往時宇宙飛翔物体 システム機械設計屋の彼是

往時宇宙飛翔物体 システム機械設計屋の彼是 宇宙blog

人工衛星の設計・製造・管理をしていた宇宙のシステム・機械設計者が人工衛星の機械システムや宇宙ブログ的なこと、そして、横道に反れたことを覚え書き程度に残していく設計技術者や管理者、営業向けブログ

修理費 数億ドルの恐怖!!アメリカで起きた人工衛星製造で有名な事故【宇宙機と製造、転倒】| Lessons Learned、失敗学、事故事例

NOAA-19を知っているでしょうか

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http://un-regard-sur-la-terre.org/article-septembre-2003-tentative-de-mise-en-orbite-sans-fusee-chute-du-satellite-noaa-n-prime-en-salle-d-integration-49672424.html

 

それは人工衛星製造中に発生しました。

 

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放射線で故障して止まらないようにする原子力発電所や人工衛星で使用する電子部品の対策【宇宙機と放射線】

放射線対策と電子部品 

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Credits: NASA

https://images.nasa.gov/details-0200146

 

1970年に打上げられた地球観測衛星エクスプローラー1号機と後続のエクスプローラー3号機に搭載された放射線量を測定するガイガーカウンターによって、地球の放射線帯であるヴァン・アレン帯が発見されました。

 

さて、突然原子力発電所人工衛星で使用可能な装置を作ってくれと言われたらどうでしょうか。

 

多くの人は混乱するでしょうが、今回はその中で放射線耐性のある装置の製造と言われたときのヒントをまとめてみました。

 

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コンタミネーションを防げ!人工衛星開発とマスクの関係【宇宙機とコンタミ】

人工衛星コンタミ

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Credits: NASA

https://images.nasa.gov/details-VAFB-20171031-PH_MAM01_0178

 

宇宙業界においてマスクというと、電気自動車で有名なテスラモーターズPayPalの創業者としても知られるスペースXの代表のイーロン・マスクの方を思い浮かべることも多くなったと思います。

 

今回はイーロン・マスクのことではなく衛生・医療用品であるマスクの話です。

 

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小型衛星と大型衛星ーシステム管理の面から考えるー【宇宙機とシステムエンジニアリング】

小型衛星と大型衛星の違いはサイズの違いだけではないのである

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プロジェクト開発において、小さいプロジェクト、大きいプロジェクトそれぞれで開発の管理/マネージメントが違うといわれることがあります。

 

大型衛星から小型衛星に変わった場合でもそれは変わりません。

 

大型衛星のマネージメントのまま、小型衛星のマネージメントを行う。

逆に、小型衛星のマネージメントのまま、大型衛星のマネージメントを行う。

 

おそらくそれぞれ経験者がいたり、舵取りが上手ければ失敗することは少ないかと思います。ただ、1度、大きな不具合が発生した時に煽りは、とても大きなものになるかと思います。

経験者であれば、かつて経験していた方の衛星以上に苦労することでしょう。

 

本記事では、イベントとなる審査会を減らした方がいいだとか、作成プロダクトを減らした方が良いといったことは述べません。一長一短があるのですから。

その辺りはプロジェクトマネージメントらしく、管理側は柔軟に対応し、審査側も弾性的に受け入れていただければと思います。

それぞれの常識をかざしても、決して前に進まないのですから。どうにか、いいとこ取りができるようにしていただければと思います。

 

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小型衛星と大型衛星ー開発側の違いー【宇宙機とシステムエンジニアリング】

大型衛星と小型衛星の技術はお互いに成長していく

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個人的な大型衛星と小型衛星のイメージとしては次の通りです。

  • 小・中型衛星は機能特化型
  • 超小型衛星はone機能型
  • 大型衛星は万能型

 

小・中型衛星の機能特化とは、1つあるいは2つのミッションに特化しているというイメージがあります。

それに対して、超小型衛星は、1つあるいは2つのミッションができるというイメージですね。

そして、大型衛星は、複数のミッションができるし、それぞれ高い性能をもつただしミッションによっては小・中型衛星に劣るというイメージです。

 

 

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身近にあるシステムインテグレーション【宇宙機とシステムエンジニアリング】

システムインテグレーションという不明確さを明確にする

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Credits: NASA

https://images.nasa.gov/details-KSC-20200117-PH-ESA01_0005

システムエンジニアリングの3弾目かな

 

人工衛星ではインテグレーション試験を実施します。

 

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システム設計の5つの考え方をまとめました【宇宙機とシステムエンジニアリング】

システム設計とは

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Credits: NASA

https://images.nasa.gov/details-S68-34582

 

システム設計の役割は大きく2つあります。 

 

  • (実物の)試行錯誤を極力減らし、合理的に論理的にまとめ上げていくこと
  • 目的に対して最適なものにすること 

 

ということで、システム設計第2弾です。

mechanical-systems-sharing-ph.hatenablog.com

  

本記事は下記資料をメインに取りまとめています。

機械設計工学〈2〉システムと設計

機械設計工学〈2〉システムと設計

  • 発売日: 2006/05/01
  • メディア: 単行本
 

 

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火星の空気抵抗と空気密度-火星でパラグライダーとパラシュートをしてみたら-【宇宙機と火星】

空気の密度と火星の大気

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空気の密度を考えたことがあるでしょうか。

 

もしかすると高校時代に習っていたり、大学入試で勉強したり、大学で少し詳しく学んでいる人もいるかもしれません。

 

地球の空気密度は世に出回っているでしょうから、火星の密度を考えていきます。

しかし、小難しい数式は出てきませんので、計算したがりの人はごめんなさい。

 

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衛星画像のキャリブレーションをしよう!輝度較正の手法と必要な理由【宇宙機とミッション】

人力で挑んでいる較正手法

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Credits: NASA

https://images.nasa.gov/details-ED04-0056-065

 

画像の補正を行うためにリフレクター、あるいは反射板と呼ばれるものを使います。

今回の画像は反射板と呼ばれるものです。

 

衛星画像の補正には幾何学キャリブレーションを行う幾何補正(Geometric Correction)と輝度較正(Radiometric Calibration)があります。

 

輝度較正では取得する画像の色合いを整えるために実施しています。

 

衛星の画像は地球からの反射や大気を透過して軌道上のカメラへ画像に記録します。細かく言えば、装置に内蔵されている撮像素子(画像素子)に光が集光されることでデジタル信号に変換されます。

 

撮像素子(画像素子)を通してデジタル信号に変換し記録媒体に記録されるのですが、撮像素子(画像素子)に集まる光が、地球からの放射等を正しく知ることで、素子に集まった光がどのような素性であるか正しく理解することができます。

 

画像の素性を知ることで、画像の分析と分解が可能になります。

画像の分析と分解を行うことで、撮像素子(画像素子)を通して記録されていた画像の中で必要な対象を抜き出したり、定量化させることが可能になります。

 

キャリブレーションにより標準となるデータを取得・決定し、標準となるデータを元に色合いや強度を比較したり慣らす(平準化する)ことで、真実の色に近い色に衛星画像を校正することが可能となるのです。

 

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衛星画像のキャリブレーションの仕方をまとめてみました【宇宙機とミッション】

衛星画像は素のままでは使用しないことが多い

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Credits: NASA

https://images.nasa.gov/details-PIA13281

 

人工衛星から取得された衛星画像はそのままでは使用できません。

 

実際のところ地上で使用されているデジタルカメラも同じなのです。

デジタルカメラはカメラ内部で処理を行い綺麗な画像を出力します。

人工衛星から取得された衛星画像も同様に処理を行う必要があるのです。

 

今回は衛星画像とキャリブレーションの話です。

 

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