JAXAとNASAの宇宙関連のギネス世界記録7選
JAXAとNASAなどの宇宙に関わるギネス記録をまとめました。
[目次]
- 世界初の小惑星からの物質を持ち帰った探査機はやぶさ
- 最小の軌道ロケット SS-520 5号機
- 最も低い地球観測衛星の軌道高度 技術試験機「つばめ」(SLATS)
- その他の日本の宇宙関係
- NASAのギネス記録3選
世界初の小惑星からの物質を持ち帰った探査機はやぶさ
2003年5月9日に内之浦宇宙空間観測所から打上げられた探査機はやぶさは、2005年に小惑星イトカワに到達しました。
その約5年後の2010年6月13日に、小惑星イトカワの物質を持ち帰り、いわゆるサンプルリターンを世界で初めて成功させました。
この成果はのちの小惑星探査機はやぶさ2に踏襲されて、2020年に資料が入ったカプセルを地球に着陸させました。
ちなみにはやぶさ2は現在も別の小惑星に接近し観測するために2021年現在も運用中です。
最小の軌道ロケット SS-520 5号機
2018年2月3日に内之浦宇宙空間観測所から打上げられたJAXAの観測ロケットSS-520 5号機が、「smallest orbital rocket」としてギネス世界記録に認定されました。
観測ロケットSS-520は、全長9.65m直径0.52mでだいたい電柱サイズと称しているところもあります。
SS-520 5号機は、東京大学で開発された超小型衛星「たすき」(TRICOM-1R)を軌道投入に成功しました。
SS-520の人工衛星などの搭載ペイロードは3㎏で、たすきは3Uと呼ばれる全長30cmで両幅10cmのCubeSat級衛星です。
SS-520 4号機でも小型衛星を搭載していたが、ロケットのテレメトリが途中で断絶され、軌道投入が失敗しています。
ちなみに、現在JAXAが運用している観測ロケットはS-310(到達高度150km)、S-520(到達高度300km)、SS-520(到達高度800km)の3機種です。
最も低い地球観測衛星の軌道高度 技術試験機「つばめ」(SLATS)
軌道高度200~300kmでは、地球に存在する大気抵抗や原子状酸素のため、地球観測衛星には不向きであるとされていました。
超低高度衛星技術試験機「つばめ」(SLATS)は、167.4kmで7日間の軌道保持を行い、ギネス世界記録認定とされました。
2017年12月23日に打上げられたSLATSは、271.1km以下の低軌道保持運用を2019年9月30日まで行い、2019年10月1日に停波されました。
SLATSは、イオンエンジンを用いて軌道高度を保持する技術を実証しました。
実用的には、より高高度の地球観測衛星よりも高い分解能での画像データの取得を可能とすることです。
高度が低ければ、同程度のサイズの人工衛星の地球観測データよりもより高分解能の衛星データを取得することができます。
ロケットペイロードや観測装置のサイズの物理的制限により困難な分解能を実現することができます。
科学的には、観測ロケットよりも長期間の観測が可能となります。
その他の日本の宇宙関係
JAXA以外でも日本の宇宙関係では、いくつかギネス世界記録認定されています。
トヨタ自動車、電通、東京大学先端科学技術研究センター、ロボ・ガレージによる共同プロジェクト「KIBO ROBOT PROJECT」が協力したプロジェクトを1つあげておきます。
2013年に種子島から打ち上げられ、国際宇宙ステーションでロボット宇宙飛行士として1年6か月程度の任務をおこなったKIROBO(キロボ)が「地上から一番高い場所で対話をしたロボット」と「初めて宇宙に行った寄り添いロボット」としてギネス世界記録認定されています。
KIROBOは若田光一宇宙飛行士と共に国際宇宙ステーションで実験を行い、2015年2月11日に地球へ帰還しています。
NASAのギネス記録3選
NASAによるギネス記録の一部は、ギネス公式にてまとめられています。
大気圏を越えた"ギネス世界記録:NASAによる60年の宇宙開発と、樹立・更新したギネス世界記録14選
その中で気になるものを一部抜き出してみます。
1966年:2機の宇宙機による、史上初のドッキング
有人の宇宙船であるジェミニ8号を操作して、アジェナ標的衛星とドッキングを成功させたというものです。
現在、JAXAの国際宇宙ステーションの補給機(HTV)やSpaceXの貨物輸送宇宙船ドラゴンのようにロボットアームを使用したものではありません。
このエピソードは、史上初のドッキングというより、ジェミニ8号機の推進系の故障により宇宙船が回転し始め、ニール・アームストロングとデービッド・スコットがどうにか地球上へ着水するに至った事故の方が有名な話ですね。
ちなみに、ジェミニ8号の乗組員であるニール・アームストロングは、アポロ11号のアームストロング船長です。
1976年:火星への着率にはじめて成功した探査機
火星に初めて到着した探査機は、ソビエト連邦のマルス3号機だったそうです。
しかし、ミッションの成功まではいかなったそうで原因不明の故障にて数十秒の信号を飛ばしただけでした。
成功した探査機は、1976年に打上げられたソビエト連邦のバイキング1号です。
火星上で土壌や大気などのデータを取得し、約6年もの間、取得したデータを地球に送信し続けました。
2011年に打上げられ、2012年8月に火星に着陸。
現在も運用されているマーズ・サイエンス・ラボラトリー(Mars Science Laboratory、 MSL)と、探査機ローバーのキュリオシティ(Curiosity)。
2020年に打上げられ、2021年2月に着陸。
同じく現在も運用されているマーズ2020(Mars 2020)と、探査機ローバーのパーサヴィアランス(Perseverance)と小型の火星用ヘリコプターのインジェニュイティ(Ingenuity)。
現在火星で活動を続けている2機の探査機のデータとも比較されているようです。
1990年:世界最大の宇宙望遠鏡
1990年にスペースシャトルで打ち上げられたハッブル宇宙望遠鏡が、長さ13mを誇り、宇宙に設置された最も大きな望遠鏡として記録されています。
望遠鏡に納められている主鏡は直径2.4メートルで、大気の影響を受けないことから高精度の天文観測が可能となっています。
次世代機のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が予定されていますので、その内に塗り替えられことでしょう。
参考資料
「はやぶさ」ギネス世界記録に認定
https://www.isas.jaxa.jp/j/topics/topics/2011/0613.shtml
https://www.isas.jaxa.jp/missions/spacecraft/past/hayabusa.html
https://www.hayabusa2.jaxa.jp/
SS-520 5号機がギネス世界記録®︎に認定されました
https://www.isas.jaxa.jp/topics/001352.html
S-310/S-520/SS-520(観測ロケット)
https://www.jaxa.jp/projects/rockets/s_rockets/index_j.html
超低高度衛星技術試験機「つばめ」(SLATS)がギネス世界記録(R)に認定されました
https://www.jaxa.jp/press/2019/12/20191224a_j.html
超低高度衛星技術試験機「つばめ」(SLATS)の運用終了について
https://www.jaxa.jp/press/2019/10/20191002a_j.html
宇宙から帰還したトヨタの「キロボ」が会見、ギネス認定へ!
https://clicccar.com/2015/03/30/300752/
ロボット宇宙飛行士 KIROBO、2つのギネス世界記録に認定
https://response.jp/article/2015/03/27/247626.html
大気圏を越えた"ギネス世界記録:NASAによる60年の宇宙開発と、樹立・更新したギネス世界記録14選
アポロ11号アームストロング船長の知られざる偉業
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/04/11-27_1.php
人類初の火星着陸から40年。バイキング1号のアナログデータ復元を目指すNASAの科学者
NASA's Viking Data Lives on, Inspires 40 Years Later
https://www.nasa.gov/feature/goddard/2016/nasas-viking-data-lives-on-inspires-40-years-later
The Mars Helicopter Ingenuity: A deep dive into its 6-pack
https://www.linkedin.com/pulse/mars-helicopter-ingenuity-deep-dive-its-6-pack-damien-frost