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人工衛星の設計・製造・管理をしていた宇宙のシステム・機械設計者が人工衛星の機械システムや宇宙ブログ的なこと、そして、横道に反れたことを覚え書き程度に残していく設計技術者や管理者、営業向けブログ

概要を知る!人工衛星に使われる原子力電池をまとめた【宇宙機と電池】

原子力電池という電池が存在している

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Credits: NASA

人工衛星が宇宙のどこまでいくのか、現在進行中でミッションが進んでいます。

その人工衛星は、ボイジャーと言われる、無人惑星探査機です。

 

宇宙のどこまでいけるかの要素の一つに燃料にかかっています。

燃料といえば電池です。

 

人工衛星の電池と言えば、最近ではリチウムイオン畜電池が有名です。リチウムイオン蓄電池はISSでも、使われているのですが、それでも人工衛星の歴史からすればまだ短いのです。

 

長期間保つ電池といえば、人工衛星では原子力電池が使われています。

一時期、燃料の生産量が減少したこともあり、使用されなくなったこともあるのですが、最近では火星の計画にも使用されることが分かっています。

 

原子力と聞くだけで拒否反応を示すことが多いため、日本では調べた中では原子力電池人工衛星が製造されたという話は見つけられませんでした。

 

さて、原子力電池(Atomic Battery、Nuclear Battery)は、放射線のエネルギーを電気エネルギーに変える仕組みの電池だそうです。別名がいろいろとあり、放射線電池、RI電池、ラジオアイソトープ電池、アイソトープ電池、またはラジオアイソトープ発電器、RI発電器などと呼ばれています。

 

太陽から離れると太陽電池が使えない

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Credits: NASA

初めにも書きましたが、原子力電池は長期間電力を発生させることができます。

電力を発生させるといえば、太陽電池なのですが、太陽電池が太陽から離れるとその恩恵を得ることができません。

 

なんだかんだといって、人工衛星の燃料不足は大きな問題となります。

燃料が潤沢にあるということは、ミッションの幅が広がり、ミスやエラーをカバーすることができます。

 

地球観測において燃料が少なければ、姿勢制御に使用する動力を発生する機器を動かすこともできません。

 

地球探査において燃料が少なければ、地球との交信ができなかったり、目的の惑星に近づいても目的の軌道に投入できなかったり、ミッション機器が動かせなくなります。

 

基本は電力を蓄積しているバッテリーを使用しています。バッテリの電力は有限であるため、長期間宇宙船を動かすことは難しくなります。

 

ほとんどの宇宙船が太陽からの光をたえず収集して電気エネルギーに変換する太陽電池を備えています。

ただ、太陽光は深宇宙に進むにつれて弱くなっていきます。そのため、多くの深宇宙探査用の宇宙船は原子力電池を搭載しています。

 

現在、原子力電池が搭載されている宇宙機は、冥王星に向かっているニューホライゾンズ、太陽系を超えるボイジャーカッシーニガリレオなど、24機を超えています。

 

原子力電池に使用される放射性物質プルトニウム238

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Credits: NASA

原子力原子力といってきましたが、どのような放射性物質が使われているのかというと、プルトニウム238が使われています。

ちなみに、原子力爆弾に使用されたのはプルトニウム239です。放射性物質であるプルトニウムは、ウランの同位体が核変換により引き起こされるため、原子炉によって生成されます。

製造方法は他のサイトに譲りますが、原子炉の中で生成されることが多いようです。

 

プルトニウム238は、放射線の漏洩を防ぐための鉛の障壁は、2.5mm以下であり、適切に管理すれば、他の放射性物質よりも安定して取扱うことが可能なようです。

 

半減期も87.7年程で崩壊していき、長期間の運用が可能になります。

もちろん、放射線が放出され続けるというとは崩壊も進むため、時間が経過することで放出するエネルギー(崩壊熱)も減少していきます。

 

原子力電池の原理としては、熱電対を介して熱エネルギーを電気エネルギーに変換しています。温度差によって電圧を発生させ、電流を流すゼーベック効果を利用しているため、崩壊熱が減少すると温度差も少なくなり、電力の供給も止まってしまいます。

 

とはいえ、惑星探査機ボイジャー1号を例に出すと、太陽系(太陽圏)を脱出するのに1977年の打上げから2012年と、35年もかかっています。宇宙探査機ボイジャー2号は1977年に打上げられ、2018年に太陽系を脱出していることからも、長期間の運用に向いている電池ではあります。

 

 

 

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参考文献

原子力電池 - Wikipedia

What is a Radioisotope Power System?

https://www.energy.gov/ne/articles/what-radioisotope-power-system

Ideas for new NASA mission can now include spacecraft powered by plutonium

https://www.theverge.com/2018/3/19/17138924/nasa-discovery-program-radioisotope-thermoelectric-generators-plutonium-238

Power Systems

https://rps.nasa.gov/power-and-thermal-systems/power-systems/current/

Radioisotope Thermoelectric Generators (RTGs)

https://solarsystem.nasa.gov/missions/cassini/radioisotope-thermoelectric-generator/

NASA Radioisotope Power Systems Program Next-Generation RTG Study: Summary 2017

https://rps.nasa.gov/resources/75/nasa-radioisotope-power-systems-program-next-generation-rtg-study-summary-2017/?category=fact_sheets

 

From a Source of Heat Comes the Power to Explore

https://rps.nasa.gov/technology/

 

 

熱電対とは

https://www.hakko.co.jp/qa/qa_0_04.htm

熱電対の基礎

熱電対の基礎 | 温度計測 | 計測器ラボ | キーエンス

 

プルトニウム238 - Wikipedia

パイオニア10号 - Wikipedia

イオニアアノマリーの原因が解明される

https://science.srad.jp/story/12/04/21/0827223/

パイオニア・アノマリー - Wikipedia