通信するには資格が必要
人工衛星は宇宙に浮かんでいるために無線で通信を行う必要があります。
無線通信をするには資格が必要になるんですよね。
普段スマートフォンを使っていると思いもよらないかもしれんせんが、無線を扱う上では無線従事者という資格がいります。
スマートフォンに無線従事者資格がいらない理由としては、スマートフォン側から送受信に必要な周波数の操作や送信電力と呼ばれる電波の強さを決められないことが理由らしいですね。
トランシーバーはどうでしょうか。
特性小電力で、だいたい1km程度の範囲で通信が可能なトランシーバーであれば使用可能です。
もちろん電力が多かったり、周波数が法定の範囲を超える場合ですと違反になります。技術基準適合試験に合格したトランシーバーを使用するようにしましょう。
一方、人工衛星は数百kmも離れた場所同士で通信をするために、無線従事者資格が必要になります。
まずは通信を操作する通信機がどこにあるかによって資格が変わります。
大抵の場合は地上の場合ですので第一級陸上特殊無線技士以上の使用範囲を持つ資格が必要になります。
第一級陸上無線技術士や第二級陸上無線技術士がそれに該当します。
人工衛星の開発に集中して、資格の取得あるいは資格保持者不在により、通信ができないことは避けましょう。
ちなみに海上(船)や航空(飛行機)では通信する相手と位置関係の計算が複雑になるために、なかなか難しいかもしれませんね。
なので、実際にスマートフォンを人工衛星として打上げても使い物になりません。
通信機としての能力が弱いの一番の理由ですが、通信機としての機能を増幅させたり、周波数を考慮する改造を行うことで地上と軌道上での通信も可能にすることができます。
ただし、宇宙線対応も検討して、回路基板もおそらく改造する必要があります。
参考
ITU国際調整って知ってますか?
電波を無線で送受信する無線局を開局するには総務省に許可が必要になってきます。
国内だけであれば総務省内で申請を済ますことができるのですが人工衛星は宇宙空間を飛んでいます。
地球周回衛星は日本に限らず世界各国から送受信可能です。
静止衛星のように常に同じ無線局に向いて、指向性が高い場合であっても必要です。
世界各国の無線局と干渉・混線しない様に調整する必要があります。
調整先は国際電気通信連合(ITU:International Telecommunication Union)になります。
ITUとは
1865年パリで創設の万国電信連合と1906年ベルリンで創設の国際無線電信連合が1932年マドリッドにおいて合体し、国際電気通信連合(ITU)として発足しました。
国際連合(UN)の専門機関の一つで、その目的は電気通信の改善と合理的利用のため国際協力を増進し、電気通信業務の能率増進、利用増大と普及のため、技術的手段の発達と能率的運用の促進にあります。加盟国数は193か国(2017年9月現在)で、本部をスイスのジュネーブにおいています。
(出典 ITU の概要 | ITU-AJ)
申請者が直接調整するのではなく、総務省が窓口になって調整を行います。
ただし、ITUへの申請書の作成や国際調整時に発生する質問事項は申請者に返ってきます。
年レベルでの調整になるので早めに動きだしましょう。
現在は宇宙関係法が整ってきているため、総務省側の時間が減っているかもしれませんが、年レベルになるので気を付けましょう。
ここに周波数の割り当て不足問題が潜んでいたりします。
人工衛星側は忘れがちですが、ロケット側も打上げ中の姿勢制御や自爆装置(RSS:Range Safety System)を発動させたり、環境データ取得や人工衛星分離のスイッチを自動ではなく手動で動かく場合には、無線通信が必要になるため、無線局申請が必要になります。
一方でロケットは無線局申請の時間がかかるため、すべて全自動制御を行うことが可能であれば、短時間での打ち上げも可能かもしれません。
もちろん、総務省と調整の上になります。
参考