往時宇宙飛翔物体 システム機械設計屋の彼是

往時宇宙飛翔物体 システム機械設計屋の彼是

人工衛星の設計・製造・管理をしていた人が人工衛星の機械システムや横道に反れたことを覚え書き程度に残していくブログ

「Don't Worry! Launch quickly, learn quickly, and die quickly!(心配するな! 早く出して、早く学んで、早く死ね!)」

(著)森岡 毅 「苦しかった時の話をしようか」


 

 

 Don't Worry! Launch quickly, learn quickly, and die quickly!(心配するな! 早く出して、早く学んで、早く死ね!) とは、

著者の森岡さんが昇進した時にはじめて担当することになった商品で、上司に相談した時に発せられた言葉です。

 

衝撃の一言です。

 

森岡さんが勤めていたところは、中小やブラック企業と呼ばれるところではありません。

 

ビジネス誌フォーチュンで、社員の能力が全業種を超えて世界ランク一位と紹介されたこともある洗剤や化粧品などのメーカーであるプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)に入り、ある商品のブランドマネージャーになったときのことです。

 

P&G世界本社から販売するように言われた商品(ブランド)が、最悪の戦略で販売することがすでに決まった状態で、彼のもとに降りかかってきたのです。

 

その時を振り返り、森岡さんは次のように本書で書かれています。

成功すると思っていた人は誰もいなかったと思う。しかしなぜ日本導入が前に進んだのか? (中略)誰も(中略)「こんなものうまくいかない、やめるべきです。」、つまり「あなたは愚かです!」とは言えなかったのだ。

 

(中略)大きな会社では、こういう誰も信じていないのに絶望的な結果を見るまで誰も止めることができないプロジェクトが、実はいくつもある。俗に言う「ヤバイ案件」だ。王様に近い幹部が自己保存のアジェンダを追求するせいで、「王様は裸だ!」と言えないのがむしろ世の常であると知っておいた方がいい。組織では、意思決定者へ正しい情報を提供する神経回路が破断しているせいで、驚くような平易な間違いがしばしば起こる。

大きな会社と著者は話しているが、会社の規模に関係なく、こういったことは起きるということを私は知っています。 

 

世に言うブラック企業と従業員が感じてしまう組織にいる方は、ほとんどがこの場合ではないでしょうか。

 

心の中では信じていないが、外部に対しては「信じている」という立場を貫かなければならない責任者としての立場が、彼に重たくのしかかったそうです。

 

それでも会社からの使命を果たすべく、働き続けた、と。

 

結果としては、数か月後に、森岡さんの予想通り、大惨禍となり、彼の部下や彼の新しい上司のその後にも影響を及ぼしました。

 

例の発言をした上司はとっくに昇進しており、部下でもなく、かばうことはなかったそうです。

 

まあ、あるあるですね。

 

彼の出した答えは、無力なサラリーマンである以上は「後ろ向きな仕事」は避けられないという結論でした。

もう一つは、結果を出さないと誰も守れないということでした。

 

 

弱音を誰かに吐いても良かったんじゃないか? と思いましたが、それを吐いたら自分自身が動けなくなると感じていたのかもしれません。

 

彼は入社2年目に、当時の上司と同じ働き方をしようとして電話が取れなくなるほどのダメージを受けていたことも少なからず影響していたのかもしれません。

 

 

会社から受ける仕事への使命感が人一倍大きい。

そんな人から、会社によって潰されていくのだと感じました。

 

私の中でも、成功するとは思えない仕事を受け持ったこともあります。

その時は早く出すことも、学び終わることも、早く死ぬこともできず、悲壮感の中で仕事をしていた覚えがあります。

 

数か月という比較的早いサイクルで終わり、延長戦もないのは、乗り越えられる期限があったから、いけたのではないかとも読めましたね。

 

 

その後彼はいくつかの成功を収めて、世界本社に赴任することになります。

赴任先でも多くのダメージを与える事件が起こるのですが、それは別途本書を読んでみてください。

 

著者である戦略家・マーケターの森岡さんは、1996年にP&Gに入社し、その後、2010年にUSJ(ユニバーサルスタジオジャパン)に入社。当時、2013年には年間1000万人の入園者数を超え、低迷していたUSJを立て直した人です。

 本書は、ビジネスマンである父親が就活で悩む娘に対してまとめた「送る言葉」を書籍化したものです。

 

衝撃を受けたのはDon't Worry! Launch quickly, learn quickly, and die quickly!の部分でしたが、書籍全体としては、仕事に悩み、方向性を失ったときに、自分自身を見つめキャリアを再構成する助けをしてくれます。

 

私自身は乗り越えたところもありますが、戸惑う部下へのキャリア構成の助言をすることもできました。

 

自分自身、あるいはサポートしてくれる人や相談してくれる人へのアドバイスとしても読んで損はないかと思います。 


 

なぜか読まれる記事