バランスが大事!人工衛星で重心を測定する理由【人工衛星とロケットのユーザーインタフェース関連】
重心が必要になってくる理由
https://images.nasa.gov/details-VAFB-20180614-PH_AMT01_0015
重心と言われて何を思い浮かべるでしょうか。
ものを持つときに、重心が偏っている、持ちにくい、運びにくいという経験をしたことがあると思います。
人工衛星でもそれは変わりません。
運送のハンドリングが良ければ、事故にあう可能性が少なく、綺麗に人工衛星を運び出すことができます。
もちろん、それだけではありません。
人工衛星が重心を測定する理由は簡単にまとめると次の通りになります。
人工衛星の中で重心の要求は主にロケット側から来るものです。
もちろん、姿勢制御が厳しい対象については人工衛星側からも要求が上がってきます。
軌道上は微重力であるため、慣性の法則がほぼ成立するため、回転し始めたら別のベクトルを加えないとほぼ回転し続けます。
左右上下の形状や構造が対照であれば重心は中心に位置します。
中心に位置するということは回転することに有利で、ブレなく回転することができます。
回転を始めるときに、あるベクトルの力を加えて回転し始めたとすれば、相対する方向のベクトルの力をちょうど加えると回転が止まります。
力の均衡が取れて、運用するときにはとても楽なのですが、実際の人工衛星は重心が中心になく、偏っているために、制御を行う必要があります。
それが人工衛星における姿勢制御になるのですが、実は姿勢制御において、必ずしも重心が中心に来る必要はないのです。
運用や初期フェーズでは楽になりますが、必須条件ではないのです。
その代わりに、姿勢を変更させるためのコンポーネントの性能が高い必要があったり、推進薬を多めに搭載しておく必要があります。
もちろん動きが悪くなるため、指向性も悪くなり、運用に制限が出てきます。
この辺りはシステム屋や機械屋、姿勢制御屋が適切で、必ずしも最適になるとは限らない調整をしていきます。
人工衛星の開発や設計の記事において、最適というより適切という言葉が使われることが多いのはそういった理由からかもしれません。
姿勢制御にはさらに、回り難さを示す慣性モーメントの考え方が追加されるのですが、話が大幅にずれたのでこの辺りで止めておきます。
重心の話です。
ロケットとの重心の話
人工衛星は必ずしも重心が中心である必要はないのですが
では重心の要求がないロケットのユーザーインタフェースの場合はどうしているでしょうか。
理由は簡単です。
それらを包括するようにロケットの推進薬を積んで、力業で飛ばしているのです。
ロケットのインタフェースを見ると、複数の形の衛星が奇妙な搭載の仕方で打上げられてい姿があります。
これは形状と質量だけで、ロケットの製造側でバランスをある程度考えて搭載した結果になります。
よくよく観察すると、大きさ(形状)で左右のバランスを取った配置をしているかと思います。
これらを含めて微妙なバランスのずれは、ロケットの推進力を上げることで影響を低減させているのです。
ロケット側から重心の要求を出すことで、必要となる推進薬を減らすこともできます。
ロケット側からすると、人工衛星の多少の重心のずれは対応可能なのですが、推進薬の量が増えてしまい、結果、打上げコストが上がります。
この打上げコスト分は、人工衛星側に積むか、ロケット側に積むかはユーザーズマニュアルや契約書の内容によるところだと思います。
何も書かれていなければ、基本ロケット側ではあると思いますが。
ということで、人工衛星が重心を測定する理由は簡単にまとめると次の通りになります。
文献
JAXAのイプシロン4号もISROもSpaceXも。最近のロケットはたくさんの小型衛星を同時に打ち上げる
https://www.gizmodo.jp/2018/12/ale-1-test-launch.html
史上最多、インドが1機のロケットで103機の人工衛星を打ち上げ-その舞台裏-
https://sorae.info/column/2017_01_10_pslv.html
http://www.kumikomi.net/archives/2009/01/03zigbee.php?page=1
II.質量とハーネス
III.構造的な締め付けトルク以外に微レ存な同電位のトルク