往時宇宙飛翔物体 システム機械設計屋の彼是

往時宇宙飛翔物体 システム機械設計屋の彼是 宇宙blog

人工衛星の設計・製造・管理をしていた宇宙のシステム・機械設計者が人工衛星の機械システムや宇宙ブログ的なこと、そして、横道に反れたことを覚え書き程度に残していく設計技術者や管理者、営業向けブログ

宇宙のデータを使った技術【宇宙機とインフラ】

インフラを整えるアウトプット

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現在、宇宙業界のインフラストラクチャーを整えるために、日本をはじめ世界各国で様々な動きがあります。

 

宇宙業界のインフラとは、人工衛星やロケットをシステムとして製造できるシステムメーカーに始まり、国内で必要な機器や構体を製造するコンポーネント製造メーカー、さらには各コンポーネントを構成する部品や素材を製造加工する素材メーカーを整えています。

 

製造するためのメーカーだけでなく、人工衛星やロケットを宇宙に打ち上げるために、今までJAXAに一任していたことを法的に整備し、JAXA以外の組織(民間と称することが多い)でも煩雑な調整をせずに、責任省庁を明確にし、手続きを明瞭にしていきました。

 

現在、web上であふれている情報のほとんどは、最近の上記の宇宙インフラの話がほとんどだと思います。

 

今回は、そもそも、宇宙から送られてくるビックデータは何に使われてきた、今回改めて確認していこうかと思います。

 

 

sorabatake.jp


GPS、いわゆる位置情報サービス

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GPSとは、いわゆる衛星測位システムのことです。

そもそもGlobal Positioning System(あるいは、Global Positioning Satellite)と称される衛星測位システムでアメリカ合衆国の元軍用システムを指しています。

 

GPSという名称もアメリカ合衆国の衛星測位システムを指しているため、研究においてはGlobal Navigation Satellite System(GNSS:全地球衛星測位システム、全地球衛星航法システム)として分けられているようです。

まあ、学問的な区別をしなければ、一般用語としてGPSとしても意味が通じる程度に問題ないレベルで広まっています。

 

日本の準天頂システム(Quasi-Zenith Satellite System:QZSS)は、GPSというグループの中のシステムではなく、GNSSというグループの中にGPSやQZSS、ガリレオ(EUSAのGNSS)があるというのが正しいのです。

実際のところ、GPSの衛星の数が30機と多いため、GPSを利用して不足している部分をQZSSで補っているというような運用がされている。

 

ちなみに、日本のQZSSやインドのNavIC(Navigation Indian Constellation)のように、特定の地域を補完するための人工衛星ではなく、GPSに取って代わるシステムとしてロシア連邦GLONASS(グロナス)(GLObal'naya NAvigatsionnaya Sputnikovaya Sistema)、EUガリレオ、中国の北斗といった計画も存在する。20後半以上の機数を打上げることで、全球を測位するシステムを構築し、GPSを合わせることで測位精度を上げるなどの取り組みを行っているようです。

 

このようなGNSSは、複数の測位衛星からの電波を受信し、受信機の搭載された装置/システム側で位置情報を計算しています。

そのため、決してGNSS人工衛星が各装置の位置情報を計算して、その情報を電波で飛ばして表示しているのではないのです。GPS衛星にアクセスしても、各装置の位置情報は掴めないので、そんなファンタジーは今のところありません。

 

使われるのは、ナビゲーションシステムで、航海や自動車ナビ、地図情報と含めたゲームなど多岐に渡ります。

未だに発生する遭難や行方不明、自然動物の生態把握に役立っています。

 

もし、火星や月へ人類が移住するのであれば、インフラを整えるために、GNSS人工衛星を先に飛ばすのでしょうね。

各惑星、衛星用のGNSSが確立できれば、全自動システムによる自動走行や自動での農作物作業もできるかもしれませんね。

 

関連資料

ja.wikipedia.org

ja.wikipedia.org


地形を知る

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日本語のweb資料では、大抵、江戸時代の伊能忠敬の大日本地図の画像から、突然、現代の地図、グーグルアース(グーグルマップ)に飛躍することが多く、急激なイノベーションが起きているような錯覚を覚えます。

 

色々な距離の測定技術を発展させ、1919年に2点等距離投影法と呼ばれる手法により測位などに使用される技術が確立されてきました。

また、20世紀では飛行機による航空写真技術と印刷技術の発展により、多くの地図が出回るようになりました。

現在は、人工衛星の画像で、個人でも地図を制作できるのですが、これは1990年半ばの計算機を利用したマック投影図から、より多く世の中に広まったものです。

 

現在は多くの地球観測衛星により、光学画像が広まっています。

 

今回の調査で、日本のサイトには地図の近代史が少ないようなので後々、ネットで情報を集めて展開しようかと思います。

参考資料

en.wikipedia.org

en.wikipedia.org

en.wikipedia.org

https://www.ordnancesurvey.co.uk/about/history


気候を知る

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世界で最初の気象衛星は、アメリカのTIROS-1で、1960年4月に打ち上げられました。このTIROSシリーズは低軌道衛星でしたが、1966年に静止軌道の衛星ATS-1がアメリカによって打ち上げられました。

 

日本で初めて静止気象衛星が打上げられたのは1977年のケネディ宇宙センターでした。この日本で初めての気象衛星は、ひまわりの愛称で言われるGMS シリーズ (Geostationary Meteorological Satellite)でした。

その後、航空管制機能と気象観測機能をもつ運輸多目的衛星(Multi-functional Transport Satellite:MTSAT)と主となるミッションを追加して、ひまわり6号として打上げられ、現在は2機体制で運用が行われております。

 

可視域はもちろんですが、ひまわり1号から赤外域の観測バンドも持っていました。

さて、観測バンドとは、観測する光の波長域のことです。光が撮像素子に受けることでデジタル信号に変換されるのですが、その間にフィルターを通しています。フィルターの違いにより、撮像素子に受ける光の波長域を変え、知りたい情報を抜き出しているのです。

波長域が広いフィルタを使用していると、多くの情報を得られますが、混ざりすぎていて分析するときの処理が困難となります。波長域の短いフィルタで得た情報を重ね合わせることで、可視域と同じように処理したり、一部の情報を除外することで、目的の情報をより詳細に分析することができるのです。

 

ちなみに、地上で使われているデジタルカメラと宇宙で使われている搭載カメラに違いはない仕組みで、宇宙用だからといってこの方式に変わりはないのです。

 

ひまわりが、1号機から赤外域を持っていた理由としては、雲の温度により放射される赤外線の強さが変わることが分かっており、温度の低い雲は白くなります。

地表面のや海面に近いと温度が高くなるため、黒や灰色で表示されることが多いのです。

さらに、ある波長域では水蒸気を良く吸収するため、大気の流れを分析することにも使用されます。1号機から大気の流れを分析できる観測バンドを持っていたかは知りませんが。

 

 

このように、気象衛星はすでに四半世紀も使用されており、多くの情報をもたらしています。

 

参考資料

www.data.jma.go.jp

www.jma-net.go.jp

photo.nyanta.jp

www.keyence.co.jp

気象衛星観測の基礎とひまわり8号の多バンド観測の活用


テレビを届ける

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テレビ本体を輸送して送り届けるのではなく、画像を送り届けるという意味です。

 

通信衛星も低軌道衛星から始まりました。

通信衛星と言うと、録音音声を地球に向けて発信する人工衛星から、地上から音声データを送り録音し地球へ向けて発信する人工衛星など、その技術の歴史を含めて段階ごとにまとめられていることが多いです。

 

静止軌道衛星が打上げられたのは、1964年8月のシンコム3号(Syncom3)です。シンコム3号機は世界初の静止軌道衛星で、1964年の東京オリンピックが中継されたというのはよく言われる話です。

ちなみに、シンコム1号機は1963年2月に打ち上げられたのですが、電気系の故障のため1日程度で喪失しています。

シンコム2号機は、1963年7月に打ち上げられ、アメリカ国内の州間でのテレビ中継を可能にした衛星です。静止軌道まで到達していたのですが、軌道が傾いていたため24時間ほどしか静止軌道を保持できなかったようです。

打上げによる軌道到達を含めるとシンコム2号が世界初の静止軌道衛星とも言えますが、静止軌道を保持していたとなるとシンコム3号も世界初の静止軌道衛星ともいわれ、併記されることが多いようです。

 

衛星通信の利点は、海底ケーブルがない離島や電線が行き届けられないほど広大な土地を持つ国々の通信手段として使用されてきました。

衛星電話やテレビ・ラジオの衛星放送、アマチュア無線にも使用されて、現在ではインターネット通信にも使用されるほどです。

 

参考資料

www.jbtv.co.jp

 

spaceinfo.jaxa.jp

 

en.wikipedia.org

space.skyrocket.de

time-space.kddi.com