往時宇宙飛翔物体 システム機械設計屋の彼是

往時宇宙飛翔物体 システム機械設計屋の彼是 宇宙blog

人工衛星の設計・製造・管理をしていた宇宙のシステム・機械設計者が人工衛星の機械システムや宇宙ブログ的なこと、そして、横道に反れたことを覚え書き程度に残していく設計技術者や管理者、営業向けブログ

【設備管理者向け】小型振動試験設備の長期間使用のためのクリティカルなパーツ

各種環境試験(振動試験、熱試験用真空チャンバー、電波試験、電磁適合性試験)の保守

f:id:MSDSSph:20210524014739j:plain



試験装置の保守メンテナンスは、装置そのものを長期間使用させることと同時に、新たに設備投資をすることなく、一定の成果を出すためにコスト面でも非常に重要な要素となります。

 

近年、日本各地で人工衛星開発をする企業が出ています。

 

人工衛星及び人工衛星に搭載される機器の開発には環境試験が付いて回り、衛星機器関連メーカーと試験機は切り離せない存在となっています。

 

一部の試験装置は、地方自治体の管理する試験装置を使用することで、各機器の評価を行っていますが、各組織で試験装置を保持することも多くなっています。

 

今回、近年の小型衛星での使用はもちろん、大型衛星でもコンポーネントで使用される小型振動試験設備を運用保守してきた宇宙航空研究開発機構JAXA)から、保守管理に関するレポートを軽くまとめていきたいと思います。

 

振動試験機のクリティカルな部分

f:id:MSDSSph:20210907133039j:plain

振動試験機は、いくらか小型化していますが、次の要素で構成されています。

  • 振動発生器
  • 水平振動台・垂直振動台
  • 電力増幅器
  • 冷却装置
  • クーリングタワー
  • 制御装置
  • データ計測。解析装置
  • 計算機

 

この中から特に故障および修理・保全コストが掛かるものを上げました。

 

振動発生器:分解点検

  • ベアリング
  • アマチャ/テーブル
  • 励磁コイル
  • 消磁コイル

水平振動台:機能点検・試験前点検

垂直振動台:機能点検・試験前点検

  • ベアリング
  • 空気発条

冷却装置:機能点検

  • ヒートエクスチェンジャー水漏れ
  • 空冷用ブロワ

冷却塔:隔週日常点検

  • 密封型水冷棟

冷却塔:機能点検

  • 冷却水ポンプ

 

分解点検は、通常の作業メンバーでは対応不能ですが、日常点検や試験点検で発見できることも多いです。

 

故障が発生すると、試験が止まり、大抵、連続稼働しているときに故障が発生します。

多くはベアリングやポンプといった駆動部分が故障することからも、日常点検から劣化を確認しておく必要があります。

 

施設の装置の場合、ベテランの操作メンバーが対応することが多いです。

ベテランの操作メンバーの場合は、新品で故障が発生していない正常な状態を知っていることから、異常な挙動に気づきやすいです。

 

こういった保守メンテナンスで重要なのは、何が正常で、何が異常であるか気づくことです。

 

作業点検リストに、「異常がないこと」といったあやふやなチェックリストを作成していないでしょうか。

 

定量的な数値を示せない場合は、写真などを使用してチャックすると効果的です。

 

新たに入ったメンバーが対応しても、異常な状態を判断する基準を作っておく必要があります。

 

故障した時に、「なぜ異常に気付かなかったのか」と問ても満足な答えは返ってきません。

常時異常な値であっても、ギリギリ動いていたなんていうことはよくあります。

 

もちろん、上記に上げられるように、分解点検しないと気づかないポイントもあります。

 

案外こういった試験は、連続して実施することが多く、十分な検査・点検の時間が取れないこともあります。

 

現在、新たに振動試験装置などの環境試験装置の導入している組織では、年間の試験回数を想定し、点検間隔などを考慮しましょう。

 

まとめ

これらの情報は、試験機器製造メーカーに対して、設置時や初期動作確認時などに、事前に故障した場合に聞いておくポイントリストとしても使用できます。

 

もちろん、製造メーカーが保全・メンテナンスをしなければ十分に修正できたのか判断できないこともあるので注意が必要となります。

 

逆にメーカー保証として事前に聞いておくには有用な情報となるのではないでしょうか。

 

Ⅰ(破局) 供試体の破損もしくは深刻なスケジュールインパクト(復旧まで 6 日以上)
Ⅱ(重大) 重大なスケジュールインパクト(復旧まで 2 日以上 5 日以内)
Ⅲ(局所的) 軽微なスケジュールインパクト(1 日以内に復旧可能)
Ⅳ(無視可能) 機能制限等により試験続行可能

 

参考資料

宇宙機環境試験設備の保全有効性評価による費用対効果最大化に向けた取り組み

https://jaxa.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=46756&item_no=1&page_id=13&block_id=21

 

【調査してみた】人工衛星の太陽電池セルによる発電はグリーン電力証書の対象となるか【宇宙ビジネス】

グリーン電力証書というシステムがある

f:id:MSDSSph:20210831003701j:plain

資源エネルギー庁が打ち出した政策でグリーン電力証書というシステムがあります。

 

再生可能エネルギーによる電力をエネルギーとしての価値ではなく、環境保全への貢献としての価値(環境価値)を取引可能な証書としたものがグリーン電力証書です。

mechanical-systems-sharing-ph.hatenablog.com

 

人工衛星も、再生可能エネルギーといわれる太陽光発電を使用しているため、グリーン電力証書の対象となるのか、確認してみました。

 

人工衛星の発電をグリーン電力として設備認定できるのか?

f:id:MSDSSph:20210831003737j:plain

グリーン電力証書の中身は、第三者機関の一般財団法人 日本品質保証機構が認証した発電設備で発電した電力量を証書化したものです。

 

さて、人工衛星に適用できるのか設備認定申請書から洗っていきます。

 

設備認定申請書

認証手順 | グリーンエネルギー認証制度 | 地球環境に関する審査・評価・支援 | 日本品質保証機構(JQA)

 

 

申請書は2つあるのですが、太陽光ファームは土地に太陽光発電システムを構築しているので、通常の申請書となるでしょう。

 

  1. 発電所在地は、軌道上とかになるのかな。
  2. 発電方式から、太陽光発電になるから、適合説明は可能。
  3. 発電電力量の測定は、電力系統に供給されており、測定できるから可能。
  4. 追加性要件は、グリーン電力の取引により確実に、運用を維持しているといえるので可能。
  5. 環境価値の帰属に関しては、各組織・事業者により異なるので省きます。
  6. 環境の影響評価は、軌道上なので生態系にへ影響がなく、おそらくデブリ対策を記載しておけばよい気がしますね。ただ、宇宙業界でない人がスペースデブリに対しての理解があるかは不明ですが。
  7. 社会的合意については、近隣住民が居ないので影響はない。あえて書くとすれば、電波法上で電波発信ができるか否かですかね。いわゆる周波数の国際調整になりますかね。
  8. 情報公開は、もちろん可能です。

 

あれ、意外といけますね。

 

問題は関係法令ですかね。

フォーマット上での関連法令は、該当なしに成り得ますね。

 

もちろん、電気を発生させつつ事業化とも読み取れるため、電気事業者となるかは注意が必要です。

宇宙空間であるので関係ないとも言えますが、この場合は、運用している組織の所在地での自治体がどのように判断するかによるかもしれません。

 

フォーマット以外では、先に述べた電波法と宇宙活動法とリモセン法になりますね。

 

その他は、景観などは該当なしなので難しいですね。

設置後の有効期限は、電波法と同じく、何年電波を発信するかによります。

意外と真面目に行ける気がしたけど、どうなんでしょうね。

 

人工衛星の価値を増やす

f:id:MSDSSph:20210831003819j:plain

これを調べた理由は、いくつかあります。

 

古くから環境に良いといわれる太陽光発電を使用している人工衛星グリーン電力の塊ではないか。それを宣言できるところがないかと思いました。

  • 国内では全然財源が厳しく、赤字と隣り合わせの宇宙業界での第二の収益になるのではないか。

人工衛星を複数基所有していればその分グリーン電力の「環境価値」が売買できるので、運用や保守管理維持費用を軽減できるのではないでしょうか。

絶対知っている人はいない。

将来的に軌道上での太陽光発電グリーン電力とするための前例が必要ではないかな。

  • 脱炭素に向けた技術と宇宙業界両方の業界を盛り立てることができる。

 

課題となるのは、3つほどあります。

  • 従来からグリーン電力を使用してきたので、EV自動車のように化石燃料の代替ではなく、過去から今でも主要な電力源にあるということ。
  • 発電所ではなく、発電設備であり、電気事業法上どうなるのか分からない。
  • 発電量が圧倒的に少ない。

 

ただ、政府資金での補助が出ているわけではないので、理論上は可能だと思います。

 

WEBサイトで投資家に向けて堂々と環境保全の活動をしているといえるので、いくつかの投資上では楽になるかもしれません。

 

 

今のところ、グリーン電力発電設備認定一覧に宇宙機はないですけど、どうなのかな。

そんな労力を掛ける人もいないかな。

 

 

参考資料

認証手順 | グリーンエネルギー認証制度 | 地球環境に関する審査・評価・支援 | 日本品質保証機構JQA

https://www.jqa.jp/service_list/environment/service/greenenergy/flow.html

【調査してみた】グリーン電力証書について。世間で知られていない間に取引はすで始まっている。

グリーン電力証書とは

f:id:MSDSSph:20210830005531j:plain

太陽光や風力などで発電した電力を化石燃料原子力を利用して発電している電力と区別し、消費することなく永続的に利用できる再生可能エネルギーグリーン電力としています

太陽光発電風力発電などの再生可能エネルギーは、発電システムの構築やメンテナンスが必要になるため、一度構築しても永久に発電し続けるものではありません。

 

グリーン電力は脱炭素社会のため貢献しているということが多いのですが、定量的にどのぐらいの電力量(何ワット分)貢献して、同じ電力量を発生させるのに化石燃料原子力発電ではCO2がどれくらい発生するのか、決めることにしました。

 

その仕組みがグリーン電力証書システムです。

 

脱炭素にどれくらい(定量的に)貢献しているのかを、日本国内では政府の資源エネルギー庁(2021年8月現在)により第三者機関が「認証」することで、貢献分の電力量を「環境価値」と称して事実であることを証明する文書をグリーン電力証書といいます。

 

グリーン電力証書の証書発行事業者の認定は、第三者機関は一般財団法人 日本品質保証機構JQA)が対応しており、過去、一般財団法人 日本エネルギー経済研究所とグリーンエネルギー認証センターが「認定」及び「認証を2018年4月1日付で譲渡されているため、古い資料だと上記2つの機関で認定されていることがあります。2021年8月現在。

 

グリーン電力証書と同様に、非化石証書とJクレジットも環境価値を証書化したものがあります。

 

今回グリーン電力証書を取り上げたのは、宇宙機では太陽光発電を行うため、適用できるのではないかと考え、調べてみました。

 

[目的]

  

なぜ、注目が集まりつつあるのか

f:id:MSDSSph:20210830005700j:plain

 

一つは脱炭素社会が世界中に各産業界に向けて言われるようになったからです。

 

一つはカーボンニュートラルがあります。

過去世界各地で行われた地球環境について考える会議において、地球温暖化に影響があるといわれているCO2発生の削減が言われてきました。

しかし、実行不可能であることに気づき、目標を変更してCO2を発生させる一方で、CO2を減らす対策を行い、減らすことができずとも、足し合わせてゼロにすることを考えました。それがカーボンニュートラルです。

 

一つは2015年に国連で合意されたSDGsと言われる2030年までにSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)を達成させるが展開されているからです。

各国で言われていたのですが、2019年頃から企業がSDGsについてどのように取り組んでいるのか、情報を公開し始めました。

 

その前提にあるのが、2006年に国連事務総長であるアナン氏が金融業界に向けて、機関投資家が投資する際に、ESG[環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)]の取り組みも評価することを提唱した責任投資原則(PRI)を提唱したことです。

 

ESGがジワジワと浸透してきた結果、SDGsが広まってきたことで、企業側も明確に投資家向け情報により具体的に書かれるようになっていきました。

 

SDGsやESGは比較的知られているようですが、SBTやRE100というのもあります。

 

SBTは、Science Based Targetsの略称で、パリ協定による世界の気温上昇を産業革命前より2℃を下回る水準に抑え、1.5℃に抑えることを目指すものとして、5年~15年先を目標として、企業が設定する、温室効果ガス排出削減目標のことです。

環境省資料参照)

 

RE100は、事業を100%再エネ電力で賄うことを目標とする取組のことです。

環境省資料参照)

 

 

 このように、いくつかの国際的な取組みに投資家向け情報を始め展開しており、人の目に着くようになったようです。

 

グリーン電力証書における取引の始まり

f:id:MSDSSph:20210830005825j:plain

グリーン電力証書やJクレジット制度、非化石証書は、取引が可能です。

 

グリーン証書の場合は、発電する設備の持ち主に対して、グリーン電力証書発行事業者がグリーン電力証書を発行します。

 

グリーン電力証書は電力としてのエネルギーの価値ではなく、再生エネルギーを発電している価値となります。

 

では、この価値が何のために役立つのかというと、先述した国際的に環境保全あるいか環境改善活動に貢献していますといえます。

 

どうやら、グリーン電力を発電している場合、電気としての価値を電力会社に販売することが可能で、他の脱炭素のために活動している企業に販売することが可能です。

 

グリーン電力証書 売買」や「グリーン電力証書 販売」で検索するといくつか出てきます。

いくつかの情報を確認すると、十数円~数円/kWhで販売されています。

 

さらに、グリーン電力証書価格は、ブロックチェーンを利用して決めるという動きもあります。

 

 

ブロックチェーンは、グリーン電力証書(に限らす暗号通貨など)を電子化し取引を行う際に、取引自体を公表して共有し記録する技術です。

 

取引を記録するため、台帳技術ともいわれます。

 

取引記録データが一定量集まると、1つの塊(ブロック)となり、新たに塊が作られるのですが、それぞれの塊が継続して鎖のようにつながり共有し記録します。

 

全てが繋がっているため、最初の取引記録からすべての取引記録が公開されています。

 

また、ブロックがたくさん作られるのですが、一元管理(1つのサーバー上で管理)されておらず、定期的に不正検証・検算を行います。

 

定期的に不正検証・検算作業を行うことをマイニングといい、マイニングを行うことで取引記録を確認し承認していくことになります。

 

暗号通貨ではこの作業を実施している協力者が検証・検算作業が成功すれば、報酬を与える仕組みがあるのですが、この辺は各グリーン電力証書のプラットフォーム事業者が実施しているのでしょうかね。

 

ブロックチェーンでの利点は、マイニングによる不正を防止する対策と、すべての取引記録がブロックチェーンの中に記録されているので、個人のアドレスを確認すれば、すべての取引履歴を洗い出す(トレーサビリティする)ことができることでしょうかね。

 

次回予定:宇宙機グリーン電力証書が適用できるのか?

 

 参考資料

グリーン・バリューチェーンプラットフォーム 国際的な取組

https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/intr_trends.html

SDGs(持続可能な開発目標)とは何か?17の目標をわかりやすく解説|日本の取り組み事例あり

https://miraimedia.asahi.com/sdgs-description/

「ESG」「SDGs」「RE100」「SBT」…環境経営の“必修用語”をまとめて解説

https://www.sbbit.jp/article/cont1/36239

グリーン購入ネットワーク

https://www.gpn.jp/guideline/green/

再生エネルギーとは

https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/renewable/index.html

ブロックチェーンベースの電力取引プラットフォーム「Electrowise」の発表

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000030542.html

デジタルグリッドが電力と環境価値をネット上で売買――脱炭素への後押しになるか?

https://www.sustainablebrands.jp/article/story/detail/1195645_1534.html

ブロックチェーン技術を活用した再エネCO2排出削減価値創出モデル事業

http://www.env.go.jp/earth/blockchain.html

 

【機械設計者向け】サーファーの技術がロケットの問題を解決した海外では有名な事例

サーファーの技術が宇宙開発を救った

f:id:MSDSSph:20210822022229j:plain

 

1960年、サーファーの技術が宇宙開発での大きな課題を解決しました。

今回はその話を調べましたので紹介します。 

 

[目次]

 

それはロケット開発で起きた問題だった

f:id:MSDSSph:20210822022309j:plain

 

活かされたのは液体燃料多段式ロケットであるNASAのサターンV型ロケットの開発でした。

 

ことの始まりは、1960年代初頭の有人宇宙飛行計画のアポロ宇宙船の搭載重量が増えていったことにあります。

 

アポロ宇宙船を目標とする軌道に投入させるため、NASAのエンジニアはアポロ宇宙船の重量を維持しつつ、ロケット側を軽くさせる必要がありました。

 

重量の問題が発覚した時点で、ロケットに搭載されているいくつかの部分の製造がすで終わっており、燃料タンクを搭載するS-IIの開発が残っていました。

 

開発に時間が掛かる対象にしわ寄せが来るのはメーカーではよくあるので、このS-IIでも同じことが起きていました。

 

困ったことにS-IIは、この重量問題以外に、溶接が長い点、S-IIのステージに搭載する燃料タンク自体が大きく薄い厚さで高い精度で溶接しなければならないことなのがあげられました。

 

S-IIはさらに大きな課題、それが燃料タンクの断熱材に使用されたハニカム構造をもつ材料の問題が発生したのです。

 

従来のロケットからの新要素として、酸化剤と燃料タンクの間の隔壁を大きくすることで、タンク構造及び支持するステージの全長を短くして、余分な重量を削減する設計にしました。

 

S-IIの構造はこちらが詳しいです。

S-II Overview

Engineering Course for Saturn S-II Stage Systems

 

そして、従来より大きな隔壁と共に、燃料タンクの低温断熱を行う必要があり、そこにアルミニウムのシートを挟んだフェノール樹脂のハニカム構造が選定されました。

 

ハニカム材料自体は同型のロケットの外装にアルミニウムによるハニカム構造が使用されていましたが、このフェノール樹脂にウレタンを充填する構造の採用は初めてでした。 

 

ハニカム構造の断熱材は燃料タンクに接着するのですが、低温の燃料が入っているタンクにより液体水素が断熱材側に付着し、接着力を低下させ、断熱材の一部がはがれてしまったのです。

 

対策として、断熱材に切り込みを入れ、液体水素を逃がす構造に変更しました。

しかし、、液体水素はタンクに燃料が充てんされ打上げの瞬間まで溝を通って行ったのですが、打上げ後に断熱材の接着が弱くなり、何度も剥がれ落ちる結果になったのです。

 

さらに、いくつかの代替案を試したのですが、どれも失敗しました。

 

アメリカの雑誌Defense Acquisition Research Journal July-August 2019に記載がありました。

 

Insulation on the hydrogen fuel tanks was failing. Engineers applied a vacuum-sealed honeycomb insulation material to the exterior of the hydrogen fuel tanks used to power the five J-2 and single J-2 engines on the second and third stages, respectively. 

This kept the hydrogen from boiling in the Florida heat. Try as they might, the honeycomb insulation kept popping off the tanks. They knew they were doing something wrong, but they were not sure what. With the manufacturing facility located on California’s Seal Beach, the engineering team, capitalizing on their geographic proximity, recruited some improbable experts that just might be able to help:
Surfers! Surfers used honeycomb cores to create and repair their surfboards because of the lower weight and higher strength than traditional foam and fiberglass boards.
They were hired—and they did a great job applying their unique expertise to resolve the problem. The only drawback was high absenteeism when the surf resources and capabilities available to contribute to the overarching objective, and then devised and communicated a plan to execute those resources.


You cannot change reality, but you can change your plan.

 

Defense Acquisition Research Journal July-August 2019

https://www.dau.edu/library/defense-atl/DATLFiles/Jul_Aug2019/DEFACQ_Jul_Aug2019.pdf

 

(意訳)

燃料タンクの断熱材が劣化した。燃料タンクの外壁面に真空にして接着した断熱材を貼り付けた。 

これでフロリダの暑さで(低温)水素が沸騰しないようにできた。しかし、何度やってもハニカム構造の断熱材がタンクから外れてしまう。 

間違ったことをしているのは分かっている。

分かっているけど、何が間違っているのか分からない。

エンジニアリングチームは、製造拠点であるカリフォルニア州のシールビーチに近くて、助けてくれそうな専門家を募集した。

それがサーファーだった。

サーファーたちは、炭素繊維製のボードよりも軽量で強度が高いハニカムコアを使って、サーフボードの製作や修理を行っていた。

彼らにメンバーに入ってもらい、独自の専門知識を駆使して問題を解決してくれた。 

ただ、唯一の難点だったのは、彼らは欠勤が多く加工するためのリソースが不足していたのです。

限られたリソースで実行するため、計画を変更することにはなりました。

 

現実を変えることはできませんが、計画を変えることはできます。

 

(意訳終わり)

 

また、NASAのChief HistorianであるBrian Odomのインタビューからも読み取れます

 

MOON LANDING SPECIAL 1 – THE APOLLO SPACE PROGRAM

https://livinghistorytv.com/moon-landing-special-1-the-apollo-space-program/

 

このサーファーの知恵と技術を用いて考えた方法は非常に簡単で経済的でした。

 

従来、ハニカムコアを図面通り燃料タンクに合うように成形し、スキンと呼ばれる板材で挟んで接着・硬化させた後に貼り付けていました。

 

サーファーの知恵と技術により、ハニカムコア部分をすでに製造しているタンクの壁面に直接貼り付けて成形し(また液体水素を逃がす溝もなくし)、スキンで挟んで接着・硬化させてから、適切な輪郭に加工するプロセスに変えました。

 

製造誤差により密着した貼り付けが難しい部分を、いわゆる「現合合せ」で製造したのです。

 

なぜこんなことが起きるのか

f:id:MSDSSph:20210822022531j:plain

 

宇宙開発に限らず、製品は図面をもとに製造され組み上げられます。

タンクや隔壁など各地の工場や別会社で製造されているので、各製造精度を管理していく必要があります。

 

タンクはロケットに限らず宇宙機にも使用されるのですが、重量の問題からタンクの厚みを薄くし、強度も必要なため厚みに対して高い精度が必要になります。

 

タンクの精度は加工や研磨により出すことができるのですが、断熱のために貼り付けるハニカムに対しては、同じ精度を出すことがとても難しいのです。

 

ハニカムパネル構造は炭素繊維の板やアルミニウムシートといったスキン材をハニカム構造のコア材に挟んで成形します。

その後、スキン材を接着し、加熱して掛けて、形状を固めます。

加熱した際に、圧力を加えたり、真空下にすることもあります。

 

精度としては接着剤による厚みや、スキン材そのものの加工精度、コア材の歪みが合わさり、どうしても別々に製造しているタンクとの間にすき間が発生し、真空で接着してもうまくいかなかったのでしょう。

 

どこにも記載はないですが、おそらくはこのすき間を埋めるために、断熱材側やタンク側の両方を加工や研磨で調整していたのかもしれません。

 

 

現代にあるような高精度のレーザー検査機もないため、手作業での調整をしていたのかもしれません。

 

また、フェノール樹脂材によるハニカム構造のコア材というのも、調べた限りではNASAで採用されたことが初めてであったため、あまりノウハウが蓄積されていなかった可能性もあります。

 

これが理由で失敗していたのだろうと想像できますね。

 

 

宇宙は複合技術です。何が役に立つのか分からない、そんな事例ですね。

 

映像で見る

このハニカム構造体ですが、その後、アポロ宇宙船でも使用されています。

同じハニカムコアであるかは不明ですが、成形方法から、おそらく今回で得たノウハウが活かされているようです。

 

固まった状態のハニカム材を貼り付けるのではなく、アポロ宇宙船に合わせてハニカムのコア部分を成形し、加熱・加圧して、製造する様子が映されています。

 

アポロ宇宙船のハニカム成形(サターンVとほぼ同時期の製造)

www.youtube.com

ドキュメンタリーからサターンVの熱問題

youtu.be

ドキュメンタリーからサターンVの熱問題

youtu.be

アポロ宇宙船の熱シールド対策について、ハニカム材料を採用した内容

www.youtube.com

 

参考資料

SP-4206 Stages to Saturn

https://history.nasa.gov/SP-4206/ch7.htm

S-II OVERVIEW

http://heroicrelics.org/info/s-ii/s-ii-overview.html

ENGINEERING COURSE FOR SATURN S-II STAGE SYSTEMS

http://heroicrelics.org/info/s-ii/s-ii-stage-systems.html

S-II INSULATION

http://heroicrelics.org/info/s-ii/s-ii-insulation.html

Saturn V

https://web.archive.org/web/20150326211327/http://history.msfc.nasa.gov/saturn_apollo/documents/Second_Stage.pdf

アポロ計画 - Wikipedia

Saturn V - Wikipedia

https://ja.wikipedia.org/wiki/S-II 

Design - Decision - Contract October/November 1961

https://www.hq.nasa.gov/office/pao/History/SP-4009/v1p2e.htm

Lunar Orbit Rendezvous: Mode and Module April 1962 through June 1962

https://www.hq.nasa.gov/office/pao/History/SP-4009/v1p3c.htm

SP-4206 Stages to Saturn  IV. Building the Saturn V

https://history.nasa.gov/SP-4206/ch6.htm

Roger Hanson: How Surfers Saved the Moon Mission

https://www.stuff.co.nz/taranaki-daily-news/news/108263730/roger-hanson-how-surfers-saved-the-moon-mission

木製サーフボードの軽量化技術

ウッドサーフボードの作り方 – protoplastico surfboards and designs

quarter_isogrid

https://sheldrake.net/quarter_isogrid/

 

MOON LANDING SPECIAL 1 – THE APOLLO SPACE PROGRAM

https://livinghistorytv.com/moon-landing-special-1-the-apollo-space-program/

The Amazing Handmade Tech That Powered Apollo 11’s Moon Voyage

https://www.history.com/news/moon-landing-technology-inventions-computers-heat-shield-rovers

The Space Age in Construction

https://www.ncptt.nps.gov/blog/the-space-age-in-construction/

50th Anniversary of Apollo 11 – Mission to the Moon Made Possible with Aluminum

https://www.lightmetalage.com/news/industry-news/aerospace/50th-anniversary-of-apollo-11-mission-to-the-moon-made-possible-with-aluminum/

Space Launch Report . . . Saturn Vehicle History

https://www.spacelaunchreport.com/satstg5.html

The Apollo Flight Journal S-II Insulation

https://history.nasa.gov/afj/s-ii/s-ii-insulation.html

 

【試験作業者向け】試験装置の配線も確認せずに供試体が破壊された後の今後の対策 | Lessons Learned、失敗学、事故事例

試験前に試験機器の機能を確認しておく

f:id:MSDSSph:20210814032122j:plain

 

試験前の事前確認は重要です。

 

例えば地上支援装置(GSE)を外注し、外注の検査結果をもって試験に挑んだとしても、データが取れなかったなんて言うことはよくある話です。

 

出荷時点で問題なかったとしても、試験コンフィギュレーションを組んだ時に、ヒューマンエラーが発生してしまうことがあります。

 

特に一度しか行われない試験の場合や試験機器のスケジュールがタイトな場合が宇宙機ではよく、本当によくある(あった)のですが、再試験に時間が掛かります。

 

最悪再試験できないことがあります。今回の事例は、再試験ができない事例でした。

 

 

概要

Mars Science Laboratory(MSL)であるCuriosity Roverにあるロボットアームのシステムシステム試験が失敗した理由は、地上支援装置内部の配線間違いによるものでした。

 

失敗の原因を調査した際に、地上支援装置の機能を確認した際に発見できました。

 

ミッションインテグレーション試験とも呼ばれるAssembly, Test, and Launch Operations(ATLO)のシステム試験として熱試験を実施していました。

 

熱試験は筐体の環境を真空(低圧)状態にするチャンバーのドアを閉める前に、使用する地上支援装置の計装部(ケーブル)を接続した状態で、地上支援装置の機能が動作することを確認しておくこと。

 

  

発生タイミング

2011年3月、NASAカルフォルニア工科大学にあるジェット推進研究所(JPL)でMars Science Laboratory(MSL)である Curiosity Roverの組立、試験、ミッションインテグレーション試験を含めた、システム熱試験が実施されました。

 

システム熱試験の1つとしてCuriosity Roverの前面部分にあるロボットアームに搭載されているコンポーネントの火星の岩石サンプル採取用のパーカッシブドリルの低温低圧試験が行われました。

 

ロボットアーム含めたパーカッシブルドリルは複雑なシステムで合計16個のアクチュエータで構成されています。試験の概要はドリルに加わる応力を動作温度で検知・検出することです。

 

温度をドリルの応力に変換する検出器の検証は、パーカッシブルドリルに接続されているロードセル(質量やトルクを検出するセンサ)によるドリルビット部分のたわみとドリルの重力ベクトルの計測を行う加速度センサを地上支援装置(GSE)に接続することで実施しました。

 

 

システム熱試験としてCuriosity Roverのロボットアームは、50N刻みで300Nまで加圧することを実施しました。

 

しかし、予圧プレートに埋め込まれたロードセルは力の増加を検出できませんでした。

納品前、ロードセルは校正され、機能が検証されていました。

 

システム熱試験の失敗の主要因は、ロードセルに付属のアンプユニットへのAC電源のリード線の誤接続でした。

結果、ロードセルは地上支援装置と接続していたのですが電力が送らませんでした。

 

根本的な原因は、システム熱試験前の試験コンフィギュレーションを組み付けた時に、不適切な手順と指示によって引き起こされました。

システム熱試験前に、すべて接続された状態で、地上支援装置を使用したロードセルの機能が動作されるか確認されないまま試験を実施されたことです。

Lessons Learned

Lessons Learnedを受けての推奨事項としては次の通りです。

 

地上支援装置が試験対象のフライト品に接続され試験環境に供するときに、ケーブルなどが誤接続されてしまい、試験中に気づいたとしても、中断して試験のコンフィギュレーションを変更することが不可能な場合があります。

 

本試験では、実試験ができずシミュレーションによる分析を行いましたが、実機を利用した試験より精度が落ち、満足できるものではないところで終わっています。 

 


 

最後に

真空(低圧)下の熱試験は、宇宙機を熱真空チャンバーに搭載し熱真空チャンバーはチャンバー内を一度真空(低圧)にしつつ温度を下げていきます。

 

チャンバー内が低圧状態ですと外部の大気圧によりチャンバーのフタを解放することが難しくなります。

 

チャンバーに低圧状態を解放する機構があっても、チャンバー内に一気に空気が入り込み空圧によりチャンバーに物理的に影響を及ぼします。(一気に空気が入り込んできちんと固定されていない個所などがぐちゃくぐちゃになります)

 

さらに低温状態になっている場合、外部との温度差によりチャンバー内部が結露します。すなわち、宇宙機の電子機器が一度水を浴びる状態になります。

 

こうなった場合の対処は少なく、可能な限り水分を拭き取り、可能であれば電子機器内部も開けて水分を拭き取ります。

 

その後、ベーキングを行います。ベーキングというか機器自体を加熱して水分を蒸散させます。

熱真空チャンバーで実施すれば、余計な水分も吸出し排出させるためより効果的です。

最初に水分を拭くのは、蒸散の時間を減らすためですね。

 

経験者のいない宇宙機開発の場合は、こういう失敗を起こしていたと聞いたことがあります。

経験者が居たとしても、ヒューマンエラーであったり、試験後の熱真空チャンバー開梱時に十分に大気圧に戻っておらず、圧力差と湿度により結露します。

 

材料ベースでベーキングしていたところ無駄になってしまうこともあり、水分に敏感なミッション機器を熱真空試験に供する場合は十分な注意が必要ですね。

 

参考サイト

NASA Lessons Learned

https://www.nasa.gov/offices/oce/functions/lessons/index.html

NASA Lessons Learned Steering Committee(LLSC)

https://llis.nasa.gov/

 

https://llis.nasa.gov/lesson/6696

熱試験で白金温度センサーに異常値・トラブルが発生した理由(2003) | Lessons Learned、失敗学、事故事例

宇宙環境試験の温度センサー

f:id:MSDSSph:20210809003531j:plain

Credits: NASA

https://images.nasa.gov/details-MSFC-202100027

 

画像は熱真空試験を実施するために、人工衛星を熱試験治具で囲んで、チャンバーに入れるところです。

 

あの黒い物体が熱試験治具になります。これはヒーター方式ですね。

黒色にしているのは熱放射を一定にするためで、安定して熱放射することができます。

 

今回は熱真空試験に使用される温度センサーのLessons Learnedです。

 

温度センサーは白金温度センサと呼ばれる種類のセンサが使われます。

 

金属が温度変化により電気の抵抗が変化する特性を利用して温度センサの抵抗値を測定することで温度を測定することができます。

 

熱真空試験は、宇宙空間上の熱を含んだ環境条件で問題なく機器が動作するかを確認するとともに、熱シミュレーションのコリレーション値、キャリブレーションに必要になります。

 

温度センサーでどの程度の精度が必要になるかは、機器の動作精度やコリレーション値の精度に関わってきます。

 

量産機でない場合、一度取得すると二度と取得できないデータにもなります。

 

概要

熱衝撃あるいは熱応力による温度センサーの故障は昔から発生していました。

 

温度センサーの取付方法によって、検知する温度が敏感に応答する。

 

発生タイミング

マーズエクスプロレーションローバー(Mars Exploration Rover, MER Mission)のシステムレベルの熱真空試験中に、ミニ熱放射分光計(Miniature Thermal Emission Spectrometer, Mini-TES)の温度校正(キャリブレーション)のための2つの白金温度センサーのうち、1つが故障しました。

 

故障した白金温度センサーは、比較的脆いセラミック体で、貼り付けには硬質接着剤を十分に塗った状態で貼り付けられ、機械的な応力が掛かり故障しました。

 

白金温度センサーの貼り付けは、認定された方法がなく、以降のクーポン試験でも同様の故障が発生しました。

 

影響

Mini-TESの温度センサーが失われると、Mars Exploration Roverの科学データの大部分が使用できない可能性があります。

 

対処

故障した白金温度センサーの一部は作成し直し交換されました。

 

他の白金温度センサーは、キャリブレーションのデータが無効となるために交換することなく打上げられました。

 

ミッション結果

MER Missionのために、火星に着陸してから3か月後、交換しなかった白金温度センサーの一部が壊れ、キャリブレーションが失敗しました。

 

一方で、交換した温度センサーは壊れることなく使用することができました。

 

発生原因

システムレベルの熱試験での故障は、Mars Exploration Roverを周囲温度に戻すためにヒータを使用していたのですが、ヒータの電源がオフになった直後に発生しました。

 

白金温度センサーを貼り付けるための過剰な硬質接着剤(エポキシ接着剤)がセンサーからリード線の方まで移動し、白金線との熱膨張係数の違いにより破損した可能性があります。

 

 

温度センサーは、宇宙機のと機器の状態に関する重要な情報を提供し、サブシステムの機能に不可欠な場合があります。

 

過去の事例では温度センサー取り付け方法が故障の大部分の原因となっていました。

 

貼り付け後に、温度センサーに対して適切なストレスリリーフ(応力が分散あるいはかからないような方法)がない場合、熱試験により、温度センサーの筐体(セラミックなど)、検出部、リード線、接着剤といった異なる膨張および収縮率で熱応力が掛かる可能性があります。

Lessons Learned

NASA内の過去の事例を確認すると、温度センサーの形状及び表面実装材料により、機械的応力が掛かりやすいかが識別できます。

 

認定品やある程度の実績品を使用することで、同様の白金温度センサーが故障しにくい可能性があります。

 

これは通常の宇宙用適合製品を選定するにあたる選定及び設計ガイドラン(たとえば、200サイクルで155℃の範囲)に適合した製品よりも、適した製品を選択することができます。

 

新たに標準の選定部品を選ぶ際に、変更点と認識して、影響の有無を分析する必要があります。

推奨事項

熱真空試験を実施、あるいは十分に検討、分析、検証を行った製品のパッケージを選定してください。

白金温度センサーの選定基準、実績品、取付け手法の確立、取付け手順の明確化を行ってください。

 

温度センサーなどのデバイスを取り付けるための接着剤によるボンディングおよびポッティングコンパウンドの使用に関して、手法や手順を確認し、使用する接着剤の特性や、貼り付け時の機械的応力緩和の必要性を注意喚起してください。

 


 

最後に

白金温度センサーは、試験にのみ使用する場合と、機器の基本データであったり、今回のような温度のキャリブレーションに使用されます。

 

試験のみに使用予定の白金温度センサーも、アクセス性の問題から試験後にはがせずに軌道上に運ばれた事例は複数あります。

 

試験に使用する温度センサーだからといって、不用意なものを使用すると内部で破損したり、貼り付けた筐体側に影響したりするので、可能な範囲で宇宙品質のセンサーを使用した方が良いでしょう。

 

また試験に使用する場合は、筐体保護のためにポリイミドテープ(カプトンテープ)を貼り付けた上で、温度センサーを接着剤で固定する場合があります。

 

ポリイミドテープは断熱性が高いので、アルミテープを使用した方がより現実に近いデータが取得できるかもしれません。

 

Lessons Learned

Lessons Learnedとは、組織(に関わらないですが)において業務を遂行した上で得られた教訓(学んだ教訓)のことを指しています。

 

得られた教訓というと、失敗や不具合だけを想像しがちではありますが、成功したことについても教訓としてあげられます。

Lessons Learnedは同じ失敗を繰り返さないようにすることと、計画が順調に進んだ成功要因を共有することの2つがあります。

  

NASAで公開されているNASA Lessons Learned Steering Committee(LLSC)から、宇宙業界に限らず、工業製品でも適用できそうなLessons Learnedを集めてみました。 

 

参考サイト

NASA Lessons Learned

https://www.nasa.gov/offices/oce/functions/lessons/index.html

NASA Lessons Learned Steering Committee(LLSC)

https://llis.nasa.gov/

Thermal Sensor Installation Failures Remain a Problem (2003) 

https://llis.nasa.gov/lesson/1739

導電性のある炭素繊維(カーボン)/樹脂複合材でも宇宙空間で空間電荷の影響を受ける | Lessons Learned

導電性のある炭素繊維(カーボン)複合材でも宇宙空間で空間電荷の影響を受ける

f:id:MSDSSph:20210811231703j:plain

 

宇宙機開発において注意するべきものは、グランドという考え方です。

 

既製品や一般製品の場合、アースという考え方があり、グランドはアースに似て異なる考え方です。

 

アースは、地面と接続することで電位を安定させたり、地面との電圧差を防ぎ、電流が流れることを防止します。

 

一方で、グランドは、機器内の動作の安定やパーツの帯電による電磁波や輻射を防止することが主たる理由となります。

 

グランドを取っていないと、かつてはラジオやテレビなどの機器では音声や映像に影響が出ていました。

現在ではほとんどなくなっていますので、実体験できる場面が少なくなっていますね。

 

宇宙空間ではグランドの考え方が重要でアースがありません。

 

もしかするとメーカーでも区別せず、ノイズが発生しても、ノイズ防止のための処置として、最終的にアースを接続するため、アースという言葉のみを使っているところが多いかもしれません。

 

グランドの目的は、各種機器と接続することで、電位差を発生させないことにあります。

電位差が発生すると、電流が流れ電圧が安定しなかったり、電磁場の干渉が発生したりします。

簡単に言うと「電気的に接続」した状態にすることをいいます。

 

タイトルにある炭素繊維は電気が流れるため、無理に電気的に接続する対策をしなくても電気的に接続しているだろうという考えがありました。

 

宇宙空間では空間電荷(宇宙プラズマ)が発生しており、電気的に接続していないと各パーツに帯電し、電位差が発生し各機器に悪影響を及ぼします。

 

今回は炭素繊維/樹脂複合材による空間電荷に関するNASAのLessons Learnedです。

 

概要

炭素繊維/樹脂複合材料は、材料が導電性であるため、宇宙プラズマによる帯電の影響を受けないと考えられていました。

 

非導電性樹脂よって電気的に接続されていない場合は、かなりの電荷が帯電する可能性があります

 

材料の電気抵抗を確認するときは、非接触電荷測定装置を使用し、最悪の場合の放電しても問題ないような宇宙機の設計を検討しましょう。 

発生タイミング

宇宙プラズマ粒子により宇宙機表面が帯電する場合は、非金属及びセラミックー金属副造材などの非導電性の表面材が危険な場合があります。

 

非金属およびセラミック-金属複合材料などの非導電性表面材料で認識されない危険をもたらす可能性があります。

 

炭素繊維/樹脂複合材料は、炭素繊維材が導電性であるため、宇宙プラズマ帯電の影響を受けないと考えられていましたが、実際にはかなりの電荷が帯電する可能性があります。

 

電子ビームを利用した試験ではかなり帯電することが分かりました。

炭素繊維/樹脂複合材料で作られた宇宙機の構造体は、構造性能要件を維持しながら、大幅な軽量化が可能であることが証明されています。

いわゆる炭素繊維/樹脂複合材料は、カーボンスキンのハニカムパネルことを指しています。

 

炭素繊維/樹脂複合材は優れた熱性能を持っており、宇宙船のソーラーアレイ、ラジエーターパネル、宇宙望遠鏡の構造、およびミラー構造での一部を形成しています。

 

これらの理由から、この材料は宇宙干渉計ミッション(SIM)宇宙船の構造コンポーネントで広く使用されています。

 

炭素繊維の表面は導電性を示すため炭素繊維材の表面を抵抗計で測定すると抵抗がゼロになる可能性があります。

 

しかし、炭素繊維樹脂複合材の接着するために使用されているエポキシ性樹脂(非導電性シアネートエステル樹脂)は、電子ビームにさらされると、2000ボルトを超える電位を蓄積することが確認されています。

 

Lessons Learned

宇宙機の宇宙側を向いている外表面など、空間電荷を含む静電放電エネルギーによる劣化損傷を受けやすい場所に複合材料(シアン酸グラファイトエステルやエポキシ樹脂など)が使用されている場合、次の点を注意して設計してください。

 

ワーストケースでの条件試験において、宇宙プラズマ環境条件下を模擬する場合、材料の電気抵抗に対して非接触電荷測定装置を使用してください。


試験の結果、最悪放電による帯電を受け入れ可能な宇宙機を設計する必要があります。

対策として、パルスフィルターや代替材料、コーティングの使用、または複合材料表面の電気的接続を改善する必要があります。

 


 

最後に

まとめると、カーボンスキンのハニカムパネルを使用する場合は、パネル自体の帯電に気を付けてくださいということです。

 

炭素繊維ハニカム材(炭素繊維複合材)は、飛行機やロケットなどで使用されており、軽くて強度はあります。

 

しかし、複合材を成形する際に、接着剤を使用するため内部を貫通して電気が流れないという特性があることに注意してください。

 

導電性の接着剤を使用するという手もあります。

その場合は気を付ける点として、接着剤そのものの強度があります。

 

導電性接着剤は添加物を混ぜる場合があるので接着強度が弱まる点と、ハニカムパネルの場合は加熱溶着であることが多いため、高温でも導電特性が保持できるかにあります。

さらに宇宙機特有のオフガス、アウトガスの問題もあります。

 

なかなか難しいですね。

 

構造筐体を金属の塊からの削りだしにしている場合は気にしていなかった点ですので、構造変更の場合には注意しましょう。

 

参考サイト

NASA Lessons Learned

https://www.nasa.gov/offices/oce/functions/lessons/index.html

NASA Lessons Learned Steering Committee(LLSC)

https://llis.nasa.gov/

Space Charging of Composite Structures

https://llis.nasa.gov/lesson/1330

アースとは違う!グランド(GND)を理解するための基礎知識を解説

https://www.seikatsu110.jp/electrical/et_short_circuit/22553/

Links for Courses Taught by Dr. Holbert

http://holbert.faculty.asu.edu/courses.html

民間ロケット打上げ企業Rocket Labの施設を紹介して規模を知る

Rocket Labを紐解く

f:id:MSDSSph:20210810002346j:plain

Credits: Rocket Lab

 

Roket Lab(ロケットラボ)は、2021年8月時点で、アメリカのカルフォルニア州ロサンゼルスに本社を置き、ニュージーランドにロケット射場設備を持つロケット打上げの企業です。アメリカのバージニア州にも第2の射場設備も有しています。

2006年に創業し、SPAC(特別買収目的会社)により2021年2QにNASDAQに上場予定でです。

業績的には赤字ですが、計画では2024年までにキャッシュフローは黒字となる予定のようです。

Vector Capital、BlackRock、Neuberger Bermanをなどの合計39の投資会社の支援を受けています。

 

NASAをはじめ、アメリカ国家偵察局(NRO)、国防高等研究計画局(DARPA)などの政府機関と商業組織、民間の衛星企業・組織を顧客基盤としています。

 

今回はRocket Labの施設を説明した動画が2021年8月に公開されたので、合わせてRocket Labを調べてみました。

[目次]

ロケットについて

Rocket Labは、低軌道の宇宙機などの搭載ペイロード300kgの能力を持つ全長18mのElectron(エレクトロン)と、火星や金星への打ち上げ能力を持つ全長40mのNeutron(ニュートロン)の2つの機種を持っています。

 

 

エレクトンは、2017年から2021年8月現在までで20機ほど打上げられて、17機以上成功しています。

 

そして、SpaceXの有するFalcon9の10分の1の価格で100機近い宇宙機を地球の軌道上に投入してきました。

 

炭素繊維構造の筐体をもち、再利用可能構造をしています。

 

再利用に対して、ロケットは一度軌道上に上がるため、地球への大気圏への再突入が発生します。

 

突入時は、2400度以上の高温に達し、2350m/秒の落下速度に達する構造を保有必要があります。

落下の際に姿勢制御を行い、最終的に海に着水するのですが、衝撃速度を減速させるためパラシュートを展開させます。

 

打上げから48時間以内に回収され検査まで済ますことができます。

 

www.youtube.com

 

2021年3月に、エレクトロンの25倍以上の8,000kgの搭載ペイロードがあるニュートロンを2024年に打ち上げを予定しています。

www.youtube.com

 

衛星について

Rocket labは、Photonという衛星バスも開発しています。

衛星バスとは、人工衛星あるいは探査機のプラットフォーム、システム上の共通部分です。衛星バスを開発することで、各パーツの共通化をはかり、量産速度を上げることが可能となります。

 

衛星バス以外にも、自社製の人工衛星First Lightという人工衛星を2020年8月に打上げています。

www.youtube.com

 

地上システムの開発

ニュージーランド宇宙局とアメリカの非政府組織であるEnvironmental Defense Fund (EDF)の開発しているMethaneSATのために、人工衛星用のミッション運用センターMission Operations Control Center (MOCC)を開発しています。

 

ちなみに人工衛星の打上げ自体はSpaceXのFalcon 9で行われることが決まっています。

 

Rocket Labの現状

Rocket Labは、アメリカの民間企業として、定期的に軌道上へアクセスすることができる2社のうち1社です。

 

Rocket labは、SpaceXなどと違い、小型衛星を軌道上に輸送することに注力していたのですが、2021年から金星や火星向けのロケットであるニュートロンを開発したり、Photonといった金星や火星、月向けミッション対応の衛星バスも開発しています。

 

小型衛星向けの市場から、別の市場に向けて動き出している方向に戦略を変えていますね。

Rocket Labの施設公開

www.youtube.com

Rocket Labでは、1つの敷地内に複数の施設・設備を入れています。

 

1つの敷地内に入れた理由には2つあるそうです。

  1. 垂直統合の製造施設として、輸送や人員配置、基礎データや検査の共有などを行いコスト削減させること。
  2. 技術を発展させるために、設計し、生産し、試験し、反映するプロセスを早する。繰り返すことで、生産性や性能を向上させること。

 

この開発体制の中で、炭素繊維部材を利用した構造物の生産性を上げることが重要だと考え、現在では、製造の自動化まで確立しています。

ロケットの構造物は24時間以内に完成する速度まで来ています。

日本で言えば、3Dプリンタや自動化の仕組みから、MISUMIのmeviyサービスを思い起こせるものです。

 

現在では、3Dプリントの技術は8年以上の蓄積があり、24時間に1つ台分のエンジンのパーツ部品を製造できるといいます。(組み立てまでなのかは読み取れませんでした。)

 

さらに、アメリカのカルフォルニアロングビーチの施設では、世界中の工場から生産された部品を集めて、ロケットを1つ完成させるのにたった20日間で組み上げられるところまで来ています。

 

宇宙システム部門は2019年から2020年にかけて2倍の生産速度になり、来年にはさらに2倍となる予定という早さです。

 

 

動画では、炭素繊維材で製造されたロケットの筒が5台以上ならぶ最終組み立てラインから始まります。

一つの空間でこれだけ並ぶのは圧巻ですね。

 

 

ロングビーチの施設ではロケットに関して次の施設が存在しています。

 

ロケットの最終組み立てラインは動画では5台以上のロケットの構造物が並べられていました。

 

また、動画の中では割れやすい太陽電池セルをパネルに貼り付けたり、ケーブルを溶接している様子がうつっています。この様子はどこでもあまり変わらないのですね、懐かしい笑

 

さて、エンジンは先に述べた通り、24時間でパーツを3Dプリンタで加工することができます。

 

このエンジンは、ロングビーチ施設で製造・組立、ニュージランドの施設で最終試験を行い打ち上げのために統合されます。

 

試験後も、実機を利用してフライトシミュレーションを行い検査しています。

これらのデータは世界中にある生産工場と共有され、設計や分析にフィードバックされます。

生産と設計を分離せず、1つの施設内で検討していくことが重要であると考えているようです。

 

このロングビーチの施設には人工衛星の開発設備もあり、次のコンポーネントが製造されています。

 

ここでは、軌道上にある人工衛星の運用・管制センターも存在しており、人工衛星に対しても随時フォードバックを行っているようです。

 

ニュージランドのロケット射場設備には2つの射場が並べられています。

発射場には、打上げ前の燃料補給と搭載ペイロードに対してのクリーンルームがあります。

 

発射場から2km離れたところにはコントロール施設があります。

 

この施設は政府機関や商業組織、どちらのにも対応することを考えられています。

 

4つのメインコントロールセンター、2つのミッションコントロールセンター、2つの通信コントロールセンターがあり、相互に接続されいずれも同等の機能を保持しており、どこからでも操作可能なシステムを構築しています。

さらには、ロケットだけではなく、打ち上がった衛星もサポートしています。

 

 

Rocketは、最近では2021年5月に打上げたロケットが失敗したことが大きなニュースではないでしょうか。

 

その後、2021年7月に打上げたロケットは成功しており、今後も継続して打ち上がっていくでしょう。

 

動画の中でもすでに10基近いロケットを製造し打上げる計画のようです。

 

さて、どこまで生産が早くなるのか楽しみです。

 


 

参考資料

Rocket Lab | Frequent and reliable access launch is now a reality | Rocket Lab

https://www.rocketlabusa.com/

ロケット打ち上げのRocket LabがSPAC合併で上場へ、企業価値4370億円に

https://jp.techcrunch.com/2021/03/02/2021-03-01-rocket-lab-to-go-public-via-spac-at-valuation-of-4-1-billion/

NASA火星探査ミッション用にRocket Labが双子の軌道上宇宙機の開発契約を獲得

https://jp.techcrunch.com/2021/06/16/2021-06-15-rocket-lab-to-design-two-orbital-spacecraft-for-nasa-to-study-mars/

How to bring a rocket back from space

https://www.rocketlabusa.com/about-us/updates/how-to-bring-a-rocket-back-from-space/

再利用化を進めるRocket Labは次のElectron打ち上げでも第1段回収を実施

https://jp.techcrunch.com/2021/04/09/2021-04-08-rocket-lab-to-recover-the-booster-from-its-next-electron-launch-as-it-pursue-reusability/

Rocket Lab identifies cause of Electron failure

https://spacenews.com/rocket-lab-identifies-cause-of-electron-failure/

宇宙ビジネス市場に関わる地上システム関連事業をまとめました

宇宙産業における地上の主要施設となる地上システムを分解する

f:id:MSDSSph:20210808171436j:plain
 

まず、地上局というのは、宇宙空間にある人工衛星や探査機などの宇宙機との通信のための地上の無線局です。

 

そもそも無線局は、無線設備が備え付けられた施設のことをいい、無線設備を操作する対象も含めています。

無線設備は、無線電信や無線電話などの電波を送り、あるいは受け取るための電気的設備のことを言います。

 

法的な定義は電波法で示されています。

 

宇宙業界における地上局は、無線局としての機能以外に、宇宙機の操作やデータの取扱い、データ加工やデータ解析を実施する設備を指していることが多いです。

 

宇宙機の操作は、通信あるいは無線設備を使用するために地上局とは言えるのですが、データの取扱い、データ加工やデータ解析、さらにいうと宇宙機操作のための計画立案などを行う対象も含まれるため、地上システムあるいは地上局システムとも呼ばれます。

 

簡単にいうと、宇宙業界では地上で宇宙機に関して作業するシステムを地上システムと呼んでいるようです。

 

地上システムというと何を指しているのか気を付けた方が良いです。

 

使用方法での区分けとしては、次のようなものがあげられます。

  • ロケットの打上げシステム
  • 宇宙機の運用システム
  • 管制システム
  • データ処理システム

 

各設備の区分としては、だいたい次のようなものがあげられます。

  • アンテナや通信機のある通信設備
  • 受け取った宇宙機のデータを確認・解析したり、通信機を送るデータを生成、運用計画を作成する運用設備
  • 宇宙機のミッションデータの解析処理設備
  • 運用計画をもとにアンテナや通信機を制御する管制設備

このように示しているのですが、組織によって区分が変わります。

 

地上システムのビジネスを考える上での特異な要素をいくつか挙げていきます。

  • アンテナ及び通信機の設置
  • 設備の管理
  • 無線局開設手続き
  • 国際周波数調整
  • 地上システム間のネットワーク(ハード面)
  • 地上システム間の計画管理、運用操作のためのソフトウェア
  • ミッションデータのデータサービス

 

この特異な要素以外は、通常のオフィスあるいは開発環境と同じ設備で可能です。

さらに、追加で上げる場合は、運用中のフリーズやクラッシュを避けるために管制設備の計算機の処理性能や冗長システムが必要となります。

 

[目次]

 

 アンテナ及び通信機の設置

f:id:MSDSSph:20210808175527j:plain

アンテナ設置の要素としては

 

設置場所の視野が十分に確保されていること。

運用する宇宙機あるいはロケットと通信に有利な緯度経度であること。

通信する周波数帯に適したアンテナサイズあるいはアンテナ形状であること。

電波を受信するにあたって、干渉する対象(強い電波を発生させる施設)がないこと。

 

大きくはこのような要素があげられます。

 

これらの情報を調査し、全国各地あるいは世界各国の土地の管理者や役所と交渉することになりますね。

 

また、電波を発信あるいは受信するため、各地の電波法に則った運用あるいは申請を行います。

 

通信機に備え使られるアンテナも現地で製造するか、製造したものを輸送して組み立てるなどの検討になりそうですね。

 

ちなみにアンテナはバンド帯で大きさが変わります。

 

視野が狭い場合でも、アンテナのサイズが限定されますが、ビルの屋上に設置することで、十分な視野を得ることもできます。

 

参入のハードルが高いと感じるかもしれませんが、運用開始するまでに時間が掛かることもあるため、一度、システムを構築すれば強みが出るかもしれません。

 

アンテナ及び通信設備を設置すれば、衛星打上げ事情から需要が高まっているので、人工衛星の運用回転率を上げられれば良好な気がしますね。

 

ただし、世界各地で運用する場合は、後述する設備管理費用が掛かります。

どこまで自動化ができ、どこまで人件費を減らせるかがポイントになりそうです。

 

サービス

・アンテナの使用機会提供サービス:AWS Ground Stationなど

・アンテナ設計製造サービス

・通信機設計製造サービス

 

設備の管理

f:id:MSDSSph:20210808175655j:plain

現在、多くの部分が遠隔操作されているのですが、何かしらのメンテナンスが必要となります。

 

駆動の少ない静止衛星の場合は、メンテナンス回数も少ないですが、低軌道や周回衛星の場合は、アンテナの駆動が多いため、メンテナンスも必要になってきます。

 

メンテナンス回数をどのように減らすかは、定期メンテナンスや負荷の少ないタスク、冗長システムを組み上げるなどで、故障を減らすことができます。

 

各設備はハードウェア面であることから短い周期では3年や5年、長い周期では10年や30年の周期で、交換や修理の必要があります。

 

設備管理は定期的に発生しビジネスとして安定していますが複写機のサポートのような回数が少ないこと、世界各地の場合の対応なども計画するのも大事ですかね。

 

もちろん地震やハリケーンなどの天災による復旧も含めて、設備を構築しておくか、戦略立てておいた方が進めやすいかもしれませんね。

 

サービス

・設備の保守点検管理サービス

・移設作業サービス

 

無線局開設手続き(無線局免許申請)

f:id:MSDSSph:20210808175910j:plain

宇宙機は電波を発射するために無線局の申請が必要ですが、電波を発射するアンテナ側にも無線局の申請が必要になります。

 

ちなみに、電波望遠鏡や距離を測定するVLBI(Very Long Baseline Interferometry:超長基線電波干渉法)用のアンテナは、電波を発生することなく受信のみなので無線局の申請は(日本の法律では今のところ)不要ですかね。

 

巨大なアンテナがあるからといって必ずしも電波を発生させるわけではありません

 

日本では電波法に則って総務省に申請することになります。

海外へは、海外の法律をもって無線局を申請する必要があります。

 

日本でも海外でも関係なく、宇宙側に電波を発射させるため、後述の国際周波数調整を行う必要があるのです。

 

無線局の開設には、仮免許を取得して電波を発射する必要があるため、陸上無線技士や特殊無線技士の資格が必要で、一度開設すると、数年ごとの更新の必要があります。

 

回数は多くないので、地上システム構築のプランとして無線局申請や後述の国際周波数調整を行いますが、専門で法人化するには難しいでしょう。

ただ、地上システムの構築に対応できるのはとても有利に働きます。

 

と言いつつ、無線局申請は宇宙機を所有する組織が申請するため、メインは所有者が対応するため、注意が必要です。

 

サービス

・無線局免許申請/再申請の支援サービス

 

国際周波数調整

f:id:MSDSSph:20210808180042j:plain

国際周波数調整は、周波数が有限である中、全国各地・世界各国で電波を発射することになり、同じ周波数にかぶる可能性があります。

 

同じ周波数になると電波が干渉し、通信ができなくなったり割り込まれたりしてしまうため、通信網の交通整理を行うことを国際周波数調整といいます。

 

国際周波数調整は、電波の交通整理を受け持っている国際電気連合(ITU)に対して申請を行います。

 

世界各国で個人が申請できるとITU側の処理が追い付かないため、各国の電波関係の省庁がまとめています。

日本では総務省の管轄で申請するのですが、申請書自体は電波を発射する組織が行うことにはなります。

 

この電波を使用しますと宣言してから、世界各国各組織の言い分を聞いて、申請登録することになります。

 

各国の政府機関を通すことと、実際に使用する宇宙機や地上局の通信設備の情報も必要であることから、周波数の独占を防ぐ仕組みとなっています。

個人で周波数を取得して、その周波数を利用してビジネスを行うことは難しいです。

 

地上システム構築ビジネスの一つとして国際周波数調整の申請に対するアドバイザーのような役割をすることはできますが、それほど多いものではないでしょう。

 

ただ、宇宙機はどの周波数を使用するかに関わらず、必ず周波数調整を行わなく
てはなりません。

 

更新回数も、周波数を登録する際に、自己申告制となります。

 

宇宙機の寿命から5年や10年での申告として、運用が終了するまでなので通信の実績があれば更新も可能となったはずです(多分)

 

政府でもよりビジネスに繋げるためか、総務省の国際周波数調整の手続きマニュアルがここ10年内で作成更新されており、とても分かりやすくなっています。

 

サービス

・周波数国際調整の支援サービス

 

地上システム間のネットワーク(ハード面)

f:id:MSDSSph:20210808180133j:plain

地上システムは、同一施設内に入っている必要はありません。

施設場所は複数にまたがっていることが多いです。

 

システムのネットワークは通常のインターネット回線を使用することもありますが、衛星データの情報にVPN(Virtual Private Network)や専用線を使用することでセキュリティを高めているところもあります。

 

通常のネットワークで有名なのはAWS Ground Stationですね。

 

運用可能タイミングが、スケジュールで管理されているため、争奪戦になっているかもしれませんし、タイミングがずれていれば問題ないかもしれません。

 

AWS Ground Stationの特徴は、電波を受信できるだけではなく解析の環境もクラウド上で整えてもらえるところです。

 

すなわち、拠点を変更することになったとしても、1次処理、2次処理レベルであれば物理的な物品の移動や独自のネットワークの構築なしにそのまま使えるところにあります。

 

ユーザーに提供する形を整えてしまえば、ワンストップで生データを製品化することができます。

 

といっても、結局のところ、生データの秘匿性はもちろん複数回の処理方法やアルゴリズムなどをAWS Ground Station上で整えることと、自前で準備するのとどちらが得というと、難しい所です。

 

地上システムでの追跡管制や通信局としてのシステムだけ借りて、そのほかの処理は自前で用意するという選択肢も十分に利があるように思えます。

 

もちろん、ゼロから始める地上システム製造と考えると、格段にハードルが下がります。

 

また、このようなAWS Ground Stationを使わずとも、秘匿性を要求するのであれば、VPN専用線を引くことが良いことにはなります。

 

非公表の試験データなどは専用回線を使用することになるでしょう。

 

通信設備を立てるときに合わせて回線を引く必要があるか検討しておくのもありかもしれません。 

 

ちなみに昔はハードウェアそのものを輸送していました。

 

HDDであればよいのですが、テープによるデータカセットも存在して、人力で輸送をしていました。今も残っているかもしれません。

 

サービス

VPN/専用線設置サービス

・ネットワーク構築保守サービス

・データ輸送サービス

 

地上システム間の計画管理、運用操作のためのソフトウェア

f:id:MSDSSph:20210808180231j:plain

運用操作は、宇宙機にどのような操作を行うか命令を送ることと、宇宙機からのデータを取得することがメインの作業になります。

 

運用操作は各宇宙機の開発組織で変わります。

運用ソフトが変わるため各組織に対応した運用メンバーが必要になります。

 

というのも運用ソフトは、統一されたものもなく、独自の進化を遂げているために、共通化しにくいというのがありました。

 

もちろん、運用の要素は、人工衛星であればあるていど変わらないので、ソフトウェアの操作を覚えるだけで対応が可能です。

 

周回衛星の運用の要素は、人工衛星の最新の詳細軌道解析と、軌道を取り込みアンテナを操作します。

 

人工衛星から発信される電波をアンテナを通して通信機で受信したら、通信機を操作し周波数帯をロックし、地上の通信設備を通して命令を送ったり、人工衛星で取得したデータを受け取るなどの作業を行います。

 

人工衛星から取得したデータによっては、人工衛星の状態を確認できるため、異常があればトラブルシュートを行います。

 

トラブルシュートを行う場合は、運用タイミングを増やし、対処の指令を検討することになります。

 

ざっと、このような流れで運用していくことになります。

 

人工衛星はロケットにより宇宙に打ち上がり、放出された後が最も危険な状態です。

そのため、打ち上がったときの運用は、人工衛星の開発メンバーであったり、経験豊富な運用メンバーが対応します。

 

その後、人工衛星の状態が安定するとある程度のルーティンワークとなります。

難しい作業が少なくなるため、より自動化が進む可能性がありますが、操作が複雑であれば運用メンバーとして作業を行うことになるかと思います。

 

また、これだけ人工衛星開発が世界各地で進められているため、汎用性の高い運用ソフトウェアも出回り始めているかもしれません

まあ、よほどの勢力でなければ、完全統一されることは難しいでしょうけど。

 

 

最近ではクラウド上での連携を行うことで、世界各国に配置されている通信局と接続することもできます。

 

人工衛星がアンテナの視野内に入り、通信できるタイミングで動かすシステム。

 

人工衛星の運用タイミング、軌道位置については別途計算したり、公開情報から取得する必要がありますが、その情報さえ分かればアンテナを動かすのみです。

 

AWSのサービスでもできますし、日本ではインフォステラがサービスを開始しています。2つのサービスは競合すると思いきやAWSベースでインフォステラのソフトウェアを動かせるような協力体制をとっています。

 

自前でアンテナを用意する場合は、AWSの代わりにそのソフトウェアを用意する必要があります。

 

注意していた方がいいのは、通信機を含めて電波を出す(運用する)場合は、資格が必要になるということですかね。

自動化しても電波を発信する限り資格者が必要になります。

ただ、主任無線従事者を置くことで必ずしも施設内に資格者が居る必要はなくなります。

 

サービス

宇宙機の運用サービス

宇宙機運用ネットワークサービス

 

ミッションデータによるデータサービス

f:id:MSDSSph:20210808180335j:plain

ミッションデータとして周回衛星の場合ですと、光学画像やレーダー画像が広まってきています。

 

この画像を使用して何に使えるかを考えればさらに利用できるサービスが増えていきます。

 

最初は人工衛星保有する企業による画像解析もあるのですが、画像を利用したサービスは画像があればいいので、人工衛星保有している必要はありません。

 

無料で使用できる人工衛星データも増えてきているので、既存の画像サービスを利用して新たなサービス提供、新たなアートを提供することも可能になります。

 

ちょうど、携帯電話やスマートフォンGPSデータを利用した地図サービスをはじめ、最近ではGPSデータを利用したゲームも生まれています。

 

VR機能を使ったサービスも多く、アートとして利用する個人も出てきています。

 

既にある画像サービスについて紹介しておきます。

 

mechanical-systems-sharing-ph.hatenablog.com

mechanical-systems-sharing-ph.hatenablog.com

mechanical-systems-sharing-ph.hatenablog.com

mechanical-systems-sharing-ph.hatenablog.com

 


 

参考情報

総務省 電波利用ホームページ|周波数割当て

https://www.tele.soumu.go.jp/j/freq/index.htm

総務省 電波利用ホームページ|国際周波集調整

https://www.tele.soumu.go.jp/j/adm/freq/process/freqint/

AWS Ground Station – Ingest and Process Data from Orbiting Satellites

https://aws.amazon.com/jp/blogs/aws/aws-ground-station-ingest-and-process-data-from-orbiting-satellites/

コードで学ぶAWS入門

https://tomomano.github.io/learn-aws-by-coding/

主任無線従事者制度の意義

https://www.soumu.go.jp/soutsu/tokai/musen/juujisha/shunin.html#:~:text=%E4%B8%BB%E4%BB%BB%E7%84%A1%E7%B7%9A%E5%BE%93%E4%BA%8B%E8%80%85%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%81%AE%E6%84%8F%E7%BE%A9,%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%8C%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%82%8B%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82&text=%E2%80%BB%20%E3%82%A2%E3%83%9E%E3%83%81%E3%83%A5%E3%82%A2%E7%84%A1%E7%B7%9A%E5%B1%80%E3%81%AB,%E3%81%AF%E9%81%A9%E7%94%A8%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%BE%E3%81%9B%E3%82%93%E3%80%82

人工衛星のハーネス設計のルーティング(配線)検討のポイント(詳細設計、維持設計編)

f:id:MSDSSph:20210727020210j:plain

前回は基本設計フェーズぐらいのハーネス設計を淡々と述べていきました。

 

今回は打ち上げまで行ければよいかと思っています。

 

それでは、Let’s go!

 

詳細設計フェーズ移行のハーネス設計

f:id:MSDSSph:20210727020337j:plain

 

基本設計フェーズまでで、機器配置を含めて、だいたいの設計が終わるのがほとんどでしょう。

 

基本設計フェーズといえど、すべての組織で同様のフェーズを辿るわけではないので、適度にアレンジしてもらえればと思います。

 

さて、ハーネスのルーティングが決まっても、すぐさまハーネスを製造することはありません。

なぜか、他の設計が終わっていないため、ハーネスを製造することができないからです。

 

製造しないのになぜある程度のハーネスルーティングを決めていたのか、ちゃんと理由があります。

 

  • ハーネスの長さ
  • ハーネスの線種
  • コネクタ

 

これらの情報は、ハーネスを購入するために必要となります。

 

宇宙用の具材はリードタイムが長いのです。

 

宇宙用でなければ気にする必要はないのですが、宇宙用を購入するためにはリードタイムを見ておく必要があります。

リードタイム:発注から納品までに必要な時間

 

宇宙用具材は特殊ですので、手元に来るのに時間が掛かります。

また、世界的に原材料が不足していたり、価格の高騰に影響を受けます。

銅線は最たるもので、樹脂材料もたまに影響を受けます。

 

さらに、試験の時に必要になります。

単体試験、連結試験、連動試験、サブシステム試験など、様々な呼ばれ方をしたりしなかったりするのですが、この時に実物と同じピンアサイメントのハーネスが必要になります。

 

もちろん地上試験用なので宇宙用である必要はありませんし、次号以降再利用することもできます。

 

ピンアサイメントが基本設計フェーズで必要だといったのはこのためです。

 

これらの試験が終わった後、ハーネス設計側に試験結果を反映したピンアサイメントが提供されることが理想です。

 

これら試験結果を反映してピンアサイメントを確定していきます。

 

試験結果の反映はピンアサイメントだけではなく、ハーネスやコネクタをシールド付きにするか、クロス配線にするのかといったノイズ対策の有無を取り入れていきます。

 

試験結果を反映して配線や機器配置の再検討もしていきます。

 

忘れてはいけないハーネス設計の重要箇所

f:id:MSDSSph:20210727021143j:plain

 

詳細設計フェーズの終盤では製造一歩手前に入るため、ここで再びハーネス設計を始めることになります。

 

実装を意識して配線していきます。

 

ハーネス設計で忘れてはいけない部分があります。

 

  • フライトコネクタ
  • 太陽電池セルからの電力配線
  • 通信ケーブル

 

上記3つは注意しておく必要があります。

 

フライトコネクタ(宇宙機で打上げ(フライト)に供するコネクタ)はロケット側のインターフェースと関わります。

打上げ時に宇宙機起動や充電などのシステムとつながる箇所になります。

 

ハーネス設計では機器間での作業が多いため、注力してしまうところがあり、後に設計しがちです。

 

配線を検討する上で、ロケット側との調整が必要にもなります。

ロケット側から指定されていれば、それに合わせたコネクタを用意しておく必要もあります。

 

開発組織では収まらない別の組織とのインターフェースであるため、何度も確認される部分でもあるので注意が必要です。

 

太陽電池セルや通信ケーブルは、展開機構や駆動機構があるため、余長がどこまで必要かを考慮しておきましょう。

 

断線や被覆が切れたり、駆動範囲にケーブルがあるために想定の駆動ができなくなったり、ケーブルが強いためテンションが掛かり展開速度や駆動速度が遅くなりラッチ機構が不十分な時になってしまうことなどの注意が必要です。

 

通信ケーブルは、断線などはもちろんですが、通信信号の減衰があるため必要以上に曲げを発生させないようにしておかなければいけません。

 

ハーネスボードで考えてみる

f:id:MSDSSph:20210727021439j:plain

 

最近の流行りは、3DCADから検討しているようですが、ハーネスボードでも検討し始めることもあります。

ハーネスボード:人工衛星の実物あるいは実物大の構造を模擬(モデル)化して、実際にハーネスを配線して、ケーブル長さを確認するものです。最終的には実際に人工衛星に使用するハーネスを配線します。配線後は、ハーネスの束を結束して実際の人工衛星に移植するために使用される。コネクタ場所も模擬します。実物大人工衛星を模擬することもありますが、1枚の板上に模擬する場合もあります(WEB上では板状で模擬されている)。

 

ハーネスボードは打上げないので金属製や木製、樹脂などさまざまな形で模擬されます。

キューブサット級ではハーネスが複雑ではないため使用されることが少ないですが、50㎝級の人工衛星から使われることもあります。

 

ハーネスボードは人工衛星のハーネス製造時に使用されると同時にハーネスの保管箱としても使用されます。

 

ハーネスは配線しないととても長いケーブルであり、保管場所が難しくなります。

何メートルもの長さにもなる場合があり、下手に巻くと絡まって再製作してしまうことになります。

 

保管場場所に困るため、製造を後回しにすることもあります。

 

ハーネスを実装する維持設計フェーズ

f:id:MSDSSph:20210727021547j:plain

ハーネス設計は単純作業ではあるが、複雑で時間のかかる作業です。

 

ピンアサイメントの情報と接続するコネクタ、線材があれば製造可能です。

組織外の外注に出すことも可能です。 

 

もしかすると、多くの組織では外注中心で進めているかもしれませんが、配線間違いは宇宙業界でなくともよく発生します。

 

配線間違いがなくともピンアサイメント間違いや、大本の信号が間違っていたなんてことも発生します。

 

機器単体の試験やサブシステム試験、システム試験で十分に確認しておく必要があります。

もしかすると、同型の機器(例えばホイール)が1,2,3、4機搭載されていたとして、制御機器の回路設計の間違いで機器1に命令していた信号が機器3で出力されてしまうなんて言うことが発生してしまいます。

 

人間が間違うものだという前提で試験をしていくのですが、実際間違ったときは何が間違っていたのか確認する必要があります。

 

そのためにもピンアサイン表ならびにハーネス設計の源泉を作成しておくことをお勧めしておきます。

 

実際の実装に関しても、3DCAD上で完全に再現できなかったハーネスにより、太さや曲げ易さから、設計とは多少ずれてしまう位置に配線しなければならないこともあります。

 

成人男性の腕以上も太くなるケーブルの束をどのように配線するのか、ある程度の余長をもって設計しましょう。

 

機器配置だけでは抜けてしまうハーネスルーティングは、詳細設計や維持設計フェーズ段階でバランスを取る必要があるため、非常に制約が多く、センスもいる作業なのですから。

 

参照文献

CABLE AND HARNESS

https://workmanship.nasa.gov/lib/insp/2%20books/links/sections/401%20General%20Requirements.html