レーザー加工の誤解を解く
原文
https://www.engineeredmechanicalsystems.com/truth-behind-laser-cutting-myths/
John Thom
レーザーは間違いなく、私たちの知る技術の中でも実用的に進化してきた技術の一つです。光のエネルギーを集約したビームは、矯正眼科手術をはじめ、音の伝達に至るまで利用されています。
レーザー加工は、材料によって事前に加工プログラムを作成し、コンピューター制御によって、強力なレーザーを調整しています。
一般的な例として、カメラ内部に搭載される回路の加工やさまざまな素材で作られた装飾品で使われています。
適切なレーザー機器を使用することで、多くの金属を細かい形状で加工し、多くの製品に使用することができます。
しかし、製造業の世界におけるレーザー加工の常識は、一般的に誤解も広がっています。
この記事では、レーザー加工に関するいくつかの誤解と真実をまとめました。
レーザー切断神話を暴く
レーザー切断神話(マイソロジー)の誤解を見ていき、誤解を解いていきましょう。
マイソロジー1:レーザーカッターは複雑で使いにくい
多くの人は、レーザーカッターは非常に複雑で、使いにくいと考えられている。
真実
レーザー加工はより広く普及し、使いやすくなっています。
実際に、プレス加工機や切削加工機などの機械的な工作機械よりもはるかに簡単になっています。
機械的な工作機械は、材料の損傷や損傷なしにスキルが必要です。
しかし、レーザー加工は多くの人が考えるよりもはるかにはるかに簡単で、設定すれば簡単に操作できる「Plug and Play(プラグアンドプレイ)」といえます。
他の工作機械と異なり、レーザー加工は、材料を切断するための刃やプレスの金型などの特別な工具を必要としないことが理由に挙げられます。
製作物毎にプログラムを変更するだけで、工具の変更の必要がありません。
レーザーは、刃やプレスの金型を交換するのではなく、図面またはCADファイルの形式で読み込むだけで済みます。読み込んだ後は、材料を精密かつ正確に切断できます。
マイソロジー2:レーザーは切断した材料を燃やす
多くの人は、レーザーは大量の熱を発生するため、切断した材料が燃えると考えられている。
真実2
レーザーは大量の熱を発生するため、木材といった特定の種類の材料を炭化させることができます。
ただし、レーザーは材料を「焼き切る」のではありません。
レーザー加工によって生じる熱影響部(Heat-Affected Zone:HAZ)は非常に小さく、レーザー切断が終わると、ほぼ完全に削り取られるため、指定された寸法で綺麗で鋭い切断面を作り出すことができます。
しかも、木材以外の材料では炭化は発生することはありません。
プラスチックや複合材料を切断する場合、切断面は高熱で封じられるため、より高品質な切断が可能になります。
マイソロジー3:レーザーはあらゆる厚さの材料を切断できる
多くの人は、レーザーは非常に強力なので、どんな厚さの素材でも切断できると考えています。
真実3
加工技術にも限界があります。
高出力のレーザーは、非常に厚い材料を処理することができます。
ステンレス鋼やアルミニウムは、最大1/2 inch(約1.3mm)の厚さを加工できます。
一部のレーザーは、3/4inch(約1.9mm)以上の厚さの鋼でも加工できます。
ただし、レーザーは、非常に厚く、高密度の材料を切断するには、加工速度が遅くなる傾向があります。
レーザー加工は、より薄い材料に適しており、非常に厚い金属に対しては、ウォータージェット加工などの代替加工を選択することがあります。
マイソロジー4:レーザーは反射率が高いものあるいは透明な材料の切断には使用できない
レーザー加工に関する、最も多い誤解は、ビームが金属から「反射して(跳ね返って)」レーザーの出力側を壊す可能性があるため、反射率の高い材料を切断することに使用できないと考えられている。
真実4
一部のCO2レーザーは、アルミニウムなどの反射率の高い材料の切断には使用できませんが、ほとんどの材料に対しては、ビームを適切に調整することで問題なく切断できます。
さらに、光ファイバーを利用した固体レーザー(1μm未満の低波長帯をもつ赤外光)を使用することで、金属の反射率を低下させることができます。
レーザーを使用して、ガラスやアクリルなどの完全に透明な材料も全く問題なく切断することもできます。
レーザーは、素材が透明でも、素材を「通過」することはありません。
マイソロジー5:出力が高いほど速く、よく加工できる
多くの人は、レーザーの出力を上げるだけでレーザーの加工速度が上がり、切断面が綺麗になると考えている。
真実
レーザーの出力が高いほど、簡単に切断できます。
ただし、出力だけではレーザー加工による生産性は決まらないのです。
より重要な要素は、電力密度です。
電力密度とは、1cm2辺り中でレーザーの出力を集中させた量を指します。
出力の小さいレーザーは、全体的なビーム品質が高いことが多く、狭い領域に出力を集中させることができます。
狭い領域にレーザーを集中させることができれば、同等の出力で低い出力密度よりも、中程度の厚さの材料を切断するのにとても効率的です。
中程度の厚さの材料を迅速に切断したい場合は、出力が低いレーザーの方が(直感に反して)実際にはより良い選択になる可能性があります。
マイソロジー6:レーザー加工は危険
レーザーは非常に強力で、スチールなどの素材を簡単に切り抜けることができるため、当然、とても危険だと考えている。
真実
レーザー加工が適切に管理されている場合、とても安全です。
オペレーターは安全に保つために決められた手順と適切な技術を訓練しています。
実際、同等の工作機械と比較して、重傷のリスクは低いです。
そして、一般的に信じられていることですが、レーザー加工を使う場合、火災が発生することは非常に稀です。
加工中の材料はかなり加熱されますが、加工プロセス中に発生する熱は比較的小さく、深刻なリスクはありません。
さらに、型抜きプレスのような工作機械では、工具を変更するときに、手や身体のそのものを大型機械に曝す必要がありますが、レーザー加工機では必要がありません。
レーザー加工機の真実と誤解を知ってください!
この記事では、レーザー加工に関する真実と誤解を知ることに役立つことを願っています。
原文
https://www.engineeredmechanicalsystems.com/truth-behind-laser-cutting-myths/
John Thom