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人工衛星の設計・製造・管理をしていた宇宙のシステム・機械設計者が人工衛星の機械システムや宇宙ブログ的なこと、そして、横道に反れたことを覚え書き程度に残していく設計技術者や管理者、営業向けブログ

導電性のある炭素繊維(カーボン)/樹脂複合材でも宇宙空間で空間電荷の影響を受ける | Lessons Learned

導電性のある炭素繊維(カーボン)複合材でも宇宙空間で空間電荷の影響を受ける

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宇宙機開発において注意するべきものは、グランドという考え方です。

 

既製品や一般製品の場合、アースという考え方があり、グランドはアースに似て異なる考え方です。

 

アースは、地面と接続することで電位を安定させたり、地面との電圧差を防ぎ、電流が流れることを防止します。

 

一方で、グランドは、機器内の動作の安定やパーツの帯電による電磁波や輻射を防止することが主たる理由となります。

 

グランドを取っていないと、かつてはラジオやテレビなどの機器では音声や映像に影響が出ていました。

現在ではほとんどなくなっていますので、実体験できる場面が少なくなっていますね。

 

宇宙空間ではグランドの考え方が重要でアースがありません。

 

もしかするとメーカーでも区別せず、ノイズが発生しても、ノイズ防止のための処置として、最終的にアースを接続するため、アースという言葉のみを使っているところが多いかもしれません。

 

グランドの目的は、各種機器と接続することで、電位差を発生させないことにあります。

電位差が発生すると、電流が流れ電圧が安定しなかったり、電磁場の干渉が発生したりします。

簡単に言うと「電気的に接続」した状態にすることをいいます。

 

タイトルにある炭素繊維は電気が流れるため、無理に電気的に接続する対策をしなくても電気的に接続しているだろうという考えがありました。

 

宇宙空間では空間電荷(宇宙プラズマ)が発生しており、電気的に接続していないと各パーツに帯電し、電位差が発生し各機器に悪影響を及ぼします。

 

今回は炭素繊維/樹脂複合材による空間電荷に関するNASAのLessons Learnedです。

 

概要

炭素繊維/樹脂複合材料は、材料が導電性であるため、宇宙プラズマによる帯電の影響を受けないと考えられていました。

 

非導電性樹脂よって電気的に接続されていない場合は、かなりの電荷が帯電する可能性があります

 

材料の電気抵抗を確認するときは、非接触電荷測定装置を使用し、最悪の場合の放電しても問題ないような宇宙機の設計を検討しましょう。 

発生タイミング

宇宙プラズマ粒子により宇宙機表面が帯電する場合は、非金属及びセラミックー金属副造材などの非導電性の表面材が危険な場合があります。

 

非金属およびセラミック-金属複合材料などの非導電性表面材料で認識されない危険をもたらす可能性があります。

 

炭素繊維/樹脂複合材料は、炭素繊維材が導電性であるため、宇宙プラズマ帯電の影響を受けないと考えられていましたが、実際にはかなりの電荷が帯電する可能性があります。

 

電子ビームを利用した試験ではかなり帯電することが分かりました。

炭素繊維/樹脂複合材料で作られた宇宙機の構造体は、構造性能要件を維持しながら、大幅な軽量化が可能であることが証明されています。

いわゆる炭素繊維/樹脂複合材料は、カーボンスキンのハニカムパネルことを指しています。

 

炭素繊維/樹脂複合材は優れた熱性能を持っており、宇宙船のソーラーアレイ、ラジエーターパネル、宇宙望遠鏡の構造、およびミラー構造での一部を形成しています。

 

これらの理由から、この材料は宇宙干渉計ミッション(SIM)宇宙船の構造コンポーネントで広く使用されています。

 

炭素繊維の表面は導電性を示すため炭素繊維材の表面を抵抗計で測定すると抵抗がゼロになる可能性があります。

 

しかし、炭素繊維樹脂複合材の接着するために使用されているエポキシ性樹脂(非導電性シアネートエステル樹脂)は、電子ビームにさらされると、2000ボルトを超える電位を蓄積することが確認されています。

 

Lessons Learned

宇宙機の宇宙側を向いている外表面など、空間電荷を含む静電放電エネルギーによる劣化損傷を受けやすい場所に複合材料(シアン酸グラファイトエステルやエポキシ樹脂など)が使用されている場合、次の点を注意して設計してください。

 

ワーストケースでの条件試験において、宇宙プラズマ環境条件下を模擬する場合、材料の電気抵抗に対して非接触電荷測定装置を使用してください。


試験の結果、最悪放電による帯電を受け入れ可能な宇宙機を設計する必要があります。

対策として、パルスフィルターや代替材料、コーティングの使用、または複合材料表面の電気的接続を改善する必要があります。

 


 

最後に

まとめると、カーボンスキンのハニカムパネルを使用する場合は、パネル自体の帯電に気を付けてくださいということです。

 

炭素繊維ハニカム材(炭素繊維複合材)は、飛行機やロケットなどで使用されており、軽くて強度はあります。

 

しかし、複合材を成形する際に、接着剤を使用するため内部を貫通して電気が流れないという特性があることに注意してください。

 

導電性の接着剤を使用するという手もあります。

その場合は気を付ける点として、接着剤そのものの強度があります。

 

導電性接着剤は添加物を混ぜる場合があるので接着強度が弱まる点と、ハニカムパネルの場合は加熱溶着であることが多いため、高温でも導電特性が保持できるかにあります。

さらに宇宙機特有のオフガス、アウトガスの問題もあります。

 

なかなか難しいですね。

 

構造筐体を金属の塊からの削りだしにしている場合は気にしていなかった点ですので、構造変更の場合には注意しましょう。

 

参考サイト

NASA Lessons Learned

https://www.nasa.gov/offices/oce/functions/lessons/index.html

NASA Lessons Learned Steering Committee(LLSC)

https://llis.nasa.gov/

Space Charging of Composite Structures

https://llis.nasa.gov/lesson/1330

アースとは違う!グランド(GND)を理解するための基礎知識を解説

https://www.seikatsu110.jp/electrical/et_short_circuit/22553/

Links for Courses Taught by Dr. Holbert

http://holbert.faculty.asu.edu/courses.html

民間ロケット打上げ企業Rocket Labの施設を紹介して規模を知る

Rocket Labを紐解く

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Credits: Rocket Lab

 

Roket Lab(ロケットラボ)は、2021年8月時点で、アメリカのカルフォルニア州ロサンゼルスに本社を置き、ニュージーランドにロケット射場設備を持つロケット打上げの企業です。アメリカのバージニア州にも第2の射場設備も有しています。

2006年に創業し、SPAC(特別買収目的会社)により2021年2QにNASDAQに上場予定でです。

業績的には赤字ですが、計画では2024年までにキャッシュフローは黒字となる予定のようです。

Vector Capital、BlackRock、Neuberger Bermanをなどの合計39の投資会社の支援を受けています。

 

NASAをはじめ、アメリカ国家偵察局(NRO)、国防高等研究計画局(DARPA)などの政府機関と商業組織、民間の衛星企業・組織を顧客基盤としています。

 

今回はRocket Labの施設を説明した動画が2021年8月に公開されたので、合わせてRocket Labを調べてみました。

[目次]

ロケットについて

Rocket Labは、低軌道の宇宙機などの搭載ペイロード300kgの能力を持つ全長18mのElectron(エレクトロン)と、火星や金星への打ち上げ能力を持つ全長40mのNeutron(ニュートロン)の2つの機種を持っています。

 

 

エレクトンは、2017年から2021年8月現在までで20機ほど打上げられて、17機以上成功しています。

 

そして、SpaceXの有するFalcon9の10分の1の価格で100機近い宇宙機を地球の軌道上に投入してきました。

 

炭素繊維構造の筐体をもち、再利用可能構造をしています。

 

再利用に対して、ロケットは一度軌道上に上がるため、地球への大気圏への再突入が発生します。

 

突入時は、2400度以上の高温に達し、2350m/秒の落下速度に達する構造を保有必要があります。

落下の際に姿勢制御を行い、最終的に海に着水するのですが、衝撃速度を減速させるためパラシュートを展開させます。

 

打上げから48時間以内に回収され検査まで済ますことができます。

 

www.youtube.com

 

2021年3月に、エレクトロンの25倍以上の8,000kgの搭載ペイロードがあるニュートロンを2024年に打ち上げを予定しています。

www.youtube.com

 

衛星について

Rocket labは、Photonという衛星バスも開発しています。

衛星バスとは、人工衛星あるいは探査機のプラットフォーム、システム上の共通部分です。衛星バスを開発することで、各パーツの共通化をはかり、量産速度を上げることが可能となります。

 

衛星バス以外にも、自社製の人工衛星First Lightという人工衛星を2020年8月に打上げています。

www.youtube.com

 

地上システムの開発

ニュージーランド宇宙局とアメリカの非政府組織であるEnvironmental Defense Fund (EDF)の開発しているMethaneSATのために、人工衛星用のミッション運用センターMission Operations Control Center (MOCC)を開発しています。

 

ちなみに人工衛星の打上げ自体はSpaceXのFalcon 9で行われることが決まっています。

 

Rocket Labの現状

Rocket Labは、アメリカの民間企業として、定期的に軌道上へアクセスすることができる2社のうち1社です。

 

Rocket labは、SpaceXなどと違い、小型衛星を軌道上に輸送することに注力していたのですが、2021年から金星や火星向けのロケットであるニュートロンを開発したり、Photonといった金星や火星、月向けミッション対応の衛星バスも開発しています。

 

小型衛星向けの市場から、別の市場に向けて動き出している方向に戦略を変えていますね。

Rocket Labの施設公開

www.youtube.com

Rocket Labでは、1つの敷地内に複数の施設・設備を入れています。

 

1つの敷地内に入れた理由には2つあるそうです。

  1. 垂直統合の製造施設として、輸送や人員配置、基礎データや検査の共有などを行いコスト削減させること。
  2. 技術を発展させるために、設計し、生産し、試験し、反映するプロセスを早する。繰り返すことで、生産性や性能を向上させること。

 

この開発体制の中で、炭素繊維部材を利用した構造物の生産性を上げることが重要だと考え、現在では、製造の自動化まで確立しています。

ロケットの構造物は24時間以内に完成する速度まで来ています。

日本で言えば、3Dプリンタや自動化の仕組みから、MISUMIのmeviyサービスを思い起こせるものです。

 

現在では、3Dプリントの技術は8年以上の蓄積があり、24時間に1つ台分のエンジンのパーツ部品を製造できるといいます。(組み立てまでなのかは読み取れませんでした。)

 

さらに、アメリカのカルフォルニアロングビーチの施設では、世界中の工場から生産された部品を集めて、ロケットを1つ完成させるのにたった20日間で組み上げられるところまで来ています。

 

宇宙システム部門は2019年から2020年にかけて2倍の生産速度になり、来年にはさらに2倍となる予定という早さです。

 

 

動画では、炭素繊維材で製造されたロケットの筒が5台以上ならぶ最終組み立てラインから始まります。

一つの空間でこれだけ並ぶのは圧巻ですね。

 

 

ロングビーチの施設ではロケットに関して次の施設が存在しています。

 

ロケットの最終組み立てラインは動画では5台以上のロケットの構造物が並べられていました。

 

また、動画の中では割れやすい太陽電池セルをパネルに貼り付けたり、ケーブルを溶接している様子がうつっています。この様子はどこでもあまり変わらないのですね、懐かしい笑

 

さて、エンジンは先に述べた通り、24時間でパーツを3Dプリンタで加工することができます。

 

このエンジンは、ロングビーチ施設で製造・組立、ニュージランドの施設で最終試験を行い打ち上げのために統合されます。

 

試験後も、実機を利用してフライトシミュレーションを行い検査しています。

これらのデータは世界中にある生産工場と共有され、設計や分析にフィードバックされます。

生産と設計を分離せず、1つの施設内で検討していくことが重要であると考えているようです。

 

このロングビーチの施設には人工衛星の開発設備もあり、次のコンポーネントが製造されています。

 

ここでは、軌道上にある人工衛星の運用・管制センターも存在しており、人工衛星に対しても随時フォードバックを行っているようです。

 

ニュージランドのロケット射場設備には2つの射場が並べられています。

発射場には、打上げ前の燃料補給と搭載ペイロードに対してのクリーンルームがあります。

 

発射場から2km離れたところにはコントロール施設があります。

 

この施設は政府機関や商業組織、どちらのにも対応することを考えられています。

 

4つのメインコントロールセンター、2つのミッションコントロールセンター、2つの通信コントロールセンターがあり、相互に接続されいずれも同等の機能を保持しており、どこからでも操作可能なシステムを構築しています。

さらには、ロケットだけではなく、打ち上がった衛星もサポートしています。

 

 

Rocketは、最近では2021年5月に打上げたロケットが失敗したことが大きなニュースではないでしょうか。

 

その後、2021年7月に打上げたロケットは成功しており、今後も継続して打ち上がっていくでしょう。

 

動画の中でもすでに10基近いロケットを製造し打上げる計画のようです。

 

さて、どこまで生産が早くなるのか楽しみです。

 


 

参考資料

Rocket Lab | Frequent and reliable access launch is now a reality | Rocket Lab

https://www.rocketlabusa.com/

ロケット打ち上げのRocket LabがSPAC合併で上場へ、企業価値4370億円に

https://jp.techcrunch.com/2021/03/02/2021-03-01-rocket-lab-to-go-public-via-spac-at-valuation-of-4-1-billion/

NASA火星探査ミッション用にRocket Labが双子の軌道上宇宙機の開発契約を獲得

https://jp.techcrunch.com/2021/06/16/2021-06-15-rocket-lab-to-design-two-orbital-spacecraft-for-nasa-to-study-mars/

How to bring a rocket back from space

https://www.rocketlabusa.com/about-us/updates/how-to-bring-a-rocket-back-from-space/

再利用化を進めるRocket Labは次のElectron打ち上げでも第1段回収を実施

https://jp.techcrunch.com/2021/04/09/2021-04-08-rocket-lab-to-recover-the-booster-from-its-next-electron-launch-as-it-pursue-reusability/

Rocket Lab identifies cause of Electron failure

https://spacenews.com/rocket-lab-identifies-cause-of-electron-failure/

宇宙ビジネス市場に関わる地上システム関連事業をまとめました

宇宙産業における地上の主要施設となる地上システムを分解する

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まず、地上局というのは、宇宙空間にある人工衛星や探査機などの宇宙機との通信のための地上の無線局です。

 

そもそも無線局は、無線設備が備え付けられた施設のことをいい、無線設備を操作する対象も含めています。

無線設備は、無線電信や無線電話などの電波を送り、あるいは受け取るための電気的設備のことを言います。

 

法的な定義は電波法で示されています。

 

宇宙業界における地上局は、無線局としての機能以外に、宇宙機の操作やデータの取扱い、データ加工やデータ解析を実施する設備を指していることが多いです。

 

宇宙機の操作は、通信あるいは無線設備を使用するために地上局とは言えるのですが、データの取扱い、データ加工やデータ解析、さらにいうと宇宙機操作のための計画立案などを行う対象も含まれるため、地上システムあるいは地上局システムとも呼ばれます。

 

簡単にいうと、宇宙業界では地上で宇宙機に関して作業するシステムを地上システムと呼んでいるようです。

 

地上システムというと何を指しているのか気を付けた方が良いです。

 

使用方法での区分けとしては、次のようなものがあげられます。

  • ロケットの打上げシステム
  • 宇宙機の運用システム
  • 管制システム
  • データ処理システム

 

各設備の区分としては、だいたい次のようなものがあげられます。

  • アンテナや通信機のある通信設備
  • 受け取った宇宙機のデータを確認・解析したり、通信機を送るデータを生成、運用計画を作成する運用設備
  • 宇宙機のミッションデータの解析処理設備
  • 運用計画をもとにアンテナや通信機を制御する管制設備

このように示しているのですが、組織によって区分が変わります。

 

地上システムのビジネスを考える上での特異な要素をいくつか挙げていきます。

  • アンテナ及び通信機の設置
  • 設備の管理
  • 無線局開設手続き
  • 国際周波数調整
  • 地上システム間のネットワーク(ハード面)
  • 地上システム間の計画管理、運用操作のためのソフトウェア
  • ミッションデータのデータサービス

 

この特異な要素以外は、通常のオフィスあるいは開発環境と同じ設備で可能です。

さらに、追加で上げる場合は、運用中のフリーズやクラッシュを避けるために管制設備の計算機の処理性能や冗長システムが必要となります。

 

[目次]

 

 アンテナ及び通信機の設置

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アンテナ設置の要素としては

 

設置場所の視野が十分に確保されていること。

運用する宇宙機あるいはロケットと通信に有利な緯度経度であること。

通信する周波数帯に適したアンテナサイズあるいはアンテナ形状であること。

電波を受信するにあたって、干渉する対象(強い電波を発生させる施設)がないこと。

 

大きくはこのような要素があげられます。

 

これらの情報を調査し、全国各地あるいは世界各国の土地の管理者や役所と交渉することになりますね。

 

また、電波を発信あるいは受信するため、各地の電波法に則った運用あるいは申請を行います。

 

通信機に備え使られるアンテナも現地で製造するか、製造したものを輸送して組み立てるなどの検討になりそうですね。

 

ちなみにアンテナはバンド帯で大きさが変わります。

 

視野が狭い場合でも、アンテナのサイズが限定されますが、ビルの屋上に設置することで、十分な視野を得ることもできます。

 

参入のハードルが高いと感じるかもしれませんが、運用開始するまでに時間が掛かることもあるため、一度、システムを構築すれば強みが出るかもしれません。

 

アンテナ及び通信設備を設置すれば、衛星打上げ事情から需要が高まっているので、人工衛星の運用回転率を上げられれば良好な気がしますね。

 

ただし、世界各地で運用する場合は、後述する設備管理費用が掛かります。

どこまで自動化ができ、どこまで人件費を減らせるかがポイントになりそうです。

 

サービス

・アンテナの使用機会提供サービス:AWS Ground Stationなど

・アンテナ設計製造サービス

・通信機設計製造サービス

 

設備の管理

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現在、多くの部分が遠隔操作されているのですが、何かしらのメンテナンスが必要となります。

 

駆動の少ない静止衛星の場合は、メンテナンス回数も少ないですが、低軌道や周回衛星の場合は、アンテナの駆動が多いため、メンテナンスも必要になってきます。

 

メンテナンス回数をどのように減らすかは、定期メンテナンスや負荷の少ないタスク、冗長システムを組み上げるなどで、故障を減らすことができます。

 

各設備はハードウェア面であることから短い周期では3年や5年、長い周期では10年や30年の周期で、交換や修理の必要があります。

 

設備管理は定期的に発生しビジネスとして安定していますが複写機のサポートのような回数が少ないこと、世界各地の場合の対応なども計画するのも大事ですかね。

 

もちろん地震やハリケーンなどの天災による復旧も含めて、設備を構築しておくか、戦略立てておいた方が進めやすいかもしれませんね。

 

サービス

・設備の保守点検管理サービス

・移設作業サービス

 

無線局開設手続き(無線局免許申請)

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宇宙機は電波を発射するために無線局の申請が必要ですが、電波を発射するアンテナ側にも無線局の申請が必要になります。

 

ちなみに、電波望遠鏡や距離を測定するVLBI(Very Long Baseline Interferometry:超長基線電波干渉法)用のアンテナは、電波を発生することなく受信のみなので無線局の申請は(日本の法律では今のところ)不要ですかね。

 

巨大なアンテナがあるからといって必ずしも電波を発生させるわけではありません

 

日本では電波法に則って総務省に申請することになります。

海外へは、海外の法律をもって無線局を申請する必要があります。

 

日本でも海外でも関係なく、宇宙側に電波を発射させるため、後述の国際周波数調整を行う必要があるのです。

 

無線局の開設には、仮免許を取得して電波を発射する必要があるため、陸上無線技士や特殊無線技士の資格が必要で、一度開設すると、数年ごとの更新の必要があります。

 

回数は多くないので、地上システム構築のプランとして無線局申請や後述の国際周波数調整を行いますが、専門で法人化するには難しいでしょう。

ただ、地上システムの構築に対応できるのはとても有利に働きます。

 

と言いつつ、無線局申請は宇宙機を所有する組織が申請するため、メインは所有者が対応するため、注意が必要です。

 

サービス

・無線局免許申請/再申請の支援サービス

 

国際周波数調整

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国際周波数調整は、周波数が有限である中、全国各地・世界各国で電波を発射することになり、同じ周波数にかぶる可能性があります。

 

同じ周波数になると電波が干渉し、通信ができなくなったり割り込まれたりしてしまうため、通信網の交通整理を行うことを国際周波数調整といいます。

 

国際周波数調整は、電波の交通整理を受け持っている国際電気連合(ITU)に対して申請を行います。

 

世界各国で個人が申請できるとITU側の処理が追い付かないため、各国の電波関係の省庁がまとめています。

日本では総務省の管轄で申請するのですが、申請書自体は電波を発射する組織が行うことにはなります。

 

この電波を使用しますと宣言してから、世界各国各組織の言い分を聞いて、申請登録することになります。

 

各国の政府機関を通すことと、実際に使用する宇宙機や地上局の通信設備の情報も必要であることから、周波数の独占を防ぐ仕組みとなっています。

個人で周波数を取得して、その周波数を利用してビジネスを行うことは難しいです。

 

地上システム構築ビジネスの一つとして国際周波数調整の申請に対するアドバイザーのような役割をすることはできますが、それほど多いものではないでしょう。

 

ただ、宇宙機はどの周波数を使用するかに関わらず、必ず周波数調整を行わなく
てはなりません。

 

更新回数も、周波数を登録する際に、自己申告制となります。

 

宇宙機の寿命から5年や10年での申告として、運用が終了するまでなので通信の実績があれば更新も可能となったはずです(多分)

 

政府でもよりビジネスに繋げるためか、総務省の国際周波数調整の手続きマニュアルがここ10年内で作成更新されており、とても分かりやすくなっています。

 

サービス

・周波数国際調整の支援サービス

 

地上システム間のネットワーク(ハード面)

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地上システムは、同一施設内に入っている必要はありません。

施設場所は複数にまたがっていることが多いです。

 

システムのネットワークは通常のインターネット回線を使用することもありますが、衛星データの情報にVPN(Virtual Private Network)や専用線を使用することでセキュリティを高めているところもあります。

 

通常のネットワークで有名なのはAWS Ground Stationですね。

 

運用可能タイミングが、スケジュールで管理されているため、争奪戦になっているかもしれませんし、タイミングがずれていれば問題ないかもしれません。

 

AWS Ground Stationの特徴は、電波を受信できるだけではなく解析の環境もクラウド上で整えてもらえるところです。

 

すなわち、拠点を変更することになったとしても、1次処理、2次処理レベルであれば物理的な物品の移動や独自のネットワークの構築なしにそのまま使えるところにあります。

 

ユーザーに提供する形を整えてしまえば、ワンストップで生データを製品化することができます。

 

といっても、結局のところ、生データの秘匿性はもちろん複数回の処理方法やアルゴリズムなどをAWS Ground Station上で整えることと、自前で準備するのとどちらが得というと、難しい所です。

 

地上システムでの追跡管制や通信局としてのシステムだけ借りて、そのほかの処理は自前で用意するという選択肢も十分に利があるように思えます。

 

もちろん、ゼロから始める地上システム製造と考えると、格段にハードルが下がります。

 

また、このようなAWS Ground Stationを使わずとも、秘匿性を要求するのであれば、VPN専用線を引くことが良いことにはなります。

 

非公表の試験データなどは専用回線を使用することになるでしょう。

 

通信設備を立てるときに合わせて回線を引く必要があるか検討しておくのもありかもしれません。 

 

ちなみに昔はハードウェアそのものを輸送していました。

 

HDDであればよいのですが、テープによるデータカセットも存在して、人力で輸送をしていました。今も残っているかもしれません。

 

サービス

VPN/専用線設置サービス

・ネットワーク構築保守サービス

・データ輸送サービス

 

地上システム間の計画管理、運用操作のためのソフトウェア

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運用操作は、宇宙機にどのような操作を行うか命令を送ることと、宇宙機からのデータを取得することがメインの作業になります。

 

運用操作は各宇宙機の開発組織で変わります。

運用ソフトが変わるため各組織に対応した運用メンバーが必要になります。

 

というのも運用ソフトは、統一されたものもなく、独自の進化を遂げているために、共通化しにくいというのがありました。

 

もちろん、運用の要素は、人工衛星であればあるていど変わらないので、ソフトウェアの操作を覚えるだけで対応が可能です。

 

周回衛星の運用の要素は、人工衛星の最新の詳細軌道解析と、軌道を取り込みアンテナを操作します。

 

人工衛星から発信される電波をアンテナを通して通信機で受信したら、通信機を操作し周波数帯をロックし、地上の通信設備を通して命令を送ったり、人工衛星で取得したデータを受け取るなどの作業を行います。

 

人工衛星から取得したデータによっては、人工衛星の状態を確認できるため、異常があればトラブルシュートを行います。

 

トラブルシュートを行う場合は、運用タイミングを増やし、対処の指令を検討することになります。

 

ざっと、このような流れで運用していくことになります。

 

人工衛星はロケットにより宇宙に打ち上がり、放出された後が最も危険な状態です。

そのため、打ち上がったときの運用は、人工衛星の開発メンバーであったり、経験豊富な運用メンバーが対応します。

 

その後、人工衛星の状態が安定するとある程度のルーティンワークとなります。

難しい作業が少なくなるため、より自動化が進む可能性がありますが、操作が複雑であれば運用メンバーとして作業を行うことになるかと思います。

 

また、これだけ人工衛星開発が世界各地で進められているため、汎用性の高い運用ソフトウェアも出回り始めているかもしれません

まあ、よほどの勢力でなければ、完全統一されることは難しいでしょうけど。

 

 

最近ではクラウド上での連携を行うことで、世界各国に配置されている通信局と接続することもできます。

 

人工衛星がアンテナの視野内に入り、通信できるタイミングで動かすシステム。

 

人工衛星の運用タイミング、軌道位置については別途計算したり、公開情報から取得する必要がありますが、その情報さえ分かればアンテナを動かすのみです。

 

AWSのサービスでもできますし、日本ではインフォステラがサービスを開始しています。2つのサービスは競合すると思いきやAWSベースでインフォステラのソフトウェアを動かせるような協力体制をとっています。

 

自前でアンテナを用意する場合は、AWSの代わりにそのソフトウェアを用意する必要があります。

 

注意していた方がいいのは、通信機を含めて電波を出す(運用する)場合は、資格が必要になるということですかね。

自動化しても電波を発信する限り資格者が必要になります。

ただ、主任無線従事者を置くことで必ずしも施設内に資格者が居る必要はなくなります。

 

サービス

宇宙機の運用サービス

宇宙機運用ネットワークサービス

 

ミッションデータによるデータサービス

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ミッションデータとして周回衛星の場合ですと、光学画像やレーダー画像が広まってきています。

 

この画像を使用して何に使えるかを考えればさらに利用できるサービスが増えていきます。

 

最初は人工衛星保有する企業による画像解析もあるのですが、画像を利用したサービスは画像があればいいので、人工衛星保有している必要はありません。

 

無料で使用できる人工衛星データも増えてきているので、既存の画像サービスを利用して新たなサービス提供、新たなアートを提供することも可能になります。

 

ちょうど、携帯電話やスマートフォンGPSデータを利用した地図サービスをはじめ、最近ではGPSデータを利用したゲームも生まれています。

 

VR機能を使ったサービスも多く、アートとして利用する個人も出てきています。

 

既にある画像サービスについて紹介しておきます。

 

mechanical-systems-sharing-ph.hatenablog.com

mechanical-systems-sharing-ph.hatenablog.com

mechanical-systems-sharing-ph.hatenablog.com

mechanical-systems-sharing-ph.hatenablog.com

 


 

参考情報

総務省 電波利用ホームページ|周波数割当て

https://www.tele.soumu.go.jp/j/freq/index.htm

総務省 電波利用ホームページ|国際周波集調整

https://www.tele.soumu.go.jp/j/adm/freq/process/freqint/

AWS Ground Station – Ingest and Process Data from Orbiting Satellites

https://aws.amazon.com/jp/blogs/aws/aws-ground-station-ingest-and-process-data-from-orbiting-satellites/

コードで学ぶAWS入門

https://tomomano.github.io/learn-aws-by-coding/

主任無線従事者制度の意義

https://www.soumu.go.jp/soutsu/tokai/musen/juujisha/shunin.html#:~:text=%E4%B8%BB%E4%BB%BB%E7%84%A1%E7%B7%9A%E5%BE%93%E4%BA%8B%E8%80%85%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%81%AE%E6%84%8F%E7%BE%A9,%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%8C%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%82%8B%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82&text=%E2%80%BB%20%E3%82%A2%E3%83%9E%E3%83%81%E3%83%A5%E3%82%A2%E7%84%A1%E7%B7%9A%E5%B1%80%E3%81%AB,%E3%81%AF%E9%81%A9%E7%94%A8%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%BE%E3%81%9B%E3%82%93%E3%80%82

人工衛星のハーネス設計のルーティング(配線)検討のポイント(詳細設計、維持設計編)

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前回は基本設計フェーズぐらいのハーネス設計を淡々と述べていきました。

 

今回は打ち上げまで行ければよいかと思っています。

 

それでは、Let’s go!

 

詳細設計フェーズ移行のハーネス設計

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基本設計フェーズまでで、機器配置を含めて、だいたいの設計が終わるのがほとんどでしょう。

 

基本設計フェーズといえど、すべての組織で同様のフェーズを辿るわけではないので、適度にアレンジしてもらえればと思います。

 

さて、ハーネスのルーティングが決まっても、すぐさまハーネスを製造することはありません。

なぜか、他の設計が終わっていないため、ハーネスを製造することができないからです。

 

製造しないのになぜある程度のハーネスルーティングを決めていたのか、ちゃんと理由があります。

 

  • ハーネスの長さ
  • ハーネスの線種
  • コネクタ

 

これらの情報は、ハーネスを購入するために必要となります。

 

宇宙用の具材はリードタイムが長いのです。

 

宇宙用でなければ気にする必要はないのですが、宇宙用を購入するためにはリードタイムを見ておく必要があります。

リードタイム:発注から納品までに必要な時間

 

宇宙用具材は特殊ですので、手元に来るのに時間が掛かります。

また、世界的に原材料が不足していたり、価格の高騰に影響を受けます。

銅線は最たるもので、樹脂材料もたまに影響を受けます。

 

さらに、試験の時に必要になります。

単体試験、連結試験、連動試験、サブシステム試験など、様々な呼ばれ方をしたりしなかったりするのですが、この時に実物と同じピンアサイメントのハーネスが必要になります。

 

もちろん地上試験用なので宇宙用である必要はありませんし、次号以降再利用することもできます。

 

ピンアサイメントが基本設計フェーズで必要だといったのはこのためです。

 

これらの試験が終わった後、ハーネス設計側に試験結果を反映したピンアサイメントが提供されることが理想です。

 

これら試験結果を反映してピンアサイメントを確定していきます。

 

試験結果の反映はピンアサイメントだけではなく、ハーネスやコネクタをシールド付きにするか、クロス配線にするのかといったノイズ対策の有無を取り入れていきます。

 

試験結果を反映して配線や機器配置の再検討もしていきます。

 

忘れてはいけないハーネス設計の重要箇所

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詳細設計フェーズの終盤では製造一歩手前に入るため、ここで再びハーネス設計を始めることになります。

 

実装を意識して配線していきます。

 

ハーネス設計で忘れてはいけない部分があります。

 

  • フライトコネクタ
  • 太陽電池セルからの電力配線
  • 通信ケーブル

 

上記3つは注意しておく必要があります。

 

フライトコネクタ(宇宙機で打上げ(フライト)に供するコネクタ)はロケット側のインターフェースと関わります。

打上げ時に宇宙機起動や充電などのシステムとつながる箇所になります。

 

ハーネス設計では機器間での作業が多いため、注力してしまうところがあり、後に設計しがちです。

 

配線を検討する上で、ロケット側との調整が必要にもなります。

ロケット側から指定されていれば、それに合わせたコネクタを用意しておく必要もあります。

 

開発組織では収まらない別の組織とのインターフェースであるため、何度も確認される部分でもあるので注意が必要です。

 

太陽電池セルや通信ケーブルは、展開機構や駆動機構があるため、余長がどこまで必要かを考慮しておきましょう。

 

断線や被覆が切れたり、駆動範囲にケーブルがあるために想定の駆動ができなくなったり、ケーブルが強いためテンションが掛かり展開速度や駆動速度が遅くなりラッチ機構が不十分な時になってしまうことなどの注意が必要です。

 

通信ケーブルは、断線などはもちろんですが、通信信号の減衰があるため必要以上に曲げを発生させないようにしておかなければいけません。

 

ハーネスボードで考えてみる

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最近の流行りは、3DCADから検討しているようですが、ハーネスボードでも検討し始めることもあります。

ハーネスボード:人工衛星の実物あるいは実物大の構造を模擬(モデル)化して、実際にハーネスを配線して、ケーブル長さを確認するものです。最終的には実際に人工衛星に使用するハーネスを配線します。配線後は、ハーネスの束を結束して実際の人工衛星に移植するために使用される。コネクタ場所も模擬します。実物大人工衛星を模擬することもありますが、1枚の板上に模擬する場合もあります(WEB上では板状で模擬されている)。

 

ハーネスボードは打上げないので金属製や木製、樹脂などさまざまな形で模擬されます。

キューブサット級ではハーネスが複雑ではないため使用されることが少ないですが、50㎝級の人工衛星から使われることもあります。

 

ハーネスボードは人工衛星のハーネス製造時に使用されると同時にハーネスの保管箱としても使用されます。

 

ハーネスは配線しないととても長いケーブルであり、保管場所が難しくなります。

何メートルもの長さにもなる場合があり、下手に巻くと絡まって再製作してしまうことになります。

 

保管場場所に困るため、製造を後回しにすることもあります。

 

ハーネスを実装する維持設計フェーズ

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ハーネス設計は単純作業ではあるが、複雑で時間のかかる作業です。

 

ピンアサイメントの情報と接続するコネクタ、線材があれば製造可能です。

組織外の外注に出すことも可能です。 

 

もしかすると、多くの組織では外注中心で進めているかもしれませんが、配線間違いは宇宙業界でなくともよく発生します。

 

配線間違いがなくともピンアサイメント間違いや、大本の信号が間違っていたなんてことも発生します。

 

機器単体の試験やサブシステム試験、システム試験で十分に確認しておく必要があります。

もしかすると、同型の機器(例えばホイール)が1,2,3、4機搭載されていたとして、制御機器の回路設計の間違いで機器1に命令していた信号が機器3で出力されてしまうなんて言うことが発生してしまいます。

 

人間が間違うものだという前提で試験をしていくのですが、実際間違ったときは何が間違っていたのか確認する必要があります。

 

そのためにもピンアサイン表ならびにハーネス設計の源泉を作成しておくことをお勧めしておきます。

 

実際の実装に関しても、3DCAD上で完全に再現できなかったハーネスにより、太さや曲げ易さから、設計とは多少ずれてしまう位置に配線しなければならないこともあります。

 

成人男性の腕以上も太くなるケーブルの束をどのように配線するのか、ある程度の余長をもって設計しましょう。

 

機器配置だけでは抜けてしまうハーネスルーティングは、詳細設計や維持設計フェーズ段階でバランスを取る必要があるため、非常に制約が多く、センスもいる作業なのですから。

 

参照文献

CABLE AND HARNESS

https://workmanship.nasa.gov/lib/insp/2%20books/links/sections/401%20General%20Requirements.html

 

 

人工衛星のハーネス設計のルーティング(配線)検討のポイント(概念設計、基本設計編)

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衛星の開発はいくつかのフェーズに分かれています。

  • 概念設計フェーズ
  • 予備設計フェーズ
  • 基本設計フェーズ
  • 詳細設計フェーズ
  • 維持設計フェーズ

各フェーズの定義は、各組織によって違いますが、だいたいハーネス設計は基本設計フェーズから始まります。

 

基本設計フェーズでは、搭載するミッション機器(通信機器、光学観測機器、レーダー機器など)をはじめ多くの機器が確定しています。

 

機器が確定してからハーネス設計を開始することができます。

ハーネス設計は構体設計や機器配置設計に大きく関わり、重量配分や製造時のリードタイムにも影響していきます。

 

今回はハーネス設計のルーティング検討のポイントをまとめていきます。

 

ハーネスの実装や配線の基礎に関しては過去の記事を参考してください。

 

ハーネス設計の検討ポイントの洗い出し

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ハーネス設計の検討ポイントは次の通りです。

こう並べるとたくさんあるようですが、単体ではシンプルで分かりやすく、そして、多量にあるため間違いやすい。

 

それがハーネス設計です。

 

  • ハーネスのたわみ
  • ピンアサイメント
  • ノイズ
  • 機器配置
  • 機器のコネクタ方向
  • コネクタのオス側/メス側
  • クロス配線
  • 配線の固定
  • シールド線
  • シールドコネクタ
  • 環境試験用ハーネス(温度センサ、加速度センサ)

 

ハーネス設計のルーティング検討の基本設計フェーズ編

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ルーティング(配線)検討は誰が行うのか。

 

機械設計者?

電気設計者?

通信設計者?

実装/艤装作業者?

 

個人やある設計者グループではありません。全員で実施します。

 

機械設計者が取りまとめを行うことが多いのは事実です。

それは機器配置を機械設計者が実施することが大きな理由ではないでしょうか。

 

ただし、機械設計者だけで確認してはダメな理由が3つあります。

  • ハーネスのたわみ/曲げ
  • ピンアサイメント
  • ノイズ

  

ハーネスが集合し過ぎてたわみの考慮が抜けてしまう。

人工衛星の規模にもよりますが、ハーネスは大型になると成人男性の腕周り、太もも周りより太くなります。

 

キューブサット級と呼ばれる手乗りレベルの人工衛星ではハーネスのたわみの影響は少ないです。

 

しかし、50cm級ぐらいを越えた辺りから、サインペン/マジックペンよりも太いハーネスが出てきます。

 

スペックシートやWEB情報やカタログ情報で出てくる曲げ半径は、1本あたりの曲げ半径です。

ハーネスの線径にもよりますが、5本を越えた辺りから曲げた時のたわみの影響が出てきます。

 

3DCAD上で検討し始めていたら、理想的なハーネスルーティングと現実的なハーネスルーティングにギャップが生じることを汲んで設計する必要があります。

 

経験のある実装/艤装作業者に確認したり、サンプルのハーネスを束ねて再現してみた方がよいでしょう。

 

フッ素系のケーブルや通信仕様、シールドケーブルは硬くて曲げにくいと言うことを念頭において設計しましょう。

 

 

ピンアサイメントは機械設計者だけでは対応しきれません。

こちらも人工衛星の規模にもよりますが、電気設計者や通信設計が協力して情報を提供する必要があります。

 

開発する衛星が複雑であればあるほど、似たようなコネクタが出てきます。

電源機器1、電源機器2などであれば、機器設計の中で見分けがつくようにピン数を変更することは可能です。

しかし、電源機器1、通信機器1、制御機器1などと別の機器が混ざると混乱のもとになっていきます。

 

他の設計者と共に確認しておく必要があります。

 

ノイズは機械情報だけでは読み取れません

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電流ノイズが通信/制御信号に影響を与えることぐらいは感覚として分かるかもしれません。

 

機器配置において、電力用のハーネスと通信/制御信号用のハーネスを近づけなければ配線できないこともあります。

 

ノイズの影響を受けやすい機器の情報などを提供したり、配線結果から確認しておく必要があります。

 

機器配置がほぼ確定していれば、ノイズの問題があるため、電気設計者が最初期のハーネスのルーティング案を考えることも以降の開発を考えれば有用といえます。

 

電気設計者側は、ルーティング案を考えなくとも、機器Aと機器B間のハーネスαは、機器Cと機器Dのハーネスβと可能な限り離すことなどの注意点を洗い出しておくことが、設計の出戻りを減らす一歩ではないでしょうか。

 

注意事項を洗い出しておかないと、製造後半で急遽変更が発生した時に、大きく影響します。

 

リポート品でも類似設計、流用設計であってもベースとなる注意事項/制限条件をまとめておくことが必要となります。

 

センスのいい人に任せてもいいですけど、2台目、3台目と製造していくにつれて、属人的になり、再現性が低くなるので注意が必要です。

 

機器配置から派生するハーネス設計のルーティング検討

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機器配置はだいたいミッション機器の配置が先に決まります。

 

もちろん標準衛星バスと呼ばれるバス機器の標準セットを購入する場合は、ミッション機器の配置が最後の方になります。

その場合はハーネス設計も比較的簡単であるのでそもそもハーネス設計なる担当の出番が限りなく少なくなります。

バス機器:人工衛星が動くために必要なすべての機器。無いと人工衛星が動かなくなるほどに必要な機器。人間で言うと内蔵といわれる。

 

ミッション機器を配置し、姿勢制御機器と軌道制御(推進)機器を配置します。

 

姿勢制御機器や軌道制御機器は、ミッション機器をのどの方向に向けるか、地表を向けるのか宇宙空間を向けるのか、やりたいことを考えて決断していきます。

 

次に通信機器の配置を決めていきます。

主にアンテナが含まれます。

ミッションが成立するような姿勢制御を行い、その姿勢制御の範囲で通信が可能なように配置していくという流れです。 

そして、電力電源機器や制御機器を配置していきます。

 

機器を配置した後に、太陽光電池の配置を考えていきます。

今まで選択した機器で電力が充分であればよいのですが、十分でない場合は展開パネル(パドル)方式の検討や選定していた機器のグレードをダウンさせたりと選定をし直していきます。

 

既存の人工衛星の配置をもとに設計したり、人工衛星開発の経験者であれば、先に太陽電池配置や蓄電池配置を行う設計者の方が多い気がします。

 

既に機器選定の目途がついているため、制約条件になりうる太陽電池配置を先に検討しているのでしょう。

一から始めると、電力系の解析を含めて、機器配置を抜本的に見直したり、微調整しています。

 

 

機器の配置には、さらに電磁、通信ノイズの影響がないように、感度の高い観測機器に気を付けたりします。

電磁、通信ノイズ以外にも、姿勢制御に使われるホイール系やモータ駆動がある機器のノイズや振動による観測機器の精度ずれに気を付けて配置する必要があります。

 

小型衛星の場合は、抜本的対策ができるだけの電力は質量配分の余り分が少ないために対応できなくなることが多いので、何かを優先とするか方針が必要となります。

優先を決めずにバランスを取る場合、汎用品となりますが、高性能なミッション機器の搭載が難しいということだけ知っていれば良いかと思います。

 

これらの配置をした上で、ハーネスの配線を行います。

 

この時点で気を付けるべきことは、信号ハーネス、電力ハーネス、通信ハーネス(同軸ケーブル)は、ノイズの影響から並行して一気に決めていきます。

そして、ハーネスのルーティング(配線)ではなく、信号ハーネスなどの種類が出そろっていること確認することをあげておきます。

 

もしヒータの検討が済んでいれば、しっかり盛り込んでおくことが大事です。

 

初期段階、いわゆる概念設計や基本設計フェーズの初めの方では、コネクタのピンアサイメントなどの情報は不要です。

 

現時点での実現性がありそうな実装レベルと、使用するハーネス(信号、電力など)に不足がないことまでとします。

 

実装の実現性に近いのですが、ハーネスの線種やハーネスを束ねた時の太さも目星をつけておいた方がよいですが、スケジュール次第で優先度として低いですね。 

 

また、質量配分にハーネスの項目を入れるべきかは要検討ですね。

接触充電などを行わない限り人工衛星全体の15%~35%近くになることが多いハーネスは基本設計フェーズでの詳細化がかなり困難です。

 

参考文献

衛星の開発|衛星の開発から運用までの道のり|JAXA一宇宙技術部門

https://www.satnavi.jaxa.jp/basic/satlife/development.html

宇宙業界用語「アンカーテナンシー(契約)」について

アンカーテナンシー(Anchor tenancy)契約について

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アンカーテナンシー(Anchor tenancy)という言葉を知っているでしょうか。

 

あまり使われる機会がないのですが、偶に宇宙業界の文書や記事で出てきます。

政府の方針で注目されている業界や技術を取り扱う企業に対して行われることが多いです。

 

限られた条件において、政府が企業と契約して商品を継続購入し、企業もしくは業界を存続させるために行うことをいいます。

 

政府目線でいうと産業基盤の安定のために契約し、事業継続の機会を提供することをいいます。

 

特にベンチャー、スタートアップ、未上場企業に対して行います。

 

目次

 

日本では宇宙業界ぐらいでしか聞きません。

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宇宙業界ぐらいでしか言われないのは、宇宙業界が古くからありつつも政府主導で行われた業界であり、他の業界の領域を侵食するする部分が少ない(利害関係が薄い)からかもしれません。

 

現在の宇宙業界は政府主導から民間(宇宙業界では政府あるいはJAXA以外を指す)でビジネスする風向きになっています。

 

宇宙業界でアンカーテナンシーが使われるということは、産業として安定させるために政府介入が行われる稀有な業界と言えるかもしれません。

 

というのも、宇宙産業従業者人口が1995年以降減少しており、事業の撤退も増え、重要な部品の一部が製造不可能になっています背景があるようですね。

 

日本語では広義に捉えられることが多いため、補助金助成金もアンカーテナンシーと勘違いするかもしれません。

補助金助成金は、政府や自治体の政策目標に合わせて、事業者の取り組みをサポートするために資金の一部を給付するというものであり、性質が違います。

 

アンカーテナンシーとは、資金の一部を給付するのではなく、事業者の提供する商品またはサービスを特定条件下のもとに政府と契約するものです。

 

NASAでのアンカーテナンシー契約

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米国の宇宙機NASAではアンカーテナンシー契約を結ぶにあたり、次のような条件を提示しています。

 

  1. 商品またはサービスがNASAのミッション要件を満たしていること。
  2. 費用対効果のある商業目的の商品またはサービスであること
  3. 商品またはサービスが、競争入札で調達されること
  4. 米国政府以外の既存または潜在的な顧客が特定されていること。
  5. 政府が継続的に市場介入することで長期的に存続可能なビジネスではないこと。政府の支援に依存するビジネス形態ではないこと
  6. 未上場企業であり、ベンチャーキャピタルによるリスクがあること
  7. 政府責任で契約を終了させた場合、終了責任に基いて契約者に支払う場合があること。
  8. 終了責任には、期間が決められた契約が含まれる場合として、契約を終了させなかった場合に政府が支払うべき金額を越えないものとする。
  9. 終了責任による支払いは、終了時に購入可能な商品またはサービスの購入で行われることがあること。
  10. 契約期間が10年を越えないこと
  11. 固定価格で商品またはサービスを提供すること。
  12. 実現可能で、合理的な性能仕様であること。
  13. 契約が実行できない場合は、終了責任による支払いを行うことなく、部分的に終了させる権利を政府側が持つこと。

 

上記内容を確認すると、アンカーテナンシー契約は特定の企業に対して支援するのではなく、特定の要件で業界を支援、競争させ活発化させる意味合いの方が多いようです。

 

特定の場合は随意契約になってしまいますからね。

特有の技術でない場合は、市場での公平性を欠いてしまうことになるので、競争入札になるのでしょう。

 

一部では長期購入契約をアンカーテナンシーとしていますが、継続的に契約するという意味で長期購入契約と呼んでいるようですね。

 

ただ産業での公平性を考え、10年の間に近い技術をもつ事業者が現われることも考えた上で、契約期間が10年未満というのは適当な気もします。

 

競走した方が技術革新が生まれやすいともいいますのでね。

 

ちなみに、アンカーテナンシー契約が最初に使われたのは、1980年代にヒューストンのスペースインダストリーズ社が商業用微小重力研究および製造施設の開発を提案したときだそうです。

 

日本によるアンカーテナンシー契約

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日本によるアンカーテナンシー契約はどんなものがあるでしょうか。

実際、どれがアンカーテナンシー契約なのかよく分かりません!

 

政府主導であると特定分野に偏りそうですが、JAXAなどの国立研究開発法人経由で考えると、継続的な研究目的にも使用できそうですね。

政府が買い上げて、安価に国内ユーザーに提供する機会を与えるのもありかもしれません。

 

現在、これがアンカーテナンシー契約だというものが調べきれていないので想像で上げると次ぐらいですかね。

 

  • 衛星画像データの継続的な購入契約
  • 衛星画像データの災害・防衛時の優先購入契約
  • 人工衛星の継続開発及び購入契約
  • 特定画像の画像処理契約
  • 観測ロケット及び人工衛星用ロケットの使用契約
  • 宇宙機開発設備及び試験設備の使用契約
  • 月面あるいは惑星探査データ取得契約

 

理学系の研究ではなくビジネスとして今後成立できる可能性があり、競争できる程度の技術力のある企業が複数あり、未上場企業であることを考えるとプレイヤーが絞られてきますが、案外行けるのではないでしょうかね。

 

研究レベルとしても国に有用な環境データで政策の方針に則っており、地球の大気観測用人工衛星あるいはロケットを継続的に開発する能力があれば、アンカーテナンシー契約を結べるかもしれませんね。

参考文献

NASA/NOAA Anchor Tenancy

https://www.space.commerce.gov/law/anchor-tenancy/

Commercial Acquisition; Anchor Tenancy

https://www.federalregister.gov/documents/2012/10/29/2012-26546/commercial-acquisition-anchor-tenancy

用語集

https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2014/09/29/1352168_8.pdf

産業維持のためのアンカーテナンシー

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/utyuu/seisaku_kaigi/dai5/siryou5_2.pdf

NASA Anchor Tenancy Change Encourages Commercial Space Backers

https://spacenews.com/nasa-anchor-tenancy-change-encourages-commercial-space-backers/

放射線遮蔽対策せずに国際宇宙ステーションで使用された市販のコンピュータについて

放射線遮蔽対策を真っ向から否定した宇宙用コンピュータ

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電子機器が宇宙空間に曝されたときに問題となるのが放射線です。

 

放射線は電子部品のデジタル信号を狂わせ、運悪く半導体部品に衝突すると使えなくなります。

放射線の種類によっては長時間されされると性能も悪くなります。

 

多くの宇宙機放射線対策に多くのリソースを費やしてきました。

リソースの中には、人的コスト、時間的コスト、品質コストが含まれています

 

2017年に打上げられたヒューレット・パッカードエンタープライズ製のSpaceborneComputerは、国際宇宙ステーションで207日間も正常に機能しました。

 

SpaceborneComputerの注目するべき特徴は、放射線遮蔽がないことと市販のコンピュータシステムを利用したことです。

 

放射線は分厚い金属であったり、宇宙では難しいですが水の壁などにより内部に放射線を通さない防護壁を作ることが可能です。

 

市販品、いわゆるCOTS品を使用したということは、RADHARD品と言われる耐放射線電子部品を使用していないということです。(多分!)

RADHARD品は市販品より10倍から100倍ぐらいの価格差があります。

高い理由はいくつかの放射線対策とトレーサビリティがしっかりと管理されいるのが理由です。

 

このSpaceborneComputerの宇宙放射線対策は冗長設計です。

 

電源、ファン、チェック回路などを全て冗長設計としたものです。

さらにソフトウェアによるシステムの監視を強化することで実現しました。

 

SpaceborneComputerの国際宇宙ステーションでの実験は、多くの有識者から実現が難しいと言われたそうです。

実際に、コンピュータの異常発熱が発生しエラーの発生率が増大したり、宇宙飛行士の膝に緊急停止スイッチが接触してハードクラッシュを引き起こすなどの異常に遭遇したそうです。

 

ただ、これらの異常事態は待ち望んでいたものだったそうで、エラー率が高くても、内部処理で管理され、主要作業の方が継続できれば問題ないという思想のもと、駆動し続けました。

 

あえてハードウェアによる対策を行わず、ソフトウェアの強化と冗長設計により対処したそうです。

 

ソフトウェアの強化も、すべてのパラメータを監視し、規格外になると該当パラメータが規格内に収まるように処理を行い、警告をだし、最終的には機能をシャットダウンさせるように動作させました。

 

稼働時間は207日ですが、ISSには1年8か月近く滞在し、問題なく稼働し続けました。

 

地球に戻ってきた後も、宇宙に行った2つの製品と地球に保管していた2つのコピーの比較検証を行っています。

 

他の宇宙機に適用できるのか?

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さて、最近話題の小型衛星に搭載できるかですが、現状の技術ではやや難というレベルでしょうか。

 

小型衛星は打上げ及び生産サイクルを上げるため、搭載ペイロードが小さく備品が密集しています。

搭載コンピュータ、オンボードコンピュータとも呼ばれる制御部に冗長するだけのスペースが少ないことが多いのです。

 

地球観測だけを考えるのであれば、小型衛星はミッションデータを生成し、地上システムと通信していた方が、より多くの情報を提供できるシステムを構築することが可能となります。

 

ただ、さらに小型化ができれば大量の画像を保存したり、通信速度の問題で地上に送るのに時間が掛かる大容量の高解像度画像も、画像処理を軌道上で行い、圧縮され短時間で地上に送ることができます。

 

現状では、搭載ペイロード的には中型から大型衛星であればより有効に採用できるのではないでしょうか。

 

 

それとは別に、国際宇宙ステーションのような有人宇宙飛行や惑星探査機であればよりメリットがあります。

 

国際宇宙ステーションは、放射線対策のために時代遅れのコンピュータ性能です。

 

地上で使用されているコンピュータと同じであれば、今までの宇宙実験のデータ蓄積や処理を数百倍を超える速度を行うことができ、より効率が上がる可能性が高いです。

 

惑星探査機に搭載するメリットは、コマンド時間です。

惑星探査機は単純に地球から距離が離れているため、コマンド通信に何時間から何日もかかります。

 

コマンドが間違ったとして、送信後すぐに気が付けば間に合うかもしれませんが、コマンドを実行した後の反応は、12時間後や数日後になってしまいます。

 

この往復だけで燃料が何日分も消費され、電力も無駄に消費され、元の状態に戻るのに数十日や何か月もかかる可能性があります。

その間に惑星探査機が壊れる可能性が増大していきます。

 

そんなものに対して、高性能のコンピュータを搭載することができれば、ヒューマンエラーの防止対策を追加することもできますし、自動処理も素早く行うことができます。

FDIR(Fault Detection Isolation and Recovery)と呼ばれる、宇宙機喪失を防ぐ自動処理回路も十全に搭載することができます。

 

 

故障に対することばかりでもありません。

コンピュータ処理は単純なルーチン処理の繰り返しとなります。

 

コンピュータの性能が上がれば、ルーチン処理の速度も格段に上がります。

 

まあ、地上と同じく、大電力と発熱には悩まされるかもしれませんが、メリットはとても大きいです。

 

このような実例から浮かび上がるのは、SpaceX製の有人宇宙補給船ドラゴンです。

 

ドラゴンがどのような技術で機械的なスイッチの無いタッチパネル方式の操縦を行っているのかを考えると、高品質の耐放射線半導体部品を使用している部分もあるかもしれませんが、高度な処理を行うために、同様の冗長設計を組み合わせているかもしれませんね。

 

 

Spaceborne Computer-2が打ち上がっている

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Credits: NASA

https://images.nasa.gov/details-iss065e009492

 

このSpaceborne Computer-1の成功を受けて、すでにSpaceborne Computer-2が打ち上がっています。

  • 計算性機能やミッション用処理機能をそれぞれ2倍に引き上げること。
  • ハードウェアが2~3年間駆動し続けること。

といった性能向上を要望され開発されました。

 

最終的には、x86プロセッサとGPUを搭載するHPEのコンバージドエッジシステム「HPE Edgeline EL4000」と「HPE ProLiant DL 360 Gen10」が搭載されているそうです。

 

機能としては、マイクロソフトの「Azure Space」の連携やISS太陽電池で発電するDC 28V電源で稼働が考えられているようです。

 

参照文献

Spaceborne Computer

https://www.nasa.gov/johnson/HWHAP/spaceborne-computer

The Spaceborne Computer Returns to Earth, and HPE Eyes an AI-Protected Spaceborne 2

https://www.hpcwire.com/2019/06/10/spaceborne-computer-returns-to-earth-hpe-eyes-an-ai-protected-spaceborne-2/

HPEとNASA、ふたたび宇宙でエッジコンピューティング実証実験

https://ascii.jp/elem/000/004/044/4044488/

ISS・国際宇宙探査を巡る最近の動向

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/071/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2019/07/09/1418751_1.pdf

HPE、エッジコンピューティングで宇宙探査加速目指す--「Spaceborne Computer-2」打ち上げへ

https://japan.zdnet.com/article/35166418/

在宅ワークで機械設計関係の打ち合わせをするとペンタブが楽になるメモ

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在宅ワークが多くなったこの頃。

 

資料を事前に配布していたりするのですが、新しいアイディアや仕様・要求を調整する際に結構ペンタブを使用することになったので紹介します。

 

機械設計にもよるかと思うのですが、新規の提案をするときに図が必要になると強く感じました。

 

スピード感が足りない

マウスで図を描くと、慣れていないせいもあるのですが遅くなってしまいます。

新しいアイディアの提案・確認

お互いに共通する単語を持っていない場合、それぞれ別のものと解釈してしまうことがあります。

その場で検索するにしても、微妙に画像が違うと伝わらないことがあります。

ニュアンスを伝えるのが難しい

同じ業界であればよいのですが、異業界や新規の企業と話す場合、業界独特の言い回しにより、お互い勝手に解釈して判断してしまうことが失敗のもとになります。

図面ができてからでは遅い

図面作成となると、それなりに時間が掛かります。

ポンチ絵でよいと伝えると、企業によってはパワーポイントに書いてきたり、図面にしてくる場合があります。

パワーポイントならいいのですが、図面の場合は、出てくるのが遅くなります。

 

ということでペンタブを使い始めました。

 

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JAXAとNASAの宇宙関連のギネス世界記録7選

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JAXANASAなどの宇宙に関わるギネス記録をまとめました。

  

[目次]

世界初の小惑星からの物質を持ち帰った探査機はやぶさ

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2003年5月9日に内之浦宇宙空間観測所から打上げられた探査機はやぶさは、2005年に小惑星イトカワに到達しました。

 

その約5年後の2010年6月13日に、小惑星イトカワの物質を持ち帰り、いわゆるサンプルリターンを世界で初めて成功させました。

 

この成果はのちの小惑星探査機はやぶさ2に踏襲されて、2020年に資料が入ったカプセルを地球に着陸させました。

 

ちなみにはやぶさ2は現在も別の小惑星に接近し観測するために2021年現在も運用中です。

 

最小の軌道ロケット SS-520 5号機

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2018年2月3日に内之浦宇宙空間観測所から打上げられたJAXAの観測ロケットSS-520 5号機が、「smallest orbital rocket」としてギネス世界記録に認定されました。

 

観測ロケットSS-520は、全長9.65m直径0.52mでだいたい電柱サイズと称しているところもあります。

 

SS-520 5号機は、東京大学で開発された超小型衛星「たすき」(TRICOM-1R)を軌道投入に成功しました。

SS-520人工衛星などの搭載ペイロードは3㎏で、たすきは3Uと呼ばれる全長30cmで両幅10cmのCubeSat級衛星です。

 

SS-520 4号機でも小型衛星を搭載していたが、ロケットのテレメトリが途中で断絶され、軌道投入が失敗しています。

 

ちなみに、現在JAXAが運用している観測ロケットはS-310(到達高度150km)、S-520(到達高度300km)、SS-520(到達高度800km)の3機種です。

 

最も低い地球観測衛星の軌道高度 技術試験機「つばめ」(SLATS

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軌道高度200~300kmでは、地球に存在する大気抵抗や原子状酸素のため、地球観測衛星には不向きであるとされていました。

 

超低高度衛星技術試験機「つばめ」(SLATS)は、167.4kmで7日間の軌道保持を行い、ギネス世界記録認定とされました。

 

2017年12月23日に打上げられたSLATSは、271.1km以下の低軌道保持運用を2019年9月30日まで行い、2019年10月1日に停波されました。

 

SLATSは、イオンエンジンを用いて軌道高度を保持する技術を実証しました。

 

実用的には、より高高度の地球観測衛星よりも高い分解能での画像データの取得を可能とすることです。

 

高度が低ければ、同程度のサイズの人工衛星の地球観測データよりもより高分解能の衛星データを取得することができます。

 

ロケットペイロードや観測装置のサイズの物理的制限により困難な分解能を実現することができます。

 

科学的には、観測ロケットよりも長期間の観測が可能となります。

 

その他の日本の宇宙関係

JAXA以外でも日本の宇宙関係では、いくつかギネス世界記録認定されています。

 

トヨタ自動車電通東京大学先端科学技術研究センター、ロボ・ガレージによる共同プロジェクト「KIBO ROBOT PROJECT」が協力したプロジェクトを1つあげておきます。

 

2013年に種子島から打ち上げられ、国際宇宙ステーションでロボット宇宙飛行士として1年6か月程度の任務をおこなったKIROBO(キロボ)が「地上から一番高い場所で対話をしたロボット」と「初めて宇宙に行った寄り添いロボット」としてギネス世界記録認定されています。

 

KIROBO若田光一宇宙飛行士と共に国際宇宙ステーションで実験を行い、2015年2月11日に地球へ帰還しています。

 

NASAのギネス記録3選

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NASAによるギネス記録の一部は、ギネス公式にてまとめられています。

 

大気圏を越えた"ギネス世界記録:NASAによる60年の宇宙開発と、樹立・更新したギネス世界記録14選

https://www.guinnessworldrecords.jp/news/2018/10/14-out-of-this-world-nasa-records-as-it-celebrates-60-years-of-space-exploration-543276

 

その中で気になるものを一部抜き出してみます。

 

1966年:2機の宇宙機による、史上初のドッキング

有人の宇宙船であるジェミニ8号を操作して、アジェナ標的衛星とドッキングを成功させたというものです。

 

現在、JAXA国際宇宙ステーションの補給機(HTV)やSpaceXの貨物輸送宇宙船ドラゴンのようにロボットアームを使用したものではありません。

 

このエピソードは、史上初のドッキングというより、ジェミニ8号機の推進系の故障により宇宙船が回転し始め、ニール・アームストロングとデービッド・スコットがどうにか地球上へ着水するに至った事故の方が有名な話ですね。

 

ちなみに、ジェミニ8号の乗組員であるニール・アームストロングは、アポロ11号のアームストロング船長です。

 

1976年:火星への着率にはじめて成功した探査機

火星に初めて到着した探査機は、ソビエト連邦マルス3号機だったそうです。

しかし、ミッションの成功まではいかなったそうで原因不明の故障にて数十秒の信号を飛ばしただけでした。

 

成功した探査機は、1976年に打上げられたソビエト連邦のバイキング1号です。

 

火星上で土壌や大気などのデータを取得し、約6年もの間、取得したデータを地球に送信し続けました。

 

2011年に打上げられ、2012年8月に火星に着陸。

現在も運用されているマーズ・サイエンス・ラボラトリー(Mars Science Laboratory、 MSL)と、探査機ローバーのキュリオシティ(Curiosity)。

 

2020年に打上げられ、2021年2月に着陸。

同じく現在も運用されているマーズ2020(Mars 2020)と、探査機ローバーのパーサヴィアランス(Perseverance)と小型の火星用ヘリコプターのインジェニュイティ(Ingenuity)。

 

現在火星で活動を続けている2機の探査機のデータとも比較されているようです。

 

1990年:世界最大の宇宙望遠鏡

 1990年にスペースシャトルで打ち上げられたハッブル宇宙望遠鏡が、長さ13mを誇り、宇宙に設置された最も大きな望遠鏡として記録されています。

 

望遠鏡に納められている主鏡は直径2.4メートルで、大気の影響を受けないことから高精度の天文観測が可能となっています。

 

次世代機のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が予定されていますので、その内に塗り替えられことでしょう。

 

参考資料

はやぶさ」ギネス世界記録に認定

https://www.isas.jaxa.jp/j/topics/topics/2011/0613.shtml

小惑星探査機「はやぶさ

https://www.isas.jaxa.jp/missions/spacecraft/past/hayabusa.html

JAXA はやぶさ2プロジェクト

https://www.hayabusa2.jaxa.jp/

SS-520 5号機がギネス世界記録®︎に認定されました

https://www.isas.jaxa.jp/topics/001352.html

S-310/S-520/SS-520(観測ロケット)

https://www.jaxa.jp/projects/rockets/s_rockets/index_j.html

超低高度衛星技術試験機「つばめ」(SLATS)がギネス世界記録(R)に認定されました

https://www.jaxa.jp/press/2019/12/20191224a_j.html

超低高度衛星技術試験機「つばめ」(SLATS)の運用終了について

https://www.jaxa.jp/press/2019/10/20191002a_j.html

宇宙から帰還したトヨタの「キロボ」が会見、ギネス認定へ!

https://clicccar.com/2015/03/30/300752/

ロボット宇宙飛行士 KIROBO、2つのギネス世界記録に認定

https://response.jp/article/2015/03/27/247626.html

大気圏を越えた"ギネス世界記録:NASAによる60年の宇宙開発と、樹立・更新したギネス世界記録14選

https://www.guinnessworldrecords.jp/news/2018/10/14-out-of-this-world-nasa-records-as-it-celebrates-60-years-of-space-exploration-543276

アポロ11号アームストロング船長の知られざる偉業

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/04/11-27_1.php

人類初の火星着陸から40年。バイキング1号のアナログデータ復元を目指すNASAの科学者

https://jp.techcrunch.com/2016/07/21/2016072040-years-after-the-first-landing-on-mars-this-nasa-scientist-looks-to-resurrect-viking-1s-analog-data/

NASA's Viking Data Lives on, Inspires 40 Years Later

https://www.nasa.gov/feature/goddard/2016/nasas-viking-data-lives-on-inspires-40-years-later

The Mars Helicopter Ingenuity: A deep dive into its 6-pack

https://www.linkedin.com/pulse/mars-helicopter-ingenuity-deep-dive-its-6-pack-damien-frost

海の風を人工衛星で観測する具体的手法

f:id:MSDSSph:20210701012627j:plain宇宙機から地上の風を観測できるって知っていますか?

 

実は宇宙機に搭載した観測機器で測定できます。

といっても地上での観測機器と同一のものが搭載されています。

 

宇宙/軌道上から観測できる利点は何があるのでしょうかね。

 

人工衛星の有用な点は、国境を越えることと海上の観測もできるということでしょうか。

人工衛星のデータは、インフラとしても役立っており、国境を越える船舶や航空機への航行に使われています。

 

気象の解析にも使用され、台風の解析にも使用されています。

このように天気予報を改善するだけでなく、海洋の物理学などの学術的な研究にも生かされています。

 

最近では、海洋で利用される可能性のある風力エネルギーの推定などにも使用される可能性があります。

 

 

海上の風速測定:マイクロ波散乱計

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マイクロ波散乱計で、風速・風向を算出している。

 

地上観測装置でも衛星観測装置でも変わらず、センサーから照射したマイクロ波が、海面に受けた時に後方散乱され、観測装置で受信した時の強度から風速・風向を算出しています。

 

 

海上を吹く風が弱いと水面に波があまりたたず、観測装置側にほとんど返ってこない。
逆に風が強いとき、水面に風浪が数多くできるため、マイクロ波が散乱され、観測装置まで返ってくることを利用しています。

 

発射するマイクロ波の入射角が20°以上の場合で、良好な解像度を得ることができる。

観測誤差を考慮し、入射角の異なる3~4つの観測値を取得することで、風速と風向の2つを算出しています。

 

算出手法から海面上のすぐ真上にある風というより、海面上に働く風で発生する数cmの波を観測していると考えられ、おおよそ海上10m程度の風速・風向を示しているようです。

誤差は0.2m-1以上で観測することができ、沿岸地域ではより大きい誤差が発生する。

また、強い降水域では雨粒によって生じるノイズのためデータの精度が落ちてしまう。

 

空間分解能25kmで、風速の精度1ms-1、風向の精度20°程度で観測可能であることが分かっている。

 

波浪や台風などの状況監視や、エルニーニョなどの監視にも利用されている。

 

大気追跡風による観測

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大気追跡風は、1978年から使用されており、解析の蓄積が多く、安定した運用が実現されている。

 

大気追跡風とは、時間的に連続する3枚の画像をもとに、雲及び水蒸気の分布(赤外放射データ)を追跡して算出されたものである。

 

解析には、高度の指定や台風などのターゲットの追跡、位置情報の確定、ノイズの除去や品質評価を行っている。

 

空間分解能の向上とと撮像時間間隔を短くすること分析可能な地域をさらに絞ることができる。

 

ただし、高度推定の精度が悪いことが分かっている。

 

Cバンド帯によるドップラーライダーによる観測(計画)

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Cバンド帯によるレーザー光を大気中に照射すると、エアロゾル(Aerosol)と呼ばれる大気中に浮遊する塵に衝突した際に、衝突しドップラー効果で周波数が変化する。

 

周波数の変化を観測することで、反射した時間からエアロゾルあるいは雨粒や雪片の距離を測定しつつ、エアロゾルあるいは雨粒や雪片がどの程度の速さであるかを求めることができる。

 

エアロゾルなどの粒子の動きは、大気の動きすなわち風により動いていることから、風の流れ(ドップラー速度)を関することができる。

 

ドップラーライダーの宇宙コンポーネントは、日本の組織であるNICTによって計画されている。一時期国際宇宙ステーションNASAと協力する方向で進んでいたが、結局のところ採択されていないのが現状である。

 

気象庁が実施している風観測

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地上の気象観測は、全国の有人の観測所や無人化した特別地域観測所、及び地域気象観測システムで実施されている。

 

建物の屋上に設置した風向風速計を設置して、風を観測しており、全国の空港でも空港気象観測の一つとして風を観測している。

 

風向風速計からは10分程度の平均値をもって、平均風速として報告されている。

最大瞬間風速については、複数個のデータを3秒間分取得し、算出している。

 

Cバンド帯をもつ気象レーダーの電波を用いて、降雨(雨や雪)の分布や強度以外にも、降水粒子の移動に伴うドップラー効果を利用して風を算出している。

複数台のドップラーレーダーから同一領域を観測することで、風のベクトルを求めている。

 

気象庁の観測に限らず、漁港や空港などでは、船やブイ、別途設備されたアンテナ、風速計などから風を観測していた。

 

1980年代、1990年代ではなくすでに100年以上の歴史がある。

地上から観測していたものが、海上、上空、宇宙(軌道上)にまで広がっているが、現在でも詳細に観測・解析・分析できていないのが実情である。

 

低軌道の高頻度の観測により精度が向上されていく気配があるのだが、最近はやりのコンステレーションによる通信衛星や光学衛星より目立っていない。

 

国境を越えた移動という意味では、船舶や航空機を所有・管理する企業、国家に対して重要なデータであるのだが、販売する相手が限られており、十分な利益が見込めないのか、企業側が現状で満足しているのかどちらかであろう。

 

静止衛星によるサービスがメインであり、低軌道衛星によるサービスを提供するメリットがあるか分析の必要はある。

 

日本のリアルタイム海上

 

世界版リアルタイム風向きマップ

http://agora.ex.nii.ac.jp/digital-typhoon/gpv/wind/

日本海マリーナの波シミュレーター

https://www.umitenki.jp/tenki/2792/wave

YAHOO全国風予測

https://weather.yahoo.co.jp/weather/wind/?m=ground

 


 

参考文献

衛星搭載マイクロ波散乱計による海上風ベクトルの観測 2002年 

http://www.metsoc-hokkaido.jp/saihyo/pdf/saihyo48/saihyo48-002.pdf

 マイクロ波散乱計による海上風観測 2009年

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jawe/34/3/34_3_337/_pdf

Rutherford 散乱断面積 

http://www.nucleng.kyoto-u.ac.jp/People/Itoh/3.pdf

航空機搭載用マイクロ波雨域散乱計/放射計システムの開発と実験

http://www.nict.go.jp/publication/kiho/32/163/Kiho_Vol32_No163_pp127-138.pdf

衛星による海上風のリモートセンシングSEASAT-A・散乱計システムの技術とその基礎

https://www.metsoc.jp/tenki/pdf/1980/1980_02_0087.pdf

人工衛星による海上風の観測

http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/1998/00821/contents/013.htm 

第4章 メソ解析の改善

http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/1998/00821/contents/013.htm

レーザーレーダー 地球環境のリモートセンシング

https://annex.jsap.or.jp/photonics/kogaku/public/31-03-kougi.pdf 

気象庁の風観測

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jawe/34/3/34_3_322/_pdf/-char/ja

大気追跡風算出アルゴリズム 目次

https://www.data.jma.go.jp/mscweb/technotes/msctechrep58-1.pdf

大気追跡風

https://weather-models.info/latest/satellite-wind.html

宇宙からの風

https://www2.nict.go.jp/res/lidar/p7.html

空港気象ドップラーライダーによる観測

https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kouku/2_kannsoku/24_lidar/24_lidar.html

空港気象ドップラーレーダーによる観測

https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kouku/2_kannsoku/23_draw/23_draw.html#doppler

衛星搭載ドップラーライダー実現を目指して

https://laser-sensing.jp/29thLSS/29th_papers/A-3.pdf

海風はどのように測定されますか?

 

https://podaac.jpl.nasa.gov/OceanWinds