人工衛星の構造体といえば、ハニカムパネルである。
ハニカムパネルは航空機に使われているが、電車にも使用されています。
山手線か京浜東北線か忘れましたが、ドアの近くに立ってみると気づきます。窓に貼り付けられているガラスの端からみると、ハニカムパネル端が観察できる。この事実は意外と多くの人に驚かれるのです。
人工衛星においては、ハニカムパネルを使用することは、すでに王道となっているのだが、もちろんハニカムパネルを使用していない場合もあります。
ハニカム構造以外にも金属の切り抜きにおけるアイソグリッド構造を使用した航空宇宙機もあります。
そんなハニカム構造の歴史をまとめました。
ハニカム構造の歴史
ハニカム構造の歴史を調べようとすると、かなり深い階層にあるのか日本語での情報はかなり少なかったのでまとめてみます。
西暦前60年、シケリアのディオドロスは、ダイダロスが、ロストワックス鋳造法により製造した金色のハニカムの物体について報告がされました。
西暦前36年、マーカス・テレンティウス・バロは、六角形(ハニカム構造)による幾何学的な構造が建築材料として最も効果的な構造であることを解明しました。
西暦前90~25年、後年の初期ルネッサンスのレオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロら芸術家や建築家に影響を与えた現イタリアのローマの建築家マルクス・ウィトルウィウス・ポッリオは、トラス構造の有用性を説いていました。
126年、イタリアのローマにあるパンテオン神殿のドーム天井にある内部のリブと、隠れた部屋にある一部にハニカム構造が使用され、これが初期のハニカム構造といわれているようです。
1570年、ハニカム構造ではありませんが、現イタリアのベニスの建築家であるアンドレア・パラディオ(Andrea Palladio)がトラスビーム構造を使用した建築物を多く建築しました。
その後、ハニカム構造については、1638年にガリレオ・ガリレイ、1665年にボイルの法則で知られるボイルの実験で使用した真空ポンプや初期のグレゴリオ望遠鏡を開発したロバート・フックが自然界におけるハニカム構造について言及しています。
1726年、ドイツの学者であるジェイコブ・ロイボルドが、建築の梁を補強するサンドイッチ効果について報告しています。
サンドイッチ構造を利用した建築については、1786年にビクター・ルイの鉄製サンドイッチビーム、1802年にジャン・バプティスト・ロンデレによる剛性の分析について示されました。
1830年、ロバート・スティーブンにより機関車のフレームに梁とサンドイッチ構造を使用して建設しました。
1859年、チャールズ・ダーウィンが、ハチの巣の構造がミツバチの労働効率化とミツバチの作るワックスにちょうど良い構造であると報告しています。
1877年、F.H.Küstermannは、紙用接着剤を使用したペーパーハニカム成形プロセスを発明しました。
1890年、Julius Steigelは、波形の金属板を使用したハニカム製造プロセスを発明しました。
1901年、ハンス・ハイルブルンは、六角形の紙ハニカムと拡張生産プロセスを発明しました。
1914年、R.HöflerおよびS. Renyiは、構造用途でのハニカム構造の最初の特許を取得しました。
1915年、ヒューゴユンカースは、航空機用途でのハニカムコアの特許を取得しました。
1924年、テオドール・フォン・カルマンは、航空機構造用のフェノール(ベークライト)樹脂を使用したポリマー複合スキンを使用したサンドイッチ構造で特許を取得しました。
1931年、ジョージ・トムソンは、装飾用のペーパーハニカムを吸音壁として使用することを提案しました。また、軽量石膏ボードパネルのコア材として、ペーパーハニカムを応用することで特許を取得しました。
1934年、エドワード・G・バッドは、波形の金属板に成形鋼板を挟むことでスチール製ハニカムサンドイッチパネルの製造し、自動車用に使用されました。
1937年、 クロード・ドルニエは、硬いコアセルにプラスチック製のシート(スキン)を押し付けたハニカムサンドイッチパネルの特許を取得しました
1938年、ノルマン・ド・ブリュインは、ハニカムサンドイッチ構造に適した構造接着結合の特許を取得しました。彼の開発したステンレス鋼とろう付けして使用されたハニカムパネルは、North American Aviation XB-70 Valkyrieの広域範囲で使用されたそうです。
1941年、ジョン・D・リンカーンが航空機のレドームにペーパーハニカムの使用を提案しています。
1948年、ロジャー・スティールは、繊維強化複合材のシートを使用し、拡張生産プロセスの再発明をしました。
1969年、航空機ボーイング747機は、デュポン社の開発した耐火性不織布アラミド繊維紙Nomexを使用してたペーパーハニカムを使用し、初めて広域でのハニカム構造を使用した航空機が製造されました。
1980年代、押出成形プロセスで製造された熱可塑性ハニカムが導入されました。
まあ、だいたいこんな感じですね。
まとめるのが長かったので今日はここまで。
実例はこちら
mechanical-systems-sharing-ph.hatenablog.com
mechanical-systems-sharing-ph.hatenablog.com
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関連資料
アイソグリッドCFRP円筒殻の圧縮特性
http://www.cit.nihon-u.ac.jp/kouendata/No.38/1_kikai/1-009.pdf
平成27年度航空機等に関する技術開発動向調査報告書
http://www.iadf.or.jp/document/report/H27-chosa-hokokusho.pdf