往時宇宙飛翔物体 システム機械設計屋の彼是

往時宇宙飛翔物体 システム機械設計屋の彼是 宇宙blog

人工衛星の設計・製造・管理をしていた宇宙のシステム・機械設計者が人工衛星の機械システムや宇宙ブログ的なこと、そして、横道に反れたことを覚え書き程度に残していく設計技術者や管理者、営業向けブログ

【宇宙機と構造解析】構造解析で困ること

CAEで困ること 

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Credits: NASA

構造解析におけるCAEの最適化は、考え方をシンプルにすることです。

 

CAEとはComputer Aided Engineeringの略です。ただ、日本語に直してもコンピュータ工学支援という、意味が広すぎてよく分かりません。

 

単純にいうと、コンピューター上で模擬した対象を解析・評価するソフトウェアあるいは作業する行為そのものを指しているようです。

 

CAEがどれだけ有用であるかは、その辺のWEB記事を読んでもらえばそれっぽいことが書かれているので、ここでは無視します。

 

近年では機械設計になくてはならないという話ですが、決してそんなことはありません。

ただ、複雑化や最適化、要素が多い場合は、使用せざる負えません。

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【環境試験と治具】振動試験と治具について

振動試験ジグ設計のポイント

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Credits: NASA

人工衛星に限らず環境試験のひとつである振動試験は通常の製品でも試験が行われる。

大抵の場合は輸送振動試験などの包装時や梱包時の試験が多いようです。

 

振動試験のジグ設計のポイントですが、そもそも振動試験のジグとは、振動試験機と対象となる供試体=構造体を結合する対象のことなのです。

 

振動試験は、構造体に振動を与えて、構造体の構造が持つかどうか確認する試験のことを指します。

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人工衛星の地上試験で故障が起きた時は装置も確認を

人工衛星本体と試験装置を分ける

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Credits: NASA

試験で異常なデータが出た時に、設計者であるならば、ある程度予測はつくでしょう。

回路のどの部分が故障すれが、このデータが発生するのか。

そもそも回路が原因ではなく、ケーブルが原因で発生してしまった事象など、想像がつかない場合は、基板を取り出し事象を確認していくことでしょう。

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【宇宙機と業界用語】GSEってなんだと思う?

略語たくさんな世界

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世の中には業界用語がたくさんありますが、宇宙業界も多分に漏れず略語がたくさんあります。

NASANational Aeronautics and Space Administrationの略ですし、JAXAJapan Aerospace eXploration Agencyです。

さらに言うならESAはEuropean Space Agencyです。

いや、そもそも、ESAってなんだよ、って人も多いかと思います。欧州宇宙機関といって、欧州が共同で設立した宇宙機関なんですね。

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【構造解析】構造シミュレーションでつまずくポイント

人工衛星の話があまりなかったんだけど。

構造解析用のソフトウェアについて

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Credits: NASA

いくつか解析ソフトを使用してきましたが、最近は、3DCADソフトの追加オプションでもシミュレーションができるような有償ソフトも増えてきました。

 

プロフェッショナルとか、そんな感じのライセンスだと大抵解析ソフトがついてきます。

 

解析ソフトを使用してきた身からすると、汎用性が少ないです。

多くは単純な自動メッシュの手法で計算をしていきます。

 

3DCADソフトの注意点としては、境界条件の設定が複雑だという点です。

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【宇宙機と構造解析】ギリギリための人工衛星の構造計算

構造シミュレーションは、手計算ではだめなのか

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流体解析 Credits: NASA

人工衛星では、様々な計算、解析、シミュレーションを行います。

その一つが構造計算です。

 

構造計算というと、古典的な2次モーメントで計算することもありますが、最近はソフトウェアで済ますことが多いです。

 

ソフトウェアで見ると、注目箇所以外にこぼれていた弱い部分も見ることができるんですね。

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【宇宙機と落下】宇宙活動法の傷害予測数計算(溶融計算)を知る

地球の大気圏落下における溶融計算をみてみる

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デブリも大変ですが、地球の大気圏でちゃんと燃え尽きるか確認しなければなりません。

 

確認方法は、実験なんて大抵できないので解析を行います。

 

宇宙活動2法でも各部品に対して溶融解析をするように決められています。法律上は人が優先となるため、傷害予測数計算といいます。

 

前提となるのは傷害予測数計算をすることです。

 

ガイドラインにある15J(ジュール)=15kgm2/s2とはどの程度のものでしょうか。

重力加速度を9.80665 m / s2とすると、1mの高さから、1.52kgの物体を落とす感じです。

 

とても軽いのです。

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【宇宙機と落下】宇宙活動法における大気での溶融計算

宇宙活動2法における落下の考え方

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Credits: NASA

人工衛星が大気圏突入するときに考える事項はなんだろうか、落下した時に人に当たらないかどうかということを考えます。

 

 

人工衛星においては、再突入と地球への制御突入が該当します。

ロケットにおいては、ロケット発射から飛行安全管制期間と再突入フェーズが該当しています。

 

人工衛星はやぶさはやぶさ2の行うサンプルリターンは、制御突入に該当しています。

 

法において、空中で燃焼させることで、地表に落下しても問題ないことを示すことを明記しているのです。

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【宇宙機と寿命】人工衛星の破壊は

デブリが、ゴミが、というのは聞き飽きているし

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人工衛星で、最近よく言われることはスペースデブリです。

 

デブリは宇宙空間に浮かぶ金属の塊です。

正確には金属の塊というより人工物の塊です。

 

軌道上にいって、コインを軌道上に投げれば、それはもうデブリになります。

人工衛星機器にはじまり、鏡やボルト、フィルムあげればきりがありません。

 

スペースデブリ人工衛星の違いはなんでしょうか。

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【宇宙機の目的】人工衛星は運用してデータを得ること

人工衛星を開発することが目的ではない

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Credits: NASA

目的が手段になっているってよく聞く言葉じゃないですか。

 

人工衛星を作りたいから作った。

 

単純に作りたいから作っただけですと、作ることに専念してしまい、作った後どうするのか、目的を見失ってしまいます。

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