往時宇宙飛翔物体 システム機械設計屋の彼是

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人工衛星の設計・製造・管理をしていた宇宙のシステム・機械設計者が人工衛星の機械システムや宇宙ブログ的なこと、そして、横道に反れたことを覚え書き程度に残していく設計技術者や管理者、営業向けブログ

基本宇宙計画の重点事項(2022年5月版)の内容を年表で書き出してみた

基本宇宙計画とは

基本宇宙計画は、宇宙の大きな可能性と、現在我が国が直面している厳しい状況を認識し、今後20年を見据えた10年間の宇宙政策の基本方針を以下のとおり定め、官民の連携を図りつつ、予算を含む必要な資源を十分に確保し、これを効果的かつ効率的に活用して、政府を挙げて宇宙政策を強化していくものです。

 

今回参照するのは、令和2年6月30日閣議決定された基本宇宙計画を元に策定された、令和3年12月28日宇宙開発戦略本部決定された基本宇宙計画工程表(令和3年度改定)における、令和4年5月20日宇宙開発戦略本部にて示された宇宙基本計画工程表改訂に向けた重要事項を元にまとめました。

 

宇宙基本計画工程表改訂に向けた重要事項は次の改訂に向けた重点事項をまとめたものなのですが、各重点項目でまとめていることから年代が分かりにくい側面があります。

 

さらに上位の基本宇宙計画工程表に年表がありますが、各項目でまとめられていることから、年間分けでまとまった情報がありません。

 

ということで勝手にまとめました。太字は重点項目ですね。

2021年度
  • 11 月にロシアが衛星破壊実験を行った
2022年度
  • X バンド防衛衛星3 号機を打ち上げる。
  • 即応型小型衛星システムである短期打上型小型衛星の実証を打ち上げる
  • SAR、AIS 複合利用で把握した船舶情報や各種衛星情報等との組み合わせにより船舶の識別や行動を分析するデータを取得するALOS-4を打ち上げる
  • 宇宙状況把握運用システムの一部として整備する民間事業者等に宇宙状況把握に関する情報を無償提供する機能の運用試験を行う
  • 準天頂衛星システムの衛星安否確認サービスとスマートフォンによるアドホックネットワーク技術を組み合わせ、一般の通信回線が途絶した状態でも、比較的低コストで広範囲に渡って災害直後から安否情報の収集等が可能になる技術を開発し、システムの評価を継続して実施する
  • X線分光撮像衛星(XRISM)及び小型月着陸実証機(SLIM)を打ち上げる
  • 商業デブリ除去関連技術実証に取り組む
  • 衛星通信における量子暗号技術の基盤技術を確立する
2022年度以降
  • HTV-X の 1号機、2号機、3号機を打ち上げる
2023年度
  • 宇宙状況把握システムの運用開始する
  • 気象庁総務省が連携して、台風・集中豪雨の監視・予測、航空機・船舶の安全航行、地球環境や火山監視等、線状降水帯等の予測精度向上に向け、大気の3次元観測機能など最新の観測技術を導入した次期静止気象衛星の製造に着手する
  • 温室効果ガス観測センサ 3 型(TANSO-3)、高性能マイクロ波放射計 3(AMSR3)及
    び両センサを搭載する温室効果ガス・水循環観測技術衛星(GOSAT-GW)を打上げる
  • イプシロン S ロケットの実証機を打ち上げる
  • 準天頂衛星システム7 機体制構築
  • 宇宙状況把握運用システムの一部として整備する民間事業者等に宇宙状況把握
    に関する情報を無償提供する機能の本格運用を開始する※政府側と民間側で意図的に分けられているのか不明
  •  ESA が行う衛星システムEarthCARE/CPRの打ち上げる(日本側は支援する)
  • 革新的衛星技術実証プログラム3号機を打ち上げる
  • フルデジタル通信ペイロードを搭載した技術試験衛星9号機を打ち上げる
2023年度以降
  • JAXA の宇宙状況把握システム(レーダ、光学望遠鏡および解析システム)を用いて、解析能力の向上を行うとともに、防衛省が運用する我が国の宇宙状況把握システムへ観測データを共有し、我が国の宇宙状況把握能力の強化を図る
  • 宇宙分野の人材育成の強化に向けた検討を行う
2024年度
  • 人類初の火星圏からのサンプルリターン実現に向け、火星衛星探査計画(MMX)の探査機を打ち上げる
  • 深宇宙探査技術実証機(DESTINY+)を打ち上げる
  • 海外向け高精度測位補強サービス(MADOCA-PPP)の実用サービスを開始する
  • 災害・危機管理通報サービスによる配信情報の拡張のためのシステムを運用開始する
  • 測位信号のなりすまし(スプーフィング)を防ぐ信号認証機能の正式運用を開始する
  • 将来の宇宙輸送システムの研究開発の、国際協力による1段再使用飛行実験を行う
  • アジャイル開発・実証の実現に向け、小型技術刷新衛星研究開発プログラムの衛星として 2024 年度に初号機を打ち上げ、実証実験を行う
  • 革新的衛星技術実証プログラム4号機を打ち上げる
2020年代前半
  • 国内での事業化を目指す内外の民間事業者における取組状況や国際動向等を踏まえ、必要な環境整備の在り方及びその実現に向けた進め方について、早期に具体化する
2025年度
  • 地球低軌道から地上へのマイクロ波方式によるエネルギー伝送の実証を開始する
  • 災害・危機管理通報サービスのアジア・オセアニア地域での正式運用を開始する
  • 日本の民間事業者による小型 SAR 衛星コンステレーションの構築する(国側としては支援する)
  • 欧州宇宙機関と協力し、国際水星探査計画(BepiColombo)の探査機の水星到着し、運用を開始する
  • 高精度な航空用の衛星航法システム(SBAS)の整備のため、準天頂衛星 7 機体制による安定した測位補強サービスを開始する
2025年度以降
  •  ISS 運用期間への参加の可否については検討中
  • 商業デブリ除去技術実証を取り組む(2022年度は関連技術実証)
2026年度
  • 宇宙状況監視衛星(宇宙設置型光学望遠鏡)を打上げ、宇宙状況把握システムの体制強化を完了する
  • 高感度太陽紫外線分光観測衛星(Solar-C(EUVST))を打ち上げる
2027年度
  • 赤外線位置天文観測衛星(JASMINE)を打ち上げる
2028年度
2029年度
  • 線状降水帯等の予測精度向上に向け、大気の3次元観測機能など最新の観測技
    術を導入した次期静止気象衛星を運用開始する
  • 人類初の火星圏からのサンプルリターン実現する
2020年代後半
  • 日本人の月面着陸の実現を図る
2050年
参照サイト

宇宙基本計画 - 内閣府

https://www8.cao.go.jp/space/plan/keikaku.html

重点事項(令和4年5月20日 宇宙開発戦略本部決定)

https://www8.cao.go.jp/space/plan/plan2/kaitei_fy04/juten_all.pdf