往時宇宙飛翔物体 システム機械設計屋の彼是

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人工衛星の設計・製造・管理をしていた宇宙のシステム・機械設計者が人工衛星の機械システムや宇宙ブログ的なこと、そして、横道に反れたことを覚え書き程度に残していく設計技術者や管理者、営業向けブログ

【宇宙機と業界用語】GSEってなんだと思う?

略語たくさんな世界

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世の中には業界用語がたくさんありますが、宇宙業界も多分に漏れず略語がたくさんあります。

NASANational Aeronautics and Space Administrationの略ですし、JAXAJapan Aerospace eXploration Agencyです。

さらに言うならESAはEuropean Space Agencyです。

いや、そもそも、ESAってなんだよ、って人も多いかと思います。欧州宇宙機関といって、欧州が共同で設立した宇宙機関なんですね。

  

それはともかく、宇宙情報センター略語集によると同じ宇宙業界にいても使ったことがない略語がたくさんあります。

大きな理由の一つとして、人工衛星側、ロケット側、航空側とJAXAの中にはたくさんの研究開発を行っている部門があります。

 

それぞれの文化が交わっているため、全く同じ略語でも違う意味を指すこともあるのです。

 

例えば、MAC。マックと呼んでいるかどうかは別として、略語集には7つも載っていました。

magnetic attitude control 磁気姿勢制御
magnetic attitude control coil 磁気姿勢制御用コイル
materials and coating 材料とコーティング
maximum allowable concentration 最大許容濃度
McDonnell Aircraft Co. マクダネルエアクラフト社
Message Authentiaction Code メッセージ真偽判定コード
military air transport command 輸送空軍

ハンバーガー屋とアップルも含んだら9つになります。

 

多い、多いですよ。

 

タイトルのGSEは、地上支援装置をいいます。ground support equipmentの略語なのですが、知っている業界の文化だと、地上で実施する試験装置全般を指していたと記憶しています。

 

実際、宇宙業界で働いていても、略語で終わってしまい、いったい日本語にすると何とよぶのか分からないまま過ごすことも多いかと思います。

 

むしろ、日本語で言っても通じないことがたくさんあります。

 

ちなみにこの用語集では、宇宙業界用語ではないのですが、一般化されているような略語もあります。

 

例えば、GFRP。

 

繊維強化プラスチックの略であるFRPにGが入っています。

 

Gで思い浮かんだの、graphiteでしょうか、glassでしょうか。

 

GFRPにも次の2つがあるのです。

 

glass fiber reinforced plastic ガラス繊維強化プラスチック
graphite fiber reinforced plastic 黒鉛ファイバ強化プラスチック

 

これは結構、迷います。

 

実物見なければわかりません。

 

ガラス繊維でいうと、いわゆる絶縁体として使われることが多いのです。

黒鉛あるいはカーボンといった方が伝わりやすいですが、これは軽くて薄く強度のある板として使われることが多いのです。

 

いや分からんて。

 

熱構造関係をやっていた関係からMLIもたくさん使いました。

このMLIも調べてみると、まあ、ほぼほぼ同じ意味で3つ並んでいたりします。

 

Multi Layer Insulation(Super isolation) 多層断熱
multilayer insulation 多層熱遮蔽
multilayer insulator 多層断熱材

 

設計文書を作成する場合どれで書けばいいのか迷います。

はじめて知った方とかは、もしかすると一番上の多層断熱を選択するかもしれませんが、多層断熱材が使われることが多いのです。

 

まあ、業界の人はだいたい同じことを思い浮かべるので、書かなくてもいいのかもしれませんが。

参考

略語集

http://spaceinfo.jaxa.jp/abbr/abbr_a.html


試験ジグ、GSEと言われても、入ったときは知らなかった

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Credits: NASA

ジグは別に宇宙業界用語ではないと思っていますが、バックグラウンドが化学系の人間からすると、まさしく謎の単語です。

 

ジグあるいは治具とは、製造物を加工、組み立て、製造、開発するときに使う工具を指します。

 

ジグは、手作業でできることを、時間短縮のための工具として作ったり、製造中に手を触れて、他の部品を壊さないようにすることに使われています。

 

業界というか、自分の居た組織の穴kでは、治具GSEがほぼ同じ意味になって、どっちなんだって感じに良くなりました。

 

現場ではどっちでもいいんですね。

こういう名称を気にするのは、現場というより、品質保証というかトレーサビリティを取るときに、どの装置を使用するのか手順書に残しておくときに重要になります。

 

記録をちゃんと取っている組織においては、治具にも製造番号を付けていたりします。

恐ろしいですね。1回きりの治具に製造番号を付けるというのも。

 

といいつつ、その文化も、大量生産となったり、シリーズになることでちょくちょく改造していくことになり、無くなってきているかもしれませんが。

 

振動試験治具について書こうと思ったけど時間なかった。また次に。