのですが、宇宙がこれほど…

バランスが大事!人工衛星で重心を測定する理由【人工衛星とロケットのユーザーインタフェース関連】

重心が必要になってくる理由 Credits: NASA https://images.nasa.gov/details-VAFB-20180614-PH_AMT01_0015 重心と言われて何を思い浮かべるでしょうか。 ものを持つときに、重心が偏っている、持ちにくい、運びにくいという経験をしたことがあると思います…

高精度観測機器を取り付けるときの公差設計の悩み【少数生産品、機械設計と時々宇宙機コンポーネント】

公差設計と設計サイクル Credits: NASA https://images.nasa.gov/details-KSC-2013-2351 近年では短いサイクルでの設計開発が加速しています。 そのため公差設計が既存製品の公差であったり、JIS規格にある寸法公差や幾何公差をそのまま流用していることが多…

宇宙軌道上の人工衛星の数や打上げロケットのデータベースを紹介【宇宙機とロケット】

打上げられている人工衛星と運用している人工衛星 国連にある国連宇宙部(United Nations Office for Outer Space Affairs (UNOOSA)}のサイトページによると2020年5月時点までに打ち上げられている人工衛星は、9,400機を越えています。 現在も、軌道上にある…

ロッキード・マーティンの製造する人工衛星【宇宙機】

宇宙産業でのロッキード・マーティン https://pixabay.com/ ロッキード・マーティン(ロッキード・マーチン)は2020年現在世界最大の軍需企業です。 2019年の売り上げは598億ドル(1ドル109円として、6兆5182億ドル)で日本の代理店は三菱商事です。 日本に対し…

インターステラテクノロジズのクラウドファンディングの話【ロケットと資金調達】

インターステラテクノロジズのMOMO5号のクラウドファンディングが2020年5月2日に開始されました。 camp-fire.jp わずか1日程度で1000万円を集め、2020年5月5日の時点では2300万円を超えています。 いや、すごいです。本当にすごい。 もともとMOMO5号は2020年…

人工衛星製造時に発生した有名な事故から学ぶこと【宇宙機と製造、転倒】

事故の原因 Credits: NASA https://images.nasa.gov/details-KSC-2009-1373 極軌道気象衛星NOAA-19が製造中に事故を発生させ、1億3500万ドルなのか2億1700万ドルの修理費用が発生しました。 打上げスケジュールの影響は1年程でしたが、開発期間は4年程度伸び…

修理費 数億ドルの恐怖!!アメリカで起きた人工衛星製造で有名な事故【宇宙機と製造、転倒】| Lessons Learned、失敗学、事故事例

NOAA-19を知っているでしょうか http://un-regard-sur-la-terre.org/article-septembre-2003-tentative-de-mise-en-orbite-sans-fusee-chute-du-satellite-noaa-n-prime-en-salle-d-integration-49672424.html それは人工衛星製造中に発生しました。

放射線で故障して止まらないようにする原子力発電所や人工衛星で使用する電子部品の対策【宇宙機と放射線】

放射線対策と電子部品 Credits: NASA https://images.nasa.gov/details-0200146 1970年に打上げられた地球観測衛星エクスプローラー1号機と後続のエクスプローラー3号機に搭載された放射線量を測定するガイガーカウンターによって、地球の放射線帯であるヴァ…

コンタミネーションを防げ!人工衛星開発とマスクの関係【宇宙機とコンタミ】

人工衛星のコンタミ Credits: NASA https://images.nasa.gov/details-VAFB-20171031-PH_MAM01_0178 宇宙業界においてマスクというと、電気自動車で有名なテスラモーターズや PayPalの創業者としても知られるスペースXの代表のイーロン・マスクの方を思い浮か…

小型衛星と大型衛星ーシステム管理の面から考えるー【宇宙機とシステムエンジニアリング】

小型衛星と大型衛星の違いはサイズの違いだけではないのである プロジェクト開発において、小さいプロジェクト、大きいプロジェクトそれぞれで開発の管理/マネージメントが違うといわれることがあります。 大型衛星から小型衛星に変わった場合でもそれは変わ…

小型衛星と大型衛星ー開発側の違いー【宇宙機とシステムエンジニアリング】

大型衛星と小型衛星の技術はお互いに成長していく 個人的な大型衛星と小型衛星のイメージとしては次の通りです。 小・中型衛星は機能特化型 超小型衛星はone機能型 大型衛星は万能型 小・中型衛星の機能特化とは、1つあるいは2つのミッションに特化している…

身近にあるシステムインテグレーション【宇宙機とシステムエンジニアリング】

システムインテグレーションという不明確さを明確にする Credits: NASA https://images.nasa.gov/details-KSC-20200117-PH-ESA01_0005 システムエンジニアリングの3弾目かな 人工衛星ではインテグレーション試験を実施します。

システム設計の5つの考え方をまとめました【宇宙機とシステムエンジニアリング】

システム設計とは Credits: NASA https://images.nasa.gov/details-S68-34582 システム設計の役割は大きく2つあります。 (実物の)試行錯誤を極力減らし、合理的に論理的にまとめ上げていくこと 目的に対して最適なものにすること ということで、システム設計…

火星の空気抵抗と空気密度-火星でパラグライダーとパラシュートをしてみたら-【宇宙機と火星】

空気の密度と火星の大気 空気の密度を考えたことがあるでしょうか。 もしかすると高校時代に習っていたり、大学入試で勉強したり、大学で少し詳しく学んでいる人もいるかもしれません。 地球の空気密度は世に出回っているでしょうから、火星の密度を考えてい…

衛星画像のキャリブレーションをしよう!輝度較正の手法と必要な理由【宇宙機とミッション】

人力で挑んでいる較正手法 Credits: NASA https://images.nasa.gov/details-ED04-0056-065 画像の補正を行うためにリフレクター、あるいは反射板と呼ばれるものを使います。 今回の画像は反射板と呼ばれるものです。 衛星画像の補正には幾何学的キャリブレー…

衛星画像のキャリブレーションの仕方をまとめてみました【宇宙機とミッション】

衛星画像は素のままでは使用しないことが多い Credits: NASA https://images.nasa.gov/details-PIA13281 人工衛星から取得された衛星画像はそのままでは使用できません。 実際のところ地上で使用されているデジタルカメラも同じなのです。 デジタルカメラは…

ブログ名を変えました

組織横断統括部門 機械システム設計推進本部 から 往時宇宙飛翔物体システム機械設計屋の彼是 にしました。 かつて人工衛星の衛星システムで機械設計をしていた人のあれやこれやを記事にしているので、まあこちらの方が分かりやすいだろうと思いまして。

宇宙産業から見るCOVID-19による3つの影響

COVID-19のロケット打上げ業界への影響 COVID-19は外食や観光産業という身近なものだけでなく宇宙産業にも影響を与えています。

人工衛星の質量の決まり方と考え方【宇宙機と質量】

人工衛星の質量はどこで決まるでしょうか。 最近小型衛星という話が出てきていますが、サイズだけではなく質量も小型になっています。 この人工衛星の質量はどこで決まるのでしょうか。 大きさ? コンポーネントの数? ミッションの規模? ロケットの種類? …

宇宙カメラのレンズというかセラミックの安全率【宇宙機と構造物】

金属の安全率の計算はよくありますが、セラミックの安全率は知る人が少ないのではないでしょうか。 セラミックは表面上の傷が多くクラックが発生しており、不確定要因が多いのです。 そもそも不確定要因を補償するために安全率を決定するのですが、セラミッ…

TOPIX Core30にある企業YOUTUBEチャンネルの登録数や再生数を簡単にまとめてみた

TOPIX Core30にある企業YOUTUBEチャンネル 2020年の3月時点でのTOPIX Core30(トピックス コア30)に選ばれている企業のYOUTUBEチャンネルをまとめてランキング形式にしてみました。 TOPIX Core30 - Wikipedia 就職活動や投資の参考情報にするなど、適当に扱…

ガンプラ小型衛星「G-SATELLITE」で機動戦士ガンダムとシャアザクは宇宙で動く【人工衛星と耐環境性】

機動戦士ガンダムとシャアザク、ハローキティが宇宙にいる件 今回は2020年3月7日に打上げられた小型衛星「G-SATELLITE」についてです。 Liftoff! pic.twitter.com/0Z4dCIu5Hw — SpaceX (@SpaceX) 2020年3月7日 CRS-20 MISSION | SpaceX

人工衛星を放出しよう!分離検知スイッチとキルスイッチ/フライトピン/ディベロップメントスイッチ【人工衛星と電源ON】

人工衛星の分離検知スイッチは如何なるものか Credits: NASA https://images.nasa.gov/details-PIA15268 人工衛星の中で最も重要といっても良いスイッチがあります。 それは分離検知スイッチです。

人工衛星とロケットのアンビルカルケーブルとホット/コールド・ローンチ方式【人工衛星のアンビリカルケーブルと打上げ方式】

アンビリカルケーブルとその周辺 Credits: NASA https://images.nasa.gov/details-s65-30427 この写真は、1965年の船外活動の写真です。 今回の表題であるアンビリカルケーブル(Umbilical cable)ですが、写真に映っている宇宙飛行士のエドワード・ヒギンズ…

宇宙業界の戦略を立てるための前提知識【宇宙と戦略】

戦略とは弱者のためのツールである 開発関係やビジネスとしての展開、今後の宇宙に関わる注目すべき関連業界、そして雑学や歴史といった記事が多い中、戦略を立てるための前提知識についてまとめらえている記事は少ないですね。 個別で展開されていたり、そ…

人工衛星のシステム設計-まずは人工衛星の機能から知ってみよう-【宇宙機とシステムエンジニアリング】

システム設計について、なんとなく書いてみる Credits: NASA https://images.nasa.gov/details-GSFC_20171208_Archive_e001387 今回のこの写真では、人工衛星が回転テーブルの上で1秒に約1回転の速度で回っています。扇風機が1秒間に50か60回転するので、扇…