往時宇宙飛翔物体 システム機械設計屋の彼是

往時宇宙飛翔物体 システム機械設計屋の彼是 宇宙blog

人工衛星の設計・製造・管理をしていた宇宙のシステム・機械設計者が人工衛星の機械システムや宇宙ブログ的なこと、そして、横道に反れたことを覚え書き程度に残していく設計技術者や管理者、営業向けブログ

ハニカム構造・ハニカムパネルの歴史【宇宙機と構造体】

人工衛星の構造体といえば、ハニカムパネルである。 

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ハニカムパネルは航空機に使われているが、電車にも使用されています。

 

山手線か京浜東北線か忘れましたが、ドアの近くに立ってみると気づきます。窓に貼り付けられているガラスの端からみると、ハニカムパネル端が観察できる。この事実は意外と多くの人に驚かれるのです。

 

人工衛星においては、ハニカムパネルを使用することは、すでに王道となっているのだが、もちろんハニカムパネルを使用していない場合もあります。

 

ハニカム構造以外にも金属の切り抜きにおけるアイソグリッド構造を使用した航空宇宙機もあります。

 

そんなハニカム構造の歴史をまとめました。

 

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人工衛星に低故障率や信頼性が求められる理由【宇宙機と軌道上ミス】

人工衛星は打上げたら手を出せない問題

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人間が物理的に手が及ぶ範囲は決まっています。

 

近年の日本ではスマートフォンが手に収まっており、常に操作できる。常にコントロールできるということは、人に安心感を与えているような気がします。

不安になることをすぐに調べられる現代はとても便利で安心なものなのでしょう。

 

そんな中、人工衛星は、常に操作できるような場所にあるわけではありません。 

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からあげクンが宇宙に打ち上がる日【宇宙食】

食品とは精神安定剤の一つである

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Credits: NASA

国際宇宙ステーションでは、宇宙空間という閉鎖空間以外にも、重力がないこと、昼夜がはっきりしないこと、少人数生活などのストレスを人間に加え続けます。

 

人間にはストレスを緩和させることのできるアクションの一つとして食事があります。

最近、ローソンの「からあげクン」が新たに宇宙食の仲間入りになるチケットを手に入れました。

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業界用語「抗たん性」と宇宙との関係

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一発で書き上げられない抗たん性(抗堪性:resilience)

 

「意味」

 航空基地やレーダーサイトなどの軍事施設が、敵の攻撃に耐えてその機能を維持する能力。抗堪力。「抗堪性を高める」

 

防衛用語なのか、少し荒々しい言葉が目立ちます。

 

「軍事施設」を人工衛星関連施設に例えると、対象が明確になるのではないでしょうか。

 

  • 人工衛星
  • 地上管制局
  • 地上アンテナ
  • ロケット射場設備

 

主にこれらの施設が該当されます。

範囲を広げると、設計開発組織施設、提供部品製造施設も含まれてきています。

 

「攻撃に耐えてその機能を維持する能力」を解釈すると、

 

何かしらの事情で人工衛星1基が喪失したときに、他の人工衛星で同様の機能が維持できるのか。

 

いつも使用している地上管制局や地上アンテナが破壊あるいは災害により使用できなくなったときに、別の施設で代替えとなる同等レベルの機能が維持できるのか。

 

通常使用している射場設備でなくとも、他の射場設備でも人工衛星やロケットを打ち上げることができること、を示しています。

 

 

日本政府関係の政策をみると、抗たん性を維持あるいは得ようとしている箇所がいくつか見られます。

 

この場合は、自国が突発的な災害により一部の機能が喪失した際に回復できないと自覚しており、代替機能となる施設などを増やすべきなので、増やしていこう意味を示しています。

 

これは自国の機能だけではなく、例えば、海外の製品を利用しており、何かしらの事情で製品を販売していた海外との交易ができなくなった際に、継続的な機能の維持を考えると、別の交易相手や自国での生産能力を上げるための施策を行おうという意味が込められています。

 

現実を見ると、不足であることを認識しているが、実施可能な予算と、実施可能な企業がないけど、どうにかしたいということが分かります。

 

初期は、政府主導で進めていたのでしょう。

 

しかし、海外の政策のスピード感に対して、予算も手も足りなくなってきているのかもしれませんね。

 

政府主導だけではなく、国内の産業活性も含めて、日本国内発の民間でも運用できるようにフォローしていきます、という表れかもしれません。

 

 デジタル大辞泉の解説

kotobank.jp

 

 

 

 

IT経営は定義を見失ったまま進んでいる

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経済産業省で「攻めのIT経営銘柄」というものが紹介されていたので、そもそもIT形成とは何かを調べてみました。

 

www.meti.go.jp

 

調べた結果、総務省にあったはずの定義がなくなっています。

次のサイトに定義を記載していますが、無くなっています。

www.tokyo-cci-ict.com

canbus.com

この2つのサイトによると、以下の一文が経済産業省の定義していたIT経営らしいです。

ITを戦略的に使いこなし、競争力や生産性の向上を実現し、経営力アップする

 

攻めや守りのIT活用がいわれている中で、そもそもIT経営がなんなのか未定のまま突き進むのはすごいですね。

 

今後はITコーディネータ協会が定義しているのがIT経営と言えそうです。

ただ、IT経営って言葉、無くなりそうですよね。

 

曖昧な定義は言葉をブレさせます。人工衛星においても、定義が曖昧だと運用が詳細されたときにブレていきます。

 

言葉は思うだけ、話すだけだと、表面上は同じでも差異が生まれ、ミスのもとになります。

大規模設計、新規設計になれば人が多くなりその傾向が強いのです。

 

会議で明確化された定義も文書に残し、その場にいなかった、あるいは新規、引き継がす人のために繋げましょう。

 

そもそも定義がない場合は、それこそ設計の腕の見せ所かもしれません。

 

参考

www.itc.or.jp

 

【宇宙機関連】忘れられる権利、過去の情報について

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Credits: NASA

 

忘れられる権利、人は忘れられるように脳ができています。

しかし情報をネットに上げることで、その情報は延々と残ります。

 

その情報が真実であれ、嘘であれ、記録に残ってしまうのです。

嘘が記録に残り、真実が記録に残らなければ、嘘はやがて真実となります。

 

最近は真実であれ、その情報を載せたと思うと、すぐに消えてしまうことがあります。

 

多くの情報量が舞い込む中で、必要な情報があったとしても、すぐ次の情報で埋もれてしまうことが大いにあります。

その時の情報価値が、新たな情報によって消えてしまうのです。

 

なんでも記録に残っていると思っていたら、案外消えているものなんですね。

 

国の場合ですと、資料にもよりますが5年くらい前のwebで公開されていた人工衛星関係の資料とかいくつか消えていました。

 

国でなくても、大学の研究室が消えたり、企業が事業から撤退して消えていたり、とかするとその時の資料が見れなくなってしまいます。

 

必要な情報は残しておくようにしましょう。

 

新聞社の記事は消えていってしまいますからね。

残ったものが真実にされてしまうことが多いのです。

 

参考

http://xn--mbkebb0414bnfrlqq.com/

ja.wikipedia.org

www.fuhyo-bengoshicafe.com

www.nhk.or.jp

【世界最大級2019】世界最大級を集めてみた

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年末の箸休めに、世界最大級を集めてみました。

世界最大手なだけで、日本最大とも限らないようですね。

 

ちなみに、このブログでのまあまあメインどころである航空宇宙メーカーはボーイングです。

航空宇宙メーカー:Boeing

https://www.boeing.com/

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独り言 武器を配る作業

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Pexels の Jakson Martins による写真

転職して数か月が立ちました。

 

おもむろにはじめてみたブログですが、書き続けていて業務に支障が出てきたので休止中です。

 

そもそもこのブログを始めたのは、後輩たちに武器を配りたかったのだ。

言葉にすると物騒だが、故瀧本哲史氏の「僕は君たちに武器を配りたい」をもじったものだ。 

 

僕は君たちに武器を配りたい

僕は君たちに武器を配りたい

 

  

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【宇宙機とロケット】本州最南端に建設!ロケット打上げ射場は北と南と東がGood

ロケット射場の選び方

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Credits: NASA

ロケット射場が2019年に新たに建設開始したようですね。2020年には建設が終わるそうです。

 

ロケット射場って、簡単に言うと、ロケットの発射地点です。

ロケットなので宇宙に飛ばす地点、すなわち、宇宙に早く行ける場所なんですね。

 

いやいや、地上から宇宙までの距離はほとんど変わらないという人が居るかもしれません。

なんなら、エベレストや富士山の方が距離的に宇宙に一番近い場所って言えるじゃないですか。

 

ちがうちがう、宇宙に近い場所じゃないんですよ、宇宙に早く行ける場所なんです。

 

電車でいうなら、新幹線の発着駅です。

飛行機でいうなら、空港を射場と呼んでいます。

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【宇宙機と熱解析】熱解析で困ること

熱解析は構造解析と一味違う

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熱解析は通常の解析が難しいのです。

 

最悪のパターンであったり、最良のパターンの解析の方が解析しやすいんですね。

 

最悪のパターンと、最良のパターンの平均が必ずしも通常の熱環境というわけではないのです。

 

だけど、多くの人が通常の熱環境を知りたがるのです。

それは一般にして、通常、何も起きていないときにどうなっているのか、今の状態を知りたい、今の状態を足を付けて見てみたいというのがあるのかもしれません。

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