日本が何十年も前から続けているRPF化
RPA(Robotic Process Automation:ロボティック・プロセス・オートメーション)のことを言っています。
様々な手作業をソフトウェアのロボットによる自動化のことです。
すぐに思いついたのは郵便局のハガキ仕分け作業です。東芝社製の郵便物自動処理装置が世界で初めて導入されたのが、1970年代以降です。そのほかにも産業用機械は多く開発され、今現在の生き残っています。
糖度計や色覚判別を用いて、農作物の等級区分にも使われて、人間による勘から科学的な管理に基づいた品質の安定化を行っています。
既にAIを高度というのもはばかれますが、認知技術を取り入れたAIにより情報が蓄積され、記録に残り学習して結果を出しています。
多くの作業がRPA化され、多くのルーチンワークが効率化されている。ルーチンワークの効率化はヒューマンエラーを減らすことにもつながっています。
働き手が減って、どこも人手不足と言われているところにこそRPFを行う必要がるのです。それこそ、慢性的に人手不足といわれている日本の農業が、今だ壊滅せずに、生き残っているのもRPA化してきたからです。
ただし、海外からは2000年代 、日本では2010年代より言われているRPAは、産業用機械といった目に見えて作業を実施していることを指しているのだけではありません。主に事務・管理作業であったもの自動化することを中心にRPF化と言っています。
ついでに知っておきたいのは、同じ意味を持つ言葉なのに、区分が詳細化されたことで、googleやyahoo検索に引っかからないという事実。哀しい。
正直、RPAをトレンド検索しても名前が広まっただけで、実情はその昔からあるというのに。
参考
RPF化ができずに失敗する理由。労働時間の削減にならない。
機械化の作業は人手不足などの問題が発生した(する)時にしょうがなく取り入れた方が、社内の軋轢はなく進められます。
現在進行で問題が発生していなければ、仕事を奪われるわけなので、会社内の居場所の心配(リストラの恐怖)や従業員の承認欲求の減少への危惧があるのです。一度使い始めると便利さから抜け出せなくなることは当人たちも心の中で理解しているのです。
現場の人たち、特に売り上げ目標や製造コスト都関わりが薄い事務・管理作業の人たちは、企業全体の売り上げや競争力、作業効率が上がったところで自分の作業に影響がほとんどありません。
むしろRPF化することで管理を行う対象が物理的に増えるためより危機感を持つ人が多いでしょう。
さらにいうと、RPF化は労働時間の削減にはなりません。
余った時間は、次の作業に入るため、人によっては回転率を上げるために、頭の切り替えも早く実施する必要があります。
故にボトムアップによる提案より、トップダウンによる提案の方がRPF化は上手くいく、というか途中で頓挫せずに進みます。
RPFの事例と導入後の課題
ルーチンワークと言われる定型的な事務・管理業務でRPFでよく使われる事例を紹介します。
- 会計システムの伝票や領収書などの処理作業
- 社内書類・稟議書類の持ち回り
- 複数のアプリケーション(Excel,Wordなど)をまたぐ作業
- 一部の情報をコピーペーストして進めていた作業
- 顧客問い合わせに対する自動返送と担当者への回答依頼
- 顧客・協力会社情報の管理分析とデータベース化
機械設計でいうなら、図面・設計資料のデータ管理になるんですね。図面・設計資料のデータ化・自動化による事例は次の通りです。
- 確認・検図のスタンプ化
- 図面・設計資料の保管場所の減少
- ファイル・インデックス・印刷紙の低減によるコスト減少
- 印刷禁止設定によるセキュリティ※の向上
- 改定書類・過去書類の管理による作業ミスの減少
- 必要書類の探索・検索・取り出しの向上
※セキュリティに関しては、データにすることでコピーが容易になり、管理が困難となることは念頭に置いておく必要があります。
RPFで行うことは、いわゆる「図面管理システム」と一緒なんですね。現在言われているRPF化はすでに技術者側で通ってきた道なんです。
この時に主に課題となったのは、次の項目になります。
- 作業者に追加で操作を覚えてもらう時のハードル
- 追加作業によるスピード感低下(体感)によるストレス
- 利用環境(端末)が限られている
- アプリケーションのバージョンアップに対する管理時間
- システム障害時に業務停止となる
これらの項目は事務・管理作業のRPF化でも確実に発生する課題です。この課題に対するルールを決めた上で、浸透させていきましょう。
さらに、RPFは、EPA(Enhanced Process Automation)やCA(Cognitive Automation)と呼ばれる解析・分析作業、自己判断まで行うようになります。
先に述べたように、農作物の等級仕分けといった産業用機械はこのレベルまで来ています。宇宙系でいうのでしたら、日本のイプシロンロケットが打上げ19秒前に自動停止したとありますが、まさしくこの技術が組み込まれています。
今後、さらに事務・管理作業にも取り込まれていくでしょう。
その時に、どのようにこのシステムを管理できるか、管理できなければ、おそらくこれ以上のこの分野での発展はなく別の方向に技術が発達していくかもしれません。