人工衛星が落ち着く場所
日本語において、極(きょく)という言葉は、様々な意味を持ちます。
その中で、「最果て」、「はて」という意味を持っています。
地球上で、人工衛星が落ち着ける場所について紹介します。
地球上において、地理的な基準で到達するのが最も難しい場所をPole of Inaccessibility (到達不能極、あるいは到達不能困難極)といいます。
日本語の意味の通り、最果ての地を指しています。
言葉の意味としては、大陸(あるいは島)の海岸線から最も遠い陸地と海上のことを指しています。
高度や深度は関係なく、地球の球状の中で遠い場所という定義です。
そして、陸地から最も遠い海上地点は、陸地から2,690km離れている48°52.6'S 123°23.6'Wにあります。
北にピトケアン諸島のデュシー島
北東にイースター島の属島モトゥ・ヌイ
南に南極のマリーバードランド・サイプル島沖のメイハー島
ここは、宇宙機の墓場(スペースクラフト・セメタリー、spacecraft cemetery)と呼ばれ、大気圏に突入した人工衛星や宇宙船が沈んでいます。
多くは大気圏突入により燃え尽きるのですが、一部のコンポーネント(燃料タンクなど)は高熱に強いチタン合金やステンレス鋼で製造されているため残ってしまうのです。
また、別名、ポイントネモ(ポイント・ネモ、Point Nemo)とも呼ばれています。
ラテン語で"誰も"という意味で、SF小説家ジュール・ヴェルヌの作品の登場人物であるネモ船長が由来といわれています。
また、小説家であるハワード・フィリップス・ラヴクラフトの作品「クトゥルフの呼び声」で架空の都市ルリエの場所としています。
ちなみにグーグルマップにおいて「NEMO」と検索すると該当地域に跳ぶことができます。
宇宙の墓地としては、1971年に初めて使用されて以来、NASAに限らず多くの宇宙機関の人工衛星が眠っています。
過去から使用されてきてはいますが、海洋の極として発見されたのは1992年で、それまでは明確に海洋の極だから宇宙船の墓場として使用されていたわけではないようです。
前述した正確な位置も2007年の公表されたアルゴリズム"Poles of inaccessibility: A calculation algorithm for the remotest places on Earth"によって明確にされました。
現在、この墓地で最も有名な宇宙船は、ロシアの宇宙ステーション(サリュート、ミール)の船体が沈んています。
日本のHTV(こうのとり)も、ロシアやヨーロッパの補給船、SpaceXロケットも静かに休んでいます。
現在では、2015年までに263機以上の宇宙船が眠っているのです。
ちなみにこの海域は、地球上の中に含まれる生物の栄養が最も低く貧栄養細胞(低栄養細胞)が生息し、海洋生物も少なく、世界で最も澄んだ海域とも言われています。
関連資料
Pole of inaccessibility - Wikipedia
Garcia-Castellanos & Lombardo, 2007
Pole of inaccessibility - Wikipedia
Where Do Old Satellites Go When They Die? | NASA Space Place – NASA Science for Kids
Spacecraft Cemetery – New Zealand - Atlas Obscura
「到達不能極」にたどり着いた南極遠征隊が見たシュールな光景 - オーストラリア 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
延々と燃え続ける「地獄の門」や世界最小国家「シーランド公国」など、地球上に散らばる8つの不思議なスポット - GIGAZINE
そこは『到達不能極』、日本で一番海から遠い地点に行ってきた! :: デイリーポータルZ
https://matadornetwork.com/read/plan-trip-eurasian-pole-inaccessibility/
The South Pacific Gyre — Captain Charles Moore
There's a 'Desert' in The Middle of The Pacific, And We Now Know What Lives There
The Great Pacific Garbage Patch | The Ocean Cleanup