往時宇宙飛翔物体 システム機械設計屋の彼是

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人工衛星の設計・製造・管理をしていた宇宙のシステム・機械設計者が人工衛星の機械システムや宇宙ブログ的なこと、そして、横道に反れたことを覚え書き程度に残していく設計技術者や管理者、営業向けブログ

【宇宙機と火山】確立してきた人工衛星による火山観測

人工衛星による取得データと火山活動

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人工衛星で火山を観察するという記事から人工衛星データの使用方法をまとめてみました。

 

光学画像:火山の噴火、溶岩の流出、被害状況

近赤外・紫外域画像:噴煙の影響状況、火山の被害状況

SAR画像:地殻変動(5cm程度)で事前の予兆、事後の地殻変動、火山活動の収束

 

まあ、だいたいこのぐらいになります。

 

 

この中で光学画像は比較的に事前の知識がなくても判断が容易です。通常のデジタルカメラと同じであるため、手が出やすいといえるでしょう。

火山の噴火時の規模や噴火口を確認することができます。それらの情報があれば、危険レベルの把握に役立つでしょう。

 

近赤外・紫外域画像は、近赤外や紫外域で確認できる情報を持っている必要ですが、その知識があれば、光学画像では確認できない、というか視認できない情報を判別できるでしょう。はるか上空では、森や植物、水分量の判別ができないため、それらを判別できる近赤外・紫外域で情報を補足することが可能です。

 

SAR画像も近赤外・紫外域画像と同じく、光学画像を補足する面が強いですが、天候(雲や気温)に寄らず物体の形状を可視化することができるという強みがあります。光学画像のように色彩がないため、1枚だけでは判別つかないことも多いので、専門的な知識が必要となります。

複数の画像を解析することで、地殻変動の微細な変化も確認できるため、火山をはじめ地理情報や地理の変化情報の取得を多く使われることが可能です。

 

 

SAR画像の記事は後述しますが、SAR画像の用語で非干渉領域という用語があります。これは合成開口レーダのレーダーを照射しても、何かしらの影響で反射してしまい、人工衛星に戻ってこずにデータが取得できなかった領域を示します。反射してしまう物体は、たいていは滑らかな表面であり、火山の場合は堆積物により反射が返ってこないため、堆積物(火山灰や噴火物)であると経験上分かってきています。

この情報があれば、後述の記事も読みやすいでしょう。

 

人工衛星の画像で火山活動を観測していく理由としては、次のような理由が挙げられています。

  • 火口付近に設置した傾斜計やGPS(全地球測位システム)観測装置を設置するのですが、すべての火山をまかなうには十分なインフラが整っていない点
  • 火山活動が活発化すると火口周辺は立ち入りにリスクが生じる点

日本のように火山活動が活発で、設備投資が可能であれば、活動が活発な火山のインフラを整えていくことは可能ですが、海外では、設備投資の面でまだ追いついていなかったりしているのかもしれません。

日本の技術を保険という形も含めて海外へ展開していった方が、サービスとしては広がりを見せるかもしれません。

 

近年はドローン技術もあり、観測機器を搭載することで火山ガスや地表の温度を測定することもできます。

ドローンはともかく観測機器の入手性が容易になれば、より多くの情報を素早く取得できるでしょう。

 

参考

災害時の人工衛星活用ガイドブック 土砂災害版

http://www.mlit.go.jp/common/001227722.pdf

 

噴火後から溶岩を流れを分析

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提供:NASA

人工衛星の光学画像を使用した例

 

2013/1/6の記事

ロシア、トルバチック火山の噴火を人工衛星から見る

ロシア、トルバチック火山の噴火を人工衛星から見る | レスポンス(Response.jp)

2018/10/10

インド洋唯一の火山バレン島が噴火 人工衛星がとらえる

インド洋唯一の火山バレン島が噴火 人工衛星がとらえる! | ハザードラボ

2019/6/26

 千島列島ライコーク火山の噴火のすさまじい様相がNASA人工衛星の撮影などで明らかに

https://earthreview.net/scene-of-raikoke-volcano-eruption-june-2019/

キラウエア火山が爆発的噴火、被害地域の1年前の衛星写真と今の写真

キラウエア火山が爆発的噴火、被害地域の1年前の衛星写真と今の写真 | BUSINESS INSIDER JAPAN

 

噴火後からの噴煙を分析

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提供:NASA

人工衛星の観測データ画像を使用した例

 

アイスランドの火山噴火の観測。

近赤外域、可視域、紫外域の太陽光を観測したデータを3日毎に取得した。

■2010/4

人工衛星「いぶき」が捉えたアイスランドの火山噴火の噴煙

人工衛星「いぶき」が捉えたアイスランドの火山噴火の噴煙写真を公開:国立環境研究所 | (旧)ウィークリー:つくばサイエンスニュース

記事の情報から読み取ったのは以下の通りである。

  • 近赤外域、可視域、紫外域の太陽光の観測データで噴煙の様子が捉えられる
  • 噴煙の拡大範囲(濃淡)

 

地殻変動といった微細な活動を確認

 

火山噴火予知、新手法に挑む 人工衛星、ドローンで地表やガス観測

Listening:<科学の森>火山噴火予知、新手法に挑む 人工衛星、ドローンで地表やガス観測 - 毎日新聞

 「だいち2号」を利用した宇宙からの火山活動の監視

http://www.mlit.go.jp/chosahokoku/h27giken/program/kadai/pdf/jusyo/5_inob2_1.pdf

人工衛星データを用いた硫黄島地殻変動の調査結果について

https://www.jma.go.jp/jma/press/0701/12a/yochiren070112.pdf

火山活動の評価及び噴火活動の把握に関する共同研究平成 27 年度成果報告書

https://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/kaisetsu/CCPVE/EISEI/201603/report.pdf

  インドネシア・クラカタウ火山の噴火に伴う地形変化

https://tiisys.com/blog/2018/12/25/post-16954/

 

 

参考

www.nippyo.co.jp

 https://www.nippyo.co.jp/shop/book/7430.html  

衛星から噴火はこう見える! キラウェア火山観測の光学・SAR比較

衛星から噴火はこう見える! キラウェア火山観測の光学・SAR比較 | 宙畑  www.krcnet.co.jp

www.bosai.go.jp

www.zakzak.co.jp

人工衛星を利用した火山変動の観測

http://www.kazan-g.sakura.ne.jp/J/koukai/03/murakami.html

earthobservatory.nasa.gov

www.natureasia.com

www.mitsubishielectric.co.jp 

earthobservatory.nasa.gov