往時宇宙飛翔物体 システム機械設計屋の彼是

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人工衛星の設計・製造・管理をしていた宇宙のシステム・機械設計者が人工衛星の機械システムや宇宙ブログ的なこと、そして、横道に反れたことを覚え書き程度に残していく設計技術者や管理者、営業向けブログ

防衛白書 令和2年版を振り返り読み解く宇宙領域

産業面から見る防衛白書 令和2年版

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技術だけではなく、国の政策からも宇宙領域をみたことはあるでしょうか?

 

利用者からすれば、注意している方は少ないかもしれませんが、開発者や事業者からすれば政策にまつわる補助金や、業務委託という形でお客様になります。

 

国防とか技術面は横に置いておいて、今回はなるべく、産業面から防衛白書を読み解いていきます。

 

ただ、防衛面での宇宙事業関係の場合は、既知の技術や製品を使い、安全や信頼性が高いものを使用しているイメージがあります。

これは新規の研究開発や実証実験レベルがとても少ないということです。

 

防衛を見据えた宇宙用製品を開発する場合は、すでに他の製品などで関わりがなければ、防衛特化ではなく産業で十分に有用である結果がなけれなならないことに注意しておく必要があります。

 

最初からアイディア先行のスタートアップで防衛目的で販売しても誰も買わない、ということです。

 

興味を示し、情報収集のための接触はあるかもしれませんが、開発の時間を考慮すると、何年もスタートアップ企業のスポンサーとなることはやや少ないといえます。

昨今の予算事情では、文科省内閣官房のような予算がないため、難しいでしょう。

 

現在の予算を増やすという話もありますが、決まっていないことは仮定とすることは避けます。

それに明言しているのは文科省の大臣であるため、長期計画としても、入れるのは止めておいた方がいいでしょうと先に述べておきます。

 

「特集2 新たな領域 宇宙領域 サイバー領域 電磁波領域」

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一般知識として 、宇宙空間に利用されるものとして、各種の観測衛星、通信・放送衛星、測位衛星などが打上げられているとあります。

 

現在、ビックデータであったり、画像解析に提供される画像を取得するリモートセンシング衛星とも呼ばれる人工衛星は、観測衛星に分類されます。

 

これら人工衛星とは別に、宇宙空間利用において特に注意されるものとして2点あげられています。

  1. スペースデブリ宇宙ゴミ
  2. 人工衛星に接近して妨害・攻撃・捕獲するキラー衛星

 

この2つを如何様に対応していくべきか、議論に上げられています。

書き様から、どのように取り組むべきなのか情報収集と試作検討段階、製品調達で進めているというところでしょうか。

 

国防という観点から、内部組織内、あるいは古くから付き合いのある信頼できる企業を利用してでの情報収集などの初期検討を取り組んでいることでしょう。

 

宇宙空間利用だけではなく、防衛白書では、サイバー領域と電磁波領域について記載されており、この3つの新領域と従来の陸・海・空を融合させることを検討しているようです。

 

サイバー領域については、情報としては2010年代の話で古いですが、こちらの情報が役に立つかもしれません。

mechanical-systems-sharing-ph.hatenablog.com

 

電磁波領域については、実は宇宙業界と切り離せない領域でもあります。

まあ、宇宙業界は産業としての裾野が広いので、切り離せない領域は多いかもしれませんけどね。

 

宇宙領域をめぐる動向

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防衛という面ではどのような衛星が使用されているでしょうか。

 

防衛白書には次のようなものがあげられています。

 

  1. 軍事施設・目標偵察用の画像収集衛星
  2. 弾道ミサイルなどの発射を感知する早期警戒衛星
  3. 電波信号などを収集する電波収集衛星
  4. 各部隊間などの通信を仲介する通信衛星
  5. 艦艇・航空機の測位・航法・時刻同期や武器システムの精度向上などに利用する測位衛星

 

この中で、自衛隊が保持している衛星は、おそらく通信衛星ぐらいではないでしょうか。

 

画像収集衛星や測位衛星は、内閣府側で持っています。

しかし、自衛隊は独自性が強い印象を受けるため、画像収集衛星の画像データなどは気軽に手にすることは難しいような気がします。

 

最初からそのつもりなら、防衛庁で研究開発費を取得して独自で人工衛星を開発すればいいもののとは思います。

 

まあ、軍事色が強くなるのを避けるためかもしれないですけどね。

 

同じことは内閣府が管理?運用?している測位衛星である準天頂衛星にも同じことが言えます。

 

ただ、準天頂衛星は、割と情報がオープンな方なので情報提供は難しくないかもしれません。

 

さらに、早期警戒衛星と電波収集衛星は、日本政府内では調査研究レベルで、影も形もありません。

 

そういう意味では、ねらい目なのかもしれませんね。

 

このうち、早期警戒衛星は即応性衛星と関連つけられているため、5年以内には実現の目途が立ちそうですけどね。

 

 

そんな一方で、宇宙作戦隊の内容が報道されました。

 

そこでは人工衛星の動きを分析し予測しているそうです。

主な目的は、日本の人工衛星を敵対攻撃から守るというものですね。

この「日本の人工衛星」はどこまでの範囲に入るのかちょっと知りたい気がしますね。

 

ひまわりのような気象観測衛星はもちろん、情報収集衛星といった政府衛星だけではなく、いわゆる、宇宙活動法で登録された人工衛星も入るのでしょうかね。

 

人工衛星の管理に関わる許可申請書などを見ると、軌道情報を提供することで独自に軌道を監視することができます。

 

人工衛星の構造の記載もあるため、高精度の観測機器なら地球上から、人工衛星を観測できるかもしれません。

 

宇宙活動法も細かい箇所が改訂されているため、何か宇宙作戦隊などに情報を提供するようなことがどこかに記載されているかもしれませんね。

 

 参考資料

宇宙関係予算について

https://www8.cao.go.jp/space/budget/yosan.html

令和2年度当初予算案及び令和元年度補正予算案における宇宙開発利用関係予算について

https://www8.cao.go.jp/space/budget/r02/fy02yosan_01hosei.pdf

自衛隊「宇宙作戦隊」の訓練 報道陣に公開

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201216/k10012767621000.html