往時宇宙飛翔物体 システム機械設計屋の彼是

往時宇宙飛翔物体 システム機械設計屋の彼是 宇宙blog

人工衛星の設計・製造・管理をしていた宇宙のシステム・機械設計者が人工衛星の機械システムや宇宙ブログ的なこと、そして、横道に反れたことを覚え書き程度に残していく設計技術者や管理者、営業向けブログ

ロケット・ミサイル部

SpaceX社が放出し続けるスターリンク衛星の機械的構造を考察【宇宙機と構造】

60機同時打ち上げた人工衛星の構造を考える SpaceX社はロケットの製造能力を持ちながら、人工衛星の製造能力も持つ、世界的にも数少ない企業です。 通常は、60機も人工衛星を同時に放出することが困難と考えるところ、その考えをうち破りました。 今回は同時…

1957年、オーストラリアの旅ー国立国会図書館で調べる人工衛星ー【人工衛星と文学とオーストラリア】

無料で利用できる国立国会図書館デジタルコレクション 国立国会図書館デジタルコレクションを知っているでしょうか? 日本の最大図書館がインターネット上で閲覧できるのです。 今回は「人工衛星」と検索して、インターネット上から無料で閲覧可能な現状最古…

Starlink deployment ーSpaceX社が放出し続けるスターリンク衛星の放出機構の機械的構造を考察ー【宇宙機と構造】

60機同時打ち上げから色々考える SpaceX社はロケットの製造能力を持ちながら、人工衛星の製造能力も持つ、世界的にも数少ない企業です。 通常は、60機も人工衛星を同時に放出することが困難と考えるところ、その考えをうち破りました。 今回は同時60機の打上…

SpaceX社が放出し続けるスターリンク衛星の衝撃【宇宙機と実証】

実証衛星が打上げられたのは2018年でした Credits: NASA https://images.nasa.gov/details-KSC-20200429-PH-SPX01_0002 SpaceX社が衛星コンステレーションの実験衛星を打上げたのは2018年2月22日です。 もともとは2016年にMicroSat 1a、1bという人工衛星の打…

原子力電池の歴史【宇宙機と電池】

原子力電池の歴史 電子力電池そのものは1954年にアメリカのマウンド研究所でJohn BirdenとKen Jordanによって発明されました。 ちなみにマウンド研究所は、アメリカとロシアの冷戦中にほぼすべての核兵器関連のコンポーネントが設計、構築、評価されていまし…

宇宙開発で原子力電池が使われなくなったのは放射線問題のせいじゃない【宇宙機と電池】

アメリカの原子力電池の原材料事情 Credits: NASA https://images.nasa.gov/details-KSC-2011-6743 原子力電池は、1960年以降宇宙船に使用され、電力を供給し続けています。 アメリカでは過去、独自にプルトニウム238の供給していました。 プルトニウム238よ…

宇宙広告の時代!?ペプシコーラの広告が空に映し出される時が来た【宇宙機と飲料水】

宇宙の看板 2019年1月より夜空に巨大なディスプレイを作り、世界中から見える画面で広告を打ち出そうという計画が公開されました。 実行するのはロシアのスタートアップ企業である「StartRocket」です。 2019年4月には2大コーラ会社の一つであるペプシコ(Pep…

ハニカム構造はあらゆるところに使われている【設計と構造】

ハニカム構造の使用実例をまとめてみました 以前、ハニカム構造の歴史をまとめました。 mechanical-systems-sharing-ph.hatenablog.com まとめたのですが、まとめるのに時間がかかり息切れしたので、今回は使用されているところをまとめました。 [目次] ハニ…

バランスが大事!人工衛星で重心を測定する理由【人工衛星とロケットのユーザーインタフェース関連】

重心が必要になってくる理由 Credits: NASA https://images.nasa.gov/details-VAFB-20180614-PH_AMT01_0015 重心と言われて何を思い浮かべるでしょうか。 ものを持つときに、重心が偏っている、持ちにくい、運びにくいという経験をしたことがあると思います…

高精度観測機器を取り付けるときの公差設計の悩み【少数生産品、機械設計と時々宇宙機コンポーネント】

公差設計と設計サイクル Credits: NASA https://images.nasa.gov/details-KSC-2013-2351 近年では短いサイクルでの設計開発が加速しています。 そのため公差設計が既存製品の公差であったり、JIS規格にある寸法公差や幾何公差をそのまま流用していることが多…

宇宙軌道上の人工衛星の数や打上げロケットのデータベースを紹介【宇宙機とロケット】

打上げられている人工衛星と運用している人工衛星 国連にある国連宇宙部(United Nations Office for Outer Space Affairs (UNOOSA)}のサイトページによると2020年5月時点までに打ち上げられている人工衛星は、9,400機を越えています。 現在も、軌道上にある…

インターステラテクノロジズのクラウドファンディングの話【ロケットと資金調達】

インターステラテクノロジズのMOMO5号のクラウドファンディングが2020年5月2日に開始されました。 camp-fire.jp わずか1日程度で1000万円を集め、2020年5月5日の時点では2300万円を超えています。 いや、すごいです。本当にすごい。 もともとMOMO5号は2020年…

放射線で故障して止まらないようにする原子力発電所や人工衛星で使用する電子部品の対策【宇宙機と放射線】

放射線対策と電子部品 Credits: NASA https://images.nasa.gov/details-0200146 1970年に打上げられた地球観測衛星エクスプローラー1号機と後続のエクスプローラー3号機に搭載された放射線量を測定するガイガーカウンターによって、地球の放射線帯であるヴァ…

コンタミネーションを防げ!人工衛星開発とマスクの関係【宇宙機とコンタミ】

人工衛星のコンタミ Credits: NASA https://images.nasa.gov/details-VAFB-20171031-PH_MAM01_0178 宇宙業界においてマスクというと、電気自動車で有名なテスラモーターズや PayPalの創業者としても知られるスペースXの代表のイーロン・マスクの方を思い浮か…

身近にあるシステムインテグレーション【宇宙機とシステムエンジニアリング】

システムインテグレーションという不明確さを明確にする Credits: NASA https://images.nasa.gov/details-KSC-20200117-PH-ESA01_0005 システムエンジニアリングの3弾目かな 人工衛星ではインテグレーション試験を実施します。

宇宙産業から見るCOVID-19による3つの影響

COVID-19のロケット打上げ業界への影響 COVID-19は外食や観光産業という身近なものだけでなく宇宙産業にも影響を与えています。

人工衛星の質量の決まり方と考え方【宇宙機と質量】

人工衛星の質量はどこで決まるでしょうか。 最近小型衛星という話が出てきていますが、サイズだけではなく質量も小型になっています。 この人工衛星の質量はどこで決まるのでしょうか。 大きさ? コンポーネントの数? ミッションの規模? ロケットの種類? …

宇宙カメラのレンズというかセラミックの安全率【宇宙機と構造物】

金属の安全率の計算はよくありますが、セラミックの安全率は知る人が少ないのではないでしょうか。 セラミックは表面上の傷が多くクラックが発生しており、不確定要因が多いのです。 そもそも不確定要因を補償するために安全率を決定するのですが、セラミッ…

人工衛星を放出しよう!分離検知スイッチとキルスイッチ/フライトピン/ディベロップメントスイッチ【人工衛星と電源ON】

人工衛星の分離検知スイッチは如何なるものか Credits: NASA https://images.nasa.gov/details-PIA15268 人工衛星の中で最も重要といっても良いスイッチがあります。 それは分離検知スイッチです。

人工衛星とロケットのアンビルカルケーブルとホット/コールド・ローンチ方式【人工衛星のアンビリカルケーブルと打上げ方式】

アンビリカルケーブルとその周辺 Credits: NASA https://images.nasa.gov/details-s65-30427 この写真は、1965年の船外活動の写真です。 今回の表題であるアンビリカルケーブル(Umbilical cable)ですが、写真に映っている宇宙飛行士のエドワード・ヒギンズ…

宇宙業界の戦略を立てるための前提知識【宇宙と戦略】

戦略とは弱者のためのツールである 開発関係やビジネスとしての展開、今後の宇宙に関わる注目すべき関連業界、そして雑学や歴史といった記事が多い中、戦略を立てるための前提知識についてまとめらえている記事は少ないですね。 個別で展開されていたり、そ…

SDGsと宇宙技術の具体例やターゲットを再確認する【宇宙と国連】

持続可能な開発目標(SDGs)とは SDGsとは、持続可能な開発目標のことで、Sustainable Development Goalsの頭文字から取られています。 2015年9月に、ニューヨーク国連本部において、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択…

黒潮の大蛇行で起きていること【宇宙機と観測データ)

黒潮は世界二大海流である 世界最大級の海流として、北大西洋の湾流(メキシコ湾流)とともに、日本近海の黒潮があります。 黒潮は日本列島の南にあるフィリピンから北へ流れる暖流です。 黒潮とぶつかるように、日本列島の北側、ロシアのカムチャッカ半島方…

地球上に存在する到達不能極【宇宙機とポイント・ネモ】

人工衛星が落ち着く場所 日本語において、極(きょく)という言葉は、様々な意味を持ちます。 その中で、「最果て」、「はて」という意味を持っています。 極 - Wikipedia 極(きょく)の意味や使い方 Weblio辞書 極(きょく)とは - コトバンク 地球上で、人工衛…

スピンオフ!宇宙の技術を日常品に転用した製品【宇宙技術と民間技術】

宇宙での技術転用はスピンオフと呼んでいる Credits: NASA スピンオフと聞くと、物語の派生あるいは外伝を思い浮かぶかもしれませんが、宇宙での技術転用もスピンオフと呼んでいます。 ja.wikipedia.org 今回は、有名なスピンオフや思わぬスピンオフについて…

ムーンショットって、なんだかきれいな響きだけど、どういう意味?【破壊的イノベーションと月に行く】

Credits: NASA 近年、政府の政策でムーンショットという言葉を聞くようになりました。 ムーンショット、月を撮ると直訳するその言葉は文面の通り月を撮ることを含んでいます。

宇宙のデータを使った技術【宇宙機とインフラ】

インフラを整えるアウトプット 現在、宇宙業界のインフラストラクチャーを整えるために、日本をはじめ世界各国で様々な動きがあります。 宇宙業界のインフラとは、人工衛星やロケットをシステムとして製造できるシステムメーカーに始まり、国内で必要な機器…

宇宙関連施設(に限らず)の清浄度や試験環境や輸送衝撃荷重、そして火星の要求【宇宙機と清浄度、地上環境】

クリーンルームは清浄度の管理された部屋のことである Credits: NASA クリーンルームは、ゴミ一つない清浄な部屋という印象を持つかと思います。 正確には違うのです、清浄度が管理された部屋なのです。 ゴミ一つ落ちていなければ、掃除をする必要もないでは…

機械系で忘れてはいけない衛星の地上試験中の扱いやすさ【宇宙機と構造体】

機械系の扱いやすさは地上操作によるもの Credits: NASA 人工衛星の扱いやすさは軌道上に上がって運用時での取り扱いのしやすさによります。 今後、多くの人が人工衛星のデータを取り扱ったり、ミッション機器の操作をするには運用時の取り扱いのしやすさを…

業界用語「抗たん性」と宇宙との関係

一発で書き上げられない抗たん性(抗堪性:resilience) 「意味」 航空基地やレーダーサイトなどの軍事施設が、敵の攻撃に耐えてその機能を維持する能力。抗堪力。「抗堪性を高める」 防衛用語なのか、少し荒々しい言葉が目立ちます。 「軍事施設」を人工衛星…