往時宇宙飛翔物体 システム機械設計屋の彼是

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人工衛星の設計・製造・管理をしていた宇宙のシステム・機械設計者が人工衛星の機械システムや宇宙ブログ的なこと、そして、横道に反れたことを覚え書き程度に残していく設計技術者や管理者、営業向けブログ

宇宙産業の規模を他の業界ランキングと比較【2023年】

宇宙業界が盛り上がっていると言われることもあり、世界規模では2030年代後半には100兆円の市場規模と言われています。

日本政府目標としては、2030年代までに2倍を目標としています。

[目次]

 

宇宙業界の規模

そんな宇宙業界ですが、業界内でも市場が7つに分かれています。

 

宇宙機器産業 約3500億円

②宇宙利用サービス産業 約7700億円

③宇宙関連民生機器産業 約1億4500億円

④ユーザー産業 測位分野 約3.2兆円

⑤ユーザー産業 通信・放送 約2.2兆円

⑥ユーザー産業 リモートセンシング部門 約5000億円

一般社団法人日本航空宇宙工業会 令和元年度宇宙産業データブック(平成30年(2018)年度の宇宙関連産業規模)

 

この中で①②が政府が注力する宇宙産業と呼ばれる範囲です。

 

③宇宙関連民生機器産業はカーナビシステム製造、BS/CSチューナ付きTVの製造を示しています。

④~⑥は人工衛星による衛星データを利用した一般に使用する分野を指しています。

 

この③~⑥に衛星データの提供するための根幹の部分を①②分野で作り出し、合計約1.2兆円規模の市場を日本政府は2030年代までに2.4兆円規模を目標としています。

 

直近のデータはありませんが、宇宙産業約1.2兆円(2018)でとりあえず比較していきましょう

日本の業界規模の中での宇宙産業

日本の業界規模top5は次の通りです。

 

1位:卸売 126兆円

2位:電気機器 85.5兆円

3位:総合商社 66.2兆円

4位:金融 64.4兆円

5位:自動車 63.9兆円

次点:小売 63.1兆円

※卸売と総合商社がある程度被っているため次点も記載しました。

 

調べられる範囲で業界規模top46-50は次の通り。

 

46位:ゴム・タイヤ 6.3兆円

47位:地方銀行 6.2挑円

48位:家電量販店 6.1兆円

49位:精密機器 5.8兆円

50位:人材派遣 5.6兆円

 

そうです。

日本の宇宙業界はtop50の中に入らない規模だということが分かります。

宇宙業界の規模がそれほど大きくない理由

宇宙産業は国策で進められており政府がほぼ発注元でした。

政府の予算以上に市場が大きくならない、政府の方針に左右される業界でした。

 

政府方針に左右されないものとして、上記の分野でいう②宇宙利用サービス産業である民間の通信衛星スカパーJSAT)やアマチュア無線衛星がありました。

2010年代後半では①宇宙機器産業で外国からの受注依頼による人工衛星製造も上げられます。

 

政府外からの割合は少なく、政府の政党が変わるだけも宇宙予算が大きく変わります。

しかも宇宙業界は、政府の資金から出ているため、宇宙技術に対する理解がなければ旨味がなく、他の業界と比較しても政治的に弱い立場にあります。

 

長期政権や長期政権政党の場合ですと、宇宙技術に対する理解の蓄積があるために予算が大きく削られたり、プロジェクトの延期や中止もそれほど大きくはないという特徴があります。

 

この辺りは宇宙大国であるアメリカにも言えます。

アメリカの政権の方針により、国際規模の宇宙開発プロジェクトの方針が大きく変わり、予算の増減やプロジェクトの延期や中止などよく発生しており、決して不思議な状況はないというのが宇宙業界の現状です。

 

その中でやっと政府から民間でも宇宙開発ができる土台ができつつあります。

ちょうど宇宙業界への政府資金が重荷になった時に、超小型衛星やロケットなど民間でも製造できるような体制が整ってきています。

 

この勢いのまま政府が後押しをして政府の資金以外で成り立つことが可能な市場へと進んでいます。

それでも、まだまだ足りないという現実は持っておいた方がいいでしょう。

 

例えば、アメリカにおいてスペースXという大きな宇宙企業ができたとしても、政府からの援助を受けてプロジェクトを進めているところがあります。

政府からの資金が日本、世界を含めても大きな割合を占めており、決められた上に年々減りる可能性があるお金の奪い合いのある世界なのです。

 

まだまだ政府以外からの資金が全然足りない、政府からの資金の比率がとても高い業界であることには間違いありません。

 

もし宇宙業界に就職したのであれば、政府からの案件に力を入れて取りに行っていること、政府からの案件は適正な利益率が決められているために、儲けるというのが難しいです。

宇宙業界で利益を得るにはどうしても政府外からビジネスを成立させる仕組みを作ることが必要になります。

 

特にスタートアップやベンチャー企業と呼ばれる宇宙関連企業は、宇宙開発に挑むと同時にビジネスを確立させる仕組みを作っていくことになるでしょう。

宇宙開発だけ、技術だけにこだわらず、多面的にやっていくことになります。

企業や技術、ビジネスの紹介など、経営に直接関わるかどうかは分かりませんが、対外的に説明するということは多くなるかと思います。

 

今後、市場規模が大きくなることが世界的に言われています。

そんなうまい話があるのかなとは思いますが、民間でも宇宙開発が行われ、政府も後押ししていることから市場規模が縮小する方向には動かない、そんな業界が今の宇宙業界です。

参考サイト

第1回宇宙産業プログラムに関する事業評価検討会中間評価/終了時評価 補足説明資料

2022年1月14日経済産業省製造産業局宇宙産業室 

https://www.meti.go.jp/policy/tech_evaluation/c00/C0000000R03/220114_space_1st/space_1st_08-1.pdf

業界別 業界規模ランキング(2021-2022年)

https://gyokai-search.com/5-kibo.html

市場規模マップ

https://stat.visualizing.info/msm