「アマゾンの最強の働き方」のまとめを書き出してみました。
|
全ての土台となる「年間計画」を考える
全社的に目標を打ち出されたのちに、部門や課、係といった数人規模のチームの自律性を担保するために、各チームの目標を全社の目標と整合させる詳細な目標設計のプロセスが存在します。
目標は1~2週間程度のやっつけではなく、1~2カ月の時間をかけて検討していきます。
全社一斉にこのプロセスに取り掛かり、会社全体の「期待」や「目標」を設定したのちに、各グループは詳細な業務計画の提案を行ことになります。
詳細な業務計画を策定する場合、各チームでボトムアップ型の提案を打ち出していく。
各チームはその規模に応じて財務および人事グループの担当者と連携して計画を練り、提出していきます。
各チームをまとめるリーダーは、ボトムアップの提案と、そのチームに対して上位レベルで課された(トップダウン)目標との間に乖離があれば調整していきます。
トップダウンの目標とボトムアップの計画が整合するまで、計画の再検討と再提出を繰り返していきます。
計画を実行し、その四半期の結果を受けて、計画の調整を行い、事業の軌道修正を図っていきます。
軌道修正では、各チームが会社全体の目標と足並みをそろえるように計画を調整します。
この際に数字化された目標まで落とし込み、各チームの成果物のレベルまで分解していきます。
目標はSMARTでなければならない
目標は、具体的で測定可能(Specific)、達成可能(Mesurable)であり、関連性(Relevant)と期限(Timely)があることが欠かせません。
上位の目標は数百個近くに上りチャレンジングであることから、年度末までに達成できる目標は75%程度を見込んでいます。
チャレンジングであることを考慮に入れており、ひとつ残らず達成されるようなことがあればハードルが低すぎるといえます。
目標は四半期ごとに厳しく検証されます。
目標と追跡する際は、「順調」「目標を達成できない可能性あり」「有意義な変更を加えない限り目標を達成できない可能性大」と仕分けしていきます。
業務計画の立案は、その他制すべき本当に重要な項目について、会社全体の合意を形成していくフローとなります。
現状をデータでとらえられる仕組み
アマゾンで行っている定期的に経営分析を行う「週次ビジネスレビュー」を行っています。
週次ビジネスレビューには、小さなグループから10億ドル規模のビジネスに至るまで、さまざまな状況に適用できます。
週次ビジネスレビューの構築には、シックスシグマを参考にしています。
①定義
コントロール可能なインプット指標の組み合わせが、重要なアウトプット指標に弾みをつけます。
アマゾン・フライホイールという循環型のモデルを構築しています。
どの指標から取り組み始めることができ、一つの指標を向上させると、どこかの指標も併せて向上していき、最終的にすべての指標が増加していくようなモデルとなります。
週次ビジネスレビューで議論されるほぼすべての指標は、フライホイールの要素のいずれかに分類され、週次ビジネスレビューの最初のページには、このフライホイールの絵が描かれています。
何をインプット指標とするかは、「コントロール可能なインプット指標」を選択することが重要となります。
失敗した事例の一つに、品ぞろえに着目したインプット指標の選択がありました。
品ぞろえの指標の一つに「追加された商品詳細ページの数」を挙げたのだが、週次ビジネスレビューで検討していくに連れて、商品詳細ページが増えても売上に貢献していないことが分かった。
商品数が増加すると、需要のない商品も仕入れており、在庫保管費に影響し、需要の高い商品のために確保していた保管スペースを奪ってしまっていることに気づいたからでした。
週次レビューの中で次のように変更していきました。
- 商品詳細ページの単純な追加数に着目することをやめた。
- 商品ページの閲覧回数に着目した。
- さらに、1歩進めて、在庫がある商品が閲覧された割合に着目した。
- さらに進めて、最終的に、在庫があって注文後2日で届けられる商品の詳細ページの閲覧割合を目標として採用された。
最初から、適切な指標を選択して実行することは難しい。
大切なのは不具合を見つけるたびに粘り強く分析し、議論することにあります。
指標も範囲が狭すぎると懸念することもあるが、チームしいては事業全体の体系的な改善をもたらします。
指標が決まったら、チームの活動状況を評価する具体的な基準を設けていきます。
不適切なインプット指標や、的が絞り切れていない指標を用いたのでは、アウトプットの改善につながりません。
適切なインプット指標であれば、組織全体が最も重要な仕事に集中できます。
適切な指標を確実に選択することは、あらゆるインプット指標について繰り替えるべきプロセスです。
また、最大の過ちは行動を開始しないことだ。
週次ビジネスレビューの大半はささやかなことから始まり、時間をかけて大きな変化と改善を実現しています。
②測定(省略)
③分析
データが発するシグナルからノイズを取り除き、その上で問題の根本的な原因を突き止め、対処することです。
データに想定外の数値や理解しがたい問題であることに気づくと、根本的な原因を突き止めるまで決してあきらめない。
アマゾンでは「なぜなぜ分析」をベースとして分析していく。
「なぜなぜ分析」は故障分析としてではなく、あくまで異常値の分析ツールとして使用しています。
④改善
やみくもに改善しようとしても、不十分な情報を頼りに、自分でもよくわかっていないプロセスを手に付けることになります。
そんな方法でうまくいく可能性は低くなります。
週次ビジネスレビューを続けていると、時間の経過とともに有益な情報を伝えれれなくなった指標に気づくかもしれない。
時間をかけて、各指標が発するシグナルの強さや質に基づいて、指摘の修正、追加、削除を行う必要があります。
指標の数については決まった個数や公式はなく、適切な指標を探し当てるのは時間を要する作業であり、継続的に改善に努めなくてはなりません。
週次ビジネスレビューでトレンドを分析し、課題が浮上した時点で検証していきます。
⑤管理
管理では、プロセスが正常に機能していることを確認するとともに、業績が徐々に悪化していないか確認することが目的となります。
週次ビジネスレビューでは個々の指標の改善を議論する定例会議ではなく、例外的事象に対処する会議になっていくのが一般的です。
このステップでは、自動化できるプロセスの特定も行います。
プロセスが十分に理解され、意思決定の原理がソフトウェアやハードウェアによって構築できるなら、それは自動化の候補になります。
週次ビジネスレビューは極めて効果的だが、迷走することもある。
週次ビジネスレビューの重要なの目的は学習すること、そして問題が起きれば責任を負い、解決することの2つです。
ひどい会議となると大きなチャンスを逃し、参加者全員の多くの時間を無駄にしています点です。
原因として、出席者の数がどんどん膨れ上がった。会議の雰囲気が恐ろしく悪い。
週次ビジネスレビューに進行役はいません。
テーマごとに担当者が引き継ぐ流れです。だとしても、職位が最も高い出席者は良い雰囲気を演出し、基本的なルールを設けるべきです。
「6ページ資料」で提案する
6ページ資料はどんな議題にも適用できます。役に立つ資料を欠くには練習が必要となります。
基本的な構成は次の通りです。
- はじめに
- 基本的指針
- 特筆すべき達成事項
- 特質すべき非達成事項
- 時期に向けた提案
- 人員数
- 損益計算書
- FAQ
- 添付資料(6ページ外の資料、集計表、データ、チャート、試作品などの補足情報を含む)
検討すべき議題が示された資料は、会議に参加する全員が、会議室で、会議の冒頭で一斉に黙読するのが最も効果的だ。
1ページを読むのに約3分はかかるので、文書の長さは6ページまでとした。30分の会議なら3ページの文書が適当で、会議時間の3分の2は検討時間に充てるのが良いとされています。
参加者のフィードバックについては、クラウドで文書を共有し、お互いのコメントを閲覧する方法もありますが、紙にコメントを欠く人も居ます。
なれていないと「まず資料の概要を説明します」とやってしまいがちだが、その誘惑に負けてはいけません。
文書を作成したのは、論理を明快に示し、口頭での提案にありがちが弊害を取り除くためで、時間の無駄になるからです。
参加者にとって、有意義なフィードバックやインサイトを伝えることは、提案文書を準備するのと同じくらい難しい。
正しいと証明できるまで、すべての文が間違っていると疑いながら読み進めること。
批判的な視点によって、的確に状況を把握できているか、根本的な事実を見逃していないか、といった検証が可能になります。
以上、個人的なまとめでした。
|