往時宇宙飛翔物体 システム機械設計屋の彼是

往時宇宙飛翔物体 システム機械設計屋の彼是 宇宙blog

人工衛星の設計・製造・管理をしていた宇宙のシステム・機械設計者が人工衛星の機械システムや宇宙ブログ的なこと、そして、横道に反れたことを覚え書き程度に残していく設計技術者や管理者、営業向けブログ

【調査してみた】グリーン電力証書について。世間で知られていない間に取引はすで始まっている。

グリーン電力証書とは

f:id:MSDSSph:20210830005531j:plain

太陽光や風力などで発電した電力を化石燃料原子力を利用して発電している電力と区別し、消費することなく永続的に利用できる再生可能エネルギーグリーン電力としています

太陽光発電風力発電などの再生可能エネルギーは、発電システムの構築やメンテナンスが必要になるため、一度構築しても永久に発電し続けるものではありません。

 

グリーン電力は脱炭素社会のため貢献しているということが多いのですが、定量的にどのぐらいの電力量(何ワット分)貢献して、同じ電力量を発生させるのに化石燃料原子力発電ではCO2がどれくらい発生するのか、決めることにしました。

 

その仕組みがグリーン電力証書システムです。

 

脱炭素にどれくらい(定量的に)貢献しているのかを、日本国内では政府の資源エネルギー庁(2021年8月現在)により第三者機関が「認証」することで、貢献分の電力量を「環境価値」と称して事実であることを証明する文書をグリーン電力証書といいます。

 

グリーン電力証書の証書発行事業者の認定は、第三者機関は一般財団法人 日本品質保証機構JQA)が対応しており、過去、一般財団法人 日本エネルギー経済研究所とグリーンエネルギー認証センターが「認定」及び「認証を2018年4月1日付で譲渡されているため、古い資料だと上記2つの機関で認定されていることがあります。2021年8月現在。

 

グリーン電力証書と同様に、非化石証書とJクレジットも環境価値を証書化したものがあります。

 

今回グリーン電力証書を取り上げたのは、宇宙機では太陽光発電を行うため、適用できるのではないかと考え、調べてみました。

 

[目的]

  

なぜ、注目が集まりつつあるのか

f:id:MSDSSph:20210830005700j:plain

 

一つは脱炭素社会が世界中に各産業界に向けて言われるようになったからです。

 

一つはカーボンニュートラルがあります。

過去世界各地で行われた地球環境について考える会議において、地球温暖化に影響があるといわれているCO2発生の削減が言われてきました。

しかし、実行不可能であることに気づき、目標を変更してCO2を発生させる一方で、CO2を減らす対策を行い、減らすことができずとも、足し合わせてゼロにすることを考えました。それがカーボンニュートラルです。

 

一つは2015年に国連で合意されたSDGsと言われる2030年までにSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)を達成させるが展開されているからです。

各国で言われていたのですが、2019年頃から企業がSDGsについてどのように取り組んでいるのか、情報を公開し始めました。

 

その前提にあるのが、2006年に国連事務総長であるアナン氏が金融業界に向けて、機関投資家が投資する際に、ESG[環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)]の取り組みも評価することを提唱した責任投資原則(PRI)を提唱したことです。

 

ESGがジワジワと浸透してきた結果、SDGsが広まってきたことで、企業側も明確に投資家向け情報により具体的に書かれるようになっていきました。

 

SDGsやESGは比較的知られているようですが、SBTやRE100というのもあります。

 

SBTは、Science Based Targetsの略称で、パリ協定による世界の気温上昇を産業革命前より2℃を下回る水準に抑え、1.5℃に抑えることを目指すものとして、5年~15年先を目標として、企業が設定する、温室効果ガス排出削減目標のことです。

環境省資料参照)

 

RE100は、事業を100%再エネ電力で賄うことを目標とする取組のことです。

環境省資料参照)

 

 

 このように、いくつかの国際的な取組みに投資家向け情報を始め展開しており、人の目に着くようになったようです。

 

グリーン電力証書における取引の始まり

f:id:MSDSSph:20210830005825j:plain

グリーン電力証書やJクレジット制度、非化石証書は、取引が可能です。

 

グリーン証書の場合は、発電する設備の持ち主に対して、グリーン電力証書発行事業者がグリーン電力証書を発行します。

 

グリーン電力証書は電力としてのエネルギーの価値ではなく、再生エネルギーを発電している価値となります。

 

では、この価値が何のために役立つのかというと、先述した国際的に環境保全あるいか環境改善活動に貢献していますといえます。

 

どうやら、グリーン電力を発電している場合、電気としての価値を電力会社に販売することが可能で、他の脱炭素のために活動している企業に販売することが可能です。

 

グリーン電力証書 売買」や「グリーン電力証書 販売」で検索するといくつか出てきます。

いくつかの情報を確認すると、十数円~数円/kWhで販売されています。

 

さらに、グリーン電力証書価格は、ブロックチェーンを利用して決めるという動きもあります。

 

 

ブロックチェーンは、グリーン電力証書(に限らす暗号通貨など)を電子化し取引を行う際に、取引自体を公表して共有し記録する技術です。

 

取引を記録するため、台帳技術ともいわれます。

 

取引記録データが一定量集まると、1つの塊(ブロック)となり、新たに塊が作られるのですが、それぞれの塊が継続して鎖のようにつながり共有し記録します。

 

全てが繋がっているため、最初の取引記録からすべての取引記録が公開されています。

 

また、ブロックがたくさん作られるのですが、一元管理(1つのサーバー上で管理)されておらず、定期的に不正検証・検算を行います。

 

定期的に不正検証・検算作業を行うことをマイニングといい、マイニングを行うことで取引記録を確認し承認していくことになります。

 

暗号通貨ではこの作業を実施している協力者が検証・検算作業が成功すれば、報酬を与える仕組みがあるのですが、この辺は各グリーン電力証書のプラットフォーム事業者が実施しているのでしょうかね。

 

ブロックチェーンでの利点は、マイニングによる不正を防止する対策と、すべての取引記録がブロックチェーンの中に記録されているので、個人のアドレスを確認すれば、すべての取引履歴を洗い出す(トレーサビリティする)ことができることでしょうかね。

 

次回予定:宇宙機グリーン電力証書が適用できるのか?

 

 参考資料

グリーン・バリューチェーンプラットフォーム 国際的な取組

https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/intr_trends.html

SDGs(持続可能な開発目標)とは何か?17の目標をわかりやすく解説|日本の取り組み事例あり

https://miraimedia.asahi.com/sdgs-description/

「ESG」「SDGs」「RE100」「SBT」…環境経営の“必修用語”をまとめて解説

https://www.sbbit.jp/article/cont1/36239

グリーン購入ネットワーク

https://www.gpn.jp/guideline/green/

再生エネルギーとは

https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/renewable/index.html

ブロックチェーンベースの電力取引プラットフォーム「Electrowise」の発表

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000030542.html

デジタルグリッドが電力と環境価値をネット上で売買――脱炭素への後押しになるか?

https://www.sustainablebrands.jp/article/story/detail/1195645_1534.html

ブロックチェーン技術を活用した再エネCO2排出削減価値創出モデル事業

http://www.env.go.jp/earth/blockchain.html