人工衛星はなぜ、ロケット分離後に展開機構を動作させるのか?
ほとんどの人工衛星は、ロケットから分離後に何かしら展開機構を持つことが多いです。
理由の一つとしてロケットに搭載できるサイズが決まっているからです。
展開した状態ではロケットに収まらないからです。
さらにロケットを打ち上げるときに、人工衛星の受ける振動環境が厳しいというのも理由です。
人工衛星はロケットに搭載するために、可能な限り減量を行うのです。
展開機構にて展開するものに太陽電池パネルが多いですが、太陽電池パネルもその骨組みも軽量化の対象となり、案外スカスカのことが多いのです。
さらに振動で壊れやすいのは、駆動する箇所なので、太陽電池パネルを展開するときの蝶番のようなものも壊れやすかったりします。
壊れてしまわない様に固定点を増やしていくのですが、展開機構はその固定点を外すために作動するのです。
太陽電池パネル以外で展開する機器
太陽電池パネルのほかに、アンテナも人工衛星によっては駆動します。
駆動する理由はもちろん、長く地球にある地上局である電波受信施設のアンテナと通信するためでもあります。
アンテナの電波は、大気をはじめ様々な地球環境で弱くなってしまうのだ。そのためにずっとアンテナ同士を向き合わせる必要があります。
さらに、アンテナはサイズが大きい方が有利なことが多いので、宇宙空間でアンテナを伸ばすような展開機構が取り付けられるのです。
話は戻り、人工衛星が分離した後に、比較的早く太陽電池パネルが展開するのには理由があります。
電力が必要なんです。
初期から内蔵している電池はあるのですが、先の記事にも上げたが、温度に弱い機器を守るために電力を流したり、通信するために通信機に電力を流していく必要があります。
さらに、電池は人工衛星の中でかなりの重量比率を持っており、泣く泣く蓄電池の本数を減らして減量することもあり得るのです。
他にも、ロケット内の塵や、打ち上げ直後の環境に耐えられません。精密な機器を守るために、光学機器(望遠鏡)に蓋をするという衛星もいくつか存在しています。
打ち上げ直後ではなく、目的によって、各々のタイミングで展開機構は作動するのですね。