往時宇宙飛翔物体 システム機械設計屋の彼是

往時宇宙飛翔物体 システム機械設計屋の彼是 宇宙blog

人工衛星の設計・製造・管理をしていた宇宙のシステム・機械設計者が人工衛星の機械システムや宇宙ブログ的なこと、そして、横道に反れたことを覚え書き程度に残していく設計技術者や管理者、営業向けブログ

電力・電源部

宇宙開発の信頼性の設計では何を確認しているのか?

宇宙業界は高信頼性で成り立っているといわれています。 宇宙業界の高信頼性といわれても特殊な手法を取っているわけではありません。 もちろん、他の製品と比べてグレードが変わることはありますが、手法そのものは高い技術を要するものではありません。 JA…

静電放電(ESD)による人工衛星破壊を最小限にするための設計手法 | Lessons Learned【電気・機械設計者向け】

静電気でパソコンが壊れるという話を聞くことはありますが、あまり人工衛星で壊れるという話は聞いたことがないかもしれません。 人工衛星も電子機器であることから静電気で壊れます。 人工衛星は軌道上に上がると故障の原因を調査することがかなり難しいで…

宇宙機の電力システムの過電流による障害 | Lessons Learned【電気設計者向け】

宇宙機の電源制御システム障害 放射線による過電流での障害は発生します。 mechanical-systems-sharing-ph.hatenablog.com 過電流は、突入電流やインラッシュカレント(インラッシュ電流)と様々な呼び方があります。 今回は放射線による過電流ではなく、回…

【調査してみた】人工衛星の太陽電池セルによる発電はグリーン電力証書の対象となるか【宇宙ビジネス】

グリーン電力証書というシステムがある 資源エネルギー庁が打ち出した政策でグリーン電力証書というシステムがあります。 再生可能エネルギーによる電力をエネルギーとしての価値ではなく、環境保全への貢献としての価値(環境価値)を取引可能な証書とした…

【調査してみた】グリーン電力証書について。世間で知られていない間に取引はすで始まっている。

グリーン電力証書とは 太陽光や風力などで発電した電力を化石燃料や原子力を利用して発電している電力と区別し、消費することなく永続的に利用できる再生可能エネルギーをグリーン電力としています。 ※太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは、発電…

民間ロケット打上げ企業Rocket Labの施設を紹介して規模を知る

Rocket Labを紐解く Credits: Rocket Lab Roket Lab(ロケットラボ)は、2021年8月時点で、アメリカのカルフォルニア州ロサンゼルスに本社を置き、ニュージーランドにロケット射場設備を持つロケット打上げの企業です。アメリカのバージニア州にも第2の射場…

人工衛星のハーネス設計のルーティング(配線)検討のポイント(詳細設計、維持設計編)

前回は基本設計フェーズぐらいのハーネス設計を淡々と述べていきました。 今回は打ち上げまで行ければよいかと思っています。 それでは、Let’s go! 詳細設計フェーズ移行のハーネス設計 基本設計フェーズまでで、機器配置を含めて、だいたいの設計が終わるの…

人工衛星のハーネス設計のルーティング(配線)検討のポイント(概念設計、基本設計編)

衛星の開発はいくつかのフェーズに分かれています。 概念設計フェーズ 予備設計フェーズ 基本設計フェーズ 詳細設計フェーズ 維持設計フェーズ 各フェーズの定義は、各組織によって違いますが、だいたいハーネス設計は基本設計フェーズから始まります。 基本…

電気の実作業(保守点検、設置)における危険な現象4選

現代の世の中は電気に囲まれて生きている。 電気を制御し、あらゆる機器を動かしているわけだが、それを製造・管理している職業の人たちは、職場での電気の危険性について注意しておく必要がある。 本記事では電気的危険性のある事象をまとめた。 電力機器あ…

電子部品のための電子回路の設計とワーストケース解析を行うためのアプローチ方法 | Lessons Learned、失敗学、事故事例

電子部品のための電子回路の設計とワーストケース解析 人工衛星は軌道上に打上げられると修正を加えることができません。 宇宙という、日常でも、多くの機械が動く工場の中とも違う環境下で回路が動くことになります。 機能を満たすことはもちろん、性能の範…

過電流回路保護は低軌道人工衛星にも必要である(2016) | Lessons Learned、失敗学、事故事例

低軌道の人工衛星には適切な過電流回路保護が必要である 放射線が多いといわれるヴァン・アレン帯は、高度2,000 - 20,000kmに観測され、場所に高度によって陽子や電子の分布が変わります。 人工衛星、特に地球観測に使用される低軌道 (low Earth orbit、LEO)…

宇宙の知られざる古参メーカーSony!? Sonyの宇宙関連製品を振り返ろう!

SONYの宇宙関連製品 www.sony.co.jp SONYが宇宙関連事業に向けて動き始めたので、SONYに関わる宇宙に関わった製品を振り返ってみます。 SONY製品は、 ネットに広まっている情報から次の製品が宇宙で使用されています。 製品のまとめはこちら TC-50(テープレ…

ステルス航空機は宇宙上空のレーダー衛星で検出できるか?

ステルスを検出するとは レーダ衛星でステルス航空機を検出することは可能です。 ステルス航空機は、レーダで検出しにくい航空機のことを言います。 レーダに検出しにくいかを示す値としてレーダー反射断面積(Rader Cross Section、RCS) が使われます。 この…

デブリを人工衛星のレーザーで除去しよう!デブリ除去のレーザー技術を通常のレーザー加工技術と比較した

人工衛星のレーザー技術とレーザー加工 レーザー兵器と言われて、スターウォーズを思い浮かぶ人もいるかもしれません。 ただ、スターウォーズのシリーズが終わってしまったため、どこの世代まで伝わるか怪しくなってきています。 レーザーが使用される例とし…

原子力電池の歴史【宇宙機と電池】

原子力電池の歴史 電子力電池そのものは1954年にアメリカのマウンド研究所でJohn BirdenとKen Jordanによって発明されました。 ちなみにマウンド研究所は、アメリカとロシアの冷戦中にほぼすべての核兵器関連のコンポーネントが設計、構築、評価されていまし…

宇宙開発で原子力電池が使われなくなったのは放射線問題のせいじゃない【宇宙機と電池】

アメリカの原子力電池の原材料事情 Credits: NASA https://images.nasa.gov/details-KSC-2011-6743 原子力電池は、1960年以降宇宙船に使用され、電力を供給し続けています。 アメリカでは過去、独自にプルトニウム238の供給していました。 プルトニウム238よ…

概要を知る!人工衛星に使われる原子力電池をまとめた【宇宙機と電池】

原子力電池という電池が存在している Credits: NASA 人工衛星が宇宙のどこまでいくのか、現在進行中でミッションが進んでいます。 その人工衛星は、ボイジャーと言われる、無人惑星探査機です。 宇宙のどこまでいけるかの要素の一つに燃料にかかっています。…

人工衛星を放出しよう!分離検知スイッチとキルスイッチ/フライトピン/ディベロップメントスイッチ【人工衛星と電源ON】

人工衛星の分離検知スイッチは如何なるものか Credits: NASA https://images.nasa.gov/details-PIA15268 人工衛星の中で最も重要といっても良いスイッチがあります。 それは分離検知スイッチです。

人工衛星とロケットのアンビルカルケーブルとホット/コールド・ローンチ方式【人工衛星のアンビリカルケーブルと打上げ方式】

アンビリカルケーブルとその周辺 Credits: NASA https://images.nasa.gov/details-s65-30427 この写真は、1965年の船外活動の写真です。 今回の表題であるアンビリカルケーブル(Umbilical cable)ですが、写真に映っている宇宙飛行士のエドワード・ヒギンズ…

人工衛星のシステム設計-まずは人工衛星の機能から知ってみよう-【宇宙機とシステムエンジニアリング】

システム設計について、なんとなく書いてみる Credits: NASA https://images.nasa.gov/details-GSFC_20171208_Archive_e001387 今回のこの写真では、人工衛星が回転テーブルの上で1秒に約1回転の速度で回っています。扇風機が1秒間に50か60回転するので、扇…

宇宙のデータを使った技術【宇宙機とインフラ】

インフラを整えるアウトプット 現在、宇宙業界のインフラストラクチャーを整えるために、日本をはじめ世界各国で様々な動きがあります。 宇宙業界のインフラとは、人工衛星やロケットをシステムとして製造できるシステムメーカーに始まり、国内で必要な機器…

熱試験と熱真空試験と熱平衡試験と熱サイクル試験は微妙に違う【宇宙機と熱試験】

広義的には熱試験と熱真空試験と熱平衡試験と熱サイクル試験はすべて熱試験 Credits: NASA 人工衛星の計画を確認したり、契約上定められた試験を示すときに、熱試験の定義はしっかりと確認した方がいいでしょう。 なぜならば、各組織において熱試験の定義が…

【宇宙機とノイズ】人工衛星のノイズが影響するものは

ノイズは、自分の人工衛星とロケットのため 宇宙機においてノイズはどういう存在なのでしょうか。 ジャミングという言葉を聞いたことがあるかと思います。 人工衛星も類にはもれず、ノイズはジャミングとなり主に通信関係で邪魔になります。 ノイズとは雑音…

【宇宙機とケーブル】宇宙用ケーブルは肉体でいう血管・神経

フッ素樹脂ケーブルは少し硬くて、高い 宇宙用ケーブルはいくつかあり、フッ素樹脂によるケーブルはその一つです。 耐溶剤性、耐薬品性の高いテフロンがフッ素樹脂の一つですね。テトラフルオロが含まれる化合物なんですね。 フッ素樹脂ケーブルは、フッ素化…

【宇宙機と材料】シリコーンと熱の関係

シリコーン系の接着 シリコーン接着剤は、人工衛星でなくとも使った人は多いと思います。人工衛星でも使用されることは多いです。 人工衛星ではエポキシ系とシリコーン系の2つがもっとも使われます。 エポキシやシリコーン以外にもアクリル系やブタジエンゴ…

【宇宙機と宇宙線】人工衛星の寿命と宇宙線について

とりあえず人工衛星と動物の寿命と比較してみた 宇宙と放射線でしらべると、どこもかしこも長期にわたり安定した動作を欲しがります。 宇宙に打ち上がると、一部の人工衛星を除き、修理することは不可能である。小型人工衛星はほぼ不可能と言ってもよいでし…

【宇宙機とリスク】宇宙は一品物/特注品で何をリスクとするか

リスクが大きい機器とは何か 宇宙に打ち上がる製品として、よくよく、よく言われることは、宇宙に行ったら手が出せない、ということです。

【機械設計と環境試験】宇宙以外の環境試験条件(自然環境と誘発環境)

宇宙以外の環境試験条件 提供:NASA 宇宙環境が特殊というように思えますが、地上の中にも多くの環境にさらされてます。 ある文献によると物体に対して外部から影響のある環境条件には自然環境と誘発環境があるようです。 自然環境と誘発環境をもとに、環境…

【宇宙機と姿勢】人工衛星放出後の大きな衝撃の先にあるもの

宇宙と呼ばれる領域は微重力であって無重力ではない ロケットから放出された人工衛星はどうなるのでしょうか。 宇宙を探査する人工衛星は推進力により地球の重力外へ脱出する。地球でいうところの第2宇宙速度を超えることで脱出可能となります。 太陽系を脱…

【宇宙機の機器】政府サービスで人工衛星を夢想できるか

日本政府の作成した人工衛星用機器のサイトを知っていますか 各省庁で人工衛星の利用に関するページが存在しています。 今回は経済産業省で実施している宇宙産業のページの中にある「Maketsat.com」を利用して人工衛星を夢想したいと思います。