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人工衛星の設計・製造・管理をしていた宇宙のシステム・機械設計者が人工衛星の機械システムや宇宙ブログ的なこと、そして、横道に反れたことを覚え書き程度に残していく設計技術者や管理者、営業向けブログ

【品質管理】QC工程表が伝わらない

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QC工程表が伝わらなかった時があります。

そんな時にどういうものを書けばいいか伝える助けとなることを紹介します。

 

 

まとめると

「工程表を出してください」

「工程表に、加工、数量検査、品質検査、運搬を追加あるいは識別して書いてください」 

「工程表に、材料や使用する図面、数量、検査方法、JISなどの準拠規格を書いてください」

と順次お願いしてみてください。

 

ここまでは依頼する側ですが、以降は依頼された側での対応を書いていきます。

QC工程表は品質を明文化したもの

QC工程表、読み方としてはキューシー工程表と言います。

QCはQuality Controlの略です。

 

品質管理の用語の一つです。

 

QC工程表を作成していないグループのために、どんなものを作成したらいいか簡単に述べていきます。

 

対外的に品質を管理していることを示した工程表のことを言います。

そのままなんですね。

 

では品質をどのように管理しているのかを明文化したものなんですね。

 

そもそも工程表には何を書く?

そのそも工程表には何を書けばいいのでしょうか。

 

機械設計っぽく、金属加工にしましょう。

内容はフライパンでも、蛇口でも、マグカップでも何でもいいです。

 

ただし、量産品だとあまりQC工程表を外部から求められることがないので、一品ものを考えてみましょう。

 

  • 材料手配
  • 材料入着
  • 加工道具の選定/加工道具のスケジュールの確保
  • 加工道具の設定(プログラムなど)
  • 材料加工の実施
  • 材料洗浄
  • 材料の表面処理
  • 組立
  • 試験
  • ラベル作成
  • 箱詰め

 

だいたいこのぐらいにしておきましょう。

 

依頼側からすると、はじめにやっていただくことは

「工程表を出して下さい」

ということです。

 

QC工程表には何を書くべきか

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出された工程表の中の項目一つ一つに対する次の項目を割り当てていたり追加していきます。

 

  • 加工:原料、材料、部品または製品の形状、性質に変化を与える過程
  • 数量検査:量または個数をはかり、その結果を図面や仕様書、社内で決めたルールや規則と比較して、差異を確認する過程
  • 品質検査:品質特性(大きさ、表面粗さ(綺麗さ)、見た目)を試験し、その結果を図面や仕様書、社内で決めたルールや規則と比較して、合格、不合格、または、個品の良、不良を判定する過程
  • 貯蔵:材料、部品または製品を計画により蓄えている過程
  • 複合検査:数量検査と品質検査を行う。

 

依頼側からすると、次にやっていただくことは

「工程表に、加工、数量検査、品質検査、運搬を追加あるいは識別して書いてください」

ということです。

 

さらに細かく管理する

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まだまだ内容に満足できないという顧客のために、さらに細かく書いておく必要も出てきます。

 

 

  • 材料・材質:部品や原材料を記載
  • 仕様・図面:図面番号や社内基準や作業手順書・作業要領書番号、設計書番号など記載(※)
  • 人員:作業に関わる人員を記載
  • 時間:作業に必要な時間を記載
  • 設備装置:使用している機械や道具の型番や識別番号の記載
  • 数量:製造する製品の数や量を記載
  • 品質管理:次工程に引き渡すための判断基準を記載
  • 検査方法:大きさや厚さといった機械特性、外観、電気特性といった検査対象を記載
  • 記録:記録を残す対象を記載
  • 規格:社内独自規格、JIS準拠規格、ISO準拠規格を記載

※製造する製品が示された文書を示します。製造するに必要な文書類を明確化します。

 

この時に注意するときは、社内秘となる情報は記載しなくてもいいですが、不自然に飛ばさず、用語を一般名称や一般技術名にしてまとめてください。

 

不自然な工程の空きは、相手も質問してきます。

 

最初から、簡単な一般名称に落としていき、細かく聞いてきた場合には社外秘ということにしましょう。

そうであれば、顧客側も最低限書かれているので突っ込みはなくなります。

 

何も知らない状態で、あれもこれも依頼側に確認すると、より詳細に要求が膨れ上がるので、注意しましょう。

 

 

依頼側からすると、最後に完成してもらうためには

「工程表に、材料や使用する図面、数量、検査方法、JISなどの準拠規格を書いてください」

ということです。

 

意図的に抜いた項目は、最初に出すと話がこじれそうなので抜きました笑

あとで追記してもらうのが良いでしょう。

 

最後に

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さてこれを前提にJSQC 日本品質管理学会で紹介されていることを記載していくことで、対外的にもQC工程表品質管理を提示できることになると思います。

 

もちろん、社内でも品質管理が十分にされているか、抜けがないか確認することができます。

 

不具合が多発するときに作成して振り返るのもありだと思います。

工程を分析することで、時間短縮にもつながるかもしれません。

 

色々応用できるので、お客さんから要求された方以外にも、気になった方は作成してみてはいかがでしょうか。

 

参考

JIS Z 8206 工程図記号(Graphioal Symbols for Process)

http://meat29.sakura.ne.jp/sblo_files/quality-labo/image/QCE5B7A5E7A88BE59BB3E8A898E58FB720JISZ8206.pdf

 

www.jsqc.org