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人工衛星の設計・製造・管理をしていた宇宙のシステム・機械設計者が人工衛星の機械システムや宇宙ブログ的なこと、そして、横道に反れたことを覚え書き程度に残していく設計技術者や管理者、営業向けブログ

宇宙も光の時代が訪れている!宇宙通信で量子通信とか光通信が出る理由

量子通信とは

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量子通信とは、光を細かくした最小単位である光子に情報を載せて通信する技術です。

そもそも量子とは、物質の最小単位の総称で、光子以外になんとか素粒子といったものも量子に含まれます。

 

通常の電波電通信との違いは、スマホを始め、テレビは電波(電磁波)に情報を載せることで通信を行うのですが、通信方法が、電波から光になっただけです。

 

それだけだと単なる光通信なのですが、光をさらに細分化して光子に対して情報を載せた技術が量子通信になります。

 

いやいや、どういうことかというと、情報を送るには情報を波形というデータで表すことから始まります。

これは電波(電磁波)でも光でも変わりません。

 

情報の送信は、入力された信号の波形の振幅や周波数、位相を変化させます。

元の信号の波形を変化させて別の場所に移動させることを伝送と呼びます。

 

電波(電磁波)と光では、この伝送の速度に違います。光の方が早い(情報量を多く流せる)のです。

光を細分化した量子に情報を載せれば、伝送速度もさらに上がります。

 

電波通信、光通信と量子通信は、情報を載せる対象が変わるだけで、おおざっぱな考えは同じです。

 

ただ、光通信は、wikiにもあるように、光ファイバーを通して光に情報を載せて通信するという、通信の商品名の総称に近い使われ方をしているため、世間一般では少し混乱するかもしれませんね。 

 

ここでは、量子通信と電波通信を比較しても、光通信と電波通信を比較しても変わらないため、とりあえず、光通信と電波通信を比べながら述べていきます。 

 

宇宙通信で量子通信とか光通信が出る理由

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宇宙通信で量子通信とか光通信が出る理由は、多くの情報を軌道上と伝送したいことが主要な理由です。

 

量子通信・光通信であれ、電波であっても、距離が長くなったり、空間に物質がある限り、波形が弱くなる。電波の強度が弱くなるのです。

 

電波の伝送時が弱くなる原因として、自由空間損失、大気吸収損失、降雨減衰損失が良く上げられます。

空間を移動するにもエネルギーを使用し、大気(空気)にぶつかることでエネルギーを使用し、雨や雲にぶつかることでエネルギーを使うのです。

 

有線を使用することで、大気や気象の影響を低減して情報を届けることができます。

 

しかし、宇宙空間では軌道上から有線で情報を伝送することは現実的ではありません。

宇宙エレベーターも、まだまだ、実証レベルに至っていません。

 

それでも、多くの情報を軌道上から多くの情報を安定してやり取りしたいと考えた結果、光通信・量子通信にたどり着いたのではないでしょうか。

 

 

高周波数のデメリット

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電波  3,000Hz ~ 300,000,000,000(=3×10^11)Hz

 テレビ放送、携帯電話、レーダ

光   3×10^12Hz ~ 3×10^15Hz

 赤外線、可視光線

放射線 3×10^16Hz ~ 3×10^18Hz

 エックス線、ガンマ線

 

電波の強度は、電波の品質に関わるため、電波強度が強くても送れる情報量は変化しません。強度が強いと、エネルギーが高いため、安定して情報の伝送ができます。

 

高周波数帯を利用する際の弱点は、直進するという特性を持っていることです。

回り込みにくいという表現がよく使われます。

 

回り込みにくいということは、電波を受け取れる範囲が狭く、小さくなります。

 

受け取れる範囲が狭ければ、地上の受信側のアンテナの位置取りや人工衛星の送信側の方向がシビアになります。

 

全てが理想的な位置取りで方向であれば問題ないのですが、少しでも取り逃さないようにするためは、受信側のアンテナの感度も高くする必要があります。

 

困ったことに、電波のエネルギーは、波長が高いほどエネルギーが小さくなるため、大気だけでなく、悪天候であれば電波が届かなくなるのです。

  

技術的には可能ですが、実現が難しい領域に入っていきます。 

 そして、現在は実証レベルに入っています。

 

5Gと呼ばれる、ミリ波とも呼ばれる3×10^10Hzの周波数帯よりも、速い伝送速度で情報のやり取りが可能になるため、量子通信がたびたび取り上げらえるのはそのためです。

 

ストレスフリーで、大量の情報量がやり取りできる、その技術の一端が量子通信なのです。

 

参考資料

量子ってなあに?:文部科学省

https://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/ryoushi/detail/1316005.htm

量子通信・量子暗号の動向と展望

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/ryoshigijutsu_innovation/dai1/siryou4-5.pdf

第71回 秘密の鍵は光に乗せて −量子暗号の仕組み

https://www.jp.tdk.com/tech-mag/knowledge/071

 

伝送 - Wikipedia

第141回 「光の道」を通るのは何? 〜光通信の仕組み〜

https://www.jp.tdk.com/tech-mag/knowledge/141

光通信技術とは

https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2005/__icsFiles/afieldfile/2005/10/26/1026_1j.pdf

伝送時間を求める問題

https://www.seplus.jp/dokushuzemi/fe/fenavi/easy_calc/network/

デジタルとアナログの違い

http://www.amei.or.jp/report/DR_Div/base.htm

電波50のなぜ

http://www.stelab.nagoya-u.ac.jp/ste-www1/naze/dennpa/denpa.pdf

周波数の違いによる電磁波の種類

http://www.vinita.co.jp/institute/radiofrequency/020030.html