往時宇宙飛翔物体 システム機械設計屋の彼是

往時宇宙飛翔物体 システム機械設計屋の彼是 宇宙blog

人工衛星の設計・製造・管理をしていた宇宙のシステム・機械設計者が人工衛星の機械システムや宇宙ブログ的なこと、そして、横道に反れたことを覚え書き程度に残していく設計技術者や管理者、営業向けブログ

なぜ宇宙船では燃料をほとんど使わない理由【ゼロから知りたい】

f:id:MSDSSph:20220322020414j:plain

credit:NASA

https://images.nasa.gov/details-PIA18166

 

宇宙空間は、地球上にある空気がなく、ほとんど真空である宇宙空間を移動しているため、速度が落ちることはなりません。

 

高校の物理でいう等速直線運動をしており、ロケットで打ち上げた最初の加速でも、空気などの抵抗がなければどこまでも進んでいくことができます。

 

といっても、宇宙空間がほぼ真空であるといっても、ほかの減速しないわけではありません。

 

f:id:MSDSSph:20220322020256j:plain

地球や月、火星、太陽などを含めた太陽系に存在している限り、太陽が持つ引き寄せる力(引力)の影響を受けます。

 

太陽から遠ざかる際に太陽の引力を受けることから宇宙機は減速していきます。

 

太陽だけではなく、火星や木星も引力を発生し続けていることから、近づけば加速あるいは減速します。

 

惑星の引力に捕まらないように、宇宙機によっては推進系と呼ばれるエンジンを積んでいます。

 

航空機の翼やボディに付いているエンジンを思い浮かべるといいかもしれません。

ただ、エンジンには燃料が必要です。

自動車のガソリンのように給油所がないことから、燃料もあまり多く載せられないのでギリギリまで使用しないでいることが多いですね。

 

エンジンはガスなりイオンなり、物質を噴出し、噴き出した勢いで加速します。

 

何もない空間に対して噴出しても、地球上のような空気による抵抗がないから本当に前に進むのか?という疑問もあるかもしれません。

 

いわゆる暖簾(のれん)に腕押しということわざのように、力を加えても動かないのではないかという疑問もあります。

 

実際のところ、エンジンから燃料を放出されるとき、一種の爆発や圧力などを発生させ、前に進む力としています。

 

地球のように大気がないことから、その加速は自動車や飛行機、ロケットをはるかに超える速度を生み出すことも不可能ではありません。

 

地球の重力を飛び出している時点で、少なくともロケットの速度を出しており、かつ速度を保持していることから、さらに加速した時点でロケットの速度を超えるのは当たり前かもしれませんが。

 

ちなみに人工衛星には太陽電池があるのですが、移動の燃料(エネルギー)として使用されていません。(今後はわかりませんが)

太陽電池は、主に通信機や内部に搭載されているコンピューターを動かすことに使用されています。

 

加速といえば、一部の宇宙機では、太陽風を受けた(ヨットの帆のような)仕組みで加速する小型宇宙機も存在しています。

 

f:id:MSDSSph:20220322015947j:plain