往時宇宙飛翔物体 システム機械設計屋の彼是

往時宇宙飛翔物体 システム機械設計屋はのたもうた

人工衛星の設計・製造・管理をしていた宇宙のシステム・機械設計者が人工衛星の機械システムや宇宙ブログ的なこと、そして、横道に反れたことを覚え書き程度に残していく設計技術者や管理者、営業向けブログ

2026-01-01から1年間の記事一覧

応力拡大係数(SIF)と亀裂進展の評価について

CAE解析結果の妥当性を説明できますか?応力拡大係数(SIF)の基礎から、NASA/BS7910規格に基づく欠陥許容設計の実践法までを解説。Excelでの計算式やParis則による寿命予測など、設計レビューで数式的根拠を求められる実務者必見の技術ガイドです。

プロジェクト振り返りで見直す設計のつながり:System of Systems(SoS)とSEBoKの視点

1. 設計レビューで見落としがちな“つながり”とは? あなたの設計は、なぜ現場で“うまく噛み合わなかった”のか? プロジェクトの振り返りで、そんな問いに直面したことはありませんか? 要求の変化、接続仕様の不整合、運用中の設計変更…。それらは単なるミス…

「仕事を手放す」技術 — 抱えるタスクを成長の機会に変える5つのフレームワーク

なぜあなたの速度がチームのボトルネックになるのか? テックリードや中堅技術者であるあなたは、チームで最も頼りにされる存在かもしれません。 しかし、「自分でやった方が速い」とタスクを抱え込み、あなた自身がチーム全体の**「渋滞の先頭(ボトルネッ…

人工衛星の金色の表面である多層断熱材(MLI)と金箔の関係

人工衛星が「金箔」に包まれているように見えるのは、多層断熱材(MLI:Multi-Layer Insulation)という熱制御デバイスを使用しているためです。 金色の正体: 本物の金ではなく、琥珀色のポリイミドフィルム(カプトン)と、裏面に蒸着された銀色のアルミニ…

線形破壊力学(LEFM)の設計応用について

CAE解析結果の妥当性に悩むエンジニア必見。応力拡大係数(K値)の基本式からExcelでの計算、NASA-HDBK-5010BやMMPDS等の国際規格に基づいた設計判断基準を徹底解説。材料の異方性(L-T/S-L方向)や形状係数Yの注意点など、設計レビューで勝てる数数的根拠の…

光学アライメントと地上試験の技術入門

はじめに:なぜ光学アライメントが大切なの? 人工衛星や宇宙望遠鏡のような精密な機械では、「どこを向いているか」「どこに光が届いているか」がとても重要です。たとえば、地球を観測するカメラが少しでもズレていたら、撮影した画像がぼやけたり、正しい…

ビル・ゲイツが「鶏」に投資する4つの理由

ビル・ゲイツ氏が『極貧生活なら鶏を飼う』と断言した理由を知っていますか?本記事では、ゲイツ財団がアフリカで成功させた経済モデルを徹底解説。さらに、その知恵を日本の震災対策に活かす『サバイバル養鶏』の具体的なステップまで、1次情報に基づき紹介…

図面から加工依頼・製作までのガイド

製品を形にするには、設計図面が必要不可欠です。しかし、図面は単なる設計者のメモではなく、加工現場や品質管理、購買、営業など多くの関係者と情報を共有するための「共通言語」です。特に板金加工や機械加工の現場では、図面の質がそのまま製品の品質や…

Lessons Learned(L&L)活用の手引き:現場の経験を仕組みに変えるための教訓管理テンプレート

このテンプレートは、NASAやJAXAといった宇宙開発機関で大切にされている「厳格な不具合分析」の考え方をベースに、日本の現場が育んできた「改善(Kaizen)」の精神と、現代のデジタル管理(DX)の利便性を一つの知見としてまとめた「現場の知恵を仕組みに…

多軸応力解析(von Misesなど)の設計応用について

von Mises応力の定義やExcel計算式、NASA・JAXA規格に基づく安全率の定義を徹底解説。CAE解析の結果を設計レビューで自信を持って説明するための実務ガイドです。多軸応力解析の妥当性評価やトラブル事例、推奨書籍まで、構造設計者に必要な情報を網羅。

精密位置決め技術入門:宇宙分野での応用

はじめに 精密位置決め技術は、地上の製造業や医療機器だけでなく、宇宙開発の分野でも重要な役割を果たしている。宇宙では、真空、放射線、極端な温度変化、通信遅延、重力差など、地上とはまったく異なる環境条件が存在する。こうした過酷な状況下でも、機…

【2026年版】「電波」から考える生存率の上げ方:国内の児童見守りや登山遭難と、世界を変える救助テック

2026年最新の見守り・救助技術を徹底網羅。国内定番のみてねみまもりGPSやココヘリから、欧州のLifeseeker、AI搭載のAngelSenseまで、電波の専門知識を基にデバイスの寿命や精度を比較。命を守るための正しい選択指針を提示します。

宇宙機械設計から考える“使いやすさ”──ヒューマン・マシン・インターフェース設計の実例と設計思想の変化

はじめに:宇宙機械設計における「使いやすさ」の再定義 宇宙産業では、機械設計における「使いやすさ(ユーザビリティ)」が、構造強度や軽量化と並ぶ設計品質の重要な要素として再評価されている。 特に、極限環境下での操作性、遠隔運用、保守性、持続可…

Lessons Learned(L&L)についてのガイド:意味、成果、組織に定着させるコツ

プロジェクトを終えた際、「やりっぱなし」になっていませんか? Lessons Learned(レッスンズ・ラーンド / レッスンラーン)は、プロジェクトの成功や失敗から得られた教訓を抽出し、将来の活動に役立てるための知見のことです。 正しくは「Lessons Learned…

ラッチ・ヒンジ部の応力解析と寿命設計について

1. 代表式 ラッチ・ヒンジ部は、展開構造や可動機構の中でも特に応力集中が生じやすい箇所です。 繰返し荷重や衝撃荷重が作用するため、設計では静的強度だけでなく、疲労寿命(fatigue life)の評価が不可欠です。 代表式は以下の通りです: σmax=Kt⋅σnom\s…

小型衛星の選定基準はどう違う?国内4社の技術的アプローチを比較

はじめに:選定者と技術者が共有すべき視点 人工衛星の導入は、単なるスペック比較ではなく、打ち上げ実績、納期の確度、製造能力、運用支援体制、解析機能、契約形態など多面的な要素を踏まえた判断が求められます。 本資料は、各社の公開情報・報道・技術…

人工衛星の運用コストを削減する地上局の選び方 GSaaS主要9社を比較【2026年最新】

人工衛星運用のボトルネック「地上局」の選定ガイド。2025年最新のGSaaS主要9社(AWS、KSAT、Infostellar等)を徹底比較。自前建設のコストや免許申請リスクを回避し、最速でミッションを成功させるための最適な選び方を解説します。

機械設計から考える“使いやすさ”──ヒューマン・マシン・インターフェース設計の基本と実践のポイント

1:はじめに ― ヒューマンインターフェースとは何か 私たちが日々操作する機械や装置には、必ず「人間が操作するための窓口」が存在します。それがヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)です。HMIは、単なる画面やボタンの配置ではなく、人間と機械の…

「打ち切り」の設計から「アップデート」の設計へ:SDS(Software-Defined Satellite)が変える衛星ライフサイクルの常識

1. 我々を縛り続けてきた「ハードウェアの牢獄」 宇宙開発の歴史において、常に「打ち上げ」という名の締め切りと戦ってきました。 フェアリングが閉じ、ロケットが点火されたその瞬間、衛星は物理的に隔離された「完成体」となり、以後10年から15年にわたり…

マイルズの式と振動応答の設計応用について

1. 代表式 振動環境下での構造応答を定量的に予測するために使われるのが、マイルズの式(Miles' Equation)です。 特にランダム振動(PSDベース)に対して、ピーク応答加速度を推定するための代表式として、宇宙機・航空機・精密機器の設計で広く用いられて…

QPS研究所の宇宙戦略:九州発SAR衛星で拓くリアルタイム観測網

はじめに:地方から世界へ QPS研究所は、九州大学発のベンチャーとして2005年に設立された。創業当初から掲げていたのは、「小型SAR衛星によるリアルタイム地球観測網の構築」という壮大な構想だった。だが、2017年から2019年にかけては、技術的にも資金的に…

2026年、50年ぶりの有人月探査へ挑むアルテミス2号の最終秒読み

1972年以来の有人月圏飛行となる「アルテミス2号」。2026年2月の打ち上げに向け、SLSロケットの圧倒的な推進力やオリオン宇宙船の再生型アミン生命維持システム、着水精度を高めるスキップ・エントリーなど、宇宙機設計の視点から最新技術を解説します。

劇薬「ヒドラジン」の安全知識:日常の異臭トラブル対策から、最先端の宇宙探査まで

そのアンモニア臭は大丈夫?日常に潜む「便利すぎる劇薬」の正体 掃除中や工場の近くでふと感じる「ツンとした刺激臭」。 多くの人は「アンモニア掃除のせいかな?」と見過ごしがちですが、実はその背後に、宇宙ロケットを飛ばすほどのエネルギーを持つ劇薬…

精密位置決め技術入門:業界別の技術進化とニーズ

はじめに 精密位置決め技術は、製品の性能や品質を左右するだけでなく、安全性・信頼性・生産性の向上にも直結する設計の核心技術である。ここでは、代表的な4つの業界における技術進化と、設計者が直面するニーズや課題を、具体的な事例を交えて整理する。 …

宇宙機光学系の清浄度維持技術 ― アウトガスによる性能劣化を回避する汚染対策 ―

1:導入 ― 汚染制御はなぜ光学設計の一部なのか 人工衛星や宇宙探査機に搭載される光学センサにとって、真空という環境は、地上では想像もつかない「目に見えない汚染」との戦いの場です。どれほどレンズの収差を極限まで抑え、ミラーの反射率を追求したとし…

宇宙機器設計やコンポーネント製品における制振・減衰・共振応答の技術ガイド

1:共振応答とQ値の基礎理解 1.1 Q値とは何か? Q値(Quality Factor)は、共振系の鋭さや選択性を示す無次元量であり、以下の式で定義されます: Q=ω0ΔωQ = \frac{\omega_0}{\Delta \omega} また、減衰比 ζ\zetaとの関係は: Q=12ζQ = \frac{1}{2\zeta} Q値…

熱応力(σ = EαΔT)と構造変形の補正について

1. 代表式 構造部材が温度変化を受けると、膨張または収縮が生じます。 この変形が拘束されると、内部に応力が発生します。これが熱応力(thermal stress)です。 代表式は以下の通りです: σ=EαΔT\sigma = E \alpha \Delta T ここで、 σ:熱応力 [Pa] E:ヤ…

Synspectiveの宇宙戦略:SAR衛星で描くスマートインフラの未来

はじめに:都市を見守る目としてのSAR 2018年に創業したSynspectiveは、宇宙から都市の変化を捉えるという明確なビジョンを掲げてスタートした。創業初期から注力していたのは、小型SAR衛星StriXシリーズの開発と、AIによる地上インフラの変化検出という二つ…

空から降る450kgの猛毒!燃料満タンの衛星USA-193はなぜ「ミサイル」の標的にされたのか?

今回はいつもよりラフな感じで送りします。 これからお話しするのは、2008年に実際に起こった、「疑惑」に満ちた真実の物語です。 「故障した人工衛星が燃料(推進薬)を積んだまま落ちてきたらどうなるのか?本当にミサイルで撃ち落とせるのか?」 今回はそ…

精密位置決め技術入門:未来の位置決め技術と設計者の役割

はじめに 精密位置決め技術の導入は、単なる部品選定ではなく、装置全体の性能・信頼性・操作性を左右する設計判断である。特に、宇宙・医療・半導体・分析機器などの分野では、μm〜nm級の精度と長期安定性が求められ、制御・構造・環境の相互作用を見抜く力…